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TETRIS (NES)

【てとりす】

ジャンル パズル
対応機種 Nintendo Entertainment System (NES)
発売・開発元 任天堂
発売日 1989年11月
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)*1
判定 なし
ポイント 不自由な操作性が逆に世界規模の熱狂に
テトリスシリーズ

概要

欧米向けに任天堂より発売されたNES版『テトリス』。日本国内では未発売。
正確には北米のNTSC版と欧州のPAL版で微妙に仕様が異なるのだが、本項ではNTSC版をメインにPAL版を補足する形で解説する。

なお、日本限定でBPSから発売された同名のFC版『テトリス』(以下、『テトリス (FC)』)と区別のため、本項目名は英語にした上で(NES)を付与している。
この他、任天堂版の本作に先行して「テンゲン」制作のNES版『TETЯIS: The Soviet Mind Game』も発売されていた(後に権利問題で発売中止)が、本項では扱わない。


ゲームシステム

  • 同年6月に発売されたGB版『テトリス』(以下、『テトリス (GB)』)に準拠した内容となっており、ゲームモードは「A-TYPE」と「B-TYPE」の2種類から選択可能。
    • 各モードでゲーム開始前に0~9までの落下速度レベル(Lv.)とB-TYPEのみ0~5の初期高度の選択が可能。好きな難易度から始めることができる。
      • Lv.選択後、Aボタンを押しながらスタートボタンを押すと、選択したLv.に10を加算した状態でゲームを開始できる裏技がある*2。
    • A-TYPEは「ゲームオーバーになるまで無限にゲームを続ける」、いわば「エンドレス型」のモード。
      • 本モードは後にザ・テトリス・カンパニー*3が定めるテトリスの公式仕様・標準ルール(以下、「ガイドライン」と表記)の一つである「マラソンモード」とほぼ同じシステムが採用されている。
    • A-TYPEでは10ライン消去ごとにレベルが1上がり、レベルアップに応じてミノの落下速度が速くなる。
      • ただし、開始Lv.を1以上にして始めると本来のレベルアップ基準までラインを消さない限りレベルが上がらず、設定した速度のまま進行する。
      • 例えばLv.9から始めた場合、Lv.10へのレベルアップ条件である100ライン消去達成まではLv.9のままゲームが進行する。
      • だがこの仕様にはバグが存在している、詳細は後述。
    • B-TYPEは「25ライン消去するとクリア」となる「ステージクリア型」のモード。
      • 本モードに限り初期高度のシステムが設けられおり、高度によってフィールド下部に障害物ブロックが設置された状態で開始となる。
      • 高度の設定にもよるが、最大高度の場合は15ライン分が埋まった状態から始まる。
      • 障害物ブロックに規則性はなく完全なランダム。つまりバラバラの状態で設置されており、簡単に揃えて消去できないようになっている。
      • A-TYPEと違い10ライン消去でレベルは上がらず、25ラインクリアするまでプレイヤーが設定したLv.のまま進行する。
  • 回転法則
    • 独自の物で、本作の準拠となっている『テトリス (GB)』とも若干異なる*4。
      • T/L/Jミノはテトリスのガイドライン準拠の中心を軸にした回転方式。
      • S/Zミノは底面固定の2形態右寄りで、Sミノはセガ開発の『テトリス (AC)』(以下、セガテトリス)基準の回転法則だが、Zミノも右にずれるのが特徴。
      • Iミノも2形態右寄りのセガテトリスに似ている形だが、実は寝ている時が1段下になっていて、右端には入れやすいが天井に引っかかりやすくなっている。
    • 当時はまだガイドラインが存在していない時代に制作された事もあり、後作のテトリス作品で実装される壁蹴り、地形蹴り、スーパーローテーションは実装されていない。
      • スーパーローテーションを利用したT-Spinも当然ながら実装されていない。
    • 回転自体も『テトリス (FC)』の下で回転ではなく、A/Bボタンによって左右両方向可能。
  • ロックディレイ、ARE
    • セガテトリス以降のテトリス作品では標準実装となったロックディレイと呼ばれる「ミノを接地してから固まるまでの猶予時間」が実装されていないため、現在の速度で1段落ちる時間(=最短1フレーム)で接着される。
    • AREという呼称で知られる「接地してから次のミノが出現する時間」は接着したミノの高度によって10~18フレームと、あってないような時間かつ不定という安定しない物になっている。
    • この2つの組み合わせによってLv.9を超えた高レベル帯では、出現してからすぐに操作しないとミノの配置をミスしやすなり、かつ積もりやすくなる。
  • DAS(横タメ)
    • 横タメに必要なのが16フレーム、さらにその先の移動も6フレームごとと、横移動速度が非常に遅いというのが本作最大の壁。
      • しかし、「横タメに必要」なフレームは条件付きで次のミノに持ち越す事が可能となる仕様*5が存在している。
      • この仕様を利用したテクニックが後に「DASチャージ」と呼ばれるようになり、本作のやりこみ要素では欠かせない手法となっている。
