仮面ライダー

【かめんらいだー】

ジャンル アクション
対応機種 スーパーファミコン
発売元 バンダイ
開発元 さんえる
発売日 1993年11月12日
定価 9,800円
判定 なし
プレイ人数 1~2人
ポイント アニメ調
とう!
高難易度
見ている分には面白い
仮面ライダーゲームリンク


概要

本項目のタイトルは「仮面ライダー (SFC)」となっているが、本作パッケージに「仮面ライダー」のみ表記してあるため。
ファミ通では「仮面ライダー 恐怖!復活のショッカー」、AmazonとWikipediaでは「仮面ライダー 恐怖!復活のショッカー軍団」と表記揺れがあるが、同じゲームを指している。
昭和の特撮ヒーロー、「仮面ライダー」のゲーム化作品。ストーリーは放送本編より後の時系列を扱う。
ベルトスクロールアクションで、プレイヤーは本郷猛(2Pプレイなら一文字隼人)を操作して、ステージを進みながらショッカー戦闘員や怪人と戦う。


特徴

  • ステージ開始は本郷猛(一文字隼人)から始まり、いつでも任意のタイミングでライダーに変身出来る。
    • 特に条件はなく、その際にはHPも全回復する。ただし、一度ライダーに変身すると、HPが0になるまで変身前に戻ることが出来ない。
      • HP0になると残機を消費してその場で復活する。クレジットが残っていればそれもその場で消費して復活。それも尽きれば、ステージ最初に戻される事すらなくゲームオーバーという仕様になっている。
  • 特訓モード
    • 各ステージ終了後には、おやっさんこと立花藤兵衛がナビゲートの特訓モードに突入する。
      • 特訓は体力・攻撃力・新技と3つのメニューから選ぶ事が出来る。どれに重点を置くかも重要なポイントである。選択肢によって練習内容も異なってくる。また、失敗してもリトライさせてもらえる。
  • パスワード画面
    • クリア毎にパスワードも表示され、次回はそこから再開可能。

評価点

ふんだんに盛り込まれた原作要素

  • ゲームの導入部
    • プロローグ終了後、原作同様のバイクの音と実写の顔グラが揺れながら登場して、タイトル出現と共に「レッツゴーライダーキック」が流れる。 しかもバックコーラスはボイスで収録。ファン感涙である。
  • 音楽
    • レッツゴーライダーキックだけでなく、作中では、原作で流れていた音楽が見事に再現(一部アレンジ)され使用されている。「無印」のBGMはもちろん、一部では続編である「仮面ライダーV3」のBGMも流れる。
  • 特訓モードでは藤兵衛のグラフィックも口パクまで用意されておりかなり細かい。
  • パスワード画面では24文字の平仮名が表示されるが、テレビCMカットインの演出と同じ仕様でファンを喜ばせた。

ゲーム性

  • シナリオも練られており、細胞超活性化装置や設計図などで復活を企てるショッカーと、それを止めようとするダブルライダーの攻防は必見。中盤では、多岐に渡る活躍を見せるキャラクターも登場。
    • ステージ開始前には豊富なアニメ調の一枚絵とテキストで表現されたあらすじが入り、暗転してステージ名が表示される。テキストは漢字が使われているこだわり様。
    • 等身大の主人公があらゆるアクションが用意されており、多くの敵と戦いながらストーリーを進めて行くのは楽しい。
    • そのエリアの敵を全滅させた後は「とう!」という掛け声とともにジャンプして次のエリアに進むので小気味良い。
  • SSIシステム
    • 本作で欠かせないシステムがこれである。シークレット・サイン・インプット、略してSSI。凶悪な怪人と戦うためのアクションは20近く用意されているのだが、予め割り当てていればボタン一つで即座に繰り出す事が出来る。L、R、L+Rの3つの動作であらゆる状況に応じて使い分けよう。
    • SSIセットは基本ゲーム開始時に行う。それぞれ3つの技を立て続けに選ぶ事が可能で、3つとも違う技にするか、同じ技だけにするかはプレイヤー次第。セットする際は技名が表示され動作も実演されるので分かり易い。
    • セットする技は新技特訓で編み出すことが出来、新技特訓終了後は、SSIセット画面に入り、完了すると次のステージに進む。
  • 個性豊かな兵士団
    • ショッカーの戦闘員も色々な登場の仕方をして楽しませてくれる。
      • 兵装も豊富でバク転したりバイクに乗ったりする。見た目だけではなく戦い方もナイフや剣やタックルなどをしてくる。
  • 怪人
    • 各ステージのボスは勿論、怪人である。原作通りの攻撃で猛威を振るって来る。
    • ボス戦のフィニッシュは、ただ倒すだけではなく必殺技でトドメを刺すようになっている。その際はSFCのMODE7を活用した拡大縮小回転機能などで臨場感を上げている。
  • ボス戦があらゆる場所で行われる事
    • 当時の番組の戦闘は、基本的にいつもの採石場でフィニッシュ。というのもCGの無かった時代、怪人を大爆発させていい場所が話の通じている採石場くらいしか無かったためである。
    • だが、ゲームではそのような大人の事情は無い。本作は大学校内や、劇薬取り扱い施設、遊園地などでも派手な戦闘が行われている。

賛否両論点

  • 難易度が高い
    • 戦闘員は基本複数で袋叩きにしてくる。怪人は突進・飛び込み系の攻撃が多いため立ち回りが難しく、ボス怪人はさらに全体に強化されている。
      • 十分遊べる範囲ではあるが、主要ファン層の小学生には辛口かもしれない。
  • 落下は敵のみに有効
    • 敵を落下させる事は出来るが、自分が突き落とされる事はない。快適と取るか不自然と取るかは人によるだろう。
  • ボス曲は無く、主題歌の使い回し
    • 戦闘曲として主題歌が流れるのは番組おなじみの演出だったが、ゲーム作品としては珍しい仕様。

