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騎乗戦闘
 本項で紹介されているのは騎乗戦闘に関するハウス・ルールである。

騎乗戦闘とは

 勇敢なる騎士が恐れを知らない軍馬にまたがり、ブルー・ドラゴンに突撃する。“防壁山脈”からやってきたドワーフのヒポグリフ騎兵が、暴れまわるハーピーの編隊を退けるべく戦いを挑む。ドラウの斥候部隊は巨大な蜘蛛にまたがって洞窟の天井を這い進み、愚かにも彼らの縄張りに足を踏み入れた地上人どもを監視する。ごくありふれた馬から吼え猛るダイア・ウルフに至るまで、ひとくちに乗騎と言ってもさまざまな選択肢がある。
 乗騎に乗ることによって、乗り手は3つの基本的な利益を得られる。乗騎はほとんどの人型クリーチャーよりも移動速度が速く、飛行や水泳などの移動モードが得られることもある上に、獰猛な乗騎であれば乗り手の攻撃と自分の攻撃を組み合わせることすらできるのだ。
 以下の騎乗戦闘のルールは、乗り手と乗騎の関係、乗騎に乗り降りする方法、そして乗り手と乗騎とが“あたかも1体のクリーチャーであるかのように、2体のクリーチャーのアクションや行動上の選択肢を組み合わせる”方法を定義している。
 なお、下線部分は、それが古蛇卓における独自裁定であることを示している。

乗騎の条件

 乗騎として用いることができるのは、以下の2つの条件を満たしているクリーチャーに限られる。
  • サイズ分類:そのクリーチャーのサイズ分類は乗り手よりも1段階以上大きくなければならない。たとえば、中型クリーチャーの乗騎は大型以上のサイズでなければならない。
      
  • 同意が必要:そのクリーチャーは乗騎になることに同意していなければならない。乗り手および乗り手の味方にとって、乗騎は“味方である”ものとみなされる。

乗騎への乗り降り

 クリーチャーが乗騎に乗ったり降りたりするための最も一般的な手段は、“乗る”および“降りる”のアクションを使用することである。乗騎に乗る、より一般的でない手段としては、瞬間移動や跳躍などがある。
  • 乗る(移動アクション):クリーチャーは自分に隣接する乗騎に乗り、その乗り手となる
     
  • 降りる(移動アクション):乗り手は乗騎から降り、乗騎の接敵面に隣接したマスのいずれかに移動する。
     
  • 一般的でない手段(移動アクション):クリーチャーが“自分が隣接していない乗騎に乗り、その乗り手となる”ためには、まず移動して乗騎に隣接し、接敵面内に入る際に追加の移動を消費する必要がある。この追加の移動は乗騎となるクリーチャーのサイズに応じて決定される。これは通常、移動アクションの一部だが、クリーチャーの移動を伴う、いかなるアクションの一部にもなりうる
     また、乗り手になろうとするクリーチャーは通常の移動の代わりに跳躍瞬間移動を行うこともできる
    • 跳躍:その移動が跳躍の場合、“なにかに手が届いた”距離(『PHB』P181、『RC』P133)が“乗騎となるクリーチャーの接敵面の高さ”以上なら、追加の移動を消費する必要はない。距離が足りなかった場合でも、(手が届いた高さ÷5)の2倍に等しいマスだけ追加の移動を少なくできる
    • 瞬間移動:その移動が瞬間移動の場合、移動できる距離がこの“乗騎となるクリーチャーの接敵面の高さ”以上なら、追加の移動を消費する必要はない
表:乗騎のサイズと追加の移動
乗騎のサイズ 追加の移動 接敵面の高さ
中型以下 2マス 1マス
大型 4マス 2マス
超大型 6マス 3マス
巨大 8マス以上 4マス以上

乗騎と乗り手に関するルール

 騎乗している間、乗騎と乗り手は以下のルールに従う。
  • 乗騎からの利益:多くの乗騎は、乗り手がいる場合のみ特殊な攻撃や利益を得たり、乗り手にそれらを与えたりする。このような特徴やパワーは[乗騎]キーワードを有する。[乗騎]キーワードを有する特徴やパワーには、“乗り手はACにボーナスを得る” といった単なるボーナスから、乗騎が使用できる特殊な攻撃まで、さまざまなものが存在する。
     [乗騎]キーワードを有する特徴やパワーの利益を得るには、乗り手が《騎乗戦闘》特技を有していなければならない。
     
