シナイ山

シナイ山(ホレブ山)の場所

実はシナイ山は正確には同定されていない。いくつかの説がある。

ジェベル・ムーサー

アラブ人がジェベル・ムーサー(Jebel Mūsā, アラビア語で「モーセ山」の意)と呼ぶシナイ半島南部の山(標高2,285m)に古くから比定され、アブラハムの宗教によって神聖視されている。ジェベル・ムーサーにはモーセに関わる伝承を持つ泉や岩が数多く存在し、土地の人々の信仰の対象となっている。3世紀には聖カタリナ修道院が建設された。

ラス・サフサファ

一方、ジェベル・ムーサー近辺には聖書の描写に合致するような広大な平原が存在しないこと、エジプトからパレスチナへの通り道としては南すぎる、などの理由から、近年、一部の聖書学者たちは、その北側のラス・サフサファ(Ras Safsafeh / Sufsafeh)をシナイ山と同定している。

ラウズ山

他方、ロン・ワイアットは、ミデヤンの地をアラビア半島北西部とし、シナイ山(ホレブ山)を、同地のラウズ山(Jabal Al-Lawz ヤベル・エル-ローズ 標高2,580m)に比定している。エジプト第1王朝以来、シナイ半島はエジプト王国の領域であり、出エジプトというからにはシナイ半島を出なければならず、モーセが割って渡った海も、紅海ではなくアカバ湾(の浅い部分)であったとしている。アカバ湾を渡れば、目指すミデヤンの地もラウズ山もすぐである。

高等批評

チャイルズの『出エジプト記注解』〔Childs. Exodus. 344-51.〕では出エジプト記19章はJ資料とE資料が次のように組み合わされていると考えられる。
J資料:9節/11-13節前半/15節/18節/20-21節/25節
E資料:2節後半/3節前半/10節/13節後半-14節/16-17節/19節/十戒
最終更新:2018年01月23日 23:12