貴族 君は富、権力、特権の何たるかをよく知っている。君には貴族の称号があり、君の家族は土地を所有し税を集め少なからぬ政治的影響力を有している。君は仕事にも少しの不便にも耐えられない、甘やかされ放題に育った貴族の子弟かもしれない。商人あがりのニワカ貴族かもしれない。廃嫡された背徳漢で、俺にも貴族の権利はあるはずだと勝手に思っているのかもしれない。あるいは領民を守るのを務めと心得、民の面倒をよく見る、正直で働き者の領主なのかもしれない。
DMと話し合って、君の有する称号を決め、その称号にどれほどの権威があるのかを決めること。貴族の称号は自分一人だけのものではない。一族全体に関わるものであり、子供に受け継がれるものである。それゆえ、ただ称号を決めるだけではなく、君の家族や、家が君に及ぼしている影響についても、DMと話し合って決めよう。
君の家は古く伝統あるものだろうか。それとも近年貴族になったばかりなのだろうか。君の家はいかなる土地にいかほどの影響力を有しているのだろうか。近隣の貴族は君の家をどう評判しているだろうか。平民はどうだろうか。
家の中での君の位置はどんなものだろうか。家長の後継者だろうか、すでに称号を受け継いだ当主だろうか。だとしたら、称号にともなう義務について君はどう考えているのだろうか。それとも君の継承権の順番はごく低く、君が何をしようと、家に迷惑をかけない限り家の連中は少しも気にしないのだろうか。家長は君が冒険の日々を送ることをどう思っているのだろうか。君は家の誇りなのだろうか、それとも一族の鼻つまみ者なのだろうか。
君の家には紋章があるだろうか。君は家の紋章を帯びた印章指輪をしているかもしれない。紋章にある色のものをいつも身につけているかもしれない。あるいは特定の動物を家のしるしや、精神的な家族の一員と見なしているかもしれない。こうした細かな点を決めておくことで、君の家や称号が、キャンペーン世界の一部になる。
貴族の利益
貴族の背景を選択した場合、君は以下の利益を得る。
特徴:貴族の特権
君は高貴な生れであるため、人々は君に最上級のもてなしをするべきだと考える。君は上流社会に歓迎され、人々は君がどこにいようとも無礼だとは思わない。平民たちはあらゆる手を尽くして君を歓待し、不興を買うのを避けようとする。他の高貴な生まれの人々は、君を同じ社会階級の一員として扱う。必要があれば、君は土地の貴族に謁見を求めることができる。
貴族の特徴のヴァリアント:従者
“貴族”の背景を有するキャラクターは、“貴族の特権”の代わりにこの特徴を選択してもよい。 君は君の一族に仕える3人の従者から奉仕を受けている。これらの従者は従僕であるかもしれず、使者であるかもしれない。また、3人中1人は家令であるかもしれない。従者はみな君と同じレベルのハイアリング(『MME』p136)であり、それぞれの職業“費用:標準”の中から好きなものを選択できる。また、従者の数を減らすことでより多くの“費用:”を必要とする職業のものから選択することもできる。例えば、従者を2人にしたなら1人は“費用:標準”から、もう1人は“費用:標準*2”から選択することができる。従者を1人にしたなら“費用:標準*3”から選択することができる。君はこの特徴を有している限り、彼らへの支払いは常に行われ続けているものとみなされる(君の家が代わりに支払ってくれているのである)。 彼らは君のために日常の用事を果たすことはできるが、職業が傭兵でない場合、ダンジョンなどの明らかに危険な場所へついて来てはくれない。加えて、戦闘遭遇に巻き込まれた場合、攻撃は行えない。また、ひんぱんに危険にさらされたりひどくこき使われたりしたなら、君のもとを離れてしまう。最後に、もし彼らが死亡したり、君のもとを離れてしまった場合、新たな従者は自動的には補充されない。 |
おすすめの人物像
貴族は、庶人が経験することのない、まったく別の暮しの中で生れ育つ。人となりも自然と違ってくる。貴族の称号は多数の紐帯、約束、関係にもとづく。一族に対する責任。他の貴族(王を含む)に対する責任。領民に対する責任。そして称号そのものに対する責任が、貴族の肩にはかかっている。これらの重責が、しばしば、貴族をしだいしだいに衰弱させてゆく。
