偽
福音書の1つで、初期キリスト教の異端であるエビオン派によって用いられた。エピファニオスがエビオン派について、彼らは『
マタイによる福音書』を受入れて、これを『へブル人福音書』と呼んだ、と述べているところから、いわゆる『ヘブル人福音書』としばしば同一視されてきたが、現在は異なるとする意見が強い。断片からの推定によれば,その内容は,
共観福音書の素材を混合し、伝説的粉飾を加えたもので、ギリシア語で書かれ、エビオン派の根拠地ヨルダン東岸の地方において2世紀に成立したらしい。
内容としては、『マタイによる福音書』を改変したものである。
エビオン派 Ebionites
初期ユダヤ人キリスト教徒の一派。エルサレムの
原始キリスト教団が紀元70年のエルサレム滅亡直前にヨルダン川東岸へ脱出し、以後教会史の主流を外れてその地に成立したもの。その呼称はエルサレム原始教団の自己表示〈貧しい者たち〉(《ローマ人への手紙》15:26など)にさかのぼるとされる。イエスの処女降誕を拒否し、正典福音書を改竄するなど独特の教義と祭儀を形成し、やがてシリア、パレスティナの
グノーシス主義的洗礼運動の中へ解消していった。
最終更新:2017年09月10日 10:39