簡易戦闘OP
本項のルールは簡易戦闘に関連するハウス・ルールである。
この「簡易戦闘」ルールでは移動や距離の概念を簡略化し、遊びやすさを重視している。ワンダリング・モンスターとの戦闘など、市販アドベンチャーの戦闘遭遇の中でもグリッド・マップが用意されていない遭遇を行なう際にも使用できるだろう。
戦闘の手順
「簡易戦闘」では、「位置関係の決定」の手順において、それぞれの陣営ごとに、前線に立つ者と、後方から支援する者とを決め、それぞれ前者を前衛エリアに、後者を自軍中衛エリアまたは自軍後衛エリアに配置する。戦闘参加者のうち、最もイニシアチブ順が高い者が属する陣営(以下、「先攻側」)から配置を行い、それを見て相手側(以下、「後攻側」)が配置する。
先攻側は、まったく配置しないという選択も含め、任意のキャラクターを前衛に配置できる。後攻側は、先攻側が前衛に一切キャラクターを配置していなくとも最低1人を、先攻側が前衛にキャラクターを配置したなら、その半分(端数切上)以上の人数のキャラクターを前衛に配置しなければならない(不足する場合には、全員が前衛に配置される)。
いずれの陣営とも、後方(中衛、後衛)にキャラクターをおかず、すべてを前衛に配置しても構わない。
2.位置関係の決定:5つのエリア
「簡易戦闘」では、戦場を5つのエリアに分類する。それ以外の位置取りは存在しない。5つのエリアとは「前衛エリア」「自軍中衛エリア」「自軍後衛エリア」「敵軍中衛エリア」「敵軍後衛エリア」である。前線を挟んで、それぞれの中衛、後衛が位置するイメージをして欲しい。「自軍中衛エリア」「自軍後衛エリア」「敵軍中衛エリア」「敵軍後衛エリア」の「自軍」「敵軍」の意味は、立場(陣営)が異なれば当然逆転する。なお、以降の説明では「自軍中衛エリア」と「敵軍中衛エリア」の2つをまとめて「中衛エリア」、「自軍後衛エリア」と「敵軍後衛エリア」の2つをまとめて「後衛エリア」と呼称することがある。
乱戦と乱戦エリア
1つのエリアに、自軍敵軍両方のクリーチャが同時に存在している場合、そこは乱戦と呼ばれる状態にあり、特に乱戦エリアと呼称する。すなわち、「前線乱戦エリア」のように、エリア名に「乱戦」が付加される。
乱戦エリアは、そこにいる者同士が、互いに近接武器などで攻撃し合う、危険なエリアである。
「簡易戦闘」の基本構造は、双方の近接攻撃担当者が共に前線に出て前衛乱戦エリアで戦い合い、遠距離からの攻撃や支援を担当する者が、それぞれ中衛エリアや後衛エリアからそれを行なうというものだ。
移動、距離、位置
距離の決定
乱戦エリアにいるクリーチャーは、そのエリアにいるすべての敵と“隣接している”ものとみなされる。
シフト、強制移動、瞬間移動の項も参照のこと。
ターンの開始時
「簡易戦闘」では、クリーチャーは自分のターンの開始時には同じエリアにいるすべての敵と“隣接している”ものとみなされる。ただし、どちらかの陣営のクリーチャーが敵軍の者の2倍より多い人数が配置されているなら、数が上回っている陣営側のクリーチャーは自分のターンの開始時には“任意の数の敵と隣接していない”ことを選択できる。
ただし、“任意の数の敵と隣接していない”ことを選択した場合、その選択した敵に対して射程が1のパワーを使用するには、その前に何らかの移動を行なわなければならない。
ターンの終了時
「簡易戦闘」では、クリーチャーは自分のターンの終了時には同じエリアにいるすべての敵と“隣接している”ものとみなされる。ただし、(1)そのターンをすべての敵と隣接していないで開始するか、ターン中にシフト、機会攻撃を誘発しない移動、または瞬間移動を行なっているか、敵を終着点が自分と隣接しない強制移動または瞬間移動をさせており、かつ(2)それ以降、どの敵に対しても射程が1のパワーを使用していないならば、ターンの終了時に任意の敵と“隣接していない”ことを選択できる。