問題点

  • 変身について
    • 本郷猛のままで戦うと、ライダー状態に比べ攻撃力も半分、技も基本的なものでSSIは使えないので不便。ただし防御力はライダーと同等である。
    • 結局のところ怪人にとどめを刺すために変身する必要があり、本郷猛で戦うメリットはHPを節約するのみになっている。
  • 怪人
    • ボスは1体だけなのにゲージが2箇所に表示されている事がある。
    • 倒した事のある怪人が普通に再登場して来るので使い回し感がある。苦戦も強いられて消耗もひどいので、難易度も跳ね上げてしまっている。
    • ステージ5のボス、ヒルカメレオンが凶悪
      • 原作でも遊園地で戦っており、凍結こそ使ってこないものの透明化が非常に厄介である。突然現れてHPを半分以上削られるので痛い。反撃も出来るが反射神経が非常に良くないと無理な話。また飛び蹴りも大ダメージを食らう。
      • 神出鬼没、回避困難、大ダメージを与えてくるボスはワイリーカプセルが知られているが、それに匹敵するレベルとなっている。
      • 余談だが、当時様々なゲームで遊園地を舞台にしたステージが登場したが、なぜか悉く凶悪な難易度にデザインされており、遊園地獄という言い方をするプレイヤーもいた。
  • イージーモードが救済策になっていない
    • 確かにイージーでは楽になりステージ5ボスのヒルカメレオンも判定が甘くなるなど弱体化する。しかし、最終面には行けずノーマルからのやり直しを求められるため助けにはならない。
    • ステージ6も、ヒルカメレオンが再来してラスボスも凶悪で非常に難易度が高いため、イージーモードでも最後までやれるようにして欲しかったという意見はある。
  • 投げ技が不便
    • まず、相手を掴むところからだが、Y軸を合わせたうえで正面から近づく必要があり、まったく安定しない。
    • また、他の敵を巻き込めるわけではなく、威力も低めなので使い勝手が悪い。
    • SSIの2~3つ目に登録すればいくらか出しやすくなるが、そこまでするメリットは無い。
  • SSIシステム
    • 特訓は3回用意されており、新技開発を選ぶたびに投げ技が1つ増える。しかし、投げ技は前述した通り使い勝手が悪く、体力・攻撃力の強化を棒に振ってまで選ぶメリットは無い。
      • しかも、SSIセット画面が出るのはニューゲーム開始時と、新技開発の成功時のみ。よって、プレイ中にSSIシステムを組み直すのは不可能と見るべき。
    • SSIの動作中はキャンセルできないため、2~3つ登録すると空振り時のリスクが大きくなる。また、L+R同時押しを使おうとしてL・Rのどちらかが暴発する事もある。
    • 技自体は豊富だが、カテゴリ的には小攻撃・大攻撃・二連撃・ジャンプ攻撃・投げ技の5種類となり、同カテゴリ内の性能に被りが多い。
    • Y連打が標準的なコンボなので、背後に届く回転キックと高威力+ダウンありのライダーキック(パンチ)を1つずつ登録し、残り1枠に二連撃×3などを登録するのが無難か。
  • 特訓
    • 本編は難しいが、特訓の方は適当に逃げ回ったり軽く連打をするだけで済むので簡単。しかもリトライも可能と急にヌルい調整になる。
      • 何故かSSIシステムが使えないが、特に困る事はない。
      • ゲームオーバーの度に特訓を挟めば、高難度ゲームの救済として機能したのでは。
  • スタッフロールがない
    • 当時はスタッフロールが無いゲームもよくあったので、時代的なものではある。
+ ネタバレ注意
  • ショッカーを壊滅させた後は2人のライダーが再び世界へ旅立つというもの。夕日をバックに次は世界の悪と戦っていく決意を固める内容、その後は主題歌とともにボス怪人との場面を振り返る。
  • その他
    • パスワード
      • 表示される際は3行だが入力する際は2行になっている。
  • 多重スクロール
    • 遊園地のメリーゴーランドは回転視差なので多重スクロールまでとは行かず、ただ背景を流すだけで十分。それよりも他のステージにもっと回して欲しかった。
  • 贅沢を言えば、ライダーらしくバイクで戦うゲーム性も欲しかった。一枚絵では乗っているがゲーム中には一切出てこない。主題歌のライダーライダーのフレーズ際にバイクに乗っているのは戦闘員の方である。
    • なお、『ライダー倶楽部』や『BLACK』ではバイクに乗って戦う場面もあるにはあるが、オススメは出来ない。
  • ボイス関連
    • 一文字のボイスはよく聞くと、本郷のボイスを若干早回しにしたものとなっている。敵撃破ムービーに関しては、本郷操作時、一文字操作時に関わらず共通で本郷のボイスが流れるが、一部分だけ一文字のものが混ざっている場合もある。カセットの容量上仕方なかったかもしれないが、ぜひとも差別化してほしかったものである。

総評

細部までこだわり抜かれた高品質な素材で仮面ライダーの世界をSFCで具現化するのには成功した。
しかしながら、凶悪すぎる難易度に退けられた原作ファンがいたという事も否めない。ゲームオーバーの度にパスワード画面、特訓、SSIセット画面でも出来るようにすればまた初心者救済になったかも知れないのは惜しいところである。

余談

  • パスワードでいちもんじはやとを4つ入れると一文字隼人のみを使うという事も可能。
  • 石ノ森章太郎先生のファンでもある島本和彦先生によって原画も提供。

最終更新:2024年07月27日 11:45