  • 接敵面:乗り手と乗騎は、共に乗騎の接敵面を占める。乗り手への攻撃も参照のこと。
     しかしながら、乗り手のパワーその他の効果の起点マスは、乗騎のサイズに変化するわけではない。乗り手が起点マスのある効果(近接、遠隔、近接範囲、遠隔範囲のパワーなど)を使用する際には、まず乗り手が“起点マスが乗騎の接敵面のどこに位置するか”を決定する(機会攻撃などのトリガー型の効果に関しては、乗り手は乗騎と接敵面を共有しているものとみなされる)。たとえば中型サイズの乗り手が“近接範囲・爆発”の攻撃パワーを使用する際には、乗り手が乗騎の接敵面内の1つのマスを選択し、爆発はそのマス目を起点として広がる。従って、もしその爆発が爆発範囲内の(敵すべてではなく)クリーチャーすべてを目標とするものならば、乗騎にヒットを与えることも有り得る。
     
  • イニシアチブ:乗り手とその乗騎は、たとえ乗騎のイニシアチブが乗り手より早かったとしても、どちらも乗り手のイニシアチブ順に行動する。乗り手が乗騎から降りた後も、両者は同じイニシアチブで行動し続ける。
     ただし、ターンの処理は、乗り手が冒険者であるかモンスターであるかによって異なる。
    • 冒険者:乗り手が冒険者の場合、乗り手とその乗騎は同じ1つのターンを有する。アクション(冒険者のみ)の項も参照のこと。
    • モンスター:乗り手がモンスターの場合、乗り手とその乗騎は別々のターンを有する。
       
  • アクション(冒険者のみ):冒険者とその乗騎は、まとめて1そろいのアクション――1回の標準アクションと、1回の移動アクションと、1回のマイナー・アクション――を行なう。ただし、フリー・アクションは各々が別々に行うことができる。プレイヤーは乗り手と乗騎が冒険者のターンにこれらのアクションをどのように使用するかを決定できる。乗騎が1回の移動アクションを行なって歩行かシフトを行い、冒険者が1回のアクションを行なって攻撃するというのが最も一般的である。冒険者と乗騎は両者で毎ラウンド1回の即応アクションと毎ターン1回の機会アクションを共有する。冒険者とその乗騎のいずれかがアクションを行うことができない状況であっても、もう一方のクリーチャーは一揃いのアクションをすべて行うことができる。いずれかのクリーチャーが幻惑状態であるなら、そのクリーチャーは一揃いのアクションの内1つのアクションのみを行える(注:たとえば乗騎が幻惑状態で、乗り手がそのような効果を受けていない場合、プレイヤーは“冒険者に一揃いのアクションすべてを使用させる”か、あるいは“一揃いのアクションの内1つのアクションのみを乗騎に分配し、残りのアクションを冒険者に分配する”ことができる)。
     冒険者が乗騎から降りても、両者はそのターンの間は(注:騎乗していた時と同じく)依然として、通常の1そろいのアクションを乗り手と乗騎の間で分配するが、それ以後のターンにおいてはそれぞれが通常の1そろいのアクションを行えるようになる。
     
  • 移動:乗り手は乗騎が移動した際、同時に移動する。言い換えれば、乗り手は(乗騎から降りることなく)「自らの意思による移動」ができないことを意味する。突撃の項も参照のこと。
    • 運搬能力そのクリーチャーにとって乗り手およびその装備の重量は“そのクリーチャーが運搬している重量”とみなされる。
    • 別々のターン:乗り手と乗騎が別々のターンを有する場合、乗り手は1回の移動アクションを消費することで(乗騎相棒である場合、この移動アクションは“相棒”にアクションを行わせるために費やされたものとみなされる)、乗騎に1回のフリー・アクションとして、1回の移動アクションを行わせることができる。
       
