ベテスダの池でのいやし

『ベテスダの病人を癒やされるキリスト』カール・ハインリッヒ・ブロッホ(1883年)

ヨハネ福音書では、共観福音書とは異なり、イエスはエルサレム入城までに、過越し祭で2回(数え方によっては3回)、仮庵祭、ハヌカ祭、 ユダヤ人の祭り(祭名不明)など計5回エルサレムに行ったことになっている。これはそのうちの、「ユダヤ人の祭り」の機会である。

このとき、イエスはベトザタの池で癒しを行った。

ヨハネ5:1-13
その後、ユダヤ人の祭りがあったので、イエスはエルサレムに上られた。
エルサレムには羊の門の傍らに、ヘブライ語で「ベトザタ」と呼ばれる池があり、そこには五つの回廊があった。この回廊には、病気の人、目の見えない人、足の不自由な人、体の麻痺した人などが、大勢横たわっていた。〔彼らは、水が動くのを待っていた。それは、主の使いがときどき池に降りて来て、水が動くことがあり、水が動いたとき、真っ先に水に入る者は、どんな病気にかかっていても、いやされたからである。〕
さて、そこに三十八年も病気で苦しんでいる人がいた。イエスは、その人が横たわっているのを見、また、もう長い間病気であるのを知って、「良くなりたいか」と言われた。
病人は答えた。「主よ、水が動くとき、わたしを池の中に入れてくれる人がいないのです。わたしが行くうちに、ほかの人が先に降りて行くのです。」
イエスは言われた。「起き上がりなさい。床を担いで歩きなさい。」
すると、その人はすぐに良くなって、床を担いで歩きだした。その日は安息日であった。
そこで、ユダヤ人たちは病気をいやしていただいた人に言った。「今日は安息日だ。だから床を担ぐことは、律法で許されていない。」
しかし、その人は、「わたしをいやしてくださった方が、『床を担いで歩きなさい』と言われたのです」と答えた。
彼らは、「お前に『床を担いで歩きなさい』と言ったのはだれだ」と尋ねた。しかし、病気をいやしていただいた人は、それがだれであるか知らなかった。イエスは、群衆がそこにいる間に、立ち去られたからである。

癒された人がユダヤ人たちに問い詰められた後、イエスは再び癒された人に会っている。ヨハネ福音書では、これがユダヤ人たちがイエスを憎むようになった最初のきっかけであるとしている。

ヨハネ5:14-18
その後、イエスは、神殿の境内でこの人に出会って言われた。「あなたは良くなったのだ。もう、罪を犯してはいけない。さもないと、もっと悪いことが起こるかもしれない。」
この人は立ち去って、自分をいやしたのはイエスだと、ユダヤ人たちに知らせた。そのために、ユダヤ人たちはイエスを迫害し始めた。イエスが、安息日にこのようなことをしておられたからである。
イエスはお答えになった。「わたしの父は今もなお働いておられる。だから、わたしも働くのだ。」
このために、ユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうとねらうようになった。イエスが安息日を破るだけでなく、神を御自分の父と呼んで、御自身を神と等しい者とされたからである。

参考

最終更新:2020年10月01日 07:22
添付ファイル