      • なおこのDASチャージは左右を区別しないので、DASチャージが切れる条件を踏まなければ操作中のミノは右に高速移動、次のミノは左に高速移動というのも可能。
  • 落下速度
    • 本作はレベルごとのミノのスピードが『テトリス (FC)』や『テトリス (GB)』と比べるとかなり速く設計されている。
      • Lv.0時点のスピードは『テトリス (FC)』は1/80G*6、『テトリス (GB)』では1/53Gに対し、本作では1/48Gからのスタートとかなり速い。
    • Lv.8を超えるとミノの移動速度が1マスあたり10フレームを切り、この辺りから操作設計の「ロックディレイがなくミノが滑らない」と「左右に動かし辛い」挙動がハンデに化けはじめることとなる。
      • Lv.9からは1/6G、1/5G、1/4G……と更に加速していき、Lv.16以降で1/3G、Lv.19以降で1/2G、Lv.29以降で本作の最高速度となる1Gで降ってくる。
    • DASチャージという仕様を駆使しても「1マス動くのに6フレームかかる」という事は、最後の1G状態では左右に3マスしか動かせず、地形が空の状態でもミノを端まで届かせる事ができないので実質的な終点となる。
      • このレベルは古のゲームに存在した強制ゲームオーバーバグの名前を取って「キルスクリーン」と呼ばれている。
    • ここがNTSC版とPAL版で一番異なるポイント。秒間60フレームのNTSCに比べPALは秒間50フレームなので、DAS速度*7と落下速度*8が調整されている。そのため若干PAL版の方が難易度が低いと言われていて、後述の色バグもPAL版のほうで先に達成されている。
  • スコアシステム
    • 本作で獲得できるスコアは下記の通り
条件 スコア
シングル(1列)消去 40 × (現在のLv.数+1)
ダブル(2列)消去 100 × (現在のLv.数+1)
トリプル(3列)消去 300 × (現在のLv.数+1)
テトリス(4列)消去 1200 × (現在のLv.数+1)
ソフトドロップで設置 1 × 移動マス
  • 基本スコア時点でシングル~トリプルとテトリスで獲得できるスコアに大きな差があるのが本作の特徴。
    • しかも現在のレベルを倍率としてスコアに乗算するので「高レベル下でも安定してテトリスを決めれるか」がスコアを稼ぐ上でのポイントとなってくる。
  • ソフトドロップによる設置を行うと移動したマス数分のスコアが入る。
    • ただし、設置する途中でソフトドロップを止めるとそれまでの移動マスはカウントされない。
  • B-TYPEは上記のスコアシステムに加え、ステージクリア時にLv.数と設定した初期高度によってボーナススコアが追加される。
  • 前述の通り現在のガイドラインのT-Spinシステムが無かった時代のため、T-Spin DoubleやT-Spin Tripleといったボーナスも存在しない。
    • また、フィールドを全て消去する、いわば「全消し」で獲得できるボーナスも本作では実装されていない。
  • なお、本作とスコアシステム自体は『テトリス (FC)』と『テトリス (GB)』共に同一。
    • 前者は現在Lv.数による倍率補正は存在しない。
  • クリアまたはゲームオーバー後のエンディング演出
    • A-TYPEではゲームオーバー時、B-TYPEはステージクリアによって次の画面で現れるエンディング演出が発生。それぞれスコアと設定によって変化する。
      • この仕様も『テトリス (GB)』準拠でロケットが打ち上げられたり、キャラクター達がクリアを祝福するのは同じだが、グラフィックと演出が大きく異なっている。
    • A-TYPEは全5パターンのエンディング演出があり、スコアによって大聖堂の横で打ち上げられる宇宙船の機体が変化する。
      • 最高ランクは約12万点以上達成で発生、打ち上げる機体はUFOなのだが……その後、衝撃のエンディングが待ち構えることとなる。
    • 一方のB-TYPEはレベル(Lv.0~Lv.8)の9パターンに加え、Lv.9では最初に設定した初期高度によって変化する最大6段階の専用のエンディングを全含めた全15パターン。
      • Lv.9クリア時のみ、初期高度によってマリオシリーズのマリオファミリー、リンク、ピット、サムスといった当時の任天堂オールスター登場し、それぞれのキャラクターが踊ったり楽器を演奏するエンディング画面となる。
      • 最高ランクであるLv9・初期高度5では各キャラクターの演出に加え、更なるサプライズ要素が用意されている。
  • BGM
    • 『テトリス (GB)』と同様にゲーム開始前に好きな音楽を選ぶ事ができる。音楽は全3種類。
      • チャイコフスキー作曲の『くるみ割り人形』から「金平糖の踊り」のアレンジのMUSIC-1、『テトリス (GB)』のTYPE-BのBGMを本作にアレンジしたMUSIC-2、オリジナル楽曲のMUSIC-3、そしてBGM無しから選ぶ事が可能。
    • BGMがオンの場合に限り、フィールドがある程度埋まるとBGMが早くなるギミックが搭載されている。
    • エンディング演出のBGMはオペラ『カルメン』の「第1幕への前奏曲」のアレンジが流れる。
    • 本作はスタッフクレジットが存在していないため長らく作曲者は不明だったが、とある情報により田中宏和氏がサウンドを担当していたことが判明する。

