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民衆英雄  君は貧しい民衆の出だが、ただ人では終らぬ運命を背負っている。生れた村では、君はもう英雄と呼ばれている。そして運命が君を呼んでいる。広い世の中に出て貧しい人々を助け、彼らを苦しめる悪い王様や恐ろしい怪物と戦え、と。

民衆英雄の利益

 民衆英雄の背景を選択した場合、君は以下の利益を得る。
修得技能〈持久力〉、〈自然〉
道具習熟職人道具のうち1種類、乗り物(陸)
追加言語なし
初期装備選択した職人道具シャベル鉄のなべ普通の服1着、ベルトポーチ(10gp入り)
特徴民衆の支持

英雄になったきっかけ

 君はもともと貧しい人々の間で、農夫、鉱夫、召使、牧夫、木こり、墓堀りといった、ありふれた仕事に従事していた。そんなとき何かが起きて、君は別の道を歩き出し、大きなことに関わるようになった。君を民衆の英雄にした、きっかけとなったできごとを、選択するかランダムに決定すること。
1d10 きっかけ
1 暴君の手先に逆らった。
2 天災の時に人々を守った。
3 恐ろしい怪物にただ一人立ち向った。
4 悪い商人から金を奪って貧しい人々を助けた。
5 民兵隊を率いて侵略軍を追い払った。
6 暴君の城に押し入り、武器を奪って人々に与えた。
7 暴君の軍勢と戦うため、農具を武器に農民を鍛えあげた。
8 領主が出したひどいおふれを、抗議を示す行動で取り下げさせた。
9 セレスチャルフェイ等のクリーチャーから、祝福を受け、あるいは出生の秘密を教えられた。
10 むりやり領主の軍勢に入れられたが、立派な働きをして隊長にとりたてられ、ほめそやされた。

特徴:民衆の支持

 民衆の中から出た君は、民衆にたやすく溶けこめる。君は隠れ、休み、力を取り戻す場所を民衆の間に見出すことができる(ただし君自身が民衆にとって危険なふるまいをしたなら話は別だ)。民衆は君を法律からも、そのほか君を探す何者からも、かばい、かくまってくれる。だが、彼らとて君のために自分の命を危険にさらそうとはしない。

おすすめの人物像

 民衆英雄は、良くも悪くも、ありふれた人々の一人である。多くの民衆英雄は何のへんてつもない出自を誇りにこそすれ、恥に思うことはない。そして彼らにとって故郷の共同体はいつまでも大切なものである。
1d8 人格的特徴
1 人を判断するには言葉ではなく行動を見る。
2 困っている人を見ると助けずにいられない。
3 一度決心したことは何があっても曲げない。
4 強いフェアプレイの精神を持ち、もめごとには常に公平な解決法を見出そうとする。
5 おのれの力を信じており、他人にも自信を持たせようと努める。
6 考え事は他人に任せて行動に突き進む。
7 頭のよさそうなしゃべりかたをしようと、難しい言葉を使っては間違える。
8 退屈な日常に飽いており、いつか非凡な運命のやって来るのを待っている。

1d6 尊ぶもの
1 敬意。人はみな尊厳と敬意をもって扱われるべきだ。(
2 公正。法の前では誰もがえこひいきなく公正に取り扱われねばならない。そして何者も法を超越した存在ではない。(秩序
3 自由。暴君が人民をしいたげるのを許すことはできない。(
4 力。力さえあれば、手に入る。私の欲しいもの、私にふさわしいものが。(
5 誠実。自分が本当の自分と違う何者かであるようなふりをするのはよくないことだ。(中立
6 運命。大きな使命が私を呼んでいる。なんぴとにも、なにものにも、邪魔させはしない。(属性問わず)

1d6 関わり深いもの
1 どこにいるのかわからない家族がいる。いつか再び巡りあいたい。
2 私はこの土地を耕してきた。この土地が大好きだ。この土地を命がけで守る。
3 むかし高慢な貴族が私をひどい目にあわせた。あいつも、他のいばり屋も、見つけたらこっぴどくこらしめてやる。
4 私の使う道具は、昔の暮しを物語るものだ。生まれを忘れないために、いつも持ち歩いている。
5 自分で身を守れない弱い者を、私は守り助ける。
6 子供のころに大好きだった子が、いっしょに来てくれて、私とおなじ運命を追い求めてくれたらどんなにいいだろう。

