アンデッド
アンデッドは、死霊術の魔法や不浄な呪いなどの力でおぞましい不死の姿に変化した“かつては生きていた”クリーチャーだ。アンデッドには
ヴァンパイアやゾンビなどの“歩く死体”もいれば、ゴーストやスペクターのような肉体を持たない亡霊もいる。
異形
“異形”は完璧に異質な存在だ。異形の多くは生まれつき魔法を使う能力を持っているが、それはこの世界の神秘的な力に由来するものではなく、異形クリーチャー自身の異質な精神に由来するものである。異形の典型例は、アボレス、スラード、ビホルダー、マインド・フレイヤーだ。また、“彼方の領域”を出身とするか、同次元界の影響を受けたクリーチャーも異形である。
エレメンタル
“エレメンタル(元素精霊)”は
内方次元界(元素界とも呼ばれる)の住人だ。
この種別に属するクリーチャーには、
自律行動能力を備えた特定の元素の塊に過ぎないものもいる。ファイアー・エレメンタルなどの単に“エレメンタル”と呼ばれる者たちはその一例である。
また、ジンやイフリートなどのジンニーたちのような、元素エネルギーを帯びた生物的な肉体を持つエレメンタルもいる。彼らは諸元素界において最も重要な文明を築いている。
他のエレメンタルとしては、インヴィジブル・ストーカー、ウォーター・ウィアード、エイザーなどがいる。
怪物
“怪物”とは最も狭義の“モンスター”である――すなわち、普通でなく、自然でもなく、(ごく一部の例外を除いて)善良でもない、恐るべきクリーチャーだ。アウルベアのように魔法実験の暴走によって生まれたものもいれば、
メドゥサやユアンティのように恐るべき呪いによって生まれたものもいる。怪物を細かく分類することは不可能であり、他の種別に収まらないクリーチャーをまとめて放り込むために作られた種別であるとも言える。
巨人
“巨人”はヒューマンやその親戚よりも遥かに大きい。姿形は人型だが、頭が2つあったり(エティン)、畸形を持つ(フォモール)者もいる。中でも、ヒル・ジャイアント、ストーン・ジャイアント、フロスト・ジャイアント、ファイアー・ジャイアント、クラウド・ジャイアント、ストーム・ジャイアントの6種類は“トゥルー・ジャイアント(本物の巨人族)”と呼ばれる。また、オーガやトロルといったクリーチャーも巨人に含まれる。
植物
クリーチャーの種別としての“植物”は、普通の草木ではなく、植物質の体を持つクリーチャーを指す。植物クリーチャーのほとんどは歩行能力を備えており、肉食のものも少なくない。植物クリーチャーの代表格はシャンブリング・マウンドとトリエントだ。ガス・スポアやマイコニドなどの菌類クリーチャーもこの種別に含まれる。
人造
“人造”は産まれるのではなく、造られる。作成者が設定した単純な命令に従う人造もいれば、知性を与えられて独立した思考能力を持つ人造もいる。人造のうち、前者の代表格はゴーレムだ。後者の代表格である
メカヌスの住人の中で大多数を占めるモドロン――
外方次元界の1つである
メカヌスの原物質を材料として、より強力なクリーチャーの意志によって作り出された存在――である。
- 完全耐性:人造は“生きているクリーチャー”ではない。そのため、生きているクリーチャーのみを目標とする効果は人造に対して機能しない。また、人造は呼吸したり、食べたり、眠る必要がない。さらに、[催眠]効果および[病気]効果に完全耐性を有する(完全耐性:欄に“人造”と記述される)。
セレスチャル(天の存在)は
上方次元界の住人だ。セレスチャルの多くは神々のしもべであり、神の使者または活動員として、定命の世界および他の次元界に送り込まれる。セレスチャルは本質的には善の存在であり、善属性を踏み外すセレスチャルなどというものは、ほぼいないといってよい。セレスチャルには
エンジェル、コアトル、ペガサスなどが含まれる。
大群UP
“大群”は複数のクリーチャーの集団である。大群は副次的な種別であり、以下のルールに従う:
- 1体のクリーチャー:1つの大群は1体のクリーチャーとみなされる。
- サイズ・種別:大群の“サイズ・種別”は次のように記述される:
[大群を構成するクリーチャーのサイズ]の[大群を構成するクリーチャーの種別]からなる[大群のサイズ]の大群
例:スウォーム・オヴ・バッツ(コウモリの大群)は、バット(超小型の野獣)で構成されている中型の大群UPであり、データ・ブロックの“サイズ・種別”欄には“超小型の野獣からなる中型の大群”と記述される。
