燃えろ!!プロテニス
【もえろ ぷろてにす】
| ジャンル | スポーツ(テニス) |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| 発売元 | ジャレコ | 
| 開発元 | トーセ | 
| 発売日 | 1988年4月15日 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 定価 | 5,500円 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | リアル路線を追求したテニス 高頭身キャラによるダイナミックなアクション
 動きは少々鈍い
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| 燃えろ!!シリーズ | 
 
概要
『燃えろ!!プロ野球』に始まった『燃えろ!!シリーズ』の第2弾。
その名の通りテニスのゲームで、野球同様リアル路線を追求したつくりになっている。
ファミコンのテニスゲームとしては任天堂の『テニス』(1984年1月)、ナムコの『ファミリーテニス』(1987年12月)に続く3本目。
当時は野球と並んで『燃えプロシリーズ』と呼ばれたこともあったが、あくまでも『燃えプロ』は野球のみである。
任天堂作品とは異なり2Pでの対戦はできるが、ダブルスはできない(これは上記『ファミリーテニス』も同じ)。
内容
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任天堂の『テニス』同様に、Aボタンがスマッシュやグラウンドストローク、Bボタンがロビング系と慣れ親しんだ操作法が用いられている。
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これは前年の『燃えろ!!プロ野球』同様、それまで長い間同等のスポーツゲームがなかったので、適切な設定である。
 
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ロビングやスマッシュだけでなく、フロントやバックのボレー、サーブもストレートとスライスサーブが使い分けられるなど一通り網羅されている。
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基本的な動きだけでなく応用テクニックも幅広い。
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しかもそれらが、高頭身の大きいグラフィックのキャラでアクションで表現される。
 
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リアル路線の追求をコンセプトに作られている。
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コートもハード、クレー、グラスと3種類用意されている。
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ハード
 バウンドが大きく、弾んでもスピードが落ちない。
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クレー
 バウンド自体が低く、それにより弾んだ球は勢いの落ちが大きい。
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グラス
 バウンドしたボールが加速して滑るように弾む。
 
 
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当時の日本ではテニスはそれほどメジャーなスポーツではなかったこともあってか、実在モデルとわかる選手もいる一方、架空のように思える選手もいる。
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選手は男女で8人ずつ用意されており、それぞれ得意不得意といった個性を持っている。
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スピードは男子選手の方が速いが、そこまで絶対的な差はない。
 
    
    
        | + | 男子選手 | 
キャンドル確実で速いサーブ。フォアからのトップスピンも鋭い。
キャホー得意のサーブ&ボレーが出るようになればしめたもの。
ビボングロビングを上手く使ってラリーになればパッシングで勝負だ。
ブランデー足が速く、.得意のストロークになればこちらのもの。
マケンドーフットワークを活かしたネット際のプレイを得意とする。
ベーカリー世界No1のファーストサーブが入れば鬼に金棒だ。
ゴネルズ左右にボールを打ち分けネットに出て勝負だ。
ハンバーグフットワークを使ってラリーに持ち込めばこちらのものだ。
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        | + | 女子選手 | 
ビスケットストロークプレーに持ち込めればフルに力が発揮できる。
バージ相手の隙をついてネットに出ればボレーが生きる。
マルーブフットワークで拾いまくる粘りのテニスが売りもの。
マンドリアンサーブ、ボレーを得意とするが安定した力に欠ける。
サマチーヌ力のあるトップスピンを持つがスタミナの持続が問題。
グラフィーヌパワーとスピードのあるサーブ、ネットプレイを得意とする。
クリスシードベースラインからのストロークは安定した強さがある。
ナブチョロア男子並みのフォアストロークと安定したバックのスライス。
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女子は3セットマッチ、男子は5セットマッチとなる。
評価点
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ストロークの球筋はなかなか本格的。
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後述の通り動きが遅めながら、タイミングでボールの飛ぶ位置はかなり変わってくるので見た目ほど簡単ではない。
 
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サーブが空振り以外フォルトになりにくく、それでいてちゃんとコントロールもできるので、非常にやりやすいバランスになっている。
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約半年前に発売された『ファミリーテニス』は、かなり慣れないとフォルトばかりになるので、それと比較するとかなり遊びやすい。
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加えて、空振りも意図的に狙わなければほとんど起きないレベル。
 
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サウンドに関しては野球同様バッチリリアル路線を追求している。
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『燃えろ!!プロ野球』同様合成音声付き。
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「フィフティーン」「フォルト」等、審判の判定が音声になっている。
 
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スマッシュ音も、それまでのようなものとは違う現実に近いものになっており、シリーズ特有のリアル路線を追求している。
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また、スマッシュなどを決めるとリアルな「ワー」の歓声が上がる。
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IN、OUTの微妙な線だった場合、クレームをつけるイベントが起こる。
 
