登録日:2024/10/03 Thu 02:52:24
更新日:2025/04/22 Tue 21:56:27
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ここでは、日本のアニメ・ゲームの海外版タイトル…そのなかでも「英題」について紹介していく。
概要
洋画のローカライズにあたって日本のスタッフが様々に頭を悩ませているのとまったく同じように、海外の輸入業者もいかにして日本の作品の魅力をそれぞれの国の人々に伝えるか工夫を凝らしている。
ましてや日本語は英語と違ってマイナーな言語であり、日本語版タイトルのまま持って行ったところで自国民には通じないことの方が圧倒的に多い。
…と思いきや
そうでもないこともあり、意外なことに
日本語版タイトルをそのままローマ字変換しただけで流通している作品が案外多い。
なんなら
わざわざ海外向けにタイトルを翻訳したのに、当の海外ファンはほぼ原語版タイトルでしか話題に出さないという、ローカライズ班涙目の事態もそこそこ起こっていたりする。
一例を挙げると、『
進撃の巨人』は海外ではサブタイトルを引用した『Attack on Titan』という題名で流通しているのだが、ファンコミュニティでは『Shingeki no Kyojin』でも普通に通じるし、なんならそっちの方がよく使われる事すらある。
これには、海外のオタク文化の発展経緯が大きく影響していると考えられる。
実は日本のアニメの海外展開というのは今に始まった話ではなく、『
美少女戦士セーラームーン』がフランスに輸出されて大人気になったり、日本ではどちらかと言えばマイナー寄りなロボットアニメだった『超電磁マシーン ボルテスV』がフィリピンに輸出された結果かの『マジンガーZ』をも凌ぐ人気を得たりといった事例がある。
これらは企業間の正式な取引によるローカライズ展開によるものだったが、インターネットが普及してくると、それとは別に
「ファンサブ(Fun-Sub)」 という文化が興るようになり、深夜アニメなどは主にここから海外のオタクに浸透していくようになる。
ファンサブとはビデオの編集技術を持ち、かつ日本のテレビ番組を視聴できる環境にある一般ユーザーが映像に独自の字幕を付けて動画サイトなどにアップロードする…というもので、そのまま「ファンが付けた字幕(
subtitled)」の意。
…要するに
違法アップロードではあるのだが、実際にこの文化が海外に日本の深夜アニメを普及させた側面があることは無視できない。黎明期のインターネットが得てしてアングラな側面を持つのはどうも世界共通のようだ。
もちろんこうしたアングラな文化は著作権や関連法規に関しての理解が進んでいくと次第に縮小していくことになるものの、「正規ローカライズ版が出た作品のアップロードはしない」といった「不文律」を設けるなどして文化自体は今も根強く残っている。
…と言ったように、日本のアニメはファン間の私的な交流によって普及していった側面がある。
故にファンサブによって広まった作品は、得てして日本語版タイトルをそのままローマ字表記にしただけだったり、せめて母国語で伝わるよう直訳したりといった程度に留まるものがほとんどだった。
そのため、正規ローカライズによる流通が一般的になった今でもこうした表記に対してそれほど抵抗がないのだろう。
また、英語版に関して言えば英語は確かにメジャーな言語だが、「第一言語としての普及率」はそこまで世界的でもないという事情もある。
すなわち世界的に通じるから英語版が普及しているだけで、結局英語も馴染みは薄いという人が英語圏ユーザーにもそれなりの数存在するのだ。
そうした人々にとっては英語版も日本語版も大した違いがないので、「だったら元のニュアンスが表現されている原語版の方がいい」となるわけである。
要するに、日本でも映画を観る時、吹替版ではなく字幕版を選ぶ人がいるという事情と同じである。
とはいえ、やはりタイトルというものは重要である。
タイトルの意味がスッと入ってくるかどうかは新規ファンを獲得する上で重要であることは間違いないため、担当者によって頭を捻ったアレンジタイトルが付けられることも珍しくない。
