イン・パラディスム

ミサ終了後、出棺の際に歌われる音楽。故人が天国へ行けるよう願う。礼拝のすんだ後であるので、この詩はレクイエムの歌詞中唯一、神でもキリストでもなく、その日葬られる故人当人への呼びかけになっている。

原文(ラテン語)

In Paradisum deducant te Angeli;
in tuo adventu suscipiant te martyres
et perducant te in civitatem sanctam Jerusalem.
Chorus Angelorum te suscipiat,
et cum Lazaro quondam paupere,
æternam habeas requiem.

和訳

天使があなたを楽園へと導きますように。
楽園についたあなたを、殉教者たちが出迎え、
聖なる都エルサレムへと導きますように。
天使たちの合唱があなたを出迎え、
かつては貧しかったラザロとともに、
永遠の安息を得られますように。

成立

ここに出てくるラザロとは、ルカ福音書に掲載されている「金持ちとラザロ」のラザロである

ルカ16:19-31
「ある金持ちがいた。いつも紫の衣や柔らかい麻布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮らしていた。この金持ちの門前に、ラザロというできものだらけの貧しい人が横たわり、その食卓から落ちる物で腹を満たしたいものだと思っていた。犬もやって来ては、そのできものをなめた。
やがて、この貧しい人は死んで、天使たちによって宴席にいるアブラハムのすぐそばに連れて行かれた。金持ちも死んで葬られた。そして、金持ちは陰府でさいなまれながら目を上げると、宴席でアブラハムとそのすぐそばにいるラザロとが、はるかかなたに見えた。そこで、大声で言った。『父アブラハムよ、わたしを憐れんでください。ラザロをよこして、指先を水に浸し、わたしの舌を冷やさせてください。わたしはこの炎の中でもだえ苦しんでいます。』
しかし、アブラハムは言った。『子よ、思い出してみるがよい。お前は生きている間に良いものをもらっていたが、ラザロは反対に悪いものをもらっていた。今は、ここで彼は慰められ、お前はもだえ苦しむのだ。そればかりか、わたしたちとお前たちの間には大きな淵があって、ここからお前たちの方へ渡ろうとしてもできないし、そこからわたしたちの方に越えて来ることもできない。』
金持ちは言った。『父よ、ではお願いです。わたしの父親の家にラザロを遣わしてください。わたしには兄弟が五人います。あの者たちまで、こんな苦しい場所に来ることのないように、よく言い聞かせてください。』しかし、アブラハムは言った。『お前の兄弟たちにはモーセと預言者がいる。彼らに耳を傾けるがよい。』金持ちは言った。『いいえ、父アブラハムよ、もし、死んだ者の中からだれかが兄弟のところに行ってやれば、悔い改めるでしょう。』アブラハムは言った。『もし、モーセと預言者に耳を傾けないのなら、たとえ死者の中から生き返る者があっても、その言うことを聞き入れはしないだろう。』
最終更新:2017年07月09日 09:08