イイススの祈り

イイススの祈りとは、正教会で用いられる祈り・祈祷文
カトリック教会、プロテスタント教会では「イエスの御名の祈り」、「心の祈り」、「イエスへの祈り」とも呼ばれる。

祈祷文はイイスス・ハリストス(イエス・キリストの現代ギリシャ語・教会スラヴ語読み)に呼びかける形となっている。人間としての名であるイイススという名前を以て呼びかけの対象を明確にし、ハリストスという称号を以て「イイススがハリストスである」という信仰を言い表している。名前が機密的な力を持つものとして正教会では捉えられており、「名前を用いることで、その名のペルソナを実在させる」(カリストス・ウェア)と言われる。自分のために変容し、十字架にかけられ、復活し、常に自分と共に居るイイスス・ハリストスに対し、我が主よ、我が救いよ、呼びかける。

イイススの祈りは、以下の句を繰り返し唱えて用いられる。
主イイスス・ハリストス、神の子よ、我、罪人を憐れみ給え。

イイススの祈りはイイスス・ハリストスへの祈りと同時に至聖三者(三位一体)への祈りでもある。イイスス・ハリストスを「神の子」として、至聖三者の第一位としての神父(かみちち)に言及し、聖神(聖霊)の助けを得て祈る事で聖神にも言及している。聖神の助けを得てイイススに祈る事については聖書の以下の箇所が根拠とされる。

コリント一12:3(日本正教会訳)
聖神゜に由らざれば、一人もイイススを主と稱ふる(となふる)能はず。
コリント一12:3(新共同訳)
また、聖霊によらなければ、だれも「イエスは主である」とは言えないのです。
最終更新:2017年07月02日 12:30