- 接敵面:大群の接敵面の形状は常に立方体とは限らない:飛行移動速度を持たないクリーチャーで構成される大群の接敵面の高さは、その大群のサイズ分類に関わらず“その大群を構成するクリーチャーのサイズ分類のもの”に等しい。
大群は他のクリーチャーと同じマスを占めることができる。敵は大群の接敵面内に入り込むことができるが、大群の接敵面内は“移動困難な地形”とみなされる。
- 完全耐性、抵抗、脆弱性:大群は近接攻撃または遠隔攻撃によって押しやられる/引き寄せられる/横滑りさせられることも、つかまれることもない(完全耐性:欄に“大群の完全耐性”と記述される)。
大群は近接攻撃および遠隔攻撃からは半減ダメージを受ける(抵抗:欄に“大群の抵抗”と記述される)。ただし、そのダメージの発生源も大群である場合、この抵抗を無視される。
大群は近接範囲攻撃および遠隔範囲攻撃に対する“級”ごとに5の脆弱性を有する。また、風がどう効果を及ぼすかに関しては、実際のサイズではなく、“その大群を構成するクリーチャーのサイズ”であるものとみなされる。加えて、hpを回復できない。重傷の間、大群は半減ダメージを与える(脆弱性:欄に“大群の脆弱性”と記述される)。
- 無理矢理入り込む:大群は、それを構成するクリーチャーの1体でも通り抜けられるだけの大きさの開口部なら“無理矢理入り込む”ことができる。たとえば、スウォーム・オヴ・バッツのサイズは中型だが、1体の超小型のバットが入り込めるだけの大きさの開口部なら“無理矢理入り込む”ことができる。
ドラゴン
ドラゴン(竜)は太古から存在し、とてつもない力を備えた、身体の大きな爬虫類に似たクリーチャーだ。善なるメタリック・ドラゴン(金属竜)および悪のクロマティック・ドラゴン(色彩竜)を含むトゥルー・ドラゴン(真竜)は高い知性と生まれつきの魔法を備えている。また、この種別には、ワイヴァーンやスードゥドラゴンなど、トゥルー・ドラゴンの遠い血縁ではあるが力も知力も魔法も劣るクリーチャーたちも含まれている。
粘体
“粘体”はほぼ常に不定形なゼラチン状のクリーチャーだ。ほとんどの粘体は地下に棲み、洞窟やダンジョンを徘徊して、ゴミや死肉(そして運悪く粘体と出くわしたクリーチャーを)喰らう。粘体の代表格と言えば、何と言ってもブラック・プティングとゼラチナス・キューブだろう。
- 移動速度:クリーチャーをつかんでいない間、粘体は幅1インチ以上の場所であれば“無理矢理入り込む”ことができる。
また、“無理矢理入り込”んでいる間でも、半分の移動速度ではなく通常の移動速度で移動し、攻撃ロールには-5のペナルティを受けず、さらに“無理矢理入り込”んでいることで戦術的優位を与えない。(移動:欄に“;粘体”と記述される)。
人型生物(人型)
人型生物はD&D世界で多数派を占める“人々”だ。人型生物には文明的な者もいれば野蛮な者もおり、ヒューマンをはじめとして多種多様な種族が存在する。人型生物は言語と文化を持つ。生まれつき魔法的な能力を持つ種族も少数ながら存在するが、ほとんどの人型生物は学習によって魔法の使い方を身につけることができる。人型生物は二足歩行に適した肉体を持つ。最も一般的な人型生物は、PCに最もふさわしい種族(
ヒューマン、
ドワーフ、
エルフ、
ハーフリング)だ。これと同じくらい数が多いが、はるかに野蛮で暴力的で、ほぼ例外なく悪なのが、ゴブリン類(
ゴブリン、
ホブゴブリン、
バグベア)、
オーク、
ノール、
リザードフォーク、
コボルドだ。
冒険者たちの種別は特記ない限り“人型”である。
フィーンド(魔物)は
下方次元界の住人である邪悪なクリーチャーだ。神格に仕えている者も多少はいるが、
アーチデヴィルや
デーモン・ロードの下で働いている者のほうが多い。邪悪な司祭や魔法使いには物質界にフィーンドを召喚して使役することがある。悪の
セレスチャルが極めて稀に存在するのに対して、善のフィーンドなどというものはほとんど想像すらできない。フィーンドには
デヴィル、
デーモン、ヘル・ハウンド、
ユーゴロス、ラークシャサなどが含まれる。
フェイ
フェイ(妖精)は自然の諸力と密に結びついた魔法的なクリーチャーで、黄昏の木立や霧の森をうろついている。いくつかの世界において、フェイは妖精界フェイワイルドとも密に結びついている。
上方次元界、とりわけ
アルボレアと
ビーストランズに住むフェイも少なくない。
サテュロス、ドライアド、
ピクシーなどは皆フェイである。
野獣
