VARTH - Operation Thunder Storm

【ばーす おぺれーしょんさんだーすとーむ】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード(CPシステム)
発売・開発元 カプコン
稼働開始日 1992年7月
プレイ人数 1~2人
判定 良作

概要

対戦格闘の時代に本格突入した1992年にカプコンからリリースされた縦スクロールシューティング。
CPシステムを使用したシューティングは『エリア88』や『1941 Counter Attack』などが知られているが、本作はどちらのシリーズでも無い完全新作である。


ストーリー

2666年、マザーコンピュータ「DELTA-7」が謎の暴走、機械集団を率いて人類に宣戦布告した。
人類は滅亡の危機にさらされ、最後の望みを二機の旧型戦闘機に賭けた。
コンピュータの影響を受けない二機が最新鋭のコンピュータ兵器に挑む…最後に笑うのは人間か?機械か?

主なシステム

  • 8方向レバーで自機の移動、ショットとボンバーの2ボタンとオーソドックスな操作系。
    • ショットはマシンガン、ワイドショット、レーザーの3種類で、ショットに応じてボンバーの性質も変化する。
      • マシンガン:初期装備。攻撃範囲と威力のバランスが取れている。ボンバーはホーミングする光弾を5発発射する。
      • ワイドショット:放射状に広がる弾を撃つ。ボンバーは前方に巨大な火の玉を発射する。
      • レーザー:雑魚敵を貫通するレーザーを撃つ。ボンバーは画面全体に雷を落とす。
  • ゲームを開始するとまずポッドという2つ1組の補助装備を選択する。これはアイテムを取ると装備されるもので、敵弾を防ぐ盾とサブウェポンを発射する補助武器の2つの役割を持つ。
    • 自機の周囲を敵弾に反応して動くファジィ(海外版ではsmart)と自機前方に固定されるフロントの2種類。
    • ただしポッドを貫通してくる攻撃もあるし、一部の敵はポッドを一時的に麻痺させる弾を撃ってくるため、ポッドで受けてばかりいるのはダメ。
  • サブウェポンはホーミング、ミサイル、ナパームの3種類がある。
    • ホーミング(H):敵を追尾する。レベルが上がると同時発射数が増える。
    • ミサイル(M):前方に発射される。レベルが上がると3WAYになる。
    • ナパーム(N):自機の目の前に爆発を起こす。レベルが上がると爆発範囲が広くなる。
  • ショットはパワーアップか現在と同じ装備のアイテムを取ると最大8段階に、サブウェポンは現在と同じ装備のアイテムを取ると最大4段階にパワーアップする。
  • 全30面1周エンド。途中1・4・7・11・15・19・29・30面にボスが登場する他、21~25面は4~19面のボスが再登場する事実上のボスラッシュ面。20面はボーナスステージ。
    最後まで進むかボスを倒すとステージクリア。クリアデモが流れて各種ボーナスが加算されるが、29面のみクリアデモ無しですぐ30面に移行する。
    • ボスが出ない面はステージを80%以上進めばミスしても次の面に進める。ただし各種ボーナスは得られない。
    • 21~25面でミスした場合は20面と同じ構成のEXステージに進み、クリア後にミスした面に進む。
    • 30面でミスした場合は前述の仕様により29面の最初に戻される。
      + 個性的なボスキャラ
    • スパイダー(1面)
      • 放射状の大砲を持つ戦車。1面ボスだけあって弱い。後半に量産型が登場する為唯一ボスラッシュに出てこない。
    • サテライト(4・21面)
      • 浮遊大陸の動力部とその護衛砲台。21面で再登場したものは何故か弱体化している。
    • ドラゴンフライ(7・22面)
      • 1941に出てきそうな大型の飛行機。コイツとブラッディーホークは終盤に量産型が背景で登場する。
    • クローバーフォー(11・23面)
      • クローバーと言うよりX字型の空母。デスラー戦闘空母よろしく回転する飛行甲板を持つ。
    • スティールゴーレム(15・24面)
      • 何故かSEが蒸気機関車な5両編成の装甲列車。前半の締め括りだけあってそれまでのボスより格段に強い。
    • ブラッディーホーク(19・25面)
      • オスプレイのようにローターが2つある大型ヘリ。グラディウスIIIの3面ボスみたいに長いレーザーで自機の動きを妨害した上で胴体を開いて短いレーザーを撃ってくる。
    • カートリッジ・ガンナー(29面)*1
      • 超大型戦車……と言うより最早移動要塞と言った方が早い。29・30面はクリアデモが無くシームレスに繋がる為実質ラスボスの第1・第2形態。
    • D・U・O(30面)
      • ラスボス。武装の配置自体は余り変わらないが、ポッドでは防げないレーザー中心になっている。
  • ボンバーの所持数が2個以下の時は時間経過でゲージが溜まっていき、満タンになるとボムが1発増える*2。また、レバガチャで溜まる時間を短縮できるので、クリアデモ中など隙を見てレバガチャするのが基本。
    分かっているお店の場合「レバー下入れシンクロ30連」というボタンを用意してくれる事も。
    • 尚、ボンバーは最大5発まで所持可能だが時間経過による自動ストックは3発まで。4発以上ストックする場合はアイテムキャリアーを破壊して出てくるボンバーアイテムを取る必要がある。
  • 2P同時プレイ時のみ互いの自機を重ねると特殊攻撃を放つことが可能でポッドの挙動も変わる。

