ヨブ記

『ヨブ記』は、旧約聖書に収められている書物で、ユダヤ教では「諸書」の範疇の三番目に数えられている。ユダヤ教の伝統では同書を執筆したのはモーセであったとされているが、実際の作者は不詳。高等批評に立つ者は、紀元前5世紀から紀元前3世紀ごろにパレスチナで成立した文献と見る。ヘブライ語で書かれている。『ヨブ記』では古より人間社会の中に存在していた神の裁きと苦難に関する問題に焦点が当てられている。正しい人に悪い事が起きる、すなわち何も悪い事をしていないのに苦しまねばならない、という『義人の苦難』というテーマを扱った文献として知られている。

名称

ヘブライ名"ספר איּוב"(Sefer Iyov)は、登場人物のヨブにちなむ。
ギリシャ語名"Ἰώβ"(iob)はヘブライ語名による。
ラテン語名"Liber Iob"はギリシャ語名による。
英語名"Book of Job"はラテン語名による。

内容

  1. 散文調の導入(1:1~2:13)
  2. ヘブライ語独特の韻文調の議論(3:2~42:6)
  3. 散文調の終結(42:7~42:17)

原典はマソラ本文であるが、死海文書との相違点はほとんどなく、長期にわたって正確に伝承されてきたといえる。
最終更新:2018年01月19日 23:30