モアブ王バラクと呪術師バラム

高等批評

モアブ王バラクと呪術師バラムの物語(22:1-24:25)はJ・Eの組み合わせ、後に記されたミディアンへの復讐箇所(25:1-5、31:8および31:16)はPが使われたと思われる。

はじめに、モアブ王であるバラクが、イスラエル人がアモリ人(カナン人)を打ち破ったのを見て恐れていることが描かれる。

民数記22:1-4
イスラエルの人々は更に進んで、エリコに近いヨルダン川の対岸にあるモアブの平野に宿営した。
ツィポルの子バラクは、イスラエルがアモリ人に対してした事をことごとく見た。モアブは、このおびただしい数の民に恐れを抱いていた。モアブはイスラエルの人々の前に気力もうせ、ミディアン人の長老たちに、「今やこの群衆は、牛が野の草をなめ尽くすように、我々の周りをすべてなめ尽くそうとしている」と言った。当時、ツィポルの子バラクがモアブ王であった。

そこでバラクは、呪術師であるバラムに対し、イスラエルを呪うよう伝えた。

民数記22:5-7
彼は、ユーフラテス川流域にあるアマウ人の町ペトルに住むベオルの子バラムを招こうとして、使者を送り、こう伝えた。「今ここに、エジプトから上って来た一つの民がいる。今や彼らは、地の面を覆い、わたしの前に住んでいる。この民はわたしよりも強大だ。今すぐに来て、わたしのためにこの民を呪ってもらいたい。そうすれば、わたしはこれを撃ち破って、この国から追い出すことができるだろう。あなたが祝福する者は祝福され、あなたが呪う者は呪われることを、わたしは知っている。」モアブとミディアンの長老たちは占いの礼物を携えてバラムの所に行き、バラクの言葉を伝えた。

そこでバラムはそのことについて神に尋ねることにした。しかし、神はバラムにイスラエル人を呪うことを禁じた。

民数記22:8-14
バラムは彼らに言った。「今夜はここに泊まりなさい。主がわたしに告げられるとおりに、あなたたちに伝えよう。」モアブの長たちは、バラムのもとにとどまった。
神はバラムのもとに来て言われた。「あなたのもとにいるこれらの者は何者か。」
バラムは神に答えた。「モアブの王、ツィポルの子バラクがわたしに人を遣わして、『今ここに、エジプトから出て来た民がいて、地の面を覆っている。今すぐに来て、わたしのために彼らに呪いをかけてもらいたい。そうすれば、わたしはこれと戦って、追い出すことができるだろう』と申しました。」
神はバラムに言われた。「あなたは彼らと一緒に行ってはならない。この民を呪ってはならない。彼らは祝福されているからだ。」
バラムは朝起きると、バラクの長たちに言った。「自分の国に帰りなさい。主は、わたしがあなたたちと一緒に行くことをお許しになりません。」
モアブの長たちは立ち去り、バラクのもとに来て、「バラムはわたしどもと一緒に来ることを承知しませんでした」と伝えた。

そこでバラクはもう一度使者を送った。そこで、バラムはもう一度神に訪ねたが、神はバラムにバラクの元へ行くことを許す代わりに、神が命じることだけを行うよう言った。

民数記22:15-20
バラクはもう一度、前よりも多くの、位の高い使者を遣わした。彼らはバラムの所に来て言った。「ツィポルの子バラクはこう申します。『どうかわたしのところに来るのを拒まないでください。あなたを大いに優遇します。あなたが言われることは何でもします。どうか来て、わたしのためにイスラエルの民に呪いをかけてください。』」
バラムはバラクの家臣に答えた。「たとえバラクが、家に満ちる金銀を贈ってくれても、わたしの神、主の言葉に逆らうことは、事の大小を問わず何もできません。あなたがたも、今夜はここにとどまって、主がわたしに、この上何とお告げになるか、確かめさせてください。」
その夜、神はバラムのもとに来て、こう言われた。「これらの者があなたを呼びに来たのなら、立って彼らと共に行くがよい。しかし、わたしがあなたに告げることだけを行わねばならない。」

(記載途中)



最終更新:2018年02月18日 21:36