野獣はファンタジー世界の生態系の自然な一部であるクリーチャーのうち、
人型生物以外の者たちだ。野獣の中には魔法的な力を持つ者もいるが、ほとんどは知性が低く属性や言語を持たない。野獣にはあらゆる普通の動物、恐竜、そして普通の動物の巨大版(ジャイアント・~)が含まれる。
クリーチャーの種別の直後に、( )つきでいくつかの“タグ”が付記されていることがある。
例:フィーンド(
デーモン)。この( )内のタグは、
副種別と呼ばれ、そのクリーチャーが特定の種族またはクリーチャー群に属することを示している。
特記ない限り副種別キーワード自体にはルール的な効果はないが、ゲーム内の何か(魔法のアイテムなど)が特定の副種別キーワードに言及していることはある。たとえば、デーモンと戦うのに役立つ槍は、(
デーモン)の副種別を持つあらゆるクリーチャーに対して有効である。
クリーチャーの副種別の項も参照のこと。
特殊な副種別
(アーチデヴィル)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
準神格の項も参照のこと。
- クリーチャーの副種別に関わる効果に関しては、そのクリーチャーは(神)および(デヴィル)であるともみなされる。
- 識別:(アーチデヴィル)は識別する際には(神)であるとみなされる:〈宗教〉を用いて判定しなければならず、かつ〈宗教〉が“修得済み”でなければならない。
(アスペクト)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
準神格の項も参照のこと。
- クリーチャーの副種別に関わる効果に関しては、そのクリーチャーは(神)であるともみなされる。
- 識別:(アスペクト)は識別する際には(神)であるとみなされる:〈宗教〉を用いて判定しなければならず、かつ〈宗教〉が“修得済み”でなければならない。
生ける人造
(生ける人造)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
- 種別:クリーチャーの種別に関わる効果に関しては、そのクリーチャーは本来の種別であると同時に人造であるものとみなされる。
- 完全耐性:(生ける人造)は人造と同様の完全耐性を有するが、以下の点が異なる。(生ける人造)は“生きているクリーチャー”である(完全耐性:欄に“生ける人造”と記述される)。
(神)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
- 識別:(神)を識別するには〈宗教〉を用いて判定しなければならず、かつ〈宗教〉が“修得済み”でなければならない。
(霧状)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
霧状化の項も参照のこと。
- 移動速度:(霧状)であるクリーチャーは少なくとも“飛行2(ホバリング;高度限界0)”に移動モードを有する。
また、他のクリーチャーと同じマスを占めることができる。敵はこのクリーチャーの接敵面内に入り込むことができる。加えて、このクリーチャーは空気が通れるほどの隙間であれば“無理やり入り込む”ことなく通過できる。しかし、水中などの液体や“強風”のマスに入るたび、1マス多い移動と数える(移動:欄に“;霧状”と記述される)。
- 完全耐性:(霧状)であるクリーチャーはつかまれた状態および石化状態に完全耐性を有する。また、[出血]ダメージに対して完全耐性を有する(完全耐性:欄に“霧状”と記述される)。
さらに、呼吸したり、食べたり、眠る必要がない。
- 抵抗:(霧状)であるクリーチャーは[殴打]ダメージ、[斬撃]ダメージ、[刺突]ダメージから半減ダメージを受ける(抵抗:欄に“霧状”と記述される)。
- 脆弱性:(霧状)であるクリーチャーは風がどう効果を及ぼすかに関しては、実際のサイズよりも2段階小さいものとして扱われる(脆弱性:欄に“霧状”と記述される)。
- 〈隠密〉判定:“隠れ身”のための〈隠密〉判定に+10パワー・ボーナスを得る(技能:欄に“霧状”と記述される)。
- 物体の操作:(1)物体の操作を行えず、(2)いかなる物体も運搬できない。
ゴブリン類
ゴブリンと
バグベアと
ホブゴブリンは、
ハーフリングと
エルフと
ドワーフが別の種族であるのと同じ程度に別の種族であり、それぞれが独自の性向、外見、文化、そして神々を持っているが、“征服神”マグルビイェト(
