パシフィスタ(ONE PIECE)

登録日:2022/09/16 Fri 05:42:10
更新日:2025/04/09 Wed 12:45:09
所要時間:約 23 分で読めます






改造人間(サイボーグ)……確かにそうだが
“サイボーグ”フランキーとはずいぶん違う

おれは“パシフィスタ”と呼ばれる
まだ未完成の政府の“人間兵器”



パシフィスタ」とは、漫画ONE PIECE』に登場する、「人間兵器」と呼ばれる改造人間


【概要】

世界政府管轄の海軍本部に所属する天才科学者Dr.ベガパンク改造手術によって生み出された「人間兵器」。

劇中では、世界政府とある取引をした元ソルベ王国国王にして王下七武海バーソロミュー・くまが実験体になることを志願し、手足と体の各部を徐々に改造することでやがて全身のほぼ全てを機械へと改造。
最終的には人格すら持たない、識別番号「PX-0」となった。
革命軍はくまが自らの死とも言うべき改造を受け入れた件について、「世界政府の見せしめ」と述べている。

同時期に、彼の実験データを元にしてくまの姿をしたパシフィスタが量産されている。
彼らはいくつかの実地試験を経た後に、マリンフォード頂上戦争で海軍の切り札として大量投入され、映像電伝虫を介して世界の人々にその威容を見せつけた。


◆名称

今…「平和主義者(パシフィスタ)」と……?


劇中でもニコ・ロビンが不思議に思っていたが、パシフィスタの意味は「平和主義者」。
大海賊時代、四皇をはじめ激増する海賊達に海軍本部は大きく遅れを取っており、市井の人々や数多くの海兵達も海賊の犠牲となってきた。
そんな時代において、海兵の犠牲を出すことなく海賊を屠れるこの「人間兵器」には「平和をもたらす存在」という意味が込められているかもしれない。


現実においても西部開拓時代に使用された回転式拳銃の通称が「ピースメーカー」、戦略爆撃機「ピースメイカー」、を積めるICBM(大陸間弾道ミサイル)「ピースキーパー」などと、“敵を殺せば平和”な名称は存在した。
おそらく「パシフィスタ」もこのあたりの皮肉交じりな名前を付けられた兵器がモチーフと思われる。

識別番号のPXは、「ローマによる平和(パクスロマーナ)」でおなじみ「Pax(平和)」からであろうか。

◆威権順位

ロボットらしく、世界政府の人間や海兵の命令に従う。

ステューシーによれば、パシフィスタには「威権順位」という独自の権限レベルが設定されており、下記順序で命令の優先権が定義されている。

威権チップ持ち < 戦桃丸ベガパンク(サテライトを含む) < 五老星

ただし命令者が意識を失った場合、その場にいる下位の命令権を持つ者の命令に従う。

なお、あらゆるものを乗りこなす能力を得る超人系悪魔の実「ノリノリの実」の能力者に乗られた場合、能力者の覇気が及ぶ範囲内限定とはいえ、威権順位関係なく強制的に能力者の制御下に置かれてしまう。



【パシフィスタ「くま」】

◆概要


体中を兵器で改造しただけの…
元は生身の人間なんだ!!

“改造人間”である以上…
元はあのバーソロミュー・くまと同じ姿をした
“人間”だって事だ…

双子の兄弟か…もしくはスーパーそっくり人間を
改造したと考えるのが一番自然だな

いくら何でも“人間”そのものは造れやしねェ…!!


CV:堀秀行(オリジナルのくまと兼任)


容姿は王下七武海バーソロミュー・くまと瓜二つ。見分けるための違いは、くま本人が持つ聖書とニキュニキュの実の肉球の有無程度。

肌から血が出ることから、当時のフランキーはくまのそっくり人間がパシフィスタに改造された個体と考えた。
だが、マリンフォード頂上戦争で確認されたように実際は何十体ものくまそっくりなパシフィスタが製造されており…。


新世界編では、ベガパンクが生命の設計図「血統因子」を発見していたことが判明。
かつてベガパンクの研究者仲間だったヴィンスモーク・ジャッジは祖先の悲願を果たすためにこの血統因子研究を祖国に持ち帰り発展させ、従順にして屈強なクローン兵士軍団を製造。
おそらく血統因子を発見したベガパンク自身も、くまのクローンを生み出して人間の素体を用意し、それらを元にしてパシフィスタ軍団を製造したものと思われる。

なお、ほとんど機械化してしまうにも関わらず、0から機械で作らずにクローンとはいえ人間をベースにし続けた理由は現時点では不明。
くまは「未完成」と形容していたが、人間をベースにせざるを得ない何らかの制約や、もしくは人間をベースにすることによる狙いや実験・研究があったのだろうか…?