評価点

  • シューティングの原点に立ち返った爽快感
    • ランクの概念こそあるが、『バトルガレッガ』のように"ショットを撃っただけでもランクが上がる"といった極端なものではない為、ショット撃ちまくり敵壊しまくりアイテム取りまくりの爽快感を思う存分味わえる。
      • しかも本作にはボンバー撃ちまくりの快感まであるのだ。
  • 手頃な難易度
    • 高難易度化によるシューティングの凋落の反省を踏まえたのか、難易度が比較的低く抑えられている。
      • 「積極的にポッドで弾を消す」「押されたらボンバーを惜しまず使う」この2点に気付けば初心者でもスイスイ進める。
    • 究極タイガー』や『雷電』等縦シューは放射状ショットの一択でレーザーは地雷という作品が多いが、本作はショット間の格差が小さくレーザーでもノーミスクリアが普通に可能なレベルである。
    • アイテムを取った瞬間の約1秒間やボンバーの効果時間中は無敵。前者を能動的に使えるようになればかなり楽になる。
    • また、地上の特定地点を通るとレーダーが出現し、出現後に破壊すれば2000点のスコアが得られるとともにランクが若干下がる。
  • 豊富な稼ぎ要素
    • ステージ各所に得点アイテムが隠されている。特定の場所に弾を当てることで出現し、取ると5000~1万点。
      • 何故か同社が過去に発売したレースゲーム『F1ドリーム』出典のものが多い。
      • 4面では、特定の地点を撃ち続けると『ストリートファイター』シリーズでおなじみのリュウが出現し、ボイス付きで昇龍拳を披露しつつ得点アイテムをばら撒いていくという光景が見られる。
    • 白い編隊は全滅させるとボーナスが1000点から最大1万点に上がる。ただし逃がすと1000点に戻ってしまう。
    • ステージクリア時にポッド未装備の状態だとポッドレスボーナスで5万点。
    • ステージクリア時に所持しているボムの残数によってボンバーストックボーナスがもらえる。初期所持数(3発)だと10000点。フルストック(5発)なら30000点。
    • 4面ボスは撃破ボーナスが27000か29000点の場合、バグで10倍のスコアが入る。26000や28000だった時の絶望感は異常
    • 8面最後の浮遊機雷は破壊するとスコアが上がっていき、最大2万点になる。
    • 9面最後の中型機編隊は逃がさず全滅させると10万点ボーナス。
    • 25面のブラッディーホーク(2戦目)を倒すと残る小型機を逃がさず撃破すれば追加で2万点。
  • BGMは当時のカプコンシューらしい軽快な曲が揃っている。特に15・24面のスティールゴーレムの曲と18・28面の曲の評価が高い。
    • 曲を手掛けたのはACの『キャプテンコマンドー』や『天地を喰らうⅡ -赤壁の戦い-』、『ワンダー3』の楽曲を手掛け、カプコン退職後は彩京に移り『ストライカーズ1945シリーズ』など多くの彩京作品の楽曲を手掛けた泉谷雅樹氏*3
      • なお、20面(EXステージ)のみ『ストII』の下村陽子氏が担当している。
  • 変化に富んだステージ
    • 市街地、浮遊大陸、港湾施設、海上、砂漠、渓谷、火山地帯、上空、要塞とバラエティに富んでおり、全30面の長丁場でも飽きが来ない。

賛否両論点

  • アイテムキャリアについて
    • ポッド未装備の状態だと一定時間毎に通常のアイテムキャリアとは別にポッドを出すアイテムキャリアが出現する。復活時の立て直しには最適だが、ポッドレスボーナス狙いだと邪魔でしかない。