“暁の戦”ではベイン)によって1つにまとめ上げられている。
(ゴブリン類)の副種別を持つクリーチャーの副種別は、その種族ではなく(ゴブリン類)となる。
自律体
自律体(自律行動物体)は、魔法によって自律行動能力を与えられた物体である。
(自律体)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
(水棲)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
水中戦闘の項も参照のこと。
- 水中で呼吸できる。“水中呼吸”の脆弱性を有していなければ、水の外でも通常どおり生存できる。
- 水泳移動速度を有する。
(タイタン)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
準神格の項も参照のこと。
- クリーチャーの副種別に関わる効果に関しては、そのクリーチャーは(神)であるともみなされる。
- 識別:(タイタン)は識別する際には(神)であるとみなされる:〈宗教〉を用いて判定しなければならず、かつ〈宗教〉が“修得済み”でなければならない。
(地下)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
- 視覚:暗視、擬似視覚、振動感知または超視覚のいずれかの特殊感覚を有する。
- クラス技能:(地下)クリーチャーにとって、〈地下探険〉は常にクラス技能である。
- 識別:(地下)クリーチャーを識別するには、識別する者が(地下)クリーチャーでない限り、〈地下探険〉が“修得済み”でなければならない。
(デーモン・ロード)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
準神格の項も参照のこと。
- クリーチャーの副種別に関わる効果に関しては、そのクリーチャーは(神)および(デーモン)であるともみなされる。
- 識別:(デーモン・ロード)は識別する際には(神)であるとみなされる:〈宗教〉を用いて判定しなければならず、かつ〈宗教〉が“修得済み”でなければならない。
人間の血
(人間の血)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
- クリーチャーの種族および副種別に関わる効果に関しては、そのクリーチャーは本来の種族や副種別であると同時にヒューマンであるものとみなされる。
(非実体)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
非実体化の項も参照のこと。
- 移動速度:(非実体)であるクリーチャーは位相移動を行える(移動:欄に“;非実体”と記述される)。
- 完全耐性:(非実体)であるクリーチャーはつかまれた状態および石化状態に完全耐性を有する。また、[出血]ダメージに対して完全耐性を有する(完全耐性:欄に“非実体”と記述される)。ただし、その発生源も(非実体)であるか[力場]製である場合、つかまれた状態に対する完全耐性は無視される。
さらに、呼吸したり、食べたり、眠る必要がない。
- 抵抗:(非実体)であるクリーチャーは“非物質的”である。雑魚であるなら、ダメージを受けた際に1回のセーヴィング・スローを行なうことができ、成功したならダメージを受けない(抵抗:欄に“非実体”と記述される)。
ただし、(1)そのダメージ種別が[精神]ダメージまたは[力場]ダメージであるか、(2)その発生源も(非実体)である場合、この抵抗は無視される。
- [武器]攻撃:(非実体)であるクリーチャーは、そうでない目標のACに対して行う[武器]攻撃において、ACではなく反応防御値に対して行うことができる。この時、その目標は盾を使用していることによる利益を得られない。
- 〈隠密〉判定:“隠れ身”のための〈隠密〉判定に+10パワー・ボーナスを得る(技能:欄に“非実体”と記述される)。
人型怪物
(人型怪物)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
(竜の血)の副種別を持つクリーチャーは以下の特性を有する。
- クリーチャーの種別に関わる効果に関しては、そのクリーチャーは本来の種別であると同時にドラゴンであるものとみなされる。
ただし、そのクリーチャーは、決してトゥルー・ドラゴンであるとはみなされない。
- ドラゴンボーンの種族特技の項も参照のこと。