ペトロによる福音書

『ペトロによる福音書』は、キリスト教の正典に取り入れられなかった外典福音書の一つ。

『ペトロによる福音書』は3世紀の教父文書に言及されており、キリスト教の正典に取り入れられなかった外典に属する福音書として、その存在が知られていた。

19世紀末、エジプトで発見されたパピルス冊子の中に、その一部とみられる写本が発見された。写本は8-12世紀のものと推定される。 内容はイエスの受難劇のうち裁判の最後の部分に始まり、磔刑と埋葬、復活の場面が語られ、ガリラヤ湖でペトロたちの前に復活したイエスが姿を見せる直前で途切れている。これがキリスト教初期に著された『ペトロによる福音書』の一部ではないかとされる。

もともとの『ペトロによる福音書』は、『マタイによる福音書』などと同様に、イエスの生誕から受難、復活までを記した福音書の形態を備えていたと見られるが、現在知られるのは、上記写本にある受難劇の部分のみである。


教父たちの評価

アレクサンドリアの主教セラピオンは『ペテロによる福音書と呼ばれるものについて』と題した小冊子の中で、次のように述べている。 (エウセビオス「教会史」6・12・5)
〔その福音書を〕借りて一読することができました。そして、〔その教えの〕大部分は付け足されたものであることを知りました。

また、エウセビオス「教会史」の第三巻でエウセビオス自身も次のように書いている。
ペテロによる福音書とされるもの、彼の作とされる『教え』、『黙示録』と呼ばれるものなどが公認された〔文書の〕中で伝えられてきたことを全く知らない。


最終更新:2017年09月09日 10:54