くまの娘ジュエリー・ボニー曰くくまは「特殊な種族」とのことで、くまが世界政府に敵視されて歴史から消された「バッカニア族」であったことがベガパンクも素体にくまを選んだ理由になっている。
ちなみに劇中では『改造人間』と呼ばれているが、改造目的に培養したクローンを素体としていた場合、どちらかといえば「人造人間」に近い。

素体はクローンであり、一見人間に見えつつも壊れるまで只管冷徹に敵を狙い屠るロボットは、『ターミネーター』あたりもモチーフになっているのかもしれない。

◆性能

パシフィスタ一体を作るのに海軍の軍艦一隻分という破格の費用が必要。
当然それに見合った性能を有しており、エニエス・ロビーやスリラーバークでの冒険を経た当時の麦わらの一味総出でボロボロになりながら、ようやく一体を倒せるレベルという凄まじい強さ。
偉大なる航路でも前半の「楽園(パラダイス)」側の平均的レベルの海賊ではほぼ歯が立たない兵器と言える。

その反面、覇気を体得した強者が跋扈する「新世界」の海賊相手には刃が立たずあっけなくやられてしまうなど、相変わらず強豪海賊相手には対抗しきれていないのが現状である。
見聞色の覇気を用いればパシフィスタの動きを先読みすることも可能。

作中にて2年間もの間、バーソロミュー・くまもとい「PX-0」は稼働し続けていたあたり、耐久性と稼働時間もかなりのもの。
原作603話でサニー号に帰還したフランキーが目撃した姿をみるに、一見すると人間のくまそっくりなものの全身のほとんどが機械化されているようで、残っている生身は判明している限りでは「損傷すると血を流す皮膚」程度しか確認できない。
ただし生身の部分は一応それなりにはあるようで、バッカニア族の肉体によるものか、劇中でバーソロミュー・くまはベガパンクの命令にもない奇怪な行動をとったり、武装色の覇気を使用したり、逆にルフィには見聞色の覇気で行動を先読みされたりしている。

  • 頭脳
人間を元にしているが、ほぼ機械化しており自我が無いロボット
海軍が手配書を発行している賞金首の海賊のデータは全てインプットされており、名前のみならず異名や懸賞金に至るまですべて把握している様子。
登録された上官の命令に従って行動し、同士討ちで海兵や七武海を巻き込まないようにプログラミングされている。

  • 視覚
敵と味方を識別する機能がある他、視界にとらえた賞金首を変装すら見破って捕捉できる。
海賊を見つけた場合、異名・名前・懸賞金額等を述べたのち即座に攻撃を開始する。
逆に目の前に味方が現れた場合は攻撃を停止するように設定されている。マリンフォード頂上戦争では、ハンコックら海軍側の王下七武海も攻撃対象外に設定されていた*1様子。

  • 装甲
鉄以上の強度を誇り、エニエスロビーやスリラーバークでの戦いを乗り越えたルフィ・ゾロ・サンジの同時必殺技を受けても吹っ飛びこそすれ少し服が破れた程度。
ただし、武装色の覇気を十全に纏った者ならば破壊も可能。

余談だが、マリンフォード頂上戦争では白ひげのグラグラの実でも完全破壊できない防御壁が展開されており、パシフィスタ同様にベガパンク製だったのかもしれない。

  • 格闘能力
格闘能力も非常に高い。
上記の装甲も合わさることで、2年前のフランキーや、能力を使用していない超新星“怪僧”ウルージを一方的に痛めつけるほど接近戦でも強くなる。