評価点

  • 快適な操作性の確立
    • 本作は『テトリス (GB)』の操作性をさらに軽くして再現。当時のテトリス作品ではあまり見られなかったソフトドロップや逆回転ボタンが追加されており、日本で発売された『テトリス (FC)』と比べると快適な操作性となっている。
      • 当初欧米では日本と同様に様々なPC版の『テトリス』が販売されていたり、Atari Games開発のアーケード版の『TETЯIS』が稼働していた。
      • しかし落下仕様がソフトドロップではなくハードドロップ、回転ボタンが1つしか無かったり、そもそも方向キーと回転キーの配置が逆だったりと操作性がバラバラだった。
      • 当初は日本でしか稼働していなかったセガテトリスと同じように、本作は欧米において『テトリス (GB)』と共に後の操作性を確立させた作品の一つとなっている。
    • ロックディレイが無かったり、高難易度レベル帯下でのDASの移動問題こそはあるが、ゲームとして遊ぶ分には十分楽しめる操作設計となっている。
  • ゲームテンポの改善
    • 列を揃えて消去する演出が『テトリス (GB)』と比べて短くなっており、ゲームテンポの改善に繋がっている。
      • 『テトリス (GB)』では列消去までの演出に若干ながら時間がかかっており、その長さはおおよそ3秒近く。
      • 単体であればそこまで苦にはならない長さだが、連続で消し続けるとテンポの悪さを感じやすかった。
      • 本作ではこの列消去時の演出を1秒以下まで短縮することでテンポ感が向上している。
  • エンドレスの実装。
    • 実質エンドレスではないエンドレスだったが、長時間プレイできることがテトリスの上達を一番感じる点でもあり、いかに上のレベルに行けるかというのはモチベーションの維持に役立った。
    • またLv.18スタートで6割ほどのライン消去をテトリスで消せればキルスクリーンまでにカンスト(通称「MAXOUT」)する事から、いかにテトリス密度を上げてカンストを達成できるかというのも挑戦しがいがあった。

