おすすめ呪文
〈インヴィジビリティ〉は不可視状態になる呪文。不意打ち、偵察のお供に。
〈シャター〉は雷鳴ダメージを与える呪文。ただし音がでかいのが難点か。
〈ホールド・パースン〉は目標を金縛りにする。人型生物限定だが、決まれば戦局を有利に運べるだろう。
〈シャター〉は雷鳴ダメージを与える呪文。ただし音がでかいのが難点か。
〈ホールド・パースン〉は目標を金縛りにする。人型生物限定だが、決まれば戦局を有利に運べるだろう。
ダメージを与える
〈クラウド・オヴ・ダガーズ〉
【精神集中】
範囲内に渦巻くナイフを召喚し、4d4の[斬撃]ダメージを与え続ける。
範囲内に渦巻くナイフを召喚し、4d4の[斬撃]ダメージを与え続ける。
- 効果範囲が、たった5フィートの立方体しかない。また、一度発動すると動かすことができないことに注意。
- ダメージの平均値は10ポイント。セーヴィング・スローなしでこのダメージを与えることができること、継続的にダメージを与えることができることを考えると、2レベルとしては十分な性能。
- ダメージ種別は〔斬撃〕。魔法による〔斬撃〕は、抵抗や完全耐性を持つクリーチャーがほとんどいないため優秀。ただし、呪文を使わなくても魔法の剣や斧で出すことができる種別であり、これを基準に採用する価値は低い。
- ダメージの発生タイミングは、「そのクリーチャー自身のターンで効果範囲内に入るのが初めてか、その効果範囲内でターンを開始した時」。よって、敵クリーチャーの立っている場所にこの呪文を発動したとしても、そのクリーチャーのターンが来るまではダメージは発生しない。なお、効果範囲に入ることは、自発的である必要はない。したがって、〈サンダーウェイヴ〉のような呪文でクリーチャーをそのエリアに押しやることは可能。ただし、ダメ―ジを受けるのは、ターンで最初にその範囲に入ったときだけであることに注意。出し入れしても、複数回ダメージを受けることはない。詳しくは、セージ・アドバイスのp19を参照のこと。
- 範囲が狭く、動かすことができないため、敵をこの呪文の効果範囲内に押しとどめる工夫(移動妨害呪文、前衛による壁、地形等)が必要。たとえば、狭い道や戸口での戦闘、身動きがあまり取れない空間での大型生物との戦闘等では採用価値が上がる。
- 何らかの方法で、呪文の効果範囲を隠すのも良いだろう。たとえば初級呪文〈マイナー・イリュージョン〉や2レベル呪文〈ダークネス〉で隠すなどすれば、敵が気付かずに呪文の効果範囲内に入ってくれるかもしれない。
〈シャター〉
範囲内に3d8の[雷鳴]ダメージを与える呪文。鉄や石のように無機質な材質で出来たものは、このダメージに対するセーヴに不利を受ける。
- 3d8の平均値は13.5ポイントで、セーヴ成功で半減。そこまで大きくはないが、複数の相手を攻撃できる点が非常に有用。ダメージ種別も優秀で、抵抗されることが少ない。
- ウォーロック呪文で初めて登場する、「射程が長く」「範囲を攻撃することができる」呪文。ウォーロックにとって、①距離をとってダメージを与えること、②範囲内の複数の敵を同時に攻撃する「面の制圧力」を持つことは共に重要であり、この呪文はその二要素をどちらも満たしている。
- 範囲は半径10フィートで、広範囲とは言えないが、2レベルでは一番広い。また、前衛に群がる敵は低レベルで多く、そうした際に味方を巻き込まずに打つには丁度いい広さともいえる。
- 【耐久力】セーヴなので、成功されやすいが、石、クリスタル、鉄などで構成されたクリーチャーに対してはセーヴに不利を課すことができる。
- 石像はもちろん、骨系(スケルトン等)や土・岩系(アースエレメンタル等)、鉄系(アニメイテッドアーマー等)に効く可能性がある。クリーチャーの材質についてはルールに明記されているわけではないので、いけるかなと思ったら積極的にDMに提案していこう。
- 特に音が聞こえる範囲の記載はないが、とにかく大きな音で攻撃することは間違いないので、隠密作戦には不向き。 逆に言えば、音を利用して敵をおびき出したり、遠くの味方に戦闘が始まったことを伝えるという使い方も考えられる。