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アングルの変化がなかなかダイナミック。
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サーブを打ってから打ち返すまでのアングルは、フィールドビューに近く、他のテニスゲームでは味わえない迫力がある。
 
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選手データは非常に細かく設定されている。
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これにより選手それぞれの個性が出せている。
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またCPUロジックも細かく設定されている。
 
賛否両論点
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選手もボールも動きは遅めで、スピード感に欠ける。
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ナムコの『ファミリーテニス』に比べるとかなり遅い。
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このおかげで初心者にありがちな「ついていけずに投げ出して終わる」という結果になりにくく、遊びやすくなっているのもたしか。
 
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選手の動きに慣性がある。
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ゲームとしては少々扱いづらい部分ではあるが、ギリギリのボールに追いついてダッシュするリアル感は出ている。
 
問題点
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少々ボリューム不足
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プレイヤーは8人でコートもそれぞれ特性を持った3タイプが用意されているなど選択の幅は広いが、ゲームモードとしてはその総当りとなる1P「ジャレコリーグ大会」か2P対戦のみ。
 
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現実感のない名前の選手
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実在のテニスプレイヤーを模した選手もいる一方で、「キャンドル」「ベーカリー」「ビスケット」など、ふざけているように見えるネーミングの選手がいる。
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当時日本のプロスポーツは野球、ゴルフ、プロレス以外はマイナーだったことも手伝って、すべての選手が架空と勘違いした人もいた。
 
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また当時の日本でも白石正三等の名の知れたプロテニスプレイヤーは存在していただけに、そういった選手がいないのも残念。
 
総評
それまでのテニスゲームに比べるとスピードでは少々動きの鈍さは否めないものの、キャラクターのグラフィックは大きく全体的にプレイしやすい作りになっており、ダブルスこそできないがテニスの醍醐味をとことん味わえる。
コートの質による変化や、実際のテニスらしいサウンド、シリーズ特有の音声合成なども取り入れられているなど、リアル路線を追求しており良い部分は種目が変わってもしっかり取受け継がれている。ファミコンでは数少ないテニスゲームだが、その中でも完成度はかなり高い方と言えるだろう。
反面プロ野球シリーズと違って、選手名が実在のモデルと思えないものがある点にはリアル路線のゲームとしては少々残念な部分ではある。もちろんプロテニス自体がファミコンプレイヤー層にそこまで浸透していないのにリアルを求めても野球ほど響かないのも確かなので費用対効果を考えればやむを得ないのかも知れないが。
また時期的なことを考えれば、ゲームモードの数が少なくボリューム面では少々不足気味ではある。
その後の展開
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また同年、野球以外で『燃えろ!!ジュニアバスケット TWO on TWO』(11月)『燃えろ!!プロサッカー』(12月)を発売。
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結果的に野球以外のシリーズ作品はいずれも単発で4作のみに終わったが、そのうち3作品を本年内に発売している。
 
余談
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やはり「プロ野球」に比べると「プロテニス」という響きがしっくり来なかったのか爆発的に売れた野球とは相反してソフト売上げは高くなかった。
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『燃えろ!!プロ野球』が開発中に、ファミスタこと『プロ野球ファミリースタジアム』が先に発売されてしまい、結果的に任天堂のストレートネームのスポーツシリーズである『ベースボール』に続く2番手を確保できなかったように、本作もナムコの『ファミリーテニス』が先に発売されてしまったため、野球の二の轍を踏む形になった。
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本作は『燃えろ!!プロテニス』なので『燃えプロ』と略せるのだが、メーカー公式でもそれはあくまで野球のみである。
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この年の8月にディスクカードで発売された『ビッグチャレンジ! 柔道選手権』で対戦モードの選手はジャレコソフトの名前が使われているのだが「モエテニ」「モエフロ」になっており野球の方は「モエヤキ」ではない。
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実際『燃えろ!!プロ野球』は1990年から『燃えプロ!'90 感動編』と『燃えプロ』が正式名称に昇格している(ただし1991年の『燃えプロ!最強編』と2本のみで、以後は再び『燃えろ!!プロ野球』に戻った)。
 
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「ファミリーコンピュータMagazine」(ファミマガ)恒例のウソテクのネタにも使われた(1988年11号)。
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パスワードでプロ野球の選手が相手になるというものだった。全部Gを入れればクロマテ、Bならブーマー、Tならバース。
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これだけ簡単なやり方ならば正解率も高そうに思えるが、61%とそこまで高くなかった。
 
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一応概要では、相当速いボールを打ってくる強敵らしいが普通に考えたら野球のバットでテニスをすること自体無謀で、まったく勝負にならないだろう。
 
最終更新:2022年05月28日 16:26