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人格的特徴 |
1 |
私が少しうまいことを言ってやれば、人々はいい気分になって、さも自分が重要人物になったように思い込む。 |
2 |
親切で気前がよく民衆に人気がある。 |
3 |
押し出しが立派で、一見しただけでは成りあがり者とはわからない。 |
4 |
骨を折って見かけを整え、最新流行のファッションに身を包んでいる。 |
5 |
手を汚すのを嫌い、ふさわしからぬ相手と一緒のところを見られるのを嫌う。 |
6 |
貴い生れを鼻にかけず、体に流れる血は誰も同じと思っている。 |
7 |
一度嫌いになった相手は決して許さない。 |
8 |
一度害を受けたなら相手を叩き潰し、名誉を奪い、畑に塩をまかずにはおかない。 |
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尊ぶもの |
1 |
敬意。貴族である私が敬意を受けるのは当然のこと。だが人は地位の高下にかかわらず尊厳をもって取り扱われねばならぬ。(善) |
2 |
責任。下々の者が私の権威を尊ぶごとく、私は上つ方の権威を尊ばねばならぬ。(秩序) |
3 |
独立。家族の世話にならず自分で生きてゆけることを証明してみせる。(混沌) |
4 |
権力。私がより大きな力を手にすれば、誰も私にああしろこうしろと指図はできなくなる。(悪) |
5 |
家族。血は水よりも濃い。(属性問わず) |
6 |
貴き者の義務。下々の者を守り育むのは私の義務だ。(善) |
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関わり深いもの |
1 |
家族からの賞賛を得るためなら、どんな挑戦にも立ち向う。 |
2 |
わが家はさる貴族の家と親しく手を結んでいる。この紐帯はいかなる犠牲を払っても維持せねばならない。 |
3 |
わが家の者たちほど大切なものはない。 |
4 |
私はわが家と犬猿の仲のさる家の跡取り娘/息子を愛している。 |
5 |
王に絶対の忠誠を尽している。 |
6 |
下々の者からわれらが英雄と仰がれたい。 |
1d6 |
弱み |
1 |
心中ひそかにあらゆる者を見下している。 |
2 |
真に恥ずべき秘密を隠している。この秘密が発覚したなら家は永遠に破滅だ。 |
3 |
自分に向けられた言葉のはしばしに侮辱や脅迫を嗅ぎつけ、すぐに怒りを起す。 |
4 |
肉の喜びを求めて飽かない。 |
5 |
世界は自分を中心に回ると思っている。 |
6 |
しばしば言葉や行為によって一族に恥辱をもたらす。 |
貴族のヴァリアント:騎士
多くの社会において、騎士の位は貴族の位のなかで最も低いものであり、より高い位にいたる道でもある。 君が騎士になりたいなら、“貴族の特権”の特徴の代わりに“従者”の特徴を選択すること。その上で、君の従者のうち1人を“貴族”とすること(職業は松明持ちとなる)。その貴族は君に従士として従い君を助ける代わりに、いつか自分自身が騎士になるため君から訓練を受けている。このため、彼/彼女は(君が止めなければ)ダンジョンなどの明らかに危険な場所へもついて来てくれるし、戦闘遭遇に巻き込まれた際も、君のために戦おうとしてくれる(ただし、“トーチ”のオーラを起動している間は遠隔攻撃は行えない)。残る2人の従僕は、馬の世話をする馬丁(職業は獣の調教師AL)と、君の鎧を磨き君が鎧を着用するのを手伝う召使い(職業は近侍)であるとするのがよいだろう。 君は騎士道と宮廷風恋愛の理想を形にしたものを、すなわち愛する貴婦人/貴人から贈られた旗じるしその他の記念の品を清い献身のあかしとして装備品に含めてもよい。かのひとこそが君の“関わり深いもの”であるということにしてもよい。 |
最終更新:2022年09月06日 15:39