アルカエスト
【あるかえすと】
ジャンル
|
アクション
|
対応機種
|
スーパーファミコン
|
メディア
|
8MbitROMカートリッジ
|
開発元
|
HAL研究所
|
販売元
|
スクウェア
|
発売日
|
1993年12月17日
|
定価
|
8,800円(税別)
|
パスワード
|
平仮名最大13文字
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
多彩な攻撃手段と補助システム
|
概要
『聖剣伝説シリーズ』や『ゼルダの伝説シリーズ』のような見下ろし型のアクションゲーム。
元々はHAL研究所が『ガーディアンブレイド』というタイトルで発売を予定しメディア等で情報公開もされていたが、
1992年6月に同社が倒産しスクウェアからタイトルを変えて発売されたという経緯を持つ。
ストーリー
+
|
オープニングデモから要約。
|
遠い昔か、遥かな未来かも分からない時代。 天空に凶星が輝き…世界の果てより、破壊と滅亡をもたらす、魔界神アルカエストが現れた。
人々が恐怖と絶望にあえぐ時、一人の剣士が立ち上がった。 そして、世界を守る4つの「ガーディアン」の力を借りた剣士は魔界神を破り、激しい戦いは終わった。
やがて1000年。野心に燃える「皇帝」率いる帝国の軍勢が世界を席巻し、パナケイア王国を除く国々が陥落した。 そして再び天空に凶星が輝く。それは魔界神の復活を暗示するかの如く、この世界に魔界の使者バビロムを呼ぶのであった。
バビロムはアルカエスト復活をもくろみ、その障害と予言される剣士アレンに目を付け抹殺を試みるも、炎のガーディアンに妨害され失敗。 炎のガーディアンからブレイドとシールドを託されたアレンは、アルカエスト討伐の旅に出る。
|
システム
-
ステージクリア式、全8章。最後の2章はボスラッシュ+ラスボス戦。
-
敵を倒すと経験値(EXP)が入るが主人公にレベルの概念は無く、規定EXPごとにコンティニュー回数が増える仕様。つまり他のゲームで言うところのスコアに相当。
-
主人公の強化は、防具とHP/MPの最大値を増やすアイテムを宝箱から拾得するのみとシンプル。武器は後述。
-
コントローラーを何も操作しない(ニュートラル)状態で、向いている方向からの敵の攻撃を防御できる。殆どの飛び道具や小型~人間サイズの敵(ボス含む)なら体当たりも防げる上、前方ほぼ180度対応と非常に優秀。
通常攻撃と必殺技
-
Yボタンで剣による通常攻撃。ボタン押しっぱなしで敵に近付くと自動で通常攻撃を行う。
-
十字キーを素早く同じ方向に2回押すとダッシュ移動。ダッシュ中にYボタンで、通常攻撃よりも高威力のダッシュ攻撃。
-
立ち止まった状態でYボタン押しっぱなしにすると画面右下のゲージが溜まっていき、満タンになってから離すと後述のガーディアンに応じた強力な必殺技を出せる。
-
満タンになる前に離しても、威力やリーチが抑え目の必殺技は出る。
パートナーの存在
-
ストーリー進行に応じて、以下5人のパートナーのうちから1人同行する。主人公の通常攻撃の際に合わせて攻撃、またXボタンでSP(パートナーのMP)を消費して固有の補助行動を取ってくれる。なお終盤になると勢揃いし、Aボタンで任意にパートナーを切り替えられるようになる。
-
ガースティン: 自称・天才魔法使いの少年。通常攻撃が誘導弾で当て易く、SP使用で画面全体攻撃とお手軽な強キャラ。実質的な初心者救済。
-
エリクシル: 帝国に唯一対抗しているパナケイア王国の王女。通常攻撃は頼りないが、SP使用で主人公のHPを一定量回復してくれる唯一無二の存在。
-
シリウス: パナケイア王国の騎士。先端に鉄球がついた鎖による通常攻撃は射程・威力共に主人公を上回る。SP使用でその場で回転しながら8方向に射程の短い小型弾を乱射する。
-
