Mario is Missing!
【まりお いず みっしんぐ】
| ジャンル | 教育・学習(地理) | imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
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| 対応機種 | Nintendo Entertainment System Super Nintendo Entertainment System
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| 発売元 | The Software Toolworks(北米) Mindscape(それ以外)
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| 開発元 | 【NES】Radical Entertainment 【SNES】The Software Toolworks
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| 発売日 | 1993年 | 
| 判定 | クソゲー | 
| シリーズファンから不評 | 
| ポイント | ルイージが初めて主役を務める 低密度のクイズと無意味なアクション
 学習ゲームとしても内容が間違いだらけ
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| マリオシリーズ・関連作品リンク | 
 
概要
米国のThe Software Toolworks社が任天堂のライセンスを受けて開発し、同じ米国のMindscape社が発売した地理学習ゲーム。
ただし、北米地域ではThe Software Toolworks自身がパブリッシャーとして販売する一方、Mindscapeは映像出力規格がPAL仕様の地域でのパブリッシャーを担当している。任天堂は開発に関わっていない。
ストーリー
南極大陸に城を構えたクッパは、南極の氷を溶かして地球に洪水を起こそうとしていた。クッパはカメ一族の手下を世界各地の都市に送り込み、購入資金を確保するために各地の名物を盗ませた。
マリオ、ルイージ、ヨッシーはクッパの計画を阻止するためにクッパの城へ向かうが、マリオはクッパに囚われてしまう。ルイージはヨッシーと共にマリオを助け、世界を救わなくてはならない。
特徴
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大まかなゲーム内容としては、盗まれた街の名物を探し、それをインフォメーションセンターに持っていき、さらに四択クイズに答えるというものとなっている。
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ルイージを操作し(時にはヨッシーに乗って)クッパ城の各階を制覇していく。各階には世界各地へ繋がる土管が配置されており、土管の先でクイズに答えた後階を守るコクッパを倒して先に進む、という触れ込みのゲームなのだが……
問題点
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マリオの操作で探索ゲーム、という無理のある組み合わせ。
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操作がマリオ式にもかかわらず、マップは真っ平らであり、ジャンプやダッシュといったほとんどの動作が無駄。本当に落とし穴どころか段差の一つもない。
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マリオの移動速度に合わせた結果、マップがやたら広い。クイズやアイテムの密度が低く、あちこち走り回るだけのゲームになっている。
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町には曲がり角もあるのだが、マリオ式のため奥行き方向の特殊操作になっており、面倒になっている。
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『ゼルダの伝説』のようなトップビュー方式の方が圧倒的に適していると思われるのだが……
 
 
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クイズの答えが自力で分からない場合、街をウロウロしている通行人から聞き出すことになる。
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ところがこの通行人の密度がマップの広さに対して非常に低く、しかも自分でウロウロ動く。
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SNES版では画面上部のミニマップで確認できるのでまだマシだが、NES版では通行人の位置を示す機能は無いため非常に面倒。
 
 
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キーアイテムの入手方法も非常に雑。
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NES版では、なんと「路上に$袋が落ちている」という配置。クッパが奪ったという設定なのに、奪還どころか落とし物扱いである。
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SNES版は「町中をウロチョロしているノコノコを踏むとキーアイテムを落とす」というもの。
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多少マリオらしくなったとは言えるが、やはり取って付けた感は否めない。キーアイテムの品物名は明示されないため、学習ソフトとしては劣化している。
 
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品物自体もおかしなものがあり、例えばニューヨークの名物として奪還するのはなぜか創作キャラである「キングコング」。
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「ここはアテネ」と刻んである遺物「真鍮の額(Blass Plaque)」をハドリアヌス凱旋門に戻さなければならないが、実際には凱旋門に直接彫刻してある文言で「真鍮の額」なるものは存在しない。
 
 
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ニューヨークや東京を含め世界の各都市を回るのだが、街並みの再現度がどれも低い。
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NES版は元になった都市の再現度が皆無に等しい。建物もみな真四角で、色も毒々しく何かを再現しようとしたとは到底思えない。
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「中国中国中国中国」とテクスチャのごとく壁に書きまくってある北京の建物は特に強烈だろう。
 
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SNES版では町並みなどは何となくそれっぽい感じにはなっているが、逆に言えばそれっぽいだけで、具体的にどこと特定できる情報が薄い。
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建築様式や、背景の遠景などは納得できる部分が多いものの、紫禁城、サグラダファミリアといった象徴的な建物は無く、地理学習・名所巡りとして物足りない。
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ケニアのナイロビでは土壁、草ぶき屋根など極端に未開の地という演出がされている。実際にはナイロビ市内であれば90年代でもコンクリートの建物が主流だったはず。
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東京ステージでは十数メートルおきに「トヨタ」とネオンサインを掲げた毒々しい色のビルが乱立している。なお本作はトヨタ自動車とタイアップしているわけではない。
 
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街マップでは余白に凱旋門や大仏を描くなど、一応学習ゲームっぽい気遣いはなされている。
 
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クイズやヒントに間違った内容がかなり多い。
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地理学習ソフトを謳っているため致命的。かなり基本的な情報の誤りも混じっている。
    
    
        | + | おもな間違いからの抜粋 | 
ヨッシーを呼び出すための世界地図があるが、都市名の間違いがやたらに多い。
ニューヨーク、グアテマラなどから「City」が抜けている。
コロンビアの「Bogota」が「Bogata」、グリーンランドの「Nuuk」が「Nuk」、スウェーデンの「Stockholm」が「Stolkolm」となっているなど誤植も目立つ。
ミャンマーのヤンゴン、カザフスタンのアルマトイなどは「ラングーン」「アルマアタ」といった改名前の名称が使用されている。
オマーンのムトラ、モナコのモンテカルロなどは行政区画にもかかわらず都市としてカウントされている。
明らかな間違いの一部
北京は800年間中国の首都である。(首都が分裂していた中華民国時代を無視しても、明の永楽帝が北京に遷都した1421年から本作発売の1993年までは600年弱であり、明らかに長すぎる。元の100年弱を加えた通算としてもなお長い。)
闘牛は兵士を訓練するために行われた。(そういった事実はない。貴族向けのショーであったというのが定説。)
ロシア最大の湖はカスピ海である。(カスピ海は複数の国と接しