おすすめ呪文
〈ディスインテグレイト〉は単体に対する強力な攻撃手段である。
〈グローブ・オヴ・インヴァルナラビリティ〉は呪文に対する確実な防御手段である。
〈コンティンジェンシィ〉は、工夫次第でいろいろな状況に対する保険になる。
〈グローブ・オヴ・インヴァルナラビリティ〉は呪文に対する確実な防御手段である。
〈コンティンジェンシィ〉は、工夫次第でいろいろな状況に対する保険になる。
ダメージを与える
〈オティルークス・フリージング・スフィア―〉
半径 60フィートの球体に冷気がさく裂し、範囲内に10d6の冷気ダメージを与える呪文。
発動を保留して冷気の小球を作ることもできる。それは投げたり1分間放置すると爆発する。
発動を保留して冷気の小球を作ることもできる。それは投げたり1分間放置すると爆発する。
- 同じ〔冷気〕ダメージを与える呪文であるコーン・オヴ・コールドを6レベルで発動した場合と比較するとダメージの期待値(40.5)で劣るが、こちらは範囲が球形かつ起点を指定できるので多くの敵を巻き込みやすい。
- 射程は300フィート。ロングボウの通常射程の2倍に匹敵する距離であるため、相手が呪文使いでない限りは、確実にアウトレンジから攻撃できる。また、範囲も半径60フィートと非常に広く、総じて開けた場所での大規模戦闘に向く。
- さらに、発動を1分間保留できるため、1ラウンドの瞬間火力を大きく上げることもできる。たとえば戦闘前に2回発動しておけば、追加攻撃の特徴を持つキャラクターが1ラウンドに2つの球体を投げつけることで20d6のダメージが期待できる。(1分で爆発してしまうので戦闘の直前に唱える必要がある)
- 水を凍らせる効果については、周囲に水がないと活用するのは難しい。一応、〈ウォータリー・スフィアー〉、〈メイルシュトローム〉、〈ツナミ〉を使えば水を生み出すことはできるが、どれもそれなりに高レベルであり、コストが重いうえ、呪文で生み出した水が凍ったときどのような処理になるかはDM次第である。
〈サークル・オヴ・デス〉
範囲内のクリーチャーに8d6の死霊ダメージを与える呪文。
- ダメージだけを見れば〈ファイアーボール〉と同じ。射程が長く、効果範囲が半径60フィートと広いが、6レベル呪文のスペックとしては物足りない。
- 雑魚の大群やNPCを虐殺するのには役立つかもしれない。
〈サンビーム〉
【精神集中】
幅5フィート、長さ 60フィートの直線状のクリーチャーに6d8の〔光輝〕ダメージを与え、盲目状態にする。
幅5フィート、長さ 60フィートの直線状のクリーチャーに6d8の〔光輝〕ダメージを与え、盲目状態にする。
- 持続時間1分のあいだ、平均27ダメージを与えるビームを放ち続けることができる。
- アクションを用いて攻撃するため、瞬間火力は増えないが、戦闘でスロットを節約しながら戦いたい場合に便利。途中で別のアクションを行ったとしても呪文が終わらないのもうれしい。
- なお、相手を盲目状態にする効果もあるため、物理攻撃職にとってのバフにもなる。
〈チェイン・ライトニング〉
1体のクリーチャーに10d8の〔電撃〕ダメージを与える。
その後、最初の目標から30フィート以内にいる3体のクリーチャーに、10d8の〔電撃〕ダメージを与える。
その後、最初の目標から30フィート以内にいる3体のクリーチャーに、10d8の〔電撃〕ダメージを与える。
- 射程は150フィート。これはロングボウの通常射程に匹敵する距離であり、相手の攻撃手段によっては、アウトレンジから一方的に攻撃できる。
- 判定は【敏捷力】セーヴなので、事前に敵を拘束状態にしておけば不利が付く。また麻痺や朦朧状態にすれば確実に失敗する。
- 平均ダメージは43ポイントと高め。
- また、目標を選べるので、敵味方が入り乱れる乱戦状態でも、敵だけを狙って攻撃できるのが強み。
〈ディスインテグレイト〉
1体の目標に【敏捷力】セーヴを行わせ、失敗すると10d6+40の〔力場〕ダメージを与える。
このダメージでHPが0になった場合、そのクリーチャーは分解される。
このダメージでHPが0になった場合、そのクリーチャーは分解される。
- ダメージは平均75ポイントときわめて高い。単体に対する攻撃手段としては最大級と言ってよい。
- 射程は60フィート。これは〈カウンタースペル〉と同じである。この呪文は、相手にとっては必ず打ち消したいマストカウンターの1つなので、相手方に呪文使いがいる場合は〈カウンタースペル〉されない工夫をしよう。(詳しくは当該項目を参照)
- 判定は【敏捷力】セーヴなので、事前に敵を拘束状態にしておけば不利が付く。また麻痺や朦朧状態にすれば確実に失敗する。
- この呪文で殺した相手は分解される。これは、PCが食らう場合は復活できなくなるため大変な脅威である一方、敵NPCをどうしても分解する必要があることはあまりない。シナリオによっては、殺したという証拠を隠滅したり、アンデッド化する危険を防いだり、敵のクレリックがボスを蘇生させようとする試みを挫くことができる。
- また、〈オーティクルズ・リジアント・スフィア―〉や〈ウォール・オヴ・フォース〉を破壊できるという特徴もある。
〈メンタル・プリズン〉XGtE
【精神集中】
1体のクリーチャーに5d10の精神ダメージを与え、さらに恐ろしい幻を見せて拘束状態にする。
1体のクリーチャーに5d10の精神ダメージを与え、さらに恐ろしい幻を見せて拘束状態にする。
- 判定は【知力】セーヴ。習熟しているクリーチャーがほとんどいないため、かかりやすい。そのうえ、この呪文にはターン終了毎のセーヴがない。呪文を解くには術者の精神集中が切れるか、〈ディスペル・マジック〉を唱えるくらいしかない。
- より致命的な状態異常を与える呪文は、〈ホールド・モンスター〉や〈アイバイト〉など色々あるが、この呪文の長所は、確実性が高いところだ。かかりやすく、解けにくい。
自分や味方を支援する(バフ)
〈インヴェスティチャー・オヴ・アイス〉XGtE
【精神集中】
氷の鎧をまとい、以下の利益を得る。
氷の鎧をまとい、以下の利益を得る。
- ①〔冷気〕ダメージ完全耐性、〔火〕ダメージに抵抗を得る。
- ②雪や氷に覆われた地形を通常通り移動できる。
- ③術者の周囲10フィートが氷で覆われ、移動困難地形になる。
- ④アクションを使って、円錐形に4d6のダメージを与える吹雪を放つことができる。セーヴに失敗したクリーチャーは次のターンまで移動速度が半分になる。
- ①の効果は、火や冷気を用いる敵への対策として有効なので、敵クリーチャーの能力が分かってから準備するイメージである。
- ④の効果はダメージはあまり高くないが、戦闘でスロットを節約しながら戦いたい場合に便利。また、③の効果と噛み合わせがよい。15フィート先から発動すれば、移動速度30フィートのクリーチャーは君にギリギリ隣接できなくなる。
〈インヴェスティチャー・オヴ・ウィンド〉XGtE
【精神集中】
風の鎧をまとい、以下の3つの利益を得る。
風の鎧をまとい、以下の3つの利益を得る。
- ①術者に対する遠隔攻撃が不利になる。
- ②60フィートの飛行移動速度を得る。
- ③アクションを使って竜巻を作り出せる。竜巻は範囲内のクリーチャーに2d10の殴打ダメージを与え、10フィート吹き飛ばす。
- ①と②の効果がとてもよく嚙み合っている。飛行して上空から一方的に攻撃できるうえ、相手が弓などで反撃しようとしても、不利を受ける。(呪文に対しては無力なので注意)ただし、精神集中が切れるとそのまま落下してしまう。
- ③の効果はダメージはあまり高くないが、戦闘でスロットを節約しながら戦いたい場合に便利。
〈インヴェスティチャー・オヴ・ストーン〉XGtE
【精神集中】
石の鎧をまとい、以下の3つの利益を得る。
石の鎧をまとい、以下の3つの利益を得る。
- ①殴打、斬撃、刺突に抵抗を得る。
- ②術者の周囲に地震を起こし、範囲内のクリーチャーを伏せさせる。
- ③石や土を通過して移動できる。(石の中でターンを終了すると弾き飛ばされて気絶する)
- 狭いダンジョンでは③の効果が役立つ。前衛をスルーして直接後衛を殴りに行ったり、壁を抜けて隣の部屋に退避することで、攻撃を避けることができる。
- 地形が複雑で遮蔽物が多いほど役立つ呪文だ。物理ダメージが減ることで、精神集中の維持のための難易度が下がるのも嬉しい。
〈インヴェスティチャー・オヴ・フレイム〉XGtE
【精神集中】
炎の鎧をまとい、以下の利益を得る。
炎の鎧をまとい、以下の利益を得る。
- ①〔火〕ダメージに完全耐性、〔冷気〕ダメージに抵抗を得る。
- ②術者の5フィート以内に入るか、ターンを開始したクリーチャーは1d10の火ダメージ。
- ③アクションを使用して、4d8のダメージを与える火炎を放てる。
- ①の効果は、火や冷気を用いる敵への対策として有効なので、敵クリーチャーの能力が分かってから準備するイメージである。
- ②の効果は、こちらから敵に隣接すれば、相手のターンにおいて、火ダメージを受けるか、離れて機会攻撃を受けるかの二択を迫れる。
- ③の効果はダメージはあまり高くないが、戦闘でスロットを節約しながら戦いたい場合に便利。
〈コンティンジェンシィ〉
彫像に5レべル以下の呪文を封じ込めておき、特定の条件を満たしたら自動的に発動させる呪文。
- PLが自由に設定できる。たとえば、「私が攻撃の目標になったとき」や「私がダメージを受けたとき」といった受動的なものでもよいし、「手を3回打った時」や「合言葉を言ったら」といった能動的なものでもよい。
- とはいえ、「誰かが私に嘘を吐いたら」とか「私に害意を持った者が1マイル以内に来たら」とか、術者が感知できない情報にまでトリガーできるのはやりすぎである(もしもの備えの呪文と言うより、探知のための呪文になってしまう)。DMの許可する範囲で条件設定しよう。
- 封じ込める呪文として、強力と思われるのは以下の通り:
- 〈グレーター・インヴィジビリティ〉:ピンチになったときの防御手段として使える。条件は「私がダメージを受けたら」「仲間の誰々のHPが0になったら」などがよいだろう。「敵が私に隣接したら」というのもありだが、この呪文が敵味方を区別できるかはDMの判断しだい。
- 〈ディスペル・マジック〉:自分にかけられた呪文を即座に解くことができる。条件は「悪い効果を受ける呪文のセーヴィングスローに失敗したら」とするのが理想だが、この呪文が効果の良し悪しを区別できるかはDMの判断しだい。
- 〈ディメンジョン・ドア〉:逃走手段を確保することができる。条件は「私がダメージを受けたら」「仲間の誰々のHPが0になったら」などがよいだろう。「敵が私に隣接したら」というのもありだが、この呪文が敵味方を区別できるかはDMの判断しだい。ロールプレイにこだわるなら「かかとを3回打ち合わせたら」とか、「目的地を思い浮かべながら一回転する」というのもおしゃれだ。
- 〈ポリモーフ〉:戦闘中、即座に野獣に変身できる。何の野獣に変身するかは発動した時に選べるため、あらかじめ決めておく必要はない。おすすめは「かすめ飛び」によって確実に逃走できるジャイアント・アウルや、多くのHPを持つジャイアント・エイプやティラノサウルス・レックスなど。
〈ターシャズ・アザーワールドリィ・ガイズ〉TCoE
【精神集中】
下方次元界か上方次元界の魔力を引き出して変身し、以下の利益を得る。
①〔毒〕〔火〕ダメージに対する完全耐性(下方次元界)/〔光輝〕〔死霊〕ダメージに対する完全耐性(上方次元界)
②毒状態に対する完全耐性(下方次元界)/魅了状態に対する完全耐性(上方次元界)
③飛行移動速度40フィート。
④AC+2。
⑤武器攻撃が魔法になり、攻撃ロールとダメージロールに呪文発動能力を使うことができる。
⑥攻撃アクションが2回攻撃になる。
下方次元界か上方次元界の魔力を引き出して変身し、以下の利益を得る。
①〔毒〕〔火〕ダメージに対する完全耐性(下方次元界)/〔光輝〕〔死霊〕ダメージに対する完全耐性(上方次元界)
②毒状態に対する完全耐性(下方次元界)/魅了状態に対する完全耐性(上方次元界)
③飛行移動速度40フィート。
④AC+2。
⑤武器攻撃が魔法になり、攻撃ロールとダメージロールに呪文発動能力を使うことができる。
⑥攻撃アクションが2回攻撃になる。
- 武器攻撃が2回攻撃かつ 【呪文発動能力】 依存になる。 遠隔攻撃にも対応しているので、飛行して上空から一方的に矢を浴びせられる。
- しかし結局、やっていることはファイターが〈フライ〉を唱えてもらって、魔法の武器で攻撃するのとあまり変わらない。パーティバランスや所持アイテムの状況を考えて、本当にこの呪文が必要かどうかよく検討してから習得しよう。
- ハンド・クロスボウに習熟する種族が、「クロスボウの達人」を取得すると強力。「ターシャの万物釜」の「習熟の交換」ルールを使うなら種族の自由度はかなり高い。
〈テンサーズ・トランスフォーメーション〉XGtE
【精神集中】
君は以下の6つの利益を得る。
①50の一時的HP
②武器攻撃ロールに有利
③武器攻撃のヒット時、追加の2d12の〔力場〕ダメージ
④すべての鎧、盾、武器への習熟
⑤【筋力】と【耐久力】のセーヴに習熟
⑥攻撃アクションが2回攻撃に
君は以下の6つの利益を得る。
①50の一時的HP
②武器攻撃ロールに有利
③武器攻撃のヒット時、追加の2d12の〔力場〕ダメージ
④すべての鎧、盾、武器への習熟
⑤【筋力】と【耐久力】のセーヴに習熟
⑥攻撃アクションが2回攻撃に
- 一時的に戦闘能力を向上させる呪文。ウィザードでありながらファイターのように武器攻撃に堪能になる。しかし、能力値自体が変化するわけではないので、元から【筋力】や【敏捷力】の高いキャラクターが使うべきだろう。
- ブレードシンガーと相性がよい。「秘術の領域」のクレリックや、バードが「魔法の秘密」で取得するのもよいだろう。
〈トゥルー・シーイング〉
同意するクリーチャー1体に"超視覚"、魔法によって隠された扉を見抜く能力、エーテル界のものを見る能力を与える呪文。
- 非常に潰しの効く呪文。相手が暗闇に隠れていても、不可視化していても、無害なものに変身しても、幻術をかけてきても一切騙されることはない。
- 持続時間は1時間しかないため、ダンジョン突入前などに唱えておきたい。
- 超視覚のくわしい効果についてはPHBp185を見てもらうとして、この項目では、「この呪文でも見破れないもの」を書いておこうと思う。
- ① 魔法ではない隠し扉。
- ② 魔法ではない隠れ身。
- ③ (魔法かどうかに関わらず)霧や煙など、視界を遮るもの。
- ④ (魔法かどうかに関わらず)盲目状態になってしまった場合。
〈フィズバンズ・プラティナム・シールド〉FToD
【精神集中】
1体を銀色の力場で守り、持続時間中、以下の利益を得る。
1体を銀色の力場で守り、持続時間中、以下の利益を得る。
- ① 遮蔽:1/2遮蔽を得る。
- ② ダメージ抵抗:〔酸〕〔電撃〕〔毒〕〔火〕〔冷気〕の各ダメージに対する抵抗を有する。
- ③ 身かわし:【敏捷力】セーヴに成功すれば半分のダメージで済むような効果にさらされた場合、そのクリーチャーはセーヴに成功すれば一切ダメージを受けず、失敗しても半分のダメージで済む。
自分のターンにボーナス・アクションとして、18m(60フィート)以内にいる他のクリーチャーに目標を移すことができる。
- 防御系の効果の豪華な3点セット。
- ドラゴンのブレス攻撃対策としての用途が想定されていると思うが、〈ファイアーボール〉や〈ライトニング・ボルト〉への対策としても使える。
- 1/2遮蔽を得る効果は、 実際に遮蔽物が出現しているわけではないので、こちらから遠隔攻撃を行う時にペナルティを受けることはないものと思われる。 (DM次第)
敵を妨害する(デバフ)
〈アイバイト〉
【精神集中】
クリーチャー1体を「眠り」「恐慌」「不調」のいずれかの状態にする。
持続時間中、アクションを使って対象を変更できる。
クリーチャー1体を「眠り」「恐慌」「不調」のいずれかの状態にする。
持続時間中、アクションを使って対象を変更できる。
- この呪文最大の特徴は「目標を変更できる」ことであり、相手がセーヴィング・スローに成功するなどして状態異常から回復したとき、別のクリーチャーを新たな目標にできる。
- 3つの効果はどれも強力だが、おすすめは「眠り」と「恐慌」だ。どちらも確実に行動不能にすることができる。「眠り」はダメージを受けたり揺り起こされると目覚めるので、敵勢力のイニシアティブを確認してから唱えよう。「恐慌」は君から視線が通らなくなると終了するので、遮蔽物のない広い地形で適正がある。
〈ウォール・オヴ・アイス〉
【精神集中】
氷の壁 (10フィートのパネル 10枚)を作る。
クリーチャーのスペースを横断するような位置にこの壁を出現させた場合、どちらかの側に押しやった上で10d6の〔冷気〕ダメージを与えられる。
壁は破壊されたとしても冷気が残り、通過すると5d6の〔冷気〕ダメージを与える。
氷の壁 (10フィートのパネル 10枚)を作る。
クリーチャーのスペースを横断するような位置にこの壁を出現させた場合、どちらかの側に押しやった上で10d6の〔冷気〕ダメージを与えられる。
壁は破壊されたとしても冷気が残り、通過すると5d6の〔冷気〕ダメージを与える。
- 10フィート四方のパネル10枚を好きなように繋げる。パネル同士が接続していればよいので、屋根付きの箱型にすることも可能。
- 敵を閉じ込めるとしても味方を守るとしても、〈ディスインテグレイト〉以外では破壊不可能な〈ウォール・オヴ・フォース〉の方が優秀だが、ダメージが発生する点は注目すべきところ。
- 「クリーチャーのスペースを横断するような位置にこの壁を出現させた場合、そのクリーチャーはこの壁のいずれかの側に押しやられる」とあるが、どちらの側に押しやるのか、術者が決めることができるのか明記されていない。〈ウォール・オヴ・ストーン〉には「どちらの側かは君が選ぶ」と書いてあるのに、なぜかこの呪文には書いていない。君がDMなら、術者が選べるのか、目標が選べるのか、DMが決定するのか、はたまたダイスを振るのか、あらかじめ決めておくこと。DMが「どちらの側に押しやられるか術者が決めてもよい」といった場合、この呪文は敵にダメージを与えたうえで壁の中に閉じ込めることが可能になる。他の範囲呪文と組み合わせて速やかな殲滅を狙おう。
- 氷の壁が視線を遮るかどうかは書いていない。氷なので透明とも考えられるし、白く濁っていて向こう側が見えないとも考えられる。他のウォール系の呪文には「不透明」「視線を遮る」「不可視」など、視線が通るかに関する言及があるのに、なぜかこの呪文だけ無いのが気になるところ。あらかじめDMに確認しよう。
〈オットーズ・イレジスティブル・ダンス〉
【精神集中】
1体のクリーチャーに踊り続ける呪いをかける。(セーヴなし)
そのクリーチャーは移動できず、【敏捷力】セーヴと攻撃ロールに不利を受け、他のクリーチャーはこの目標に対する攻撃ロールに有利を得る。
1体のクリーチャーに踊り続ける呪いをかける。(セーヴなし)
そのクリーチャーは移動できず、【敏捷力】セーヴと攻撃ロールに不利を受け、他のクリーチャーはこの目標に対する攻撃ロールに有利を得る。
- セーヴなしで相手にデバフを与えることができるという非常に信頼性の高い呪文。単体に対する最も確実な無力化であり、イレジスティブル(抵抗できない)の名に恥じない性能を持つ。
- 特に「呪文抵抗」や「伝説的抵抗力」の特徴を持つクリーチャーに有効である。単一の大ボスと戦う時は準備しておきたい。
〈グローブ・オヴ・インヴァルナラビリティ〉
【精神集中】
術者から半径10フィートに、5レベル以下の呪文を遮断する障壁を作る。
術者から半径10フィートに、5レベル以下の呪文を遮断する障壁を作る。
- 相手を選ぶが、ハマれば非常に強力な効果。特にリッチなどは呪文を封じられるとほとんど何もできない。障壁内のクリーチャーは5レベル以下の呪文の作用を受けないが、呪文を発動することはできるので、障壁内に籠城してこちらだけが一方的に攻撃することが可能。
- ただし〈キュア・ウーンズ〉などの回復も行えなくなる点には注意。
- 主に戦闘で使う呪文だが、交渉の場で〈チャーム・パースン〉で魅了されたり〈ディテクト・ソウツ〉で思考を読まれるのを防ぐのにも使える。
〈スキャター〉XGtE
射程内の5体までのクリーチャーを、120フィート以内の任意の地上に瞬間移動させる呪文。
- 敵味方問わず移動させられる強力な呪文。味方を安全な場所へ移動させることと、敵を危険な場所に移動させることを同時に行える。
- ① 味方を移動させる:つかみや拘束から逃れたり、遠隔攻撃を行うキャラクターを敵から引き離すのに使える。特に、高所や崖の対岸など簡単にはいけない場所に移動させれば、一方的に攻撃できるかもしれない。
- ② 敵を移動させる:危険な場所に移動させよう。たとえば〈シックニング・レイディアンス〉の中など呪文の範囲内に強制移動させることで、確実にダメージを与えられる。「地面の上」でなくてはならないので、空中に移動させて落とすことはできないが、高低差のある戦場なら、崖下に瞬間移動させて、戦場に戻ってくるのを困難にすることはできる。同意しないクリーチャーの場合【判断力】セーヴを行うので、脳筋っぽいクリーチャーに使うと当たりやすいかもしれない。
〈フレッシュ・トゥ・ストーン〉
【精神集中】
クリーチャー1体をまず拘束状態にし、その後ターンごとのセーヴに合計3回失敗すると石化状態にする。
クリーチャー1体をまず拘束状態にし、その後ターンごとのセーヴに合計3回失敗すると石化状態にする。
- 面白い効果だが、戦闘における実用性には欠ける。単体を行動不能にしたいなら〈ホールド・モンスター〉や〈アイバイト〉の方が即効性がある。
- この呪文を活かすなら、敵を生け捕りにして長期間捕らえておきたい場合に使うとよい。石にすれば、牢屋に入れる必要も、縄で縛る必要もない。脱走される心配も自害される心配もないし、食事を与える必要もない。
〈マス・サジェスチョン〉
12体までのクリーチャーに〈サジェスチョン〉をかける呪文。
- 〈サジェスチョン〉の複数版。かつ精神集中が不要になった。群衆を自分たちの利益になるように誘導したり、敵の軍隊を一挙に無力化することができる。ただし、セーヴは個々に行うので、全員がセーヴに失敗してくれる可能性はゼロに等しい。呪文が効かなかった者への対処は考えておくべきだ。
- どのような命令を与えるのがよいかについては、〈サジェスチョン〉を参照のこと。
クリーチャーを召喚する/生み出す
〈サモン・フィーンド〉TCoE
【精神集中】
1体のフィーンドの霊を召喚する。
霊は君のターンの直後に行動する。
1体のフィーンドの霊を召喚する。
霊は君のターンの直後に行動する。
- おすすめはデヴィル。遠隔攻撃ができるうえ、魔法の暗闇を見通すことができる。ただし〈ダークネス〉は精神集中が必要なので両立できないことに注意。他の人に唱えてもらおう。
- ウィザードは5レベルに〈アニメイト・オブジェクツ〉がある。単にダメージを与えたいだけならそちらがおすすめ。
〈クリエイト・アンデッド〉
中型以下の人型生物の死体3つまでを、グールにして操る呪文。
- 〈アニメイト・デッド〉のグール版。
- 最大の利点は24時間の間制御下に置けること。大休憩を取ってから出陣すれば実質リソース消費なしである。しかし、このレベル帯でグールでは大した戦力にならない。戦闘よりは、偵察、囮、罠チェック、敵を囲んで移動妨害などに使うことになるだろう。
- なお、高レベル発動することでワイトやマミーを作り出すことができる。ワイトの場合、殺した相手が24時間後にアンデッドになって蘇る能力を持つ。しかし、24時間後には肝心のワイトが制御から離れるので意味はない。ワイトにはそれなりの知能があるので、DMによっては、ワイトと交渉して、制御から離れた後も協力を得られるかもしれない。マミーの場合、相手を恐怖や麻痺状態にする「恐るべき眼光」の能力を持つ。ボス戦の前に捨て駒として連れて行くとよいだろう。
- アンデッドに関する注意点については〈アニメイト・デッド〉を参照のこと。
〈クリエイト・ホムンクルス〉XGtE
ホムンクルスを1体作成する呪文。
術者はHPを次の大休憩まで、ホムンクルスに移すことができる。
術者はHPを次の大休憩まで、ホムンクルスに移すことができる。
- 持続時間は"瞬間"であるため、一度発動すればずっと消えないし、解呪されることもない。
- ホムンクルスの最大の特徴は同一次元界にいる限りテレパシーで感覚共有できる「テレパシー接続」の能力。この点、100フィート以内でなければテレパシーできない〈ファインド・ファミリアー〉と異なり、拠点に置いておいて様子を報告させたり、遠方の領主や国王との直通電話として使える。
- 両方覚えておいて、同時に2か所を偵察させたり、一方が死んだときの保険として運用するのもあり。
その他
〈アーケイン・ゲート〉
【精神集中】
10フィート以内の一点と、500フィート以内の一点をつなぎ、瞬間移動できるポータルを作り出す。
10フィート以内の一点と、500フィート以内の一点をつなぎ、瞬間移動できるポータルを作り出す。
- ポータルは10分間持続し、味方全員が利用できる。(敵に利用される可能性もある)用法は多岐にわたるが、概ね4つの使用法があるだろう。
- ① 逃走する:最も一般的な用途。味方全員が1ラウンドで500フィートも逃走できる。味方全員がポータルをくぐったら、敵が入ってくる前に精神集中を切って呪文を終わらせよう。
- ② 遠隔攻撃の射程を伸ばす:矢や投石、呪文の射程を500フィート伸ばすことができる。しかし、ポータルは「霧で満たされている」ため、向こう側のものを見ることができない。一度ポータルをくぐって向こう側に出てから攻撃し、残りの移動速度で再度ポータルをくぐって元の場所に戻るのがよいだろう。
- ③ 防御手段として利用する:ポータルの入り口を敵の方に向ければ、呪文や矢はすべてポータルに吸い込まれて反対側から出てくる。出口を敵のほうに向けて設置して、そのことに敵が気づいていなければ、自滅させることも可能かもしれない。もちろん、これは細長い通路や狭い入口でのみ有効な戦法である。横や後ろに回り込まれると何の意味もない。
- ④ 敵をだまして落下させる:崖っぷちにポータルの出口を作り、敵を突き飛ばして落下させることができる。または、崖っぷちの安全な側にポータルの出口を作り、自分がポータルをくぐった後に、ボーナスアクションでポータルの方向を反対向きにして、追いかけてきた敵を落下させるというのもありだ。なお、空中に作ることはできない。
〈ガーズ・アンド・ウォーズ〉
2,500平方フィートの範囲を保護し、許可されていない侵入者を罠にかける呪文。
- 冒険者は防衛するより攻撃することのほうが多いので、主にDMが使う呪文という印象がある。
- とはいえ、PCも高レベルになれば領土や拠点を持つことがあるだろう。君たちが、オークの軍勢から砦を守らなければならなくなった時や、ダンジョンの主を倒して新たな主となったときなどには、この呪文の存在を思い出そう。
〈ソウル・ケイジ〉XGtE
殺した人型生物の魂を閉じ込めて、以下の4つの方法で利用する呪文。6回利用すると魂は解放される。
①魂から活力を奪い、ボーナス・アクションでHPを2d8回復。
②魂に質問して、情報を聞き出す。
③魂の経験を利用して、攻撃ロール、能力判定、セーヴィングスローを有利にする。
④魂が生前に見た場所に10分間、センサーを設置。
①魂から活力を奪い、ボーナス・アクションでHPを2d8回復。
②魂に質問して、情報を聞き出す。
③魂の経験を利用して、攻撃ロール、能力判定、セーヴィングスローを有利にする。
④魂が生前に見た場所に10分間、センサーを設置。
- 「殺してしまうと情報を得られない」という葛藤が消滅する呪文。とくに②の効果で得られる情報の信頼性は高く、嘘を吐かれたり曖昧な言葉で誤魔化される危険が少ない。たとえ有用な情報を得られなかったとしても、①や③の効果でHPを吸収したり判定を有利にしたり、④の効果で敵陣を偵察することができるので無駄がない。
- いちおう、相手が蘇生するのを防ぐ効果があるものの、この呪文自体が8時間しか持続しないため、それ以降は普通に蘇生される。
〈ドローミジズ・インスタント・サモンズ〉
10ポンド以下の物体に印を付け、それが運搬されていない場合はどこにいても、術者の手の中にテレポートできるようにする呪文。
- 大切なマジック・アイテムや呪文書に印をつけておいて、紛失したり盗難されたときの保険とすることができる。相手に運搬されている場合は取り戻せないという制約があるが、代わりにだいたいの位置がわかるので、追いかけることは可能。
- また、詐欺にも使えるだろう。報酬として渡したり、何かと交換したり、命乞いで差し出したアイテムを、この呪文で回収することができる。ドラゴンや巨人は宝物を死蔵する傾向があるので取り戻しやすい。一方で人型生物の場合は、貴重なマジック・アイテムを手に入れたら喜んで装備するだろうから、取り戻せる確率は低い。騙す相手は選ぼう。
〈プログラムド・イリュージョン〉
特定の条件が満たされると起動する幻を作り出す呪文。
- 基本的には、やってきた者を罠にかけるために使う。たとえば、落とし穴を幻の地面で覆い隠し、その上に相手の興味を惹きそうなものを置いておいたり、周囲に可燃物を撒いて幻で隠し、敵が現れたらトロルの幻を出現させたり(敵が火を使ってトロルに立ち向かおうとすると周囲が火の海になる)、宝物庫へ続く部屋や、君たちが隠れている部屋へ続く廊下を隠したり、危険で通れないかのように見せかけることができる。
- さて、このように書くと、DMがダンジョンのギミックとして使う呪文か、城や拠点を建設したプレイヤーがセキュリティ保持のために唱える呪文のように思えるが、活躍の場は必ずしもそれだけではない。
- この呪文は1アクションで唱えられるため、敵地で騒ぎを起こして陽動を行ったり、危険な場所で休憩せざるを得ないとき、敵の侵入を防ぐためにも使える。
- ただし、今挙げたような状況は前者は〈メジャー・イメージ〉、後者は〈レオムンズ・タイニィ・ハット〉といった低レベル呪文でも対処可能。
〈マジック・ジャー〉
自分の魂を容器に封じ込め、その後他者の身体に憑依する呪文。
- 効果が非常にややこしい。詳しい効果はPHBp279を見てもらうとして、ここでは主要な部分を要約する。
- パターン1:憑依している体が死ぬと……
- 相手の魂:死亡する。
- 自分の魂:憑依している体が容器から100フィート以内にあって、なおかつ【魅力】セーヴに成功すれば魂が容器に戻る。それ以外の場合は死亡する。
- パターン2:容器が破壊されるか呪文が終了すると……
- 相手の魂:容器と相手の身体が100フィート以内にあって、相手の体が生きているなら、魂が元の体に戻る。それ以外の場合は死亡する。
- 自分の魂:自分の体と相手の体が100フィート以内にあって、自分の体が生きているなら、魂が元の体に戻る。それ以外の場合は死亡する。
- 以上を踏まえて、どのように使うかを考察する。
- ① 相手に憑依し、その能力を利用する:想定された用途はおそらくこれだと思われるが、前述の要約を読めば分かるように、非常に死亡リスクが高い。したがって、憑依したまま長時間過ごしたり、戦闘に出向くことはお勧めしない。「憑依したら何をしたいか」あらかじめ決めておいて、目的を達成したら速やかに呪文を終了させよう。一応、〈クローン〉を作っておくことで死亡に対する保険をかけることは可能。
- ② 相手を殺す:単純に相手を殺すのにも使える。相手に憑依したら、まず自分の体を100フィート以内に持ってきて、その後仲間が容器を100フィートより遠くに持って行って破壊する。そうすれば、自分の魂は元の体に戻り、相手の魂は戻ることができず死亡する。ただ相手を殺すのに使ってもよいし、①の目的で相手の能力を利用してから、証拠隠滅で始末するのに使ってもよいだろう。
- ③ 相手の〈シミュレイクラム〉を作る(DM次第):相手に憑依したら、その相手の〈シミュレイクラム〉を作ることができるかもしれない。その後②の方法で相手を殺せば、その相手の外見や能力をコピーした分身を手に入れることができる。強力な味方NPCを意のままに操れるだけでなく、敵勢力に送り込むスパイとしても利用できるだろう。ただし、これが許されるかどうかはDM次第。元々は敵の体から作られた分身だから、君たちの命令に従ってくれないかもしれない。あるいは、〈シミュレイクラム〉は実は肉体ではなく魂を写しとる呪文であって、君が別の人間の体に憑依している場合でも、君の元々の体を模した分身が出来上がるのかもしれない。
- ④ 相手の〈クローン〉を作る(DM次第):相手に憑依したら、その相手の〈クローン〉を作ることができるかもしれない。その後容器を破壊して君が死ねば、君の魂がクローンの中に入って復活できるかもしれない。その相手の外見や能力をコピーしたクローンを手に入れることができる。ただし、これが許されるかどうかはDM次第。元々は敵の体から作られた分身だから、君の魂が上手く入り込めないかもしれない。また、相手が死んだとき、その魂がクローンの中に入っている君の魂を押しのけて、復活するのかもしれない。
〈ムーヴ・アース〉
【精神集中】
一辺40フィートの範囲の地面を10分かけて動かす。
一辺40フィートの範囲の地面を10分かけて動かす。
- 地形操作のための呪文。しかし残念ながら初級呪文に〈モールド・アース〉があるため、時間さえかければ同じようなことができる。
- とはいえ、初級呪文が習得数に制限があるのに対し、この呪文は使う日だけ準備すればよい。冒険に持っていくのではなく、冒険の合間で、防衛のための砦を作ったり、自分の領地を開墾したり、居城を作ろう。