  • 攻撃:乗り手はすべての攻撃ロールに-2のペナルティを受ける。
    • 乗騎の攻撃:典型的な乗騎ライディング・ホースなど)は、乗り手を乗せていない時に自発的に攻撃を行なうことはほとんどない。ただし戦闘訓練を受けている場合や、自分の身を守るために戦う場合や、どうあっても自分がこの乗り手を守るのだと思いこんだ場合は例外である。典型的な乗騎は、判断を自主性に任された場合、戦闘を避ける。
    • 突撃:乗り手が突撃を行なう場合、乗騎が最大でその乗騎の移動速度までの移動を行なった後に、乗り手が突撃攻撃を行なう。乗騎が突撃を行なう場合は、通常の突撃のルールに従う。
       
  • 無理矢理入り込む:乗騎が“無理矢理入り込んで”いる場合、乗り手もまた、“無理矢理入り込んで”いるものとみなされる。
     
  • 乗騎や乗り手を目標にする場合:乗騎と乗り手は同一の接敵面を占めてはいるが、しかし依然として別々のクリーチャーであり、別々に目標となる。たとえば1体のクリーチャーのみを目標とする攻撃は、乗騎と乗り手のどちらか片方を目標とすることができるのであって、両方を目標とすることはできない。いっぽう、たとえば“遠隔範囲・爆発”の攻撃は、乗騎と乗り手の双方に作用を及ぼし得る――なぜなら両者が同一の接敵面を占めているからである。
    • 乗り手への攻撃:乗り手に対して近接攻撃または遠隔攻撃を行う場合、以下のルールに従う:
      • 近接攻撃:クリーチャーが乗り手に対して近接攻撃を行う場合、乗り手は“乗騎の接敵面内の、(乗騎の接敵面の高さ-1)マスの高さにいる”とみなされる。たとえば大型サイズの乗騎(接敵面の高さが2)の乗り手の高度は(乗騎基準高にいるなら)“1”となる。もし乗り手が“攻撃者の間合い内にいるものの、その高度が攻撃者よりも1以上高く、かつ高度の差を距離に加えたなら間合い外になってしまう”なら、攻撃者は乗り手に対して近接攻撃の攻撃ロールに-2のペナルティを受ける。ただし、スピア類および長柄武器類に属する武器、またはノダチ使用している者はこのペナルティを受けない。
      • 遠隔攻撃:クリーチャーが乗り手に対して遠隔攻撃を行う場合、乗騎は“その射線上にいる他の敵”とみなされる。つまり、乗り手は部分遮蔽を得る
         
  • 機会攻撃の誘発:乗騎の移動が機会攻撃を誘発した場合、攻撃者は乗り手と乗騎のどちらか好きな方に機会攻撃を行なえる。なぜなら両者はいっしょに動いているからである。いっぽう、乗騎または乗り手のいずれかが遠隔攻撃または遠隔範囲攻撃を行なうことによって機会攻撃を誘発した場合には、機会攻撃を行なう者は、乗騎と乗り手のうち“その機会攻撃を誘発したほう”を目標とせねばならない。近接攻撃の項も参照のこと。
     
  • 強制移動:
    • 乗騎の強制移動:乗騎が押しやられたり、引き寄せられたり、横滑りさせられたりする際には、乗り手は乗騎と一緒に移動する。
    • 乗り手の強制移動:乗り手が押しやられたり、引き寄せられたり、横滑りさせられたりしたが、乗騎は同じ強制移動を被らなかった時は、乗り手は即座に1回のセーヴィング・スローを行なえる(軍用鞍を固定された乗騎に騎乗している乗り手は、このセーヴィング・スローに+5ボーナスを得る)。ロール結果が10以上なら、乗り手は“自分と乗騎の両方が一緒に移動する”ことができる。ロール結果が10未満であるか、セーヴィング・スローを行わなかった場合、乗り手は乗騎から降ろされ、強制移動の終着点で倒れて伏せ状態になる。
       
  • 瞬間移動:乗騎と乗り手のどちらかが瞬間移動する/される際、もう一方は、一緒に瞬間移動するわけではない。
    • 乗騎の瞬間移動:乗騎が乗り手ぬきで瞬間移動したならば、乗り手は乗騎から降ろされ、倒れて伏せ状態になる。
       
