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ギルドの職人  君は1種類の職人ギルドの構成員であり、特定分野の技術を有し、他の職人たちと密接に結びついている。君は商売の世界に確固たる位置を占め、技術と富を有する故に封建的社会秩序の束縛から自由である。君は職人の親方に弟子入してギルドの援助のもとで技術を学び、晴れて親方と呼ばれる一人前の職人になった。
 ギルド員である君は原材料から品物を仕上げる技術を有している(具体的にどんな技術を身につけているかは、“修得済み”にした技能および習熟した職人道具の種類に反映されている)。また、取引の原則もわきまえており、一定程度の商売の経験もある。今は商売を止めて冒険に乗り出したのか、苦心して冒険と商売を両立させているのかは君次第だ。

ギルドの職人の利益

 ギルドの職人の背景を選択した場合、君は以下の利益を得る。
修得技能〈看破〉、〈交渉〉
道具習熟1種類の職人道具
追加言語任意の言語1つ
初期装備選択した1種類の職人道具、ギルド発行の紹介状、旅人の服ベルトポーチ(15gp入り)
特徴ギルド員

ギルドの職種

 ギルドは同一職業の職人が複数存在できる大きさの都市にのみ見られるのが普通である。ただし、君の属するギルドはこうした普通型のギルドではなく、広い地域の中で別々の村々に住む職人同士の緩やかなネットワークであるのかもしれない。君の属するギルドのありようについてはDMと相談して決定すべきである。属するギルドの職種は以下の表から選択するか、ロールして決定してもよい。
1d20  ギルドの職種
1 錬金術師、薬剤師
2 鎧鍛冶、錠前屋、金属細工師
3 穀物酒、果実酒、蒸留酒製造者
4 書家、写本筆写者、代書人
5 大工、左官、屋根葺き
6 地図職人、測量士、海図作り
7 靴屋、靴直し
8 料理人、パン屋
9 ガラス吹き、ガラス工
10 宝石細工師、宝石職人
11 革細工師、皮剥ぎ、皮なめし屋
12 石工、石切り
13 画工、写本装飾画家、看板屋
14 陶工、タイル職人
15 船大工、製帆員
16 鍛冶屋、鍛造工
17 鋳掛屋、鋳造師、ピューター細工師(注:ピューターは錫の合金)
18 馬車作り、車大工
19 織工、染物屋
20 木彫り師、桶屋、弓師

特徴:ギルド員

 君は一人前のギルド員として尊重されており、ギルド所属による当然の利益を受けることができる。同一ギルドの会員たちは、君が宿屋や食物を必要としているなら家に泊めて食い物を出し、君が死んで葬式代が足りなかったなら皆で出しあう。一部の街や都市にはギルドの会館があって、同じ職業の者どうし集まれるようになっている。ギルドの会館は雇い主や雇い人や仲間になってくれそうな者を見つけるのに良い場所である。
 ギルドが大きな政治力を有することは珍しくない。君が罪を犯したとして告発されても、君が無実であると、あるいは君の犯罪に正当化の余地があると、主張することが十分に可能なら、ギルドは君を支援する。また、もし君がギルド内で良い評判を得ているなら、ギルドを通じて政治的重要人物とつなぎをつけることもできる。この手のコネを使うには、ギルドの金庫に金銭や魔法の宝物を寄付せねばならない場合もある。
 君はギルドに対して月に5gpを支払わねばならない。ひとたび滞納が生じたなら、滞納分を全額支払うまで、ギルドの恩寵(=ギルド員の特権)を取り戻すことはできない。

おすすめの人物像

 ギルドの職人はこの世界ではごくありふれた人物である――道具を置いて冒険の旅に出ない限りは。彼らは勤労の尊さと共同体の大切さをよく心得ているが、金に汚かったり他人の物を欲しがったりする気があるのが玉に瑕だ。
1d6 人格的特徴
1 何事もやるからにはきちんとやらねばならんと信じている。そしてきちんとやらずにはいられない。つまりは完璧主義者なのだ。
2 立派な仕事を見て立派な仕事とわからない奴はダメだと思っているつまりスノップなのだ。
3 物を動かす仕掛けを知り、人を動かす力を知りたいものだと常に思っている。
4 常に聞いたふうな警句を口にし、しかるべきことわざを持ち出す。
5 常に勤勉で正直である。そしてそうでない者を低く見る。
6 己の職業について好んで長口舌をふるう。
7 金を払うのを惜しみ、常に少しでも有利な条件で取引しようとする。
8 良い仕事で名が通っており、皆に仕事を誉められて当然だと思っている。自分のことを知らぬ者に会うと面食らう。

1d6 尊ぶもの
1 共同体。共同体のつながりを強め、文明のもたらす安全をより確固たるものにすることは、あらゆる文明人の義務である。(秩序
2 気前の良さ。有難いことに、私の手には職があるのだから、これを世の中に役立てたいものだ。(
3 自由。人にはみな、自分の商売の利益を追求する自由があるはずだ。(混沌
4 欲望。私がこんなことをやるのは単に金のためだ。(
5 人々。私にとって大事なのは、お題目ではなく、私が面倒を見ている連中だ。(中立
6 抱負。私はこの道で天下第一になるために日々働いている。(属性問わず)

1d6 関わり深いもの
1 むかし修行した工房は、私にとって世界で一番大事な場所だ。
2 私はある者のために大した作品を作り上げたのだが、できあがってみるとそいつはその作品にふさわしくなかった。私は今も作品を捧げるにふさわしい相手を探している。
3 私は今の自分を鍛え上げてくれたギルドに重大な恩義を負っている。
4 私はある者の愛をかちえるためには富を得なければならぬ。
5 私はいつかギルドに戻って、自分がギルドで一番の職人であることを証し立ててみせる。
6 悪の勢力が私の仕事場所をぶち壊し、私の生活をむちゃくちゃにした。必ず報復する。

1d6 弱み
1 高価なものや値のつけられないものを手に入れるためなら何でもする。
2 「誰かが不正に私をだまそうとしている」と思い込みやすい。
3 誰も知らないはずだが、実はギルドの金庫から金を盗んだ。
4 自分の持っているものだけで満足できず、もっともっと欲しがる。
5 貴族の地位を手に入れるためならば殺人も辞さない。
6 自分より優れた仕事をする者を許せない。世界中がライバルばかりだ。

ギルドの職人のヴァリアント:ギルドの商人

 職人ギルドではなく交易商人、隊商頭、商店主のギルドに属していることにしてもよい。君は自分で品物を作るのではなく、他人の作った品物(や、職人が品物を作る材料)を売り買いして生計を立てる。君の属するギルドは一地域に利益を有する商人たちの大規模な組合または一族であるのかもしれない。君は品物をある土地から別の土地へ船を繰り馬車を御し隊商を組んで運ぶのかもしれない。あるいはまた、交易商人から品物を買いつけて自分の小さな店で売るのかもしれない。旅する商人の生活には、それ自体で、職人の暮らしよりも冒険に似たところがある。
 君は職人道具の代わりに航海道具に習熟しているか、あるいは1種類の追加言語を修得していることにしてもよい。また、職人道具の代わりに航海道具あるいは“ラバ1頭とカート1台”を持ってゲームを開始することにしてもよい。
最終更新:2022年09月06日 15:46