雄羊と雄ヤギの幻

幻の内容

ダニエルは、「二本の角の生えた雄羊」をまず見た。
それから西より「一本の『大きな角』の生えた雄羊」が突進して、「二本の角のある雄羊」を倒した。
「一本の『大きな角』の生えた雄羊」は力の極みで「大きな角」が折れ、代わりに「四本の角」が生えた。
この「四本の角」のうちの「一本の角」からさらにもう一本「小さな角」が生えた。
この「小さな角」は非常に広範囲に力を伸ばし、「麗しい国」や「聖所」にまで及んだ。
この荒廃は2300日続いた。

ここでダニエルが見た幻については天使ガブリエルより解き明かしがされている。

ダニエル8:15-26
わたしダニエルは、この幻を見ながら、意味を知りたいと願っていた。その時、見よ、わたしに向かって勇士のような姿が現れた。すると、ウライ川から人の声がしてこう言った。「ガブリエル、幻をこの人に説明せよ。」
彼がわたしの立っている所に近づいて来たので、わたしは恐れてひれ伏した。彼はわたしに言った。「人の子よ、この幻は終わりの時に関するものだということを悟りなさい。」
彼がこう話している間に、わたしは気を失って地に倒れたが、彼はわたしを捕らえて立ち上がらせ、こう言った。
「見よ、この怒りの時の終わりに何が起こるかをお前に示そう。定められた時には終わりがある。
お前の見た二本の角のある雄羊はメディアとペルシアの王である。
また、あの毛深い雄山羊はギリシアの王である。その額の大きな角は第一の王だ。
その角が折れて代わりに四本の角が生えたが、それはこの国から、それほどの力を持たない四つの国が立つということである。
四つの国の終わりに、その罪悪の極みとして
高慢で狡猾な一人の王が起こる。
自力によらずに強大になり
驚くべき破壊を行い、ほしいままにふるまい
力ある者、聖なる民を滅ぼす。
才知にたけ
その手にかかればどんな悪だくみも成功し
驕り高ぶり、平然として多くの人を滅ぼす。
ついに最も大いなる君に敵対し
人の手によらずに滅ぼされる。
この夜と朝の幻について
わたしの言うことは真実だ。
しかし、お前は見たことを秘密にしておきなさい。まだその日は遠い。」

ガブリエルが明示したのは以下の三つである

二本の角の生えた雄羊 メディアとペルシャの王
一本の大きな角の生えた雄羊 ギリシャの王
大きな角 ギリシャの第一の王

明示されていない部分については以下のように解釈されるのが通常である。

四本の角 ギリシャから分割された四つの国
一本の角 シリヤのセレウコス家
小さな角 アンティオコス4世エピファネス
麗しい国 イスラエル、ユダヤ
聖所 エルサレム神殿

アンティオコス4世エピファネスについては、旧約聖書外典であるマカバイ記1に記されている。

参考

最終更新:2020年09月27日 09:47