  • 伏せ状態
    • 乗騎伏せ状態にされた:乗騎伏せ状態にされたならば、乗り手は乗騎から降ろされる。そして乗り手は伏せ状態となった乗騎に隣接するいずれかのマス(乗り手が選ぶ)で伏せ状態になる。もし乗騎が飛行中に伏せ状態にされたならば、乗騎伏せ状態になるかわりに落下し、そして乗り手は(乗騎が地面に達して伏せ状態になるのでない限り)乗騎から降ろされることはない。
    • 乗り手が伏せ状態にされた:いっぽう、乗り手が伏せ状態にされたならば、乗り手は即座に1回のセーヴィング・スローを行なえる(軍用鞍を固定された乗騎に騎乗している乗り手は、このセーヴィング・スローに+5ボーナスを得る)。ロール結果が10未満なら、乗り手は乗騎から降ろされ、乗騎に隣接するいずれかのマス(乗り手が選ぶ)で倒れて伏せ状態になる。ロール結果が10以上なら、乗り手は乗騎から降ろされることも、伏せ状態になることもない。
       乗り手が自発的に伏せ状態になった場合、乗り手はその乗騎に隣接するいずれかのマス(乗り手が選ぶ)で倒れて伏せ状態になる。

追加ルール

同乗者

 1体の乗騎に複数のクリーチャーが騎乗している場合、乗り手以外のクリーチャーは“同乗者”とみなされる。
 同乗者は概ね乗り手に関するルールに従うが、以下の点で異なる。
  • イニシアチブ(同乗者):同乗者は自身のイニシアチブ順に行動し、乗り手(とその乗騎)とは別々のターンを有する。
     
  • アクション(同乗者):同乗者は乗り手のように乗騎とまとめて1そろいのアクションを行なうことはない。
     
  • 突撃(同乗者):同乗者は(乗騎から降りることなく)突撃を行うことができない。
     
  • 強制移動(同乗者):強制移動に関して、同乗者は以下のルールに従う。
    • 乗騎が押しやられたり、引き寄せられたり、横滑りさせられたりする際には、すべての同乗者も乗騎とともに移動する。
    • 乗り手が押しやられたり、引き寄せられたり、横滑りさせられたりしたが、乗騎も同乗者も同じ強制移動を被らなかった際、乗り手が“自分と乗騎が一緒に移動する”場合、すべての同乗者も乗騎とともに移動する。
    • 同乗者が押しやられたり、引き寄せられたり、横滑りさせられたりしたが、乗り手は同じ強制移動を被らなかった時は、乗り手は乗り手の強制移動:の場合と同様に即座に1回のセーヴィング・スローを行なえる。ロール結果が10以上なら、乗り手は“自分と乗騎と他の同乗者すべてが選択した同乗者と一緒に移動する”ことにできる。乗り手がそうしなかった場合、強制移動の作用を受けた同乗者は乗騎から降ろされ、強制移動の終着点で倒れて伏せ状態になる。
       もし複数の同乗者が強制移動を被った場合、乗り手はセーヴィング・スローを行う前に強制移動を被った同乗者のうち1人を選択しなければならない。乗り手に選択されなかった同乗者は乗騎から降ろされ、強制移動の終着点で倒れて伏せ状態になる。

乗騎から降ろされる OP

 瞬間移動や“降りる”アクションによらず乗騎から降りたり、降ろされたクリーチャーは落下したとみなされる。
 この選択ルールを導入した場合、不幸なクリーチャーは乗騎から降ろされた際、落下ダメージを受けた上で伏せ状態になるハメになるが、身軽な(注:〈軽業〉を“修得済み”で“落下ダメージの軽減”を試みれる)乗り手は伏せ状態になることなく安全に着地できるかもしれない。
表:乗騎のサイズと落下距離
乗騎のサイズ 接敵面の高さ 落下距離
大型以下 2マス 10フィート
超大型 3マス 15フィート
巨大 4マス以上 20フィート以上
最終更新:2023年03月11日 11:15