マグナ: 対魔族用戦闘サイボーグ。通常攻撃は壁に当たると反射しながら進む弾を撃つ。SP使用で画面内の敵を金縛りにしたうえで誘導弾を発射する。
-
ネヴィス: 人間界にも魔界にも与しない竜神族の末裔。通常攻撃は回転蹴りしながら前方3方向に射程の短い真空波(?)を放つ。SP使用で竜に変化し、炎の息と体当たりで攻撃する。
-
顔グラ付きで会話をしたりイベントが少し用意されているので共闘している感はある。
ガーディアンの存在
-
『ファイナルファンタジーシリーズ』における召喚獣のような存在で、炎・水・風・土の4体がいる。ストーリー進行に応じて同行してくれるガーディアンが増えていき、LRボタンで任意に切り替え可能。切り替えると、主人公の服がそのガーディアンに応じた色に変化する。
-
Bボタンで主人公のMPを消費してガーディアンを召喚し、一定時間固有の補助行動を取ってくれる。
-
炎: 出現位置から敵のいる方向に大型の波動砲を放つ。威力は大きいが溜めが入るので発射数は少なめ。
-
水: 『グラディウス』のローテートオプションのように、主人公の周囲を回りながら向いている方向に小型の弾を連射する。
-
風: 画面内の敵を自動追尾してパンチラッシュを叩き込む。動き回る敵や囲まれた時に有効。
-
地: 攻撃判定付きのバリアを張って完全無敵。避けにくい攻撃に有効。
-
また、選択中のガーディアンによって必殺技も異なるものになる。
-
ガーディアンなし: その場で回転斬り。
-
炎: 炎帝百裂剣…主人公の左右に分身が発生し、突き攻撃を連打する。
-
水: 水精流刃剣…霧をまとった回転斬りx2の最後に、前方へ霧を飛ばす。
-
風: 風牙飛襲剣…画面外へジャンプした後、敵の真上から急降下して斬りつける。
-
地: 地龍迅雷剣…予備動作の後、向いている方向へ高速で突進し敵を貫く。
その他
-
ダンジョンの床には以下2種類の効果を持つものがある。使いこなせれば戦闘がかなり楽になるシーンも。
-
青マーク: 進行方向に約1画面分の突進攻撃。動作中は完全無敵。
-
緑の矢印: 床が途切れているダンジョンにおいて、その方向の特定ポイントへジャンプで渡ることができる。降下地点付近に敵がいれば大ダメージを与える。
-
出現するアイテムは殆どがその場で効果を発揮するが、例外として以下のアイテムを各1個保持することができる。
-
賢者の秘石…MPとSPのどちらかが尽きた時、自動で両方の一定量を回復する。
-
聖杯…HPが尽きた時、自動でHPを一定量回復してゲームオーバーを回避する。
-
オプションで難易度を選択できる。EASY・NORMAL・HARD・PROの4種類。
-
難易度を上げると「敵の数や攻撃頻度が上がる」「回復系のアイテムドロップが減る」などの変化がある。
評価点
-
様々な攻撃手段を使う楽しさ。
-
ノーコストゆえ主力となる必殺技の動きがいずれも格好よく、色々使ってみたくなる。また敵によって当て易さやダメージが大きく異なる場合も多く、必殺技(と服の色)を切り替えて試行錯誤するのは『ロックマンシリーズ』を彷彿とさせる。
-
補助行動もMP/SPの最大値に対して1回あたりのコストが少なめなので、ボス戦や防御出来ない雑魚敵相手にガンガン使っていける。
-
秀逸なBGM。
-
勇壮なフィールド曲、アップテンポなボス戦曲など雰囲気に合っている。
-
本作のサウンド担当は、『星のカービィシリーズ』の作曲を手がける石川淳氏。氏がよく使う変拍子の曲も見られる。
-
パスワードによるゲーム再開が小洒落ている。
-
各章のオープニングで示されるステージタイトル名が、再開のパスワードになっている。HP/MPの最大値やストックアイテムの有無でステージタイトル名の一部も変わるが、いずれも意味のある文章であり覚えやすい(例:「ガーディアンをさがせ」→「ガーディアンをたんさくせよ」)。主人公の強化が十分な状態では勇ましい文章が、逆にアイテムなどを見落として用意が不十分の状態では不安をあおる文章が用意されている。