賛否両論点

  • 2Pモードが未実装
    • 同じ任天堂製品、かつ本作より先に発売された『テトリス (GB)』には通信ケーブルを使用して2人対戦が遊べたのだが、本作では1人プレイ専用となっている。
      • 対戦はもちろんのこと、2人同時にシングルモードを遊ぶことはできない。
      • とは言えシングルモード自体はテトリスとして楽しめる内容となっているため、不便さを感じるものではない。
      • なお、本作を使用した公式大会「Classic Tetris World Cup」(以下、CWTC)では対戦形式にはなっているが、実際は実機を2機を使用した同時進行形式となっている。詳細は余談にて。
    • なお、有志の解析によって、本作の内部データには対戦モードの痕跡が存在していた事が確認されており、開発初期は実装が予定されていたものと見られている。
      • 残念ながら対戦用の画面グラフィック自体は実装されていないものの、対戦テトリスのシステムとしてはプログラムがある程度完成していたことから、開発途中で何らかの事情によりオミットされたと思われる。
  • 開始レベルバグ
    • A-TYPEでは前述の通り消去ライン数によるレベルアップ条件が設定されているのだが、開始Lv.によってこの条件が適用されないバグが存在する。
      • 開始Lv.9までは100ラインでレベルアップするのは仕様通りなのだが、開始Lv.を10~15に設定すると本来なら110~160ラインで上がるはずのレベルが一律100ライン固定となる。
      • つまりLv.15で開始した場合であっても100ラインを超えるとLv.16に突入し、通常のプレイよりも早くミノが加速してしまう。
      • なお、Lv.16以上で開始した場合は上記の仕様が引き継がれるのか、本来のレベルアップのライン条件から50を引いたライン数でレベルアップする。
    • Lv.9以下で始めた場合、Lv.10以上は従来の仕様通り10ラインごとに上がるため、この挙動はバグであると推測される。
      • だが開始Lv.10以上の場合は裏技を入力する必要があり、難易度的にもやりこみ領域であることからそこまで気になるほどでもない。

問題点

  • 難易度
    • 上の「挑戦しがいがある」にも繋がっているが、Lv.16~18の1/3G区間はDASチャージの振り替えルールを理解していないと厳しい速度で、熟練者であっても容易にトップアウトしてしまう速度。その上の1/2G区間は言うまでもない難易度である。
    • しかしこれはあくまでやりこみ領域での話。CTWCの影響でLv.18以降の落下速度が際立って取り上げられるが、前述の「最高ランクのエンディングを目指す」目的であれば難易度自体はさほど高くない。
      • B-TYPEのエンディング演出に必要なLv.9は1/6Gと、難しいが無理ではない速度である。
      • A-TYPEでも12万点以上獲得を目的とするのであればテトリスを決め続けることでLv.9~10ぐらいで到達が可能。
      • 高Lv.帯でのスタートの場合、開始時点でスコアも倍率がかかるため、高速落下時の操作に慣れていればLv.0で始めるよりも達成しやすい。
      • ただし、A-TYPEはLv10以上になると1/5G、13以上だと1/4Gのスピードになるので、スコアの獲得が少ないシングル・ダブルで消去し続けていると苦戦を強いられる難易度となっている。
  • ミノの出現順(ツモ)
    • ミノの出現順を決定する抽選方式には「1-History/1-Reroll」という方式が採用されている。これは「直前に出現したミノを参照し、同じミノが抽選された場合に再抽選を行う」方式。
      • 一見すると出現順の偏りを防止できそうではあるのだが再抽選は1回限りであり、再抽選でも同じミノが選ばれた場合はそのまま採用される。そのため、同じミノが連続して出現する可能性は残っている。
      • 補正が無い完全乱数で発生していた「同じミノが何度も連続する」問題は緩和されているものの、「肝心な時に必要なミノが来ない」「Iミノが30手近く出現せず、その後3連続で出現する」といった偏りは依然として発生する可能性がある。
    • なお本作では画面左側に各ミノの累計出現数が表示されており、長期的な出現頻度の偏りを確認できる。
      • ただし、出現数が均等に近くても出現順の偏りまで解消されているわけではない。
  • BGM
    • 前述のように、フィールドがある程度高くなるとテンポが上がる演出があるが、発生・解除されるたびに再生位置が最初に戻される。
    • 本作ではツモの偏りなどもあり、置きミスをリカバリーするときなどは、この判定ラインを頻繁に往復しやすい。そのたびに曲がリセットされるので、流石に煩わしく感じてしまう。