上述の通り、ほぼ機械であるはずだが、劇中では自我を失ったはずのくまが武装色の覇気を使用している場面も見られる。

主武装。口及び両掌から着弾すると爆発するレーザーを発射する。
若かりし頃の海軍本部大将黄猿のレーザーを再現したものであり、当然凄まじい威力を持つ。
黄猿のものを元にしたのか元々ベガパンクの構想にあったのかは不明だが、ベガパンクの故郷バルジモアの研究所で過ごした2年後のフランキーや、ベガパンクのかつての研究者仲間だったクイーンもほぼ同様のものを搭載。その威力は新世界の海賊達にも十二分に通用する。

弱点

精密機械の塊のため、やはり電気攻撃には弱い様子。

また、口の中は内部に通じている。
そのため口に攻撃を受けたり、口からのレーザー発射の際に頭を攻撃されてレーザーが暴発した場合、内部機械が破壊されるリスクがある。

逆に達人が見聞色の覇気でパシフィスタの動きを読むことも可能で、エッグヘッド島などでルフィがパシフィスタの動きを察知している。

ちなみに原作では対戦カード自体なかったが、「海賊無双」ではなんとペローナのネガティブホロウやハンコックのメロメロ甘風が通用してしまう。やはり半分は人間なのか?

◆劇中での活躍

スリラーバーク

モリア戦を終え満身創痍の麦わらの一味を急襲。
ゾロに対し、自分が人間兵器であることを語った。

シャボンティ諸島編

シャボンディ諸島にてルフィ超新星達がヒューマンショップで暴れている事件の通報により、数体のパシフィスタが投入。

麦わらの一味を襲ったPX-4は一味を大苦戦させるも、決死の交戦を続けるウソップ・ロビン・ナミらによる内部機械への攻撃を受け続け、徐々に形勢が逆転し敗北。
しかしそこへベガパンクのボディガードにしてパシフィスタの指揮官である戦桃丸やPX-1、更には海軍本部大将黄猿が参戦。
一味は到底勝てないことを悟り逃走を選択。

だが、なぜかそこへ突如バーソロミュー・くまことPX-0が乱入。
味方であるはずのPX-1をニキュニキュの実の能力でどこかに吹き飛ばしてしまう。

他のパシフィスタ達はキッドローをはじめとする超新星達にも襲いかかっており、ドレークウルージを追いつめる強さを見せている。
アニメ版404話では、ローとキッドがやむなく共闘して一体のパシフィスタを撃破。キッドは「七武海を討ち取った」と喜ぶ一方で、ローはこれが“くま”ではないと気づいていたところ、その直後に二人を二体目のパシフィスタが襲いかかる一幕があった。

マリンフォード編

ベガパンクが開発した人間兵器は実地試験として複数の事件に送り込まれており、その噂は白ひげをはじめ新世界の海賊達の耳にも入っていた。

マリンフォードでの頂上戦争開始から約1時間半後、指揮官である戦桃丸に引き連れられて数十体が白ひげ海賊団の背後を突く形で参戦。
白ひげ海賊団を包囲する計画だったものの白ひげに感づかれていたため失敗。
しかしながら、挟み撃ちにする形で白ひげ海賊団傘下の海賊達に襲いかかり、傘下の海賊達を追い込んでいった。
もっとも新世界の海賊達も一筋縄でいく訳がなく、エルミー、ラッシュ、パブリクら傘下の船長達が中心となって何体かが破壊されている。

また、ルフィを援護するために敵味方関係なく攻撃するハンコックを“味方の”王下七武海と設定しているため、パシフィスタは明らかな妨害行為を行うハンコックに攻撃することが出来なかった。
更にハンコックは「触れた部分を石化と同時に蹴り砕く技」「無機物だろうと石化させる弓矢」の能力を持つためパシフィスタの装甲も意味をなさず、ルフィの役に立ちたい彼女によってパシフィスタ数体が破壊されてしまった。



お前に一つ教えてやろう…
“恋はいつでもハリケーン”なのじゃ!!


何だそりゃあ!!!