その結果、作風にピタリとマッチして時には原題すら上回る名訳となることもあれば、「どうしてこうなった……?」と国内外から首を傾げられる迷訳となることもあるのも、やはり万国共通。
主なパターン
・日本語タイトルそのまま
上述の通り、歴史的な事情もあってか意外にもこのパターンが一番多い。
元々原語版そのままでも流通しやすい土壌があるので、「じゃあ別に面倒かけて翻訳しなくてもいいじゃん」となるのかもしれない。
ぶっちゃけた話をすると、上記の『進撃の巨人』のように割と問題なく通じるケースもある一方、今上げた『無職転生』のような長いタイトルは流石に外国人も「なんのこっちゃ?」なようだ。さもありなん。
・直訳
直訳であれば間違い「だけ」は起きない……が、代償として本編とかけ離れてしまう場合も多い。
下記の『Demon Slayer』のように
訳としては間違ってないが、原題のニュアンスが完全に失われてしまっているというケースも散見され、結局
「じゃあ原題のままでいいじゃん」とばかりにせっかく翻訳したタイトルが使われないなんてことも……。
やはり翻訳というのは一筋縄ではいかないものである。
その分、直訳でありながら上手く本編内容を汲み取ったり語彙を解釈した訳が生まれると印象によく残る。
『
BLOOD BLOCKADE BATTLEFRONT』は、頭文字をBで統一した上で綺麗に訳している例。
・サブタイトルを引用
『
Mobile Suit Gundam』『
FULLMETAL ALCHEMIST』『
Ghost in the Shell』などが代表例か。
珍しい例だと
東方Project作品は、例えば
東方紅魔郷ならサブタイトルのThe Enbodiment of Scarled Devil からTheを抜いた上でイニシャルを抜き出してEoSD、とこんな感じのサブタイトルを用いるのに加えて下記の省略の要素も含めた呼称を海外コミュニティでは用いている。
原題をそのまま翻訳、あるいは意訳したものがはじめからサブタイトルとして載っているので、じゃあこれを使ってしまおうというわけである。
元々のタイトルにも載っているため「日本と海外とでタイトルが違いすぎて話が合わない」ということも起きづらく、またサブタイトルである以上日本語版のニュアンスや作者の意図などもそのまんま反映されるのが強み。
が、ネイティブ話者ではない日本人が付けるタイトルであるために一見するとそれっぽいが、実は英文としては文法が間違っていて意味が通らないなんてことは結構よくある話。
そのため日本人から、というより海外からツッコミの的にされやすいタイプでもある。
文法ミスがあからさまに目立つ場合、日本人からもツッコミが入るのもお約束。
上記のMobile Suit Gundamも「機動戦士」ならMobile Fighterの方が正しかったのでは?という気もするが、
そうなったのはGガンダム(MOBILE FIGHTER G GUNDAM)だったりする。
・略称
特殊かつ有名な事例として、『ポケモン』の例が挙げられる。
ポケットモンスターシリーズは英語圏において『Pokémon』を正式なタイトルとして展開されているが、これは「Pocket Monster」が非常に卑猥な意味のスラングとして通じてしまうため。
……という話が日本ではよく語られるが、これは実はガセ。実際には「Monster in My Pocket」というおもちゃが既に商標登録されていたため、似たタイトルになることを避けたというのが真相であるようだ。
ただ、「pocket〜」や「monster」がそれぞれ「そういう意味」で使われることがあるという点は事実でもある模様。そのため、上記のガセがより真実味をもって広まる一因になったのかもしれない。
ともあれ、このように「一見元のタイトルでも通じそうだが、実際には本来の意図通りに伝わらない・問題が起きてしまうためタイトルを変える」というのはよくあるケースであり、下記の「Resident Evil」もそのひとつ。
・その他の独自アレンジ
タイトルを独自に意訳してみたり、あるいは原題から一旦離れて原作の一要素を拾ってきたり、
はたまた単なる第一印象でタイトルを決めてしまったり……。