問題点

  • 長い
    • 各ステージは短めだが、全30面ともなるとクリアまでに1時間超と『グラディウスIII』の1周並の時間がかかる。*4
      • 上記の手頃な難易度と合わさると、インカムがどうだったかは考えるまでも無いだろう。
  • 頻出する処理落ち
    • 本作は処理落ちが多いが、武器がレーザー以外だと特に処理落ちが起きやすい。
      • これを利用した弾避けもできるが、キャラオーバーで見えなくなった弾に当たったり処理落ちが解消された瞬間に速くなった敵や弾に当たったりと、デメリットの方が多い。
  • 連射ゲー
    • 本作は東亜プランSTGシリーズばりに雑魚敵が固く、ショット1発で死ぬ雑魚敵は小さい飛行機のみでアイテムキャリアですら数発打ち込まないと倒せない。
    • 戦車系の敵は砲塔と車体に分かれてる上にどちらも数発ずつの耐久力がある。
      • にもかかわらず溜撃ちやソフトウェア連射が無いので、連射装置の無い台では肉体的な負担が大きい。ボンバーを溜めるのにレバガチャが必須なので尚更である。
  • お世辞にも初心者向きではないファジィポッド
    • 冒頭のポッド選択画面では初心者向きとされているファジィだが、フロントの方が圧倒的に使い易い。
      • 2つのポッドが常に対角線上に位置する仕様上、弾消しに使えるポッドが実質1つしか無いのが主な理由。*5
  • サブウェポンの格差
    • ポッドから発射されるサブウェポンは、ミサイルとナパームが役に立たない為ホーミングの一択となってしまっている。他2種を取ってしまった場合ポッドは単なる盾にしかならない。
      • 復活後に最初に出るポッドはミス前に装備していた種類と同一なので、ホーミング以外を装備してミスした場合はホーミングになるまでアイテムを取らずに泳がせる必要があり、その間にミスすることも。

総評

アーケード市場が対戦格闘にシフトしていた為時代に埋もれる形になったが、手頃な難易度で手堅く纏めた良作。
マイナー作故に長らく日本国内では移植に恵まれなかったが*6、2021年にカプコンアーケードスタジアムのパック2で約30年越しの移植が実現。この機会にプレイしてみてはどうだろう。


余談

  • 『ストII』要素について
    • 4面でリュウが出現するのは評価点にある通りだが…
      + 1クレジットクリア時のネタバレ
    • 1クレジットでクリアすると流れる年表には、「 探査船"チュンリー" 」「 移民船"しょうりゅう" (作中ではひらがな表記だが、恐らく『昇龍』)」という名前が出てくる。
      • リュウが隠れキャラで出る*7程度であれば些細なファンサービスとも取れるが、設定にまでストII要素が含まれる点には賛否が分かれる。
  • 消化不良気味のエンディング
    • 年表の最後には本作の顛末が明かされるのだが、これがどうにもすっきりしない。
      + エンディングのネタバレ ラスボスの撃破地点にできた巨大なクレーターで大規模な捜査が行われるのだが、本作の黒幕であるコンピュータのメインユニットは未発見に終わる。
      売上次第では続編を作る予定があったのではないかとする説もある。
  • ダライアスバースト クロニクルセイバーズのDLCセット第五弾・カプコンパックにて、本作の自機であるSABERが参戦している。
    • メインショットはアイテム取得で切り替え可能なマシンガン、ワイドショット、レーザーの3種類。ポッドとサブウェポンは、ボタンを押すことでファジィ+ホーミング、フロント+ナパームの2種類を任意で切り替えることが可能。
      • この他にも、バーストゲージが満タンになればボムが1個追加される、ポッドがない状態でゾーンをクリアするとポッドレスボーナスが加算される、
        縦方向へレバー入力を続けると機体がきりもみ回転を行う など、原作を再現した仕様が数多く盛り込まれている。

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最終更新:2024年03月07日 23:23

*1 名前は作中では表示されず、サントラCDのブックレットで判明

*2 所持数が少ない程ゲージが早く溜まる

*3 余談だが名字の読みは「いずたに」が正しい読みとのこと。

*4 稼ぐ場合はラスボスとの相打ちを繰り返す為更に長くなる

*5 例えば前と右から弾が来た場合、近い方の弾に反応する

*6 海外では2006年に発売されたPS2/Xboxの『CAPCOM Classics Collection Vol.2』やPSPの『CAPCOM Classics Collection Remixed』に本作の移植版が収録されている。

*7 4面で出現するほか、スタッフロールの最後にも「大量のリュウが水中から昇龍拳のポーズで飛び上がってくる」という形で出演。