1d6 弱み
1 私の国を治める暴君が、何としても私の首を取ろうとしている。
2 運命を信じるあまり、自分の短所に気づかず、失敗の可能性を考えない。
3 私の子供のころを知る人々は、私の恥ずべき秘密を知っている。だから故郷へは二度と帰れない。
4 都市の悪徳に弱い。特に酒に弱い。
5 心中ひそかに「おれが権力を握って国を治めれば世の中はもっとよくなる」と信じている。
6 なかなか味方を信じることができない。

民衆英雄のヴァリアント:継承者

 君は何か大きな価値あるものを受け継ぐ継承者だ。その“もの”は単なる貨幣や財産ではない。君に、そしてただ君だけに託された唯一の品物だ。君はそれを家族から直接手渡されたのかもしれない。生れつき継承権を持っていたのかもしれない。友や、師や、その他君の生涯にとって重要な誰かから、形見に受け取ったのかもしれない。
 「おまえが継承者だ」と知らされた瞬間、君の生涯は一変した。君が冒険の旅に出たのもそのせいかもしれない。
 一方この“もの”といっしょに多くの危険もやって来た。この“もの”を欲しがり、君から取り上げよう、必要とあらば力づくで取り上げようとする輩も、その危険のひとつだ。

 君が継承者になりたいなら、この背景に以下の変更を加えるとよい:
✦“技能”の項にある〈持久力〉の代わりに、〈宗教〉、〈魔法学〉、〈歴史〉のいずれか1つを“修得済み”にする。
道具習熟”の項を以下に置き換える:楽器1種またはゲーム道具1種類
 そして、“追加言語”として“任意の言語1つ”を修得する。
✦“装備”の項を以下に置き換える:受け継いだもの旅人の服1着、この背景の“道具習熟”で選択した道具、ベルトポーチ(15gp入り)
✦“民衆の支持”の特徴の代わりに“受け継いだもの”の特徴を得る。
✦性格や動機を決める際には、“おすすめの人物像”を土台に、その内容を適宜、継承者にふさわしく修正するべきである。
 君の“関わり深いもの”には、君の受け継いだもの、まさにそれ自体であるかもしれない。君の“尊ぶもの”には、受け継いだものについて君が知っていることや、君が(その“もの”の力を知ったなら)その“もの”をどうしようとしているかが影響を与えているかもしれない。

継承者の特徴:受け継いだもの

 君が受け継いだものを、以下の表の中から選択するか、ランダムに決定すること。細部はDMと相談して決めよう。君の受け継いだものはどうしてそんなに重要なのだろうか。そのものにはどんな由来があるのだろうか。君はもし望むならば、これらの細部はゲームの一部としてDMに任せ、自分が受け継いだものについて、自分のキャラクターと一緒に学んでゆくことにしてもいい。
 DMは君の受け継いだものを物語の導入に自由に活用できる。君は受け継いだものの歴史や本当の性質を知るための旅に出ることになるかもしれない。敵が、それを手に入れようとして、あるいは君の探求を阻止しようとして動き出すかもしれない。また、DMは君の受け継いだものの性質や、その性質ゆえにそのものがどんな歴史をたどりどんな重要性を持っているかも決める。君の受け継いだものはちょっとした魔法のアイテムかもしれない。最初の能力は大したことはないが、時が経つにつれて強力になってゆくのかもしれない。あるいは、真の性質が最初はわからず、特定の条件が満たされてはじめて明らかになるのかもしれない。
 冒険者としての経歴の開始時点で、君は仲間たちに自分の受け継いだもののことを話したかもしれないし、伏せておいたかもしれない。受け継いだものが自分にどんな意味があるか、自分にどんな役に立つかがわかるまでは、要らざる注意をひかぬよう、その“もの”のことを秘密にしているのかもしれない。

1d8 受け継いだもの
1 地図、手紙、手記等の書きもの
2~3 珍品奇品
4 衣類1点
5 装飾品
6 秘術に関わる書物または書類
7 文字で書かれた物語、歌、詩、あるいは秘密
8 いれずみ等の、体に付けられた印
最終更新:2022年09月06日 16:47