新世界編

頂上戦争から2年。
シャボンディ諸島に麦わらの一味が再集結しているという情報を受け、シャボンディ諸島66番グローブの基地にいた戦桃丸に引き連れられてPX-5とPX-7が出撃。
強さも2年前と同等であり、8800万ベリーの賞金首リップ・“サービス”・ドウティを一蹴するなど相変わらずの強さを見せた。


おせェ……


しかし、2年の修行を経て覇気を十全に修得したルフィ達の敵では無く、ルフィにPX-5が、ゾロとサンジにPX-7が一撃で破壊されてしまった。
チャパ王桃白白メカフリーザ的なルフィ達の成長を示す指標として扱われた。

もはやパシフィスタもルフィの敵ではないと思われたが……。

本物の“麦わらの一味”によって
パシフィスタ2名を深く損傷

2年前奴らを追いつめた試作品(プロトタイプ)さ…
勿論強さは当時のまま

ルフィを取り逃がした際の戦桃丸の報告から、既存のパシフィスタは「試作品(プロトタイプ)」であることが判明。
スリラーバークでくま本人がかつて言った「“未完成”」とは、脳が残っている自分のことでは無く、2年前からすでに新型の構想と研究があったためと思われる。


ベガパンクの研究所がある島エッグヘッドにはくまベースの警察型のパシフィスタが登場。
レーザーの威力そのものは四皇カイドウとの戦いを乗り越えたルフィでも今なお焦る程の脅威である。

映画版

ゼファー率いるNEO海軍によって、くま型のパシフィスタが改造されたPX-Z(通称白くま)が複数登場。

戦力が決して多くはないNEO海軍にとっての奥の手であり、3つ目のエンドポイントがあるピリオ島で麦わらの一味に襲いかかり、ナミやウソップ達を圧倒。
だが、フランキー将軍の猛攻にはまるで歯が立たず蹂躙され、最後はフランキーのラディカルビームで殲滅された。

ブエナ・フェスタによる海軍への通報により、海賊達が多数集結したデルタ島に戦桃丸が率いる形で参戦。

フランキー将軍と殴り合いもしたが、戦桃丸・フォクシーバギーら共々ナミによる“ゼウス・ブリーズ・テンポ”の直撃を受けるなど、半分ギャグ扱いだった。

究極バレット出現に伴うバスターコール発令により、戦桃丸の指揮の下で軍艦に帰還した。


【パシフィスタマークⅢ】

容姿はプロトタイプと同様のくま型。

エッグヘッドには50体いる。

バブルシールドという「最強の盾」を装備しており、その性能はプロトタイプを遥かに凌ぐ。

エッグヘッド島ではボニーの声を聴いてボニーの指示に従い海軍への攻撃を開始。
破壊したら政府の戦力を失い損害、何もしなくてもパシフィスタの攻撃で損害、という萎えに萎える状況もあり海軍側を苦しめた。
しかし財務担当でもある五老星ナス寿郎聖が伝達回路を凍結させて壊さずに行動不能にするという手段に出て、すべてのパシフィスタ「くま」は最小限のダメージで無力化された。



【新型パシフィスタ「セラフィム」】

◇開発


───えェ見えやしねェんですが
すげェモンが完成してやした

王下七武海”はもう要らねェ………!!


ドフラミンゴ逮捕後に行われた世界会議(レヴェリー)前、ベガパンクの元を訪れた盲目の海軍大将藤虎は、“すげェモン”が出来ていることを聞いたらしく、緑牛にその話をしていた。
クロコダイルやドフラミンゴが起こした問題行為を理由に七武海廃止を考える藤虎は、七武海廃止の際の懸念事項である「四皇を牽制できる戦力の消失」も、ベガパンクが開発しているものがあれば問題ないと判断。
藤虎はアラバスタ王国国王コブラ及びドレスローザ国王リク・ドルド3世と話し合い、世界会議の議題に七武海廃止を提案し、王達は白熱の議論の末に大多数が賛同し七武海廃止が可決された。

