アニュス・デイ

「アニュス・デイ」はラテン語で「神の小羊」。平和を祈る賛歌。ヨハネ福音書1:29に基づき、これを拡充したもの。通常は「我らに(nobis)平安を」となっているが、レクイエムで用いられるものは「彼らに(eis)平安を」に変えられている。

原文(ラテン語)

通常のミサで用いられるもの

Agnus dei, qui tollis peccata mundi:
miserere nobis.
Agnus dei, qui tollis peccata mundi:
miserere nobis.
Agnus dei, qui tollis peccata mundi:
dona nobis pacem.

レクイエム(死者のためのミサ)で用いられるもの

Agnus Dei, qui tollis peccata mundi:
dona eis requiem.
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi:
dona eis requiem.
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi:
dona eis requiem sempiternam.

和訳

通常のミサで用いられるもの

神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、
我らをあわれみたまえ。
神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、
我らをあわれみたまえ。
神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、
我らに平安を与えたまえ。

レクイエム(死者のためのミサ)で用いられるもの

この世の罪を取り除く神の小羊よ(ヨハネ1:29,36)
彼らに安息をお与えください
この世の罪を取り除く神の小羊よ
彼らに安息をお与えください
この世の罪を取り除く神の小羊よ
彼らに永久の安息をお与えください

成立

ヨハネ福音書1:29,36にあるように、洗礼者ヨハネがイエスに対して「神の子羊だ」と言った場面に由来する。
ヨハネ1:23-30
ヨハネは、預言者イザヤの言葉を用いて言った。「わたしは荒れ野で叫ぶ声である。『主の道をまっすぐにせよ』と。」
遣わされた人たちはファリサイ派に属していた。彼らがヨハネに尋ねて、「あなたはメシアでも、エリヤでも、またあの預言者でもないのに、なぜ、洗礼を授けるのですか」と言うと、ヨハネは答えた。「わたしは水で洗礼を授けるが、あなたがたの中には、あなたがたの知らない方がおられる。その人はわたしの後から来られる方で、わたしはその履物のひもを解く資格もない。」これは、ヨハネが洗礼を授けていたヨルダン川の向こう側、ベタニアでの出来事であった。
その翌日、ヨハネは、自分の方へイエスが来られるのを見て言った。「見よ、世の罪を取り除く神の小羊だ。『わたしの後から一人の人が来られる。その方はわたしにまさる。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この方のことである。

ヨハネ1:35-36
その翌日、また、ヨハネは二人の弟子と一緒にいた。>そして、歩いておられるイエスを見つめて、「見よ、神の小羊だ」と言った。二人の弟子はそれを聞いて、イエスに従った。

最終更新:2017年07月09日 08:57