総評

昔のテトリスらしい不自由な部分が多数見受けられるが、GB版をベースに移動を若干機敏化するなど、当時の実装としては癖の少ないテトリスと言える。
とはいえロックディレイがないのでスライドが難しかったり横移動自体が重かったりと、今のテトリスと比べてしまうと難しい部類には入る。
ただ、一つの世界基準になっているというのも事実であり、本作の腕を磨いて世界の舞台で戦ってみるのもいかがだろうか。


余談

世界大会「Classic Tetris World Championship(CTWC)」および派生テクニック

  • このゲームを紹介する上で切っては切り離せないものがこの大会で、ルールの細かい変更はありながら2010年から開催されている、本NES版を使用したeスポーツ大会である。
    発足当初は有志による草の根の非公式大会ながらも盛り上がりを見せたことで、2015年よりザ・テトリス・カンパニーが公式スポンサーとして参入し、事実上の公認の世界大会となっている。
    • NES版にはGB版と違い対戦モードがないというのもあり、2026年のルールは予選ラウンドは「90分プレイして、その内容をポイント化」し、その結果でゴールド・シルバー・ブロンズという3つのトーナメントに割り振り。
      2026年大会にて最上位の「ゴールドブラケット」に進出するにはこの90分で3回以上のMAXOUTもしくは1プレイで140万点以上のスコアが必要となっていた。
      決勝トーナメントの基本ルールは「Lv.18開始、2名が同時にプレイを開始してスコアの高い方が1本勝利、3本先取で勝ち抜け」のシングルエリミネーショントーナメントとなっている。
    • この中で転機となったのが2016年で、日本から参加したコーリャン選手*9が「横移動が遅いのなら、それより速く十字キーを連打すればいい*10」という『Hypertap』を実戦投入してベスト4入り。
      元々考案はされていたが*11、彼が上位入賞を果たした事からCTWCでもこの技術に注目が当たり、翌2018年には大会を7度制している絶対王者を打ち負かしHypertap使用の選手が優勝した。
    • 2019年にもコーリャン選手は勝ち進み決勝まで進出、惜しくも敗退したものの2026年時点で日本人最上位を記録している。
      ちなみにこの年の優勝者は前年に続いての2連覇であっただけでなく、コーリャン選手のプレイにインスピレーションを受けてHypertapを習得した「師弟対決」にして「Hypertap対Hypertapの新世代テクニック対決」だった。
      この年のHypertap使用者はわずか3人しかいなかったが、その3人が全員ベスト4入りするという「Hypertap旋風」が生まれた年でもあった。
      • このHypertapによりキルスクリーンを超えてのプレイが可能となり、NESテトリスはLv.29の突破を皮切りに「どこまで1G環境を生き残れるか」という争いに発展していった。
        2020年からはDASのプレイヤーとHypertapのプレイヤー比が逆転、さらにその後「指を十字キーに添えて、コントローラーの後ろから撫でるように叩く」事で操作する『Rolling』という横移動方法が考案され、HypertapとRollingのせいでこのゲームは「パッドをちゃんと持たないゲーム」になってしまった。
        習得は難しかったが、RollingはHypertap以上に機敏な横移動を実現、かつては99万点達成が限界と言われていた本作は、本当に「エンドレス」になり、CTWCの舞台でも200万点超えの世界で争われることに。
        2016年以降、決勝では公平性を担保するための複数ROMでのツモ順固定*12と、MAXOUT超えのスコアを表示するためのカスタムROMが使われていたが、MAXOUTオーバーの空中戦が乱発され、あまりにも試合時間が長くなりすぎることから2023年に2度目のカスタムが施され「Lv.39に到達すると落下速度が2Gに突入し*13、視覚的にわかりやすく終点を知らせる」というさらなる調整が行われた。
        Rollingを使っても2Gではライン消去ができるほど動かせないため、従来のように「いかにLv.39までの点効率を高めるか→リスクを犯しても1G区間でテトリスを狙っていく」という本来のゲームスタイルに戻っている。
    • なお大会は動画サイトで生中継されているが、画面読み取り技術(OCR)を駆使し、現在どちらが先行して何点差なのか、テトリス何回で逆転するか、Iミノが何手来ていないのか表記する「DHT表記*14」、どのくらいの割合でテトリス消去を行っているのかを示す「TRT*15」を放送画面に表示するようになっている。
    • 日本でもCTWC協賛の「わくわくNESテト祭り」というイベントにて、このOCRによる読み取りが使われている。
      • CTWC以外にもHypertapやRollingによる耐久戦はNESテトリスの本質ではないとして、これらを禁止した「DAS CHAMPIONSHIP」や、上のPAL版を使った「Classic Tetris European Championship」などの派生大会も開催されている。