- 貴重なアイテムのありそうな部屋では効果範囲を慎重に選ぶか、別の呪文を使わないと戦利品が台無しになる可能性がある。また、魔法のポーション等「内容物が魔法のアイテム」である物がこの呪文の範囲にあった際は、DMの判断次第だが、入れ物のガラス瓶などが壊れる可能性もある。
〈マインド・スパイク〉XGtE
【精神集中】
1体のクリーチャーに、3d8の〔精神〕ダメージを与え、隠れたり不可視になることができなくなる。
1体のクリーチャーに、3d8の〔精神〕ダメージを与え、隠れたり不可視になることができなくなる。
- 不可視状態を見破る呪文といえば〈シー・インヴィジリティ〉があるが、ダメージを与えられる点や、隠れ身アクションができなくなる点が異なる。
- ゴブリンやローグ・クラスを持つキャラクターなど、"隠れ身"をボーナス・アクションとして行うクリーチャーに対して特に有効。だがそれだけではなく、遮蔽物や闇に隠れて逃げようとするクリーチャー相手を追跡することもできるだろう。追い詰めたら逃げ出ししそうな敵の重要人物などに撃っておくことでシナリオの展開を変えてしまうこともありえるだろう(DMが困ることになるが)。
- 持続時間も1時間と長めに設定されているのも長所。
- この呪文自体は「君から見えるクリーチャー1体」が対象なため、すでに隠れていたり不可視状態の敵には撃ち込めないので注意。
- なお、ホビージャパン版(旧版)の「ザナサーの百科全書」では、高レベル版ではダメージが1d6ずつ増加するとあるが、1d8の間違いである。(ウィザーズ版では修正済み)
自分や味方を支援する(バフ)
〈インヴィジビリティ〉
【精神集中】
不可視状態になる。ただし、攻撃や呪文の発動を行うと不可視状態は解ける。
不可視状態になる。ただし、攻撃や呪文の発動を行うと不可視状態は解ける。
- 持続時間は1時間あり、偵察や隠密行動にはもってこいの呪文である。他人にかけられるので、味方の斥候役を助けてあげよう。〈ファインド・ファミリアー〉で召喚した使い魔にかけることもできるので、隠密技能に長じたクリーチャーを不可視化すれば、実に優秀な斥候になる。敵陣に潜入し、内情や敵の配置を事前に調べよう。
- 高レベル版は目標を1体増やすことができるので、ウィザードやソ-サラーがパーティに複数いればパーティ全員を不可視化することも不可能ではない。
- この呪文に〈ノンディテクション〉を組み合わせれば、呪文や魔法によって術者を発見することはほぼ不可能になる。
- 攻撃や呪文の発動を行うと、不可視化が即座に解除されることに注意。奇襲を行う場合、最初の1回限定だが、攻撃ロールに有利を得ることができる。
- 不可視は強力だが万能ではない。不可視化を破る方法は数々あるので、順に解説する。
- ① 不可視化は視覚に基づく〈捜査〉や〈知覚〉をかいくぐることができるが、音や匂いで位置が露見することはあり得る。重い鎧や何種類もの武器、大きな背負い袋を運搬している冒険者が、何の物音も立てずに戦場を走り回るのは不可能だろう。もしくは殺した敵の返り血が鎧に付着して、ひどい匂いを放っているのかもしれない。これはゲーム的には、クリーチャーの受動知覚を使って判定される。君が隠密を行っていない場合や、行っていたとしてもその判定結果が相手の受動知覚を下回っていたなら、その所在が露見する。相手が「鋭敏嗅覚」や「鋭敏聴覚」を持つクリーチャーであれば、DMは受動知覚を用いずに、〈知覚〉判定を有利でロールする可能性もある。
- ② 埃っぽい場所や煙の充満している場所などでは足跡や煙の軌跡から位置が露見する場合もあり得る。
- ③ 視覚に基づかない知覚能力、たとえば「超知覚」、「疑似視覚」、「振動探知」などを持つクリーチャーは、君の隠密能力に関わらず知覚してくる。
- ④ 〈フェアリー・ファイアー〉や〈シックニング・レイディアンス〉などの呪文は、不可視化を無効化することができる。
- PHBp194「見えない攻撃者・見えない目標」に、「目標がいそうな位置をあてずっぽうで攻撃するのであれ、音はすれども見えないクリーチャーを目標として攻撃するのであれ、攻撃に不利を受けることに変わりはない」とあるので、少なくとも攻撃の目標にすることはできるようである。しかしその後に、「君が狙った位置に目標がいない場合、君の攻撃は自動的にミスする」とある。これが、5フィート単位で正確に目標の位置が分かっていないと攻撃できない、という意味なのか、大ざっぱに位置が分かっていれば攻撃できるのかはDMの裁定次第である。
- 機会攻撃は「見えている相手」にしか行えないので、確実に逃げられる。
- また、一部の呪文や特徴は「見ることができる」クリーチャーにしか発動できないので、不可視化状態のクリーチャーを目標にできない。たとえば〈カウンタースペル〉は呪文の発動を見ていないと発動できないので、不可視化していれば妨害されずに呪文を発動することができる。
- いっぽうで、〈ディスペル・マジック〉は目標が見えてなくても発動できるので、この呪文を解呪されてしまう。敵方に呪文使いがいる場合は要注意である。
- この呪文を発動した場合、着用および運搬している物体も不可視となる。では、インヴィジビリティ呪文の発動中に物体を運搬したらどうなるか?リードデザイナーの回答によると、「透明化が発動されたときに着用/運搬しているアイテムのみが透明になるが、その下に何かを隠すことは許可される」とのことである。
https://www.sageadvice.eu/if-an-invisible-creature-picks-up-an-object-does-the-object-become-invisible/
(ハリー・ポッターの透明マントを考えるとイメージしやすいかもしれない)
(ハリー・ポッターの透明マントを考えるとイメージしやすいかもしれない)
- この呪文を発動した場合にクリーチャーを運搬していた場合、運搬されているクリーチャーも透明になるのか?というと、恐らく透明化しない可能性が高い。透明化するのはあくまで「身に着けているモノ(Anything)」であり、物体を指しているためクリーチャーは対象外ではないか、と思われる。
- ではクリーチャーの入った物体(服の下に隠れた使い魔のネズミやランプの中の魔神、妖精が閉じ込められたランプ、バッグ・オヴ・ホールディングに入った仲間、麻袋の中の捕虜など)を着用/運搬している時にどうなるのか?という問いは、DM次第と言わざるを得ない。デザイナー回答を元にすれば「下に何かを隠す」扱いになる可能性は高いが、物によってはクリーチャーと一体として考える、と言われる可能性もあるだろう。DMに相談し、DMの決定に従おう。
- 死体はクリーチャーか物体か?という議論もあるだろう。死体が物体扱いであれば、〈フェイン・デス〉を使って疑似的に透明化人数を増やしたりすることもできる可能性がある。一方で〈リヴィヴィファイ〉や〈レイズ・デッド〉等の記述を見ると、死体をクリーチャーとして扱っていると取ることもできる。もしそのような状況になった場合、DMに相談し判断を仰ごう。
〈シャドウ・ブレード〉XGtE
【精神集中】
ボーナス・アクションで、影の刃を作り出す。
この刃を用いた攻撃は2d8の〔精神〕ダメージを与え、薄暗い場所や暗闇では命中に有利を得る。
ボーナス・アクションで、影の刃を作り出す。
この刃を用いた攻撃は2d8の〔精神〕ダメージを与え、薄暗い場所や暗闇では命中に有利を得る。
- 影の刃、という名前が何とも厨二心をくすぐる呪文。しかも、性能面でも名前負けしていない。
- この呪文はボーナス・アクションを用いて発動するので、同一ターンにアクションを用いてこの影の刃による攻撃を行うことが可能。なお、影の刃は単純近接武器として扱うため、呪文攻撃ロールではなく武器攻撃ロールを行わねばならない。“妙技”武器であるため、用いる能力値は【筋力】または【敏捷力】である。ウォーロックの近接職といえばへクスブレードがあるが、へクスブレードは【魅力】で殴れるため相性は良くない。
- ダメージ・ダイスは2d8で、グレートソードの2d6やグレートアックスの1d12を上回る威力。また、3レベルで3d8、5レベルで4d8、7レベルで5d8と強化されるので全レベル通して使える。
- "薄暗い"または"暗闇"の中では、攻撃ロールが有利になる。妖術「悪魔の目」を使えば有利に立ち回れる。
- ウォーロックがこの呪文を使うにあたり、気を付けるべきことは2つ。
- この呪文によって作り出された武器は、ウォーロックの契約武器にすることはできない。(契約武器にするために1時間の儀式を行う必要があるが、この呪文の持続時間は1分しかないため)
- ウォーロックの呪文スロットのレベルは最大5レベルなので、武器のダメージは4d8+能力値ボーナス以上にならない。
〈スパイダー・クライム〉
【精神集中】
同意するクリーチャー1体は、壁や天井を蜘蛛のように歩けるようになる。
同意するクリーチャー1体は、壁や天井を蜘蛛のように歩けるようになる。
- ダンジョンの床はトラップを仕込む絶好の場所であるが、逆に天井に罠が仕掛けられている場合は少ない。また、人は天井への警戒は薄いものなので、敵の知覚をかいくぐれるかもしれない。高さのある室内や洞窟の偵察の際にこの呪文をかけてあげれば斥候役は喜ぶだろう。
- 屋内であれば天井を移動して相手の後方に回ったり、足元の移動困難地形を壁を移動することによって避けたりなど。屋外であっても崖を素早く登ったり、小舟から帆船に乗り移る時、船体の外側を歩いて登るなど、使い道は環境次第で変わってくる。特に狭い通路で前衛が詰まっている時は、この呪文をかけて壁や天井に移動して道を開けるなどの行動も可能になる。とにかく地形を理解することが大事な呪文なので、この呪文を覚えたときからDMに「壁と天井の様子を教えてくれ!」と要求する人が後を絶たないとかなんとか。
- 効果時間も長いが、両手が自由でないといけない都合上天井から弓を撃ったりはできない。呪文も動作が構成要素に入るものが使えるかどうかはDMに確認した方がよいだろう。
- ウォーロックはレベルアップごとに呪文の入れ替えが可能なので、ダンジョンの探索に赴いたり壁を登る必要が見込まれる局面において事前に修得するなりしておくといいかもしれない。修得数に余裕が無ければ、呪文の巻き物を用意してそれで補う方法もある。幸いにしてこの呪文には高レベル版が存在しないので、呪文の巻き物から発動してもウォーロック自身のスロットを消費しても効果に違いはほとんどない。
〈ミラー・イメージ〉
自身と全く同じ幻影を三体作り出し、1/4の確率でしか攻撃が当たらなくなる呪文。
- ACに頼ることなく幻影の数に応じて攻撃が外れることなど、ACの低くなりがちなウォーロックにとって優秀な防御呪文。
- 本体に当たった場合は普通にACで判定することになるので妖術:「影の鎧」や〈アーマー・オヴ・アガテュス〉があるとより心強い。
- 精神集中無しで1分間持続するので、他の呪文の精神集中を妨げないのは利点。また、術者がダメ―ジを受けても呪文が解ける恐れがない。幻の分身が攻撃を受けると一撃で破壊されてしまうが、3回も敵の攻撃を引き受けてくれるなら緊急時の自衛用としては十分だろう。
- 「君が攻撃の目標になった時」にしかこの呪文の効果は発揮されない。したがって、〈シャター〉や〈ファイアーボール〉などの範囲攻撃や、攻撃ロールを行わない〈マジック・ミサイル〉などの攻撃は普通に受けてしまう。(こちらを参照)逆に言えば、これらの攻撃を幻影が受けることはない。
- 幻術すべてに言えることだが、疑似視覚や超視覚などを持つクリーチャーには見破られてしまう。
敵を妨害する(デバフ)
〈アースバインド〉XGtE
【精神集中】
目標の飛行移動速度を0にする。
目標の飛行移動速度を0にする。
- 飛行クリーチャーは非常に厄介な存在であるため飛行を封じる手段はぜひ用意しておきたいが、ウォーロックにこの呪文を習得する余裕があるかは微妙。
- この呪文には高レベル版が存在しないが、4レベル以上で発動した場合は〈ディスペル・マジック〉で解呪するために能力値判定が必要になる。したがって、高レベル発動する意味が全くないわけではない。
〈エンスロール〉
射程内の任意のクリーチャーは【判断力】セーヴを行い、失敗すると術者に釘付けになる。(戦闘中に使用すると、目標はセーヴに有利を得る。)
この呪文の作用を受けた目標は【判断力】〈知覚〉判定に不利を受け、受動知覚が5下がる。
この呪文の作用を受けた目標は【判断力】〈知覚〉判定に不利を受け、受動知覚が5下がる。
- 射程内の任意のクリーチャーを目標にできるので、大群衆を一度に釘付けにすることが可能。
- 〈サジェスチョン〉と異なり、目標が術者の話す言葉を理解できる必要はない。
- この呪文を使うのは、術者が大衆の目を引いている隙に仲間がこっそりと何かを行いたい場合だろう。たとえば、地元の有力者の屋敷に忍び込む、群衆の一人のポケットから持ち物を奪う、往来に大規模な罠をしかける、奇襲をかける場合など。
- 精神集中は必要ないが、何らかの要因で喋れなくなったり無力状態になった時点で呪文が終了することに注意が必要である。
〈クラウン・オヴ・マッドネス〉
【精神集中】
目標の精神を狂気に陥れ、周囲のクリーチャーを敵味方問わず攻撃させる。
目標の精神を狂気に陥れ、周囲のクリーチャーを敵味方問わず攻撃させる。
- ウォーロックが初めて覚える「戦闘中に敵を支配する」呪文。戦闘中の支配は非常に強力な効果で、敵を1人減らし、味方の前衛を1人増やすようなものだ。上手くいけば、1.5体分くらいはこの呪文で無力化できる。
- 持続時間中、対象の頭にねじれた鉄製の冠が被さるオシャレ効果付きだが、逆に言えば呪文で操られていることがバレバレになる。
- 相手の言語能力に関係なく効果が発動するので、異界の敵や言語を理解する知能がない敵にも有効。〈ドミネイト・パースン〉などとは異なり、目標がダメージを受けても魅了状態が解けたりセーヴが行われることはない。いっぽう、この呪文は、術者にアクションを行わせないことによって呪文を解くことができる。たいていは、同レベル帯の〈ホールド・パースン〉との比較で選択することになるだろう。
- 相手は「移動の前に」「間合い内の対象に」「近接攻撃で」攻撃できなければ通常通り行動できる。低レベル呪文なだけあって制約は多く、闇雲に発動しても利益は少ない。
- またこの呪文による支配は魅了状態として扱うので、エルフやフェイには効きにくい。
- なお、「1回の近接攻撃を行う」とあるので、複数回攻撃が可能であったとしても適用されないことに注意が必要である。その際は術者がどの攻撃をするか選べてもよいだろう。
- この呪文の欠点はいくつかある。第一に、精神集中を要するため、術者がダメージを受けたり"無力"状態になると終了する。第二に、目標の各ターン終了時に【判断力】セーヴで呪文を終了させられる。第三に、呪文を持続させたければ術者のアクションを用いなければいけない。
- 判定が【判断力】セーヴなので、知性の低そうな野獣クリーチャーや、ゴブリン族などに対して唱えよう。とくに狭い場所で使うと有用である。通路の先頭にいるクリーチャーや、部屋の唯一の扉の前に立っているクリーチャーにこの呪文を掛ければ、他の敵にとっては面倒なことこの上ない。
- 最後に残ったこの呪文の対象の敵をどうするかは考えておかないと余計な被弾を受ける事もある。効果時間中に使い潰してしまいたいところだ。
〈サジェスチョン〉
【精神集中】
1体のクリーチャーに1文か2文の命令を与える。
目標は【判断力】セーヴに失敗したなら、持続時間中その命令に従った行動をする。
1体のクリーチャーに1文か2文の命令を与える。
目標は【判断力】セーヴに失敗したなら、持続時間中その命令に従った行動をする。
相手を操る心術系統の呪文は応用範囲が広く、活用方法は山のようにある。下手をすると前提を飛ばしてボスまで一直線に進めるシナリオ破壊能力がある。(DMの許可する範囲で運用すること)
- ただし、制約もいくつかある。
- 第一に「君から見えており、君の声を聴くことができ、君の言うことを理解できる」クリーチャーでなければ、そもそもこの呪文の対象にならない(対象としても自動的に失敗する)。たとえば、言語を持たないアウルベアや元素界の言葉しか知らないメフィットに共通語で〈サジェスチョン〉をかけても、首を傾げられるのがオチだ。
- 第二に、相手にとってあまりに理不尽だったり、自殺的な行動を強制することはできないので、自傷、同士討ち等は不可能。「いきなり理由もなく裏切れ」などというのは理不尽な指示の典型で、DMも認めてくれないことが多い。「どの程度までは妥当な指示か」はDMと相談しながら決めていく必要があるだろうが、「それはPCが知りえない情報だから、やってみるまで分からないよ」と突っぱねられる可能性もある。
- 第三に、命令は1文か2文以内でなければならない。「今すぐ本部に戻ってお前のボスに嘘の報告をせよ。そして次に云々」などべらべら喋った場合、DMはその命令の最初の1文か2文だけを抜粋して実行することにするとよいだろう。
- PL諸氏の助けとなるよう、戦闘中やその直前にこの呪文を発動して目標を戦闘に関わらせないようにするにあたり、妥当と思われる例文を以下に記す。あくまで一例なので、実際の使い方は各自で工夫されたい。
- 「その場で警戒を続けよ」:目標はその場にとどまり、呪文の持続時間中は知覚判定を行い続けるだろう。
- 「後方に回り、敵の奇襲に備えよ」:目標は前線を離脱していくだろう。
- 「本部に伝令に走れ」:目標は林を使って本部に急を知らせに行くだろう。
- 戦闘外であればこのような形だろうか。持続時間が8時間もあるので、本来は戦闘外での使用を想定していると思われる。
- 「この道は誰も通すべきではない」:味方含め通行を制限し、増援を封じたり逃亡を封じたりする。
- 「○○を哨戒し、敵対生物を排除せよ」:ダンジョン内に敵対勢力が併存していることはままあるので、上手くいけばそれぞれの戦力を削ることができる。
- 「訪問者を歓待せよ」:事前に発動しておくことで交渉を有利に進めたり、しれっと屋敷に潜入できる可能性がある。
〈ダークネス〉
【精神集中】
半径15フィートの球形をした魔法的な暗闇を作り出す。
この暗闇は非魔法の明かりでは照らすことができず、2レベル以下の呪文による魔法の明かりを打ち消し、暗視でも見通すことができない。
半径15フィートの球形をした魔法的な暗闇を作り出す。
この暗闇は非魔法の明かりでは照らすことができず、2レベル以下の呪文による魔法の明かりを打ち消し、暗視でも見通すことができない。
- この呪文を最もうまく活かせるのはウォーロックだ。妖術「悪魔の目」とのコンボによって、こちらだけが一方的に攻撃できる。ただし、いくつかの弱点がある。
- ①デヴィルにこの戦術は通用しない。:彼らは、君と同じく「悪魔の目」を持っており、魔法の暗闇を見通すことができる。
- ②疑似視覚、振動探知、超視覚などの感覚を持つクリーチャーにも通用しない。:特殊な感覚を持つクリーチャーは高レベルになるほど多くなる。
- ③ほかの味方の視界も奪ってしまう。:最大の欠点。前衛に立つのは君一人ではないことが多い。暗闇で見えない目標に対しては攻撃ロールに不利を受けるし、呪文に至っては目標が見えないとそもそも発動できないものも多い。チームプレイの観点から考えると、敵味方の位置、地形などを考慮に入れ、味方の戦闘の邪魔にならない位置に発動しなければならない。うっかり発動してしまった結果、味方から孤立して倒されてしまうなどという事態は避けたいところだ。
- ④3レベル以上の魔法の明かりによって照らされる。:この呪文に高レベル版は存在しないので、高レベルで発動しても2レベル以下の魔法の明かりを消すという特徴には何の変化もないことに留意されたし。
〈ホールド・パースン〉
【精神集中】
人型生物を麻痺状態にする。
人型生物を麻痺状態にする。
- 対人金縛りという日本語訳のとおり、この呪文は人型生物を"麻痺"状態にする。麻痺状態は致命的な状態異常であり、「当たれば勝ち」と言っても過言ではない。("麻痺"の効果はPHBp292を参照してほしい)