七武海廃止を聞いた四皇百獣のカイドウは「「海軍本部」の“新戦力”でおれ達を抑え込めるという自信の表れ」と評し、侮ること無く警戒している。

もっとも海軍側も七武海廃止については、あの海賊嫌いの海軍元帥サカズキをはじめ楽観視はできておらず、ブランニュー准将は次のように述べている。

毒を抜く事だけが正しい判断だったのかどうかは
今後の海軍特殊科学班「SSG」の働き如何(いかん)

◇概要

───つまり海軍はあの(・・)“新兵器”が
お前達「七武海」になり変われると考えたわけか

海軍特殊科学班SSG(Special Science Group)によって生み出された新型パシフィスタの名称は「セラフィム」。
海軍の新戦力として、七武海撤廃の段階で初めて実戦に参加した。

元々七武海廃止は世界会議で急遽決まったことであるため、実地試験の段階で一部の“元七武海狩り”に投入されたようで、アマゾン・リリー討伐に際しては幼い頃のハンコックミホークと瓜二つだが大きい体を持つ2体*2の存在が確認された。

セラフィムは全員、「黒い羽根」「白い髪」「褐色の肌」そして背後に常に纏った「炎」とルナーリア族特有の外見も持ち合わせている。
その他の特徴だと瞳に星型の模様を有しているほか、レーザー武装も引き続き装備。
ちなみに見た目こそ子供だが、背丈は作中における成人以上に相当する背丈とやたらデカい
幻のルナーリア族そのものの姿には、歴史研究が趣味の黒ひげも動揺を隠せなかった。

ルナーリア族としてのベースはパンクハザードで実験体となり、逃走したアルベルから採取した血統因子を使用したものだとベガパンク「(シャカ)」が明言している。
七武海の幼少期に似ているのは七武海の血統因子を使っているからだと思われ、その血統因子が使われたのは、おそらく「強力な人間の素体」かつ「海賊(あるいは滅んで歴史から消えた種族)に人権は無い」ということなのだろうか*3
世界最強の剣士ミホークや政府嫌いのハンコックの血統因子までも入手しているため、七武海加盟の際になにかしらの手段で血統因子が採取されたのかもしれない。
血統因子を知らない科学的に無知な海賊達には、遺伝情報採取の重要性は知る由もなく加盟条件にすれば比較的容易だったと思われる。

  • 血統因子を利用したクローン技術&超人系悪魔の実の再現
  • 人間の巨大化技術
  • パシフィスタと同じ兵装を組み込んだサイボーグ技術
といった要素が確認でき、ベガパンク・シーザージャッジクイーンといったMADS所属メンバー達が研究していた各種先進技術の集大成ともいえる。
ベガパンク曰く「最強の人類」。

「セラフィム」とは、キリスト教の聖書に登場する天使の位階の一つ。漢字表記だと「熾天使」になる。
天使の九階級の中でも最上位に位置する天使で、3対6枚のを備えて空を飛ぶという。
また「火のごとき空を飛ぶ蛇」の姿を持つともされる。

◇性能

プロトタイプと比べても比較にならないほど高い性能を持つが、その分作るために必要な予算もかなり高額なようでベガパンク「(リリス)」は「いくらかかると思うとるんじゃ!!」と述べている。
そのためか、プロトタイプと違いまだ大量生産はされていない様子。

  • 耐久力
ルナーリア族の種族特性に由来する高い耐久力を有しているようで、覇気使いだらけのアマゾン・リリーの戦士達でも敵わず、マリーゴールドとサンダーソニア曰く「最後まで傷一つ付かなかった」とのこと。
ルフィに至ってはカイドウ並みとぼやいた。
おそらく試作型量産品「くま」がほとんど機械化するにもかかわらず人間を素体とすることにこだわられたのは、当初からいずれルナーリア族の肉体を素体とするパシフィスタを作ることが想定されていたものと思われる。
試作品「くま」シリーズはほぼ機械化されていたが、セラフィムは逆に多くの生身が残されているようでベガパンク「(エジソン)」は「まだ子供」と述べている。そのため、いずれ成長していく様子。

  • 武装
武装としてハンコック型のセラフィムは、試作型と同様にレーザーを使用。
ミホーク型のセラフィムは刀を使用しており、島の一部を切断し黒ひげが思わず武装色の覇気で防御したほど。
現段階ではルナーリア族としての特性は頑丈さのみが披露され、炎を攻撃に転用した描写はない。