-
当時は既にバッテリーバックアップが当たり前の時代だったが、意味を成さない平仮名の文字列をメモしていた時代に比べれば随分とオシャレな演出である。
賛否両論点
-
アクションゲームである点を考慮しても、キャラクターの描写が薄い。
-
主人公アレンは一切喋らないタイプであり、何者であるかも語られず、オープニング早々に異世界の住人であるガーディアンから装備を託され、迫りくる危機から世界を守れと言われる。あとはストーリーの流れで淡々と敵を倒すだけ。
-
パートナー達も同様で、唐突に現れ身分を名乗り、同行しては各章を区切りとして退場。当たり判定がなく完全無敵のためプレイヤーがケアを心がける必要もなく、「今どの補助機能が使えるのか」を示すアイコン以上の存在になっていない。言ってしまえば「シューティングゲームの子機」扱いである。
-
終盤には勢揃いして任意に切り替えられるようになるが、エリクシルの体力回復機能以外をアテにする場面は皆無なのも一因。
-
敵勢力も悪人面しか印象に残らない皇帝、序盤に一度倒しただけで「お前のせいで全てを失った」と発狂し主人公の後を追う皇帝の腹心ゴードン、何の前触れもなく現れては偉そうな前口上を垂れる割に弱い皇帝配下の四将軍など、プレイヤーは置いてけぼりである。
-
総じて、容量の都合でやむを得なかったFC時代のゲームを想起させるレベルである。これを「キャラに愛着が湧きにくい」とするか「余計な演出が無くてサクサク遊べる」とするかはプレイヤー次第だろう。
問題点
-
ボリュームが少ない。
-
回復アイテムのドロップ以外に雑魚敵を倒すメリットが無いため、相手をして余計なダメージを食らうリスクを考えれば優秀な防御を活用しながらスルーするのが本作における最適解となる。その結果、NORMALなら初見でもエンディングまで2時間ほど。やり込み要素も難易度変更のみであり、新鮮な気持ちで周回プレイするのは難しい。趣向を変えるとしてもせいぜい「召喚NG」「パートナーの補助機能NG」の縛りプレイくらいだが、その達成難易度もそう高いものではない。
-
ラスボスのバランス調整。
-
第一形態では行動パターンの最後に、地のバリア以外での対策が不可能な画面全体攻撃(HPゲージMAXの約1/3のダメージ)を行い、更に行動パターンが1周する毎に動きとそのサイクルが早くなる。画面全体攻撃以外に脅威となる攻撃は無いのだが、ダメージが通るのはボス本体からコアが露出したタイミングだけであり、慣れないうちは倒す前にバリア用MPと体力回復用SPが尽きて詰む。
-
一方、第二形態は初見では避けにくい攻撃があるものの、パートナーや召喚に頼らずとも完封可能なバランスとなっていてチグハグ感が否めない。
+
|
その他、細かい点。
|
-
ステージクリア式なので、HP/MP最大値を増やすアイテムを逃すと取り返しがつかない。ただし、それらのアイテムが入った宝箱は分かり易い場所に配置されている。
-
画面スクロールでザコ敵がすぐに復活してしまう。
-
ゲームを進めるにつれ通常攻撃が見劣りするようになるので、必然的に立ち止まって溜めることが多くなり少々テンポが悪い。
-
主人公の防御が優秀なため、慣れるほどパートナーや召喚の出番が少なくなる。咄嗟にガーディアンを召喚しようとしてパートナー補助を発動させる操作ミスもあるので、終盤はパートナー不在で進めるプレイヤーも。
|
総評
有名作品の要素を少しずつ拝借しながらもシステム部分には十分なオリジナリティがあり、アクションゲームとして「特に秀でた点は無いものの、堅実に良し」と言えるだろう。
開発当初はアクションRPGとしてもっと大掛かりな作品の予定だったのではと思わせる部分も散見され、概要にて述べた経緯が只々惜しまれる。
余談
最終更新:2024年12月04日 09:23