ナザレ人福音書

100年頃成立したと思われる新約聖書外典の1つ。ヒエロニムスはこれを『ヘブル人福音書』と呼び,彼によれば、アラム語で書かれ、シリアのナザレ派 (ユダヤ人キリスト教徒の一派) によって用いられており、『マタイによる福音書』の原テキストと思われていたという。一般に,クレメンス、オリゲネスらのいう『ヘブル人福音書』と同一視されているが、後者はエジプトで成立、初めからギリシア語で書かれた2世紀のグノーシス的外典と考えられるから、両者は区別されるべきであろう。今日伝わる『ヘブル人福音書』の一部の断片は『ナザレ人福音書』に属すると考えられる。
最終更新:2017年04月21日 18:55