  • 頭脳
完全なロボットだったプロトタイプと違い、笑顔や怒ったような顔など表情を作っており感情らしきものも持ち合わせる。
ただし自我は最低限であり、シャカ曰く「戦況に応じてわずかに自己判断できる“人格”が備わっている」とのこと。あくまで戦況を優位に運ぶための自己判断能力となっている。
唯一S-スネークのみ人前では感情表現豊かな姿を見せているが、一人でいるときには表情が消えており、メロメロの実の魅了能力を生かすための計算された表情の可能性もあるため、どの程度感情があるのかは不明。
「威権順位」に従うようプログラムされているため、威権チップを借りているCP0が「エッグヘッドに攻め込め」「戦桃丸を倒せ」と命令しても、戦桃丸側の「エッグヘッドを守れ」という命令の方が優先され、サイファーポールの面々へレーザーを放ったりする等の動きを見せていた。
一方で、血統因子の影響により、S-スネークは「威権順位」に関係なくルフィの言葉に逆らえなくなってしまうというイレギュラーも発生している。

  • 血液
ベガパンクの発明品の一つ「グリーンブラッド」が体内を巡っている。
これは超人系悪魔の実の能力者から採取した血統因子をベースに作られており、この特殊な血液のお陰で海軍がサンプルを保有する超人系能力者の能力をそっくりそのまま行使出来る。
主に元七武海やインペルダウンへ投獄された海賊から得たものがメインで、S-スネークはオリジナル同様のメロメロの実が持つ悩殺、S-シャークはセニョール・ピンクと同じスイスイの実の土中潜航を使っている。
これは「能力は悪魔の実1つにつきそれを食べた1人だけしかこの世に存在しないので、基本的には死による代替わりしか無い」という作中の常識を根底からひっくり返してしまうとんでもない事態で、裏を返せば同じ能力者を量産できるという事に他ならない。
ただし、上記のリリスの発言からするに予算的な意味で量産できるのかはまだ不明。
なお、ベガパンク曰くグリーンブラッドによる能力再現ができるのは悪魔の実の中でも超人系のみ。肉体を別の物質へと自在に変換できる自然系悪魔の実は現時点では頑張っても再現不能だったとの事。動物系悪魔の実については不完全だが幻獣種の実の再現にも成功しているものの、現時点でのセラフィムには使われていない様子。
もちろんいいことづくめなわけがなく、能力者になってしまっているので海の力・海楼石には弱い。とはいえベガパンク側はそれを逆手にとり、海の力を有するバブルガンのバブルで緊急時には制圧できるようなやり方をとっている。

◇セラフィム一覧

  • ハンコック型「S-スネーク」
    • CV:三石琴乃(オリジナルのハンコックと兼任)
劇中にてミホーク型と共に初登場したセラフィム。身長は成人並み。
ハンコック拿捕の為女ヶ島に上陸した海軍により前線に投入された。
手にはレーザー砲を搭載している他、ハンコックと同じ様にメロメロの実の能力で相手を石化させる事が可能。
身体こそ大きいがその姿は妹たちですら「子供の頃の姉様にそっくり」と言い切る程にハンコックに似ている。
エッグヘッド島では、指揮官である戦桃丸の命令を受けて、麦わら一味とベガパンク「アトラス」を逃がす為の列車「真空ジェット」へ案内してくれたが、その際ジンベエに「ありがとう。優しいハンコックじゃな!」と礼を言われて「ぶ…無礼者!命令に従っておるだけなんじゃからな!」と返すツンデレな振る舞いをしていた。性格面はオリジナルとほぼ同じものと思われる…が、そのせいかルフィに惚れてしまい命令抜きのお願いを聞いてしまう珍妙すぎる弱点もある。
ツンデレサイボーグ褐色肌巨人ロリとか属性盛りすぎでは?
…実は表情豊かな愛らしい姿はメロメロの実の魅了能力を最大限生かすための計算されたもののようで、フランキーの戦意をそれでそいで不意打ちを食らわせたり、他に誰もいない場では冷徹な無表情になっている。
血統因子の影響なのかルフィに対してメロメロになる一面もあるが、実際どの程度感情・自我があるのかは詳細不明。