移動の基本ルール:エリア間の移動
「簡易戦闘」では、移動や距離の概念を簡略化している。したがって移動は以下のように処理する。
- 隣り合うエリアへの移動:5マス以上の移動が行なえる場合、クリーチャーは隣り合うエリアへ移動することができる。
ただし、乱戦エリアにいる場合、(その移動が瞬間移動でない限り)“敵軍側の、より奥のエリア”へ移動することはできない。
- 2つ離れたエリアへの移動:10マス以上の移動が行なえる場合、クリーチャーは自軍後衛エリアから前衛エリアへの移動(あるいはその逆)へ移動するなど、2つ離れたエリアへ移動できる。ただし、途中のエリアに敵軍のクリーチャーがいる(=乱戦エリアになっている)場合、その移動が瞬間移動でない限り、乱戦エリアで移動は終了してしまう。
通常、この移動を行うためには2倍移動ないし何らかのパワーが必要になるだろう。
- 3つ離れたエリアへの移動:15マス以上の移動が行なえる場合、クリーチャーは自軍後衛エリアから敵軍中衛エリアへの移動(あるいはその逆)へ移動するなど、3つ離れたエリアへ移動できる。ただし、途中のエリアに敵軍のクリーチャーがいる(=乱戦エリアになっている)場合、その移動が瞬間移動でない限り、乱戦エリアで移動は終了してしまう。
通常、この移動を行うためには何らかのパワーが必要になるだろう。
- 4つ離れたエリアへの移動:20マス以上の移動が行なえる場合、クリーチャーは自軍後衛エリアから敵軍後衛エリアへの移動(あるいはその逆)へ移動するなど、4つ離れたエリアへ移動できる。ただし、途中のエリアに敵軍のクリーチャーがいる(=乱戦エリアになっている)場合、その移動が瞬間移動でない限り、乱戦エリアで移動は終了してしまう。
通常、この移動を行うためには何らかのパワーが必要になるだろう。
前線突破
「簡易戦闘」の基本構造は、前線で敵味方の前衛が入り乱れる乱戦を作り、両陣営の中衛、後衛がそれぞれ後方から支援するという形である。
しかし、前線エリアから、片方の陣営のクリーチャーがすべていなくなるか、
無力状態になってしまった場合、この構造は壊れてしまう。
前線エリアに敵陣営のクリーチャーが1体もいない状態となった場合、クリーチャーは自分のアクションを費やして、敵軍中衛エリアに。敵軍中衛エリアに敵陣営のクリーチャーがすべていなくなるか、
無力状態になったなら敵軍後衛エリアに移動できるようになる。
後衛乱戦エリア
後衛エリアへの侵入が果たされた結果、今度はそこが、敵味方入り乱れる乱戦エリアとなる(相互に近接攻撃や射程が5未満の遠隔攻撃を使用することができるようになる)。
離脱不能な背水の陣
突破されてしまった側にとって、その後衛エリアは、いわば「背水の陣」である。留まったまま、状況の打開を考えなければならない。
前線突破されてしまった側の陣営に属するクリーチャーは後衛乱戦エリアからは、(瞬間移動でなければ)離脱することができない。唯一、戦場からの撤退に限り、DMの判断で認められる。
前線突破した側のクリーチャーは、離脱(後退)が可能である。
前線突破状態の解除
後衛乱戦エリアに、前線突破した側のクリーチャーがいなくなれば、その後衛エリアから、突破された側のキャラクターが離脱(前進)できるようになる。
シフト、強制移動、瞬間移動
「簡易戦闘」では、同じエリアにいるクリーチャーは“すべてお互いに隣接している”とみなされる(よって乱戦エリアで移動を伴うアクションを行なったり、遠隔パワーまたは遠隔範囲パワーを使用したクリーチャーは敵から機会攻撃を誘発してしまう)。