しっかりと担当者が原作を読み込んで、そのニュアンスを的確に汲み取ってくれれば名訳が生まれる一方、
一歩間違えば国内外からツッコミを受ける迷タイトルと化してしまう大博打。
個性的な英題
以下アルファベット順で掲載。
なお、ここではあえて英語版タイトルのみを載せ、原題については伏せ字で紹介する形としてみた。
一種のクイズ感覚で原題を当ててみてほしい。
なお、追記にあたって厳密なルールは特に定めないが、
記事の過度な肥大化を防ぐためにタイトルを追加したい際は事前にコメント欄にて提案し、24時間以上待って反対意見がなかった場合に追加可能とする。
また同様の理由で、唯一明確なルールとして本wiki内に作品項目が存在するタイトルのみ掲載可としている。
※相談を経ずにタイトルの追加を行なった場合、事前の断りなく削除・差し戻しさせていただく場合があります。
一応、特筆すべき事情がない限りは「ローマ字そのままや直訳ではなく、独自の意訳や原題とはまったく異なるタイトルとなっていること」をひとつの基準としている。
原題:逆転裁判
訳すれば優秀な弁護士、弁護士のエースとより
主人公の背景をクローズアップした題名に。
アイツは言うほど優秀じゃないという点は置いといて
主人公の名前も「Phoenix Wright」になっており蘇る不死鳥のフェニックスと正当な権利や正義などを意味するライトを組み合わせた実に同シリーズらしいネーミング。
正確には一作目が『Phoenix Wright: Ace Attorney』であり、2,3作目にはサブタイトルがついている。
主人公が交代した4作目では『Apollo Justice: Ace Attorney』となった…のだが、5作目で『Phoenix Wright: Ace Attorney – Dual Destinies』でまたしてもフェニックス君が主役となり、アポロ君が完全に主役になったといわれてる6作目でも『Phoenix Wright: Ace Attorney – Spirit of Justice』とやっぱりフェニックス君がタイトルとなってしまった。
とはいえこの度456のセット作が『Apollo Justice: Ace Attorney TRILOGY』となったため、海外でも456の主役はアポロ君ということになったようである。よかったねアポロ君!!
なお、
検事が主役の外伝は『Ace Attorney Investigations』。
Investigationsとは捜査のことであり、法廷から出て捜査を行うことが強調されている。
主人公弁護士じゃないんですけど
原題:どうぶつの森
直訳すると「動物の横断」。横断と言う意味から英語圏では「動物注意!」の看板は "~Crossing!" と表記することが多い。
またイギリス英語では「横断歩道」は "Zebra(シマウマ) Crossing"と呼ばれており、Crossingは何かと動物と縁がある単語である。
もちろんクロスオーバーと言った言葉があるように "Cross" には交差、交流と言った意味も存在するので、動物と交流が目的である本作に相応しい言葉だろう。
原題:名探偵コナン
Case=事件、Closed=解決、ということで意訳するなら「一件落着!」となるか。
なるほど探偵ものに付けるタイトルとしてはこれ以上なく明快である。
なおこのようなタイトルになっているのは、原題にもなっている主人公の名前の由来が世界的に著名な推理小説作家から来ているもののため、彼への配慮や権利関係によるところが大きい。
そのため、そうした制約が特にない国ではそのまま直訳で流通している場合もあり、英語圏でもタイトルがまちまちという中々頭の痛いことになっていたりする。
ちなみに「Case Closed!」という言葉は同作品に登場する
キャラの決めセリフでもある(初登場が75巻頃とだいぶ後だが)。
原題:悪魔城ドラキュラ
英語で『城』を意味する「Castle」とドラキュラ伯爵の出身地と言われているトランシルヴァニア地方=「Transylvania」を組み合わせた造語となっており、洒落たネーミングながら元の意味合いはちゃんと保ったなかなかの名訳である。
この英題は
一部作品を除いたシリーズのほぼ全作で使用されており、海外のファンのみならず日本のファンにも周知されている。
