個性と背景 > 背景

+ 目次

背景
 本項のルールはキャラクターの背景に関連するハウス・ルールである。

代替ルール

 本項のルールは『PHB2』p178などに掲載されているキャラクターの背景代替ルールである。
 代替版背景は、具体的な利益(特徴、習熟、言語)ロールプレイに関する示唆(おすすめの人物像)の双方を提供する。
 このサイトに掲載されているのは汎用的な背景である。本項には、君が汎用的な背景をカスタマイズしたり背景を自作する際の指針も書かれている。

背景AL

 あらゆる物語には始まりがある。君のキャラクターがどこから来たのか、どのように冒険者になったのか、そして世界にどのような位置を占めているのかといったことを明らかにするのが背景だ。君のファイターは勇敢な騎士かもしれないし、白髪交じりの兵士かもしれない。君のウィザードは賢者だったかもしれないし職人だったかもしれない。君のローグはギルドの盗賊として活動していたかもしれないし、拍手の雨を浴びる道化師だったのかもしれない。
 背景を決定することで、キャラクターのアイデンティティに関する重要な物語的手掛かりが手に入る。

君の背景に関連して尋ねるべき最も重要な質問は、

 「冒険者になったことで何が変わったか?」あるいは「何が変わったことで冒険者になったのか?」

ということだ。
  • 君はなぜ背景で説明されているものをやめ、冒険を始めたのだろう?
  • 最初の装備を買うための資金をどこで手に入れたのだろう?
    あるいは裕福な背景の出身である場合、なぜ君は“もっとたくさんの”お金を持っていないのだろう?
  • 君は自分のクラスの技術をどのように学んだのだろう?
  • “君と同じ背景を持つ普通の人たち”と君を異なったものにしたのは、いったい何だったのだろう?

背景の利益

 君は背景から次の利益をすべて得る:修得技能道具習熟追加言語初期装備、そして特徴
  • 修得技能:背景は通常2つの技能を“修得済み”にしてくれる。
     君がクラス技能や特徴、特技などによって、背景によって“修得済み”にできる技能をすでに“修得済み”にしている場合、代わりに(1)別の技能1つを選んで“修得済み”にするか、(2)その技能判定に+2ボーナスを得るか、のいずれかを選択することができる。
     
  • 道具習熟:背景のうちほとんどのものが1種類以上の道具に対する習熟を与えてくれる。
     君がクラス技能や特徴、特技などによって、すでに背景によって習熟にできる道具に習熟にしている場合、代わりに別の道具1つを選んで習熟することができる。
     
  • 追加言語背景の中には、種族によって得られるもの以外に追加言語の修得を可能とするものがある。
     君が特徴、特技などによって、すでに背景によって追加できる言語を修得している場合、代わりに別の言語1つを選んで修得することができる。
     
  • 初期装備:それぞれの背景は一揃いの追加の初期装備を与えてくれる。
     
  • 特徴:それぞれの背景は、その背景に基づいた特徴を与えてくれる。

おすすめの人物像

 各背景には、その背景に基づいた、君のキャラクターの個性を肉付けするための“おすすめの人物像”――すなわち人格的特徴尊ぶもの関わり深いもの弱み――が示されている。これは“君と同じ背景を持った普通の人たち”が世界の中にどう位置づけられているかも示している。
 君は人格的特徴を2つ、尊ぶものを1つ、関わり深いものを1つ、弱みを1つを決定する際、そこから選ぶか、ダイス・ロールしてランダムに決めるか、あるいはそれを参考にして自分で決めるかすることができる。
 おすすめの人物像君の想像のきっかけになりそうなものとして示されている。君はこれに縛られる必要はないが、よい出発点とはなるだろう。