しかしながら、シフト、機会攻撃を誘発しない移動、または瞬間移動を行なうか、敵を“終着点が自分と隣接しない強制移動または瞬間移動をさせた”なら、以下のいずれかの条件を満たすまで“任意の数の敵と隣接していない”ことを選択できる:(1)そのターンが終了するか、(2)射程が1以下のパワーを使用する。
攻撃ロールへの修正値
戦術的優位
挟撃
「簡易戦闘」では、乱戦状態であるエリアにおいて、どちらかの陣営のクリーチャーが敵軍の者の2倍より多くの人数が配置されているなら、数が上回っている陣営側のクリーチャーは敵を挟撃しているとみなされる。ただし、“挟撃を行えない”クリーチャーはこの人数において数えられない。
戦闘中のアクション
パワーの使用
目標の数
「簡易戦闘」では、効果範囲内のクリーチャーの数を
『効果範囲に入る目標数』表の指針に従って決定する。パワーを使用するクリーチャーは
この数までの、目標に効果を及ぼすエリア内にいる、目標となり得るクリーチャーを目標として選択しなければならない。従って、もしそのパワーが効果範囲内の(敵すべてではなく)クリーチャーすべてを目標とするものならば、味方にヒットを与えることも有り得る。
表の指針より多くの、あるいは少ないクリーチャーを目標としたい場合、目標になり得る者たちがどれくらいまとまっているかに応じて、目標の数を増減させることができる。その場合、増減させる数値は±1d3程度とする(DMが判断する;最低1体)。
『効果範囲に入る目標数』表
効果範囲 |
目標の数 |
壁状 |
大きさ÷4(端数切り上げ) |
直線状 |
大きさ÷6(端数切り上げ) |
直方体 |
半径の大きさ |
爆発、爆発(拡散) |
大きさ |
噴射 |
大きさ÷3(端数切り上げ) |
移動中に隣接するか、接敵面に入ったクリーチャー |
移動速度÷4(端数切り上げ) |
簡易戦闘における攻撃/汎用種別
「簡易戦闘」では、クリーチャーが何らかのアクションを行う際に目標との位置関係が問題になる場合、それぞれが、どのエリアにいるかによって判断される。
目標の数の項も参照のこと。
射程と効果範囲
「簡易戦闘」では、射程と効果範囲に関して“壁状x”は“噴射x”と同様に扱われる。
- 5未満:射程が5未満であるパワーは、同じエリアにいる目標に対してのみ使用したり、起点マスにできる。
- 5以上、10未満:射程が5以上、10未満であるパワーは、同じエリアおよび隣り合うエリアにいる目標に対して使用したり、起点マスにできる。
“噴射x”なら起点マスとなるエリア、および片方の隣り合うエリアにいる目標に効果を及ぼす。
“爆発x”なら起点マスとなるエリア、および両方の隣り合うエリアにいる目標に効果を及ぼす。
- 10以上、15未満:射程が10以上、15未満であるパワーは、同じエリアおよび2つまで離れたエリアにいる目標に対して使用したり、起点マスにできる。
“噴射x”なら起点マスとなるエリア、および片方の2つまで離れたエリアにいる目標に効果を及ぼす。
“爆発x”なら起点マスとなるエリア、および両方の2つまで離れたエリアにいる目標に効果を及ぼす。
- 15以上、20未満:射程が15以上、20未満であるパワーは、同じエリアおよび3つまで離れたエリアにいる目標に対して使用したり、起点マスにできる。
“噴射x”なら起点マスとなるエリア、および片方の3つまで離れたエリアにいる目標に効果を及ぼす。
“爆発x”なら起点マスとなるエリア、および両方の3つまで離れたエリアにいる目標に効果を及ぼす。
- 20以上:射程が20以上であるパワーは、すべてのエリアにいる目標に対して使用したり、起点マスにできる。
“噴射x”なら起点マスとなるエリア、および片方の4つまで離れたエリアにいる目標に効果を及ぼす。
“爆発x”ならすべてのエリアにいる目標に効果を及ぼす。
最終更新:2023年02月20日 10:25