ちなみに、一時期ではあるが日本国内でもこの英題が使用されていたことがある。主に
これとか。
また、本作のようなゲームのジャンル名として、同ジャンルの先駆けと合体させた「
メトロイドヴァニア」という呼び名(海外発)が広く定着したのも特筆すべき点。
英題がそのままな作品と捻られた作品で合体したせいで、「ところでヴァニアって何?」と思いながらメトロイドヴァニアの作品をプレイしている人もいることだろう。
原題:鬼滅の刃
この手の話題では真っ先に挙がる存在。
「鬼を狩るもの」という、原題を普通に汲み取った納得のネーミング……ではあるのだが、「
鬼」という日本独自の概念を正確に表せる単語が英語にないせいで、
字面が完全に西洋ファンタジーと化してしまっている点が各方面から頻繁にツッコまれている。
そもそも本作の「鬼」像自体がわりと特殊な方なのは置いておこう。
少なくともこのタイトルから大正時代の日本を連想できる人間はまずいないだろう。
ちなみにファンタジー作品で「大鬼」などと訳される「
Ogre」ではいけなかったのか? と思われる方もいるかもしれないが、これ以前にやはり鬼退治を題材とした日本の漫画作品に対して既に『
Ogre Slayer』という英語タイトルが使用されている。こちらも使用する武器は日本刀で、本来のタイトルはその刀の名前である。
原題:戦国BASARA
直訳すると「悪魔の王達」。
おそらくこの項目で紹介する英語版タイトルの中で最も原題とのギャップが激しいであろう英題。
一見ダークファンタジー作品っぽい英題だが実際に上の見出しをクリックしてもらえば分かる通り、本作は
戦国時代を舞台にしたアクションゲームであり、完全にタイトルと内容が噛み合っていない状態となっている。
つーかどっちかと言うと本作と同じ会社から出た悪魔を狩りまくるスタイリッシュアクションゲームっぽいタイトルである。
では何故こんな英題になったのかというと、欧米で本作を発売する事になった際、
あろうことか主人公格を悪役に変更してしまったからである。…主役を下ろされる羽目になった
こいつらは泣いていいと思う。
公式も流石にこれはどうかと思ったのか、後に
三作目が海外向けにローカライズされた際は『Samurai Heroes』という比較的無難なタイトルで発売された。
原題:ドラッグオンドラグーン
Draken(スウェーデン語でドラゴン)+gard(guard(守護者・衛兵)の綴りミス?)という組み合わせから、要は
「竜の守護者」あるいは
「竜の兵士」といった意味合い。
主人公は傭兵とはいえ兵士であり、仲間の
ドラゴンに跨り、
妹を守るために戦っている為、違和感のないタイトルに仕上がっていると言える。
色々言いたいことがあるのは分かるけどこの作品のシナリオをざっくり纏めるとこれで正解です。一応
何故このようなタイトルに変更されたのかと言うと、原題のままだと上手く伝わらないため。
というのもこの原題、
英語圏の人には『布団が吹っ飛んだ』的なダジャレに聞こえてしまう上に、『
Drag on』という熟語が
「ダラダラ長引く」、或いは「のろのろしている」といった間抜けな意味合いで使われていることから、本来はシリアスで暗鬱な作風の筈が、一種のバカゲーのように受け取られかねないため、こちらの題名にローカライズされている。
後に発売された
ナンバリングタイトルにもこのタイトルが使われている。
ちなみに
派生作品シリーズの1作目は、海外では
父主人公版こと日本のXbox360版の内容準拠で、PS3・Xbox360版共に
『NIER』というタイトルで販売されている。これはXbox360版が元々海外展開を考えて企画されたものであるため。
まあ兄主人公版こと日本のPS3版の方が売れたしリメイクも兄版で出たんだけど
一方で
続編は英語版も原題そのままで販売されている。こちらは前作の反省を受けてか、海外展開を考えた2バージョン販売を行わなかった為。
後に制作された同シリーズのスマホゲームや、上記のシリーズ1作目のリメイク版もまた、原題そのままで配信・発売された。
ただしこうしたタイトル事情故、海外ファンは時折一作目を指して
『NIER』と呼ぶため、日本ファン的には「どれ!?」と混乱するようなこともある。リメイク版が原題そのままで出たおかげで最近は海外でもそっちの名前で呼ぶことも増えたが。
原題:炎炎ノ消防隊
英題から原語版タイトルを予想するのがトップクラスに難しい作品のひとつではないだろうか。
一方、原題の方を知っている日本のアニヲタなら「炎の……軍隊?」というニュアンスから連想すること自体はできなくもないだろう。
おそらくは「消防隊(Fire Brigade)」でありながらバトルがメイン、かつ描写もどちらかといえば軍隊的……ということで空軍を意味するAirforceに掛けたのだろうか。
……が、やはり原題と結びつきづらい点は海外のファンには不評な様子。
個人的には上手い訳だと思うのだが……。
原題:北斗の拳
Fistは「握り拳、拳」、North Starは「北極星」で、『北極星の拳』を意味する。結構カッコいい。
原作を知ってる方なら「そこは『Fist of the Big Dipper(=北斗七星の拳)』でよくない?」と思うかもしれないが、おそらくこの語感の良さを優先してこのようなタイトルになったのだろう。
ちなみにファンから黒歴史扱いされがちなハリウッド版実写映画も海外ではこのタイトルで公開された。
原題:戦隊大失格
あえて意訳するなら「それいけ!負け犬戦隊」か。
この訳を理解するには、特撮作品のローカライズ事情についての知識が必要となる。
日本における
スーパー戦隊シリーズは、英語圏では独自のキャラクター・世界観にアレンジされた『Power Ranger』シリーズとして展開、人気を博している。
そして『Power Ranger』シリーズのテーマソングとして知られているのが、『GO GO Power Rangers』。それをもじったのがこのタイトル……というわけである。
元ネタのパロディ色を上手いこと海外でも通じるようアレンジしているのだ。
……が、肝心の「作品内容を表す」という点では疑問符がつくものであり、パロディを意識するあまり本末転倒になっている感があるため賛否両論。
正式な英語版タイトルが判明する前は『Ranger Reject』と呼ばれており、そちらも多く知られている模様。
原題:レイフォース
某宇宙忍者とは何の関係もない。
直訳すると「銃の引き金」。STGなので全く的外れなタイトルというわけでもない。敵をロックオンして攻撃するシステムがある所にも引っかけたネーミングか。
本作はアーケード版と
セガサターン移植版で別のタイトルになっており、Gunlockはアーケード版タイトル。移植版は「Galactic Attack」となり、直訳すると「銀河系の攻撃」。
確かに宇宙空間からゲームが始まるのだが、宇宙空間での戦闘はステージ2までとなっている。
ちなみに国内版原題のレイフォースもアーケード版でのタイトルで、これの移植版はレイヤーセクションとなる。
同一の作品で四つのタイトルを持つのはなかなか珍しい例かも知れない。
原題:星のカービィ ディスカバリー
直訳すると「カービィと忘れられた地」。このシリーズも中期の作品中心に副題の変化はそう珍しくない。
掲題作に関するインタビューによると、本作の世界観テーマは「忘れられた大陸を発見・探検する」というものであり、この英題には土地そのものだけでなく「この地に何か
大きな忘れ物が存在する」というニュアンスをも付与されている側面が存在する。
一方で邦題では「Forgotten」という単語、ないしそのカタカナ表記があまり一般的ではないとの理由で、主題や世界観がより直感的にイメージしやすい「発見」の方の単語をサブタイトルとして採用したとのこと。こちらでも終盤のテキストにて「忘れられし大地」との言及はちゃんと存在する。
総じて「
副題に盛り込みたいテーマを邦題と英題に分割」し、それも「
英題側から逆算して邦題を設定」しているという、国内作品としては珍しいパターン。グローバルに人気のあるゲームシリーズだからこそ可能な技とも言えるか。
原題:ロックマン
なんだか別のヒーローみたいな名前になってしまった。
変更の理由としては「直訳すると岩男だから」「同名のマーベルヒーローがいたから」等様々な憶測が飛び交っているが、インタビューによると当時のカプコンアメリカの偉い人がネーミングに難色を示したことが原因とのこと。どういった理由で難色を示したのかについては言及されていない。