その他

  • 制作サイドも「Lv29.で終点」と考えていたようで、Lv.29を突破しLv.30になるとレベル表記が「00」になり、その後も表示が正常表記されないバグが発生する。
    • さらにLv.138に乗せるとレベルごとに変わるミノの色が、バッファオーバーランで壊れて本来の色にならないバグが発生する。中には真っ茶色だったり炭色だったり緑一色だったりと視認が非常に難しい物もある。
    • 一応この後もプレイできるのだが、最終的には処理の関係でクラッシュ*16する。
      • 2023年に「テトリスに勝利した少年*17」としてニューヨーク・タイムズやCNN。日本でも時事ドットコムやABEMA等、ゲーム専門ではない一般のニュースサイトにも取り上げられたほど。
    • このクラッシュを回避するカスタムROM*18を使用する事で「Lv.255の後にLv.0に戻る」という現象が予想されていたが、これも2024年に達成された。人間の可能性には果てがないのだろうか。
  • 『テトリス エフェクト:コネクテッド』に搭載された「クラシックスコアアタック」は本作を再現したモードとなる。CTWC中継の画面を意識したDHTやTRT表記、マルチプレイ時のツモ順統一等も実装されている。
    • このパートを含めたマルチプレイ部分は、2018年のCTWCでベスト4入りしたりょくちゃ選手がリードデザイナーを担当している*19。
  • 2024年8月27日のNintedo Directで『テトリス フォーエバー』の初発表と共に『Nintendo Classics』で本作が追加される事が突如発表された。
    • 当初は「冬配信予定」と時期が不明だったが、同年12月に開催された『TETRIS 99』のテト1カップ「テトリス40周年祭!」の告知にて配信日が2024年12月12日と判明。予定通り配信された。
    • 一応NESのROMに信号変換の下駄を噛ませるとFC実機でもプレイできるというのは有名だが、この追加により、日本でも正規の手段でプレイが可能になった。
  • 『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』のモチーフ元となったニンテンドー・オブ・アメリカ主催の「Nintendo World Championships」の競技の一つとして本作が採用されていた。
    • 大会専用のカセットに『スーパーマリオブラザーズ』『ハイウェイスター (FC)』と本作が収録されており、制限時間6分21秒の間に3本のゲームを通しプレイして累計スコアを競う大会だった。
      • 競技内容は『スーパーマリオブラザーズ』で50コイン獲得、『ハイウェイスター』で1コース完走した後、残り時間で本作のA-TYPEをプレイするという方式だった。
      • 各ゲームには倍率が設けられ、累計スコアはその合計値で勝敗を決める方式となっており、『スーパーマリオブラザーズ』は1倍、『ハイウェイスター』は10倍、そして本作はなんと25倍に設計されていた。
  • 本作が発売された1989年当時は日本においてテトリスが社会現象と呼べるほど大流行していたが、欧米でも同様に人気を博していた。
    • 特に北米では『テトリス (GB)』の登場によってさらに幅広い層へと普及していった。
      • 事実、本作の売上は発売から6ヶ月で150万本の売り上げ、最終的な世界累計販売本数は800万本に達したとされる。
      • 『テトリス (GB)』の世界累計販売本数である3500万本と比較すると少なく見えるが、NES用ソフトの世界累計売上ランキングでは歴代4位に位置しており、当時の人気の高さがうかがえる。
  • 欧米において本作はNESで販売された唯一のテトリス作品となった。
    • 日本におけるFCでは前述の『テトリス (FC)』や、チュンソフトが開発を担当しBPS社が販売した『テトリス2+ボンブリス』が発売されていたが、いずれも日本国外では未発売。
      • 後に『TETRIS 2』というタイトルのゲームが発売されたが、中身は『テトリスフラッシュ』の海外版で全くの別物となっていた。
    • 当時のテトリスの複雑な版権事情により各タイトルの販売地域が制限されており、日本では本作が、米国では日本製のテトリスを輸入以外の方法で遊ぶことができなかった。
      • これらが解消されたのは前述で触れた『Nintendo Classics』と『テトリス フォーエバー』が配信された2024年。それぞれ初移植として遊べるようになった。
      • つまり、販売国外ユーザーがそれぞれのテトリスを正規の方法で遊べるまで約34年近くかかった事となる。
最終更新:2026年10月18日 10:16