  • ミホーク型「S-ホーク」
    • CV:新井良平
ハンコック型と共に女ヶ島に上陸したセラフィム。身長は成人並み。
ミホークの持つ黒刀「夜」に似た刀を持つ。ただし黒刀ではない。
その斬撃は女ヶ島の中央にそびえる山を切断するほどに強力。
グリーンブラッドによって再現された能力はスパスパの実で、セラフィム自体の特性と合わせた耐久力に加え、斬撃を体の各部から放つことができる。
アニメ版1119話ではダズ・ボーネスの螺旋抜斬(スパイラルホロウ)など様々な技を披露。
ゾロに攻撃を受け止められた時には驚いた顔を見せており、ゾロ曰く「ミホーク本人より人間味がある」とのこと。非常に寡黙だが、バブルガンのバブルに捕獲された際には「こんなものに閉じ込めやがって…」と愚痴っていた。

  • くま型「S-ベア」
エッグヘッド島に向かうCP0と共に登場。
子供の姿*5ではあるが、その衣装は現在のくまに近い物を着ている。身長もくま本人並みに大柄。
試作品PXシリーズと異なりグリーンブラッドでニキュニキュの実の再現がなされており、移動のみならず攻撃にも使用した。両手は肉球だがレーザーも搭載。
なにげにバッカニア族とルナーリア族という希少な種族の特性を併せ持った存在である。

  • ジンベエ型「S-シャーク」
    • CV:坂本千夏(オリジナルの幼少期ジンベエと兼任)
エッグヘッド島に上陸した麦わらの一味の前に登場。身長は約3mあるジンベエ本人に比肩する。
登場時の彼の背景には「SERAPHIM 04」と書かれた巨大なカプセルがあったため、セラフィム内では4番目に製造された個体の模様。
空手着を着ており、手にはレーザー砲を搭載しているほか魚人空手も使いこなす。
グリーンブラッドによって再現された能力はスイスイの実で、魚人ベースながら海に弱くなっている代わりに、魚人の本領である水上戦での機動力を陸上で発揮することが可能になっている。

すでにジンベエ本人並みの大きさとはいえ子供の姿故にナミは攻撃を躊躇してしまい、一方的にやられる羽目に陥ったことも。


その他にもドフラミンゴ型やモリア型、クロコダイル型も確認できた。*6

ちなみに、現状確認できている型はすべて物語当初の七武海メンバーのものとなっている。

◇活躍

七武海廃止後


新型パシフィスタ「セラフィム」達を前線へ!!
記録用カメラを起動してください


ワノ国編終了後、ハンコック拿捕の為にヤマカジ中将とコビー率いる海軍が女ヶ島に上陸した際に、ついに二体の新型が満を持して実戦投入。
記録用カメラによって戦闘データを取られているため、七武海廃止で急遽実戦投入されたがまだ最終試験段階の模様。
そのためか、道化のバギーら他の七武海拿捕には用いられなかった様子。

投入された二体の内、一体はアマゾン・リリーの戦士達を圧倒し、もう一体もハンコックの能力を奪う為に乱入してきた黒ひげ海賊団を蹂躙している。
石化能力を持つハンコックとこそ交戦しなかったようだが、それ以外のマーガレットらアマゾン・リリーの戦士達や黒ひげ海賊団の下っ端では歯が立たず、一切傷がつくことが無かった。

レイリーのとりなしで黒ひげ・海軍・ハンコックがとりあえず停戦し撤退したため、首級を撃破することこそかなわなかったが、その威容にアマゾン・リリーの戦士達も動揺は隠せなかった。
S-スネークとS-ホークはベガパンクの研究所がある未来島エッグヘッドに帰還。

世界会議後、七武海撤廃と「8か国革命」による世情不安に対し、「クロコダイル型」「モリア型」「ドフラミンゴ型」は、さっそく各地の動乱を鎮めるために実戦投入されている。