それ以上に北米版パッケージの
銃を持った青と黄色のスーツを着たアメコミ風の渋い中年というかけ離れたデザインにされたことは未だにネタにされており、公式でも
近年のギャグコミカライズやストリートファイターX鉄拳などでネタにされている。
只、
おっさんになっているのは北米版のみであり、欧州版では劇画調ではあるものの原作の面影がちゃんと残っている。
以降の派生シリーズでも海外ではずっとメガマンで通しているのだが、アメコミ版では家庭用ロボとしては元ネタ重視でロック名義。
特筆すべきは流星シリーズのウォーロックで、彼と合体するから主人公はあの名前という設定だったため「Omega-Xis」とかいうかけ離れた名前にされてしまっている。
◆Mobile Light Force
原題:ガンバード
原題:式神の城
直訳すれば機動光戦隊か。内容にかすってすらいないタイトルに成り果てている。
と言うか後者に至っては続編ですらないという状況である。
パッケージイラストすらも内容と全く大違いで、2作共三人の女性が銃火器を発射しながら走っている図である。何だよこれ
ちなみにゲーム内容は本編からイベントやエンディングをカットしてシューティングパートのみという有様。
ローカライズを手抜きしすぎだろ……
原題:しかのこのこのここしたんたん
「キャラ名を活かした言葉遊び」という原題の語感こそ失われてしまったものの、
タイトルでメインキャラを紹介するという点は拾いつつ「Dear(親愛なる)」と「Deer(シカ)」を引っ掛けることでさりげなくダジャレ感も維持という訳者のセンスが光る。
結果的にこしたんの名前が消されたのは、まあ彼女らしいというかなんというか……。
原題:江戸前エルフ
原作のロゴでは普通に原題のローマ字表記が使われているのだが、何故か英語版で変更された。
確かに「オタク」の「エルフ」が主人公なので間違ってはいないのだが、もう一つの主軸である「江戸時代から日本を見守ってきたエルフ達」の要素が見事にすっぽ抜けている。
しかもアニメ版のロゴではこの英題が逆輸入されており、あたかも原題の英訳が『Otaku Elf』であるかのようなデザインになっていたため、本放送時には「事情を知らない視聴者からツッコミが入る」→「事情を知っている視聴者が解説する」というやり取りが各地で見られた。
原題:彼女、お借りします
Rent-a-carがわかりやすいように、Rent-a-○○で「(お金を払って)○○を借りる」、およびその「借りた物品」となる。
作中のキーワードである「レンタル彼女」を上手く落とし込んだ訳である。
原題:バイオハザード
直訳すると「内に潜む悪」。
洋館が舞台ということで「邪悪な居住者」という意味だと時折勘違いされるが、そちらは誤りである。
こちらもまた「日本と海外でタイトルが違う作品」の代表格、かつそれが
大人の事情によるものというところまで含めて有名な一例。
元のタイトルでも通じるには通じるのだが、当時アメリカではそれほど認知された事象ではなかったということと、アメリカにまったく同じ名前のロックバンドがいたことによる商標上の問題とによってタイトルを変更することとなったのだ。
…よく考えると原題って第1作目時点で見るとゾンビ出現理由について盛大にネタバレしていたしなぁ…
そうした事情によって日本と英語圏とではそれぞれ
まったくかすりもしないタイトルのまま展開され世界的な人気を得ていったシリーズなのだが、
ナンバリングタイトル7作目にして
まさかの合流を果たすことになる。
原題:るろうに剣心
比較的昔の作品ということもあってこちらも有名な一例。
いやまあ、確かに主人公のトレードマークでもある頬の十字傷がXに見えなくもないし、「謎の」「正体不明」という解釈ならまったく内容と無関係とも言い切れないが……。
フランス語版のタイトルである「Kenshin le Vagabond(放浪人の剣心)」の方が「よっぽどタイトルを汲み取れている」ともっぱらの評判。
が、
作者にはバカ受けしており、後に別作品で「ソードサムライX」という能力名を登場させた。
原題:がっこうぐらし!