*1 本作が収録されている「ファミリーコンピュータ Nintendo Classics」にて付与。

*2 GB版の下+決定で本来の+Lv.10になる「ハートモード」と同様の物。

*3 2026年現在において『テトリス』の版権を管理している会社。ちなみに本作発売当初における家庭用『テトリス』の版権は任天堂が所持していた。

*4 GB版はS/Z/Iが左寄り。

*5 16フレーム分横移動履歴が溜まっている状態で次のミノを動かす場合、最初から6フレーム間隔で動く。

*6 1フレームごとにミノが移動する単位、今回の場合「80フレームごとにミノが1マス進む」表記となっている。

*7 チャージ12f+以降4fリピート。

*8 Lv13-15で1/3G、16-18で1/2G、19以降1G。

*9 TGM3のSHIRASE(W)初クリアやテトリスキワメミチ4部門、BLOCKOUTの面数部門全1タイなどの実績も持つ。「Hypertapの先駆者」として本名の方で英語版のwikipediaには単独記事が制作されているほど、CTWC界隈ではリスペクトされている。

*10 NESテトリスをプレイする以前に、更に横移動が重いGB版テトリスを長時間プレイするために考案した。

*11 トール・アッカーランド選手がCTWCが行われる遥か前に使っていた。ただ「右手で右ボタンを連打する」右手Hypertapに関してはコーリャン選手が初披露。

*12 乱数の開始位置を指定可能にしている。乱数がジャンプする要素はないので、初期位置さえ決めれば複数ROMでも同じツモ順になる。

*13 通称「スーパーキルスクリーン」

*14 Drought、干ばつという意味

*15 テトリスレート。

*16 通称「トゥルーキルスクリーン」。

*17 当時13歳。

*18 一応純正ROMでも回避はできるらしいが「NEXT表示を消す」「この区間ではシングル消し禁止」「ちゃんとやっても確率でクラッシュ」等人間には不可能とされている。

*19 なお当のりょくちゃ選手、元々テトリスエフェクトのマスターモード世界初300ラインクリアを達成した猛者であったが、このCTWCの会場でエンハンス代表である水口氏に遭遇、後にスカウトされて「コネクテッド」や『ルミネス・アライズ』の開発者として参加したというエピソードがある。