未来島エッグヘッド編

CP-0ロブ・ルッチカクステューシーらが、くま型のセラフィム「S-ベア」を連れてエッグヘッドに向かう。
Dr.ベガパンク7人全員の殺害」という世界政府からの密命を帯びて…。
CP-0の船は島の沖合に到着するも、ベガパンク達の塩対応と「エッグヘッドに向かったはずの政府の船と音信不通になっている」という話から、ルッチはこのままでは島に上陸できない事を察知。サイボーグ海獣に船を破壊される直前に「S-ベア」のニキュニキュの能力で島へと強行上陸を果たす。

上陸したルッチとCP-0は、迎撃に現れた戦桃丸に率いられたセラフィム3体との戦闘を開始するも、威権順位が上の戦桃丸によりS-ベアのコントロールも奪われ苦戦。
しかしながら戦桃丸の隙を突きルッチが彼を撃破、気絶させることでセラフィムのコントロールを奪取。戦闘に参加したセラフィム4体全てがCP-0に従う事になる。

だがどんでん返しは続き、実はベガパンクの部下であったステューシーの離反によりルッチとカクが昏倒させられ、ベガパンクによる停止命令が通ったことで、いったんは戦闘を中止。
このすぐ後に世界政府との取引がご破算になったことに腹を立てたベガパンク「欲」の命令を受け、指定された面々(「欲」「本体」、監禁されているCPメンバー)を除く全員の抹殺のため再び攻撃を開始。
S-シャークはサンジ、S-ホークはルフィ&ルッチと交戦(ゾロとカクは途中で別行動)。またS-スネークが猛威を振るっており、別行動をしていたウソップと「悪」を石化、フランキーも右半身を石化させることで無力化している。

だが、ベガパンク「欲」は麦わらの一味の活躍によって捕縛され、「欲」の反乱は失敗。
ルフィがS-スネークに仲間の石化を解いてくれと説得し、真っ直ぐな目で見られてしまったS-スネークは涙目で照れてしまい、石化を解除。
その後は他のセラフィム共々バブルガンによって動きを封じられてしまった。

最終的にベガパンク「リリス」及び麦わらの一味・ベガパンク「エジソン」らはエッグヘッドからの脱出にそれぞれ成功し、残されたセラフィム達は世界政府側の管理下に再び置かれた。

【余談】

  • クローンの概念
試作型パシフィスタは肌から血が出ることから、原作510・511話のフランキーは、「元は生身の人間」「くまのそっくり人間がパシフィスタに改造された」と考えた。
840話のサンジは、培養液の中のジェルマ66のそっくりな顔のクローン兵を見てびっくりとしており、ヨンジにクローンや血統因子について教えられた。
市井では科学技術の発達しておらず漫画も「絵物語」程度しかないワンピース世界*7では、クローンの概念すらないことがうかがえる。
2年の間でパシフィスタの知識が広がったのかもしれない。



Sスネーク「追記・修正・コメントは節度をもってするんじゃ!」
ルフィ「ところでお前うんこ出んのか?」
サンジ「それ以前の疑問が山程あんだろ!!!」
Sスネーク「うんこは出」
サンジ「律儀に答えるなァ!!」

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最終更新:2025年04月09日 12:45

*1 とはいえルフィを庇ったハンコックには攻撃を邪魔された形になるため、「どけ」と警告していた。

*2 なお七武海の幼い頃の姿は既に単行本のSBSや映画『FILM Z』のエンディングにて明らかにされている。

*3 その一方で海賊になった後のくまのパシフィスタ化と量産・運用は政府や海軍の面子が立たないと言うことでくまを七武海に加入して対外的には政府側の陣営としている。世界情勢が変わりすぎたから考えも変わったのだろうか?

*4 初演時点でくまの幼少期は未登場だった。

*5 なお雑誌掲載時1062話には黒髪であったが、これは誤植であり本来は白髪とのこと。それ以降の話はちゃんと他のセラフィムと同じように褐色の肌と白髪になっている。

*6 クロコダイル型にはオリジナル同様、縫い目の傷が顔につけられている。

*7 血統因子を発見したベガパンクも、“神の領域”に至った研究を世界政府に危険視されて一度逮捕されている。