「学校生活」であれば単に「school life」で済むところをあえて「生きている」という動詞としてのニュアンスが強いLiveとすることで「命懸け」感を出すという、英語の細かいニュアンスが見事に活かされた訳になっている。
それでいて原題の特徴である「初見詐欺」も一応失われていない。
原題:ケロロ軍曹
Sgt. = Sergeant = 軍曹、というわけで「カエル軍曹」。なるほどわかりやすい。
カエルの鳴き声を「ケロケロ」と表現するのは日本独自の文化であるため、より伝わりやすいよう直球な表現に改められたのだろう。
原題:千と千尋の神隠し
spiriteは「さらう、誘拐される」、awayは「遠くへ、いなくなって」で、すなわち「神隠し」を表現している。
直訳といえば直訳なのだが、特徴的な前半部分が跡形もなく消え去っているため世界的に有名な作品にもかかわらず、当の日本人には知らないとなんの話題かわかりづらいという事態が海外オタトークでは悩ましいところ。
◆Transformers: Robots in Disguise
原題:諸事情につき後述
一部の和製
トランスフォーマーシリーズは海外放送の際にタイトルを変更することが多い。
掲題のもの以外にも
Transformers: Armada、
Transformers: Energon、
Transformers: Cybertron…等々。
ただし副題のフレーズはストーリーなどとあまり関係がなく由来も特に書かれていないためTF用語から適当に付けた可能性がある。
またファンの間ではマイクロン伝説のコンボイをアルマダコンボイと呼ぶなど他の作品の同名キャラと区別するために海外版の副題を付けることがある。
2022年から展開が始まったレガシーシリーズではトランスフォーマーたちがそれぞれの作品の時空から来たという都合上名前に「(キャラクター名)((登場タイトルの海外名)ユニバース)」と付くことがあり、ここでは国内版のタイトルは使われない。例えば
マイクロン伝説版スタースクリームのことを指す場合「スタースクリーム(アルマダユニバース)」と呼ぶ。
なお、逆に海外作品を日本に持ち込む場合もやはりタイトルが変わることがある。
…と、ここまでなら他のケースと変わりはないのだが、
何故なら、海外ではこれだけだと
カーロボットなのかアドベンチャーなのかが判別できないのである。
当然ながら両者の繋がりは全くない。
(ちなみに当記事の主旨に従った場合、
カーロボットが正解となる。)
そのため、前述のレガシーにおける展開では、カーロボットは「RID(2001)」、アドベンチャーは「RID(2015)」と区別されている。
何でその辺りをちゃんと調べなかったのかが謎である。まあ国内でもタイトル被りは割とあるのだが。
原題:天気の子
パターンとしては「原語版サブタイトルの引用」ではあるのだが、そのサブタイトルの秀逸さのおかげで十分まとまっている稀有な例。
「weather」という単語には単に「天気」としての意味だけではなく、動詞として使うと「切り抜ける」「乗り越える」という意味も持っている。
すなわちこのタイトルには、「あなたと困難を切り抜ける」という意味が込められているのだ。
物語のキーワードとなる「天気」にも引っ掛けつつシナリオの展開も予感させる、サブタイトルとしてもメインタイトルとしても秀逸さが際立つ一文である。
原題:ひぐらしのなく頃に
直訳すると「彼らが泣く時」。より原題に近付けるなら「彼らのなく頃に」といった所か。
基本的に東アジア以外では馴染みが薄いため、タイトルから「ひぐらし」がオミットされている。但し、メディアによっては『Higurashi When They Cry』と表記される事も。
原題の「なく」を明確に「泣く」として解釈しており、さらに「彼らが泣く」と表現する事で、劇中の登場人物達のあまりに悲痛な物語をより強調している。
原題:龍が如く
ジャパニーズマフィアことヤクザが主役という事で
そのまんまなわかりやすいタイトルに。
本シリーズが海外で人気を獲得した事で、ヤクザの世界的な知名度が大いにアップした。
ところが、『
7外伝』と『
8』からは原題をそのまま英訳した「Like a Dragon」がシリーズタイトルに変更される事になった。
これはシリーズの海外展開に力を入れるための方針で、さらに内容がヤクザの物語に留まらないものになってきた事が理由である。
原題:ゾイド -ZOIDS-
放送順の都合でタイトルが変更されたパターン。
原題は北米で先んじて放送されていた
次作の洋題として使用済みだったため、このような形となった。
とはいえ、1話完結のスポーツアニメであるあちらに対し、冒険活劇や政治要素などが盛り込まれている、連続性の強く入り組んだ作風はある程度表現されているだろう。
さしずめ「新世紀」への対比としての「混沌の世紀」というニュアンスもあるだろうか。
このため、あちらでは今でも「ZOIDS CC」と呼ぶのが一般的。
ごく一部には日本人でも、実際の「初代」である昭和ゾイドへの配慮としてこの呼び方を使うファンもいるとかいないとか。
個性的な英語版タイトルを知っている方は追記・修正お願いします。
最終更新:2025年04月22日 21:56