汎用的な背景

  • イカサマ師/Charlatan:君は人の心をつかむのがうまい。これはまったく役に立つ才能であり、そして君はこの才能を利用する気満々である。
  • 異邦人/Far Traveler:君はずっと遠くから来た。そこはあまりにも遠いので、冒険の舞台となる地の大方の人は、そんな土地があることすら知らない。
  • 隠者/Hermit:君は世を遁れて隠棲のうちの人となった。
  • 貴族/Noble:君は富、権力、特権の何たるかをよく知っている。君には貴族の称号があり、君の家族は土地を所有し税を集め少なからぬ政治的影響力を有している。
     この背景は騎士の背景としても使用できる。
  • 求道者/Seeker:君は武術や魔術や学問など、とある(あまり日常的には用いられない)一つのものを極めるために、それに関連する様々な技術を学んでいる。
  • ギルドの職人/Guild Artisan:君は1種類の職人ギルドの構成員であり、特定分野の技術を有し、他の職人たちと密接に結びついている。
     この背景はギルドの商人の背景としても使用できる。
  • 芸人/Entertainer:君は観衆の前で最も輝く。観衆の心をつかみ、楽しませ、さらには励ますすべを君は知っている。
     この背景は剣闘士の背景としても使用できる。
  • 賢者/Sage:君は長らく多元宇宙の知識を学んできた。
  • 侍祭/Acolyte:君は特定の神あるいは神々にささげられた寺院での奉仕に人生を過ごしてきた。
     この背景は組織の工作員の背景としても使用できる。
  • 犯罪者/Criminal:君は年季の入った犯罪者であり、何度も法を犯し、他の犯罪者と長らく交際してきた。
     この背景はスパイの背景としても使用できる。
  • 船乗り/Sailor:君は長らく船に乗り海を旅してきた。だが今や、新しい仕事に乗り出す時が来たのだ。
     この背景は海賊の背景としても使用できる。
  • 浮浪児/Urchin:君は貧しい孤児としてたった独りで路上で育った。
  • 兵士/Soldier:物心ついた頃からずっと、戦いが君の人生だった。
     この背景は歴戦の傭兵の背景としても使用できる。
  • 辺境育ち/Outlander:君は文明から遠く、安楽な街から遠く、進んだ技術から遠い荒野で成長した。
  • 放浪者/Wanderer:放浪者である君は果てしない冒険を続けている途中だ。
  • 民衆英雄/Folk Hero:君は貧しい民衆の出だが、ただ人では終らぬ運命を背負っている。
     この背景は継承者の背景としても使用できる。

背景のカスタマイズ

 君は汎用的な背景の特徴の一部を自分のPCやキャンペーン世界により沿った形に微調整したいと考えるかもしれない。
 汎用的な背景をカスタマイズする場合の手順は以下の通り(君は以下のステップのうち、任意のステップをスキップしてもよい):
  • 背景と地域の関連付け:君は自分の背景を、“君の出身地域または君が受け継いだ文化を定義する地域”1つと関連付けることもできる。そのような地域を1つ選ぶこと。“地域特典”を得るも参照のこと。
     
  • 特徴のカスタマイズ:汎用的な背景特徴をどれでも好きなものに置き換える。
     君が望むものをぴったりと表すような特徴がない場合、DMと相談して特徴をこしらえること。背景の自作の項のステップ5:背景の特徴を定めるも参照のこと。
     
  • 修得技能のカスタマイズ:2つの好きな技能を選び、汎用的な背景修得技能と置き換える。
    • 地域特典を得る:君は背景と地域の関連付けで選択した地域の地域特典を得(*1)、加えて“その地域に関連した言語”1つをボーナス言語として得ることができる(*2)。地域特典については『FRPG』P74を参照のこと。
       この選択をした場合、君は技能を2つ選ぶ代わりに、“技能を1つだけ選択し、背景の修得技能と置き換える”こと(これによって君の背景による修得技能は1つだけとなる)。
      • クラス技能リストを拡張する地域特典:いくつかの地域特典は君のクラス技能リストに技能を追加してくれる。
         この時、地域特典によって追加される技能がすでに君のクラスのクラス技能リストにあるものだった場合、君はクラス技能リストに新たな技能を追加するのではなく、“地域特典によってクラス技能リストに追加される技能”の技能判定に+2ボーナスを得る
         
  • 道具習熟追加言語のカスタマイズ:道具習熟追加言語が合計で2つになるように選び、汎用的な背景のものと置き換える。
     
  • 初期装備のカスタマイズ:DMと相談して汎用的な背景初期装備を好きなものに置き換える。
     
  • “おすすめの人物像”“君と同じ背景を持った普通の人たち”が世界の中にどう位置づけられているかを示すものであり、かつ君はこのオプションに縛られる必要はないため、そのままでいいだろう。

背景ALの自作

 君は汎用的な背景よりも、君の参加するセッションまたはキャンペーンに登場する特定の勢力、組織、文化などにより強く結びついた、君のPCがこの世界に占める位置をはっきりさせる背景を自分のPCに持たせたいと考えるかもしれない。
 たとえばフォーゴトン・レルム世界の“キャンドルキープの侍祭”という背景を作ってみることもできる。それは機能の上では“賢者”の背景に似ているが、PCを特定の土地と特定の組織により強く結びつけるのに役立つ。たとえば、
  • “キャンドルキープの侍祭”の背景を持つキャラクターは、公言者(注:キャンドルキープの大図書館を維持する修道士たち)の中に友人を持っているかもしれない。
  • また、そのキャラクターは自由に大図書館に出入りして中の知識を閲覧できる(注:通常は珍しい、あるいは価値の高い、知識を含んだ書物を寄付してはじめて入館を許される)。
  • キャンドルキープの敵はキャラクターの敵であり、キャンドルキープの味方はキャラクターの友である。
  • キャンドルキープの侍祭はおおむね、学識豊かな賢者であり、知識を守る者とみなされる。それゆえ、NPCがキャラクターの背景を知り、助力を求めて近づいてくることで、さまざまな面白いやりとりが生まれることが予想できる。
……などといった具合である。
 背景を自作するには以下の手順を踏むとよい:背景を君の世界と結びつける“おすすめの人物像”を示す技能と道具習熟、言語を割り当てる初期装備を決める背景の特徴を定める

ステップ1:背景を君の世界と結びつける
 新しい背景を君のPCが参加するセッションやキャンペーン・セッティングに根付かせるために、その背景がセッション/キャンペーンのどの要素と深く関わり合っているのかを決めよう。勢力なのか、組織なのか、通商なのか、個人なのか、できごとなのか、土地なのか。
 背景と地域の関連付けも参照のこと。

ステップ2:“おすすめの人物像”を示す
 “おすすめの人物像”、すなわち人格的特徴尊ぶもの関わり深いもの弱みの表を作成しよう。背景にあわせて自作してもいいし、汎用的な背景の表から良さそうな記述を引っ張ってきてもいい。君は実際にはこの表を使わないとしても、この手順を踏んでおけば、その背景が君のPCの世界の中にどう位置づけられるかを示すのに役立つ。表は本格的なものでなくてもいい。1つの表の選択肢が2、3項目しかなくても構わない。

ステップ3:修得技能道具習熟追加言語を割り当てる
 その背景に対応する修得技能を2つ、道具習熟を2つ選ぶ。このとき、
  • 修得技能を1つ減らす”ことで、『FRPG』などに掲載されている“地域特典”を1つ得ることができる。
     もし、地域特典を得ることを選択し、かつその地域特典から地域に関連する追加の言語が得られない場合、ボーナス言語として、くだんの地域に関連した言語1つを得ることができる
  • 道具習熟を1つ減らすごとに追加言語を1つ増やすことができる。

ステップ4:初期装備を決める
 背景に対応した初期装備を決める。初期装備には、PCが冒険者となる前に手に入れた品をいくつかと、背景固有の品を1つか2つ入れておくべきだろう。
 たとえば、“キャンドルキープの侍祭”の背景を持つキャラクターの初期装備には旅人の服、学者のローブ、ろうそく5本、ほくち箱、キャンドルキープの紋章を彫り込んだ巻物入れ(中身は空)、ベルトポーチ(10gp入り)が含まれるだろう。巻物入れはキャンドルキープの侍祭が冒険の生活に入る時に下される贈りものなのかもしれない。君のDMの判断次第では、巻物入れの中に役立つ地図が一枚入っていることもあるだろう。

ステップ5:背景の特徴を定める
 既存の背景から特徴を1つ選択するか、新規の特徴を君のDMと相談して特徴を自作すること。どちらでも好きなほうでよいが、既存の背景の特徴を使う場合、細部を1つ2つ変えるか足すかして変化をつけるとよい。
 たとえば、“キャンドルキープの侍祭”の背景には、“賢者”と同じく“研究能力”があり、加えてキャラクターは通常の謝礼を払わずともキャンドルキープに入ることができるといったぐあいである。
 背景の特徴が“純粋にゲーム的な利益”であるというのはあまりよろしくない。背景の特徴は、むしろロールプレイや、探険や、その他何らかの形で世界と関わり合う際に選択肢が増えるようなものであることが望ましい。
 例えば“賢者”の“研究能力”の特徴は、PCを冒険に旅立たせるために作られている。それは情報を直接与えるわけではない。判定を自動成功させるわけではない。ただ、“賢者”の背景を持つPCが情報を思い出すのに失敗したとき、“どこに行けばわかるか”がわかるというだけである。これにより、別の賢者が、あるいは太古の廃墟の中の失われて久しい書庫が指し示される。
 どんな“背景の特徴”が一番いいか。それはキャラクターに探索の旅に出る理由を与えるもの、NPCとの接触に役立つもの、キャラクターがDMの創造した世界とのつながりを深めるのに役立つものが一番いいのである。
最終更新:2022年09月03日 18:25

*1 1つの地域に複数の“地域特典”の選択肢がある場合、その中から1つを選択して得る。

*2 どの言語が“その地域に関連した言語”であるかについては『FRPG』P156の“フェイルーンの言語”を参照のこと。