- 判定は【判断力】セーヴだが、人型生物というのは(知性のない生物に比べて)【判断力】が高い傾向にある。したがって基本的に効きにくく、効いたとしても直ぐに立ち直ってくる可能性が高い。呪文が効いたら速やかにクリティカル・ヒットを当てて倒してしまおう。
- ウォーロックはレベル上昇とともにスロットのレベルも自動的に上昇するので、5レベル以上のウォーロックは自動的に2体以上の目標にすることになる。ただし目標に取る人型生物がそれぞれ30フィート以内にいなければならないことに気を付けなければならない。ダンジョンなど狭い場所では問題ないが、野外など広大なフィールドでは、敵軍も範囲攻撃の目標にならないために分散して位置取ることが多いため、うまく目標のクリーチャーを選ぶのが難しくなる。とはいえ、「必ず複数の目標を対象に取らなければならない」と言うわけではない。
〈レイ・オブ・エンフィーブルメント〉
【精神集中】
筋力で振るう攻撃の威力を半減させる。
筋力で振るう攻撃の威力を半減させる。
- この呪文は目標に対して遠隔呪文攻撃で判定するため、発動の際には命中率を上げるような工夫がほしいところ。
- 命中すれば、筋力で攻撃してくる脳筋野郎にとても有効…ではあるのだが、結局半減させるだけなので食らうのは食らう。どちらにせよ戦闘終了後にクレリックやドルイドの回復呪文を使わせることが確定するくらいなら、この呪文を唱えずに別の呪文で足止めや攻撃をした方が結果的にHPを守れる、と言うこともありうる。
- また【筋力】に基づいた攻撃を行うクリーチャーは【耐久力】も同様に高いことが多い。よって、早い段階であっさり呪文の効果を終了させられる事も多い。
- くわえて、この呪文には高レベル版が存在せず、クラスレベルで勝手に呪文レベルが上がってしまうウォーロックとしては使い勝手が悪い。敵の力を奪うようなロールプレイはいかにも妖術使いらしく、キャラクターのイメージには合っているかもしれないが。
その他
〈ミスティ・ステップ〉
ボーナス・アクションで自分から目に見える30フィート以内の場所に瞬間移動できる呪文。
- 脱出手段として使うことが多い。敵から機会攻撃を受けずに離れたり、つかまれた状態や拘束状態から脱出することができる。捕まったときに牢屋の格子から脱出するのにも使える。
- 移動手段として使うこともできる。敵が高所にいるときに一瞬で接近したり、崖や川を渡ったり、壁に小さな穴をあけて覗き込み向こう側の部屋に移動する、などである。特にへクスブレードなどの近接系のキャラクターと相性が良い。
- 瞬間移動できる先は「自分が見ることができる」場所である必要があるため、閉ざされた扉や、壁の向こうなどに行くことはできない。
- また、何ものにも占められていない場所である必要がある。瞬間移動先が人であれ物体であれ、なにかによって占められているならそこに出ることはできない。さらに、DMの判断として瞬間移動先が液体(=もの)によって占められているので、水中には出られないと裁定される場合もあり得る(DMに確認しておこう)。空中に出ることも可能であるが、飛行移動能力が無ければ落下する。
- 瞬間移動できる先は「自分が見ることができる」場所である必要があるため、閉ざされた扉や、壁の向こうなどに行くことはできない。
- また、何ものにも占められていない場所である必要がある。瞬間移動先が人であれ物体であれ、なにかによって占められているならそこに出ることはできない。さらに、DMの判断として瞬間移動先が液体(=もの)によって占められているので、水中には出られないと裁定される場合もあり得る(DMに確認しておこう)。空中に出ることも可能であるが、飛行移動能力が無ければ落下してダメージを受けることもある。
- 本人を瞬間移動させる呪文であり、他者を伴えない。他者を伴った瞬間移動は、3レベル呪文の〈サンダー・ステップ〉まで待たねばならない。
- ウォーロックは否応なく最高レベルで呪文を発動せざるを得ないが、この呪文には高レベル版が存在しない。5レベル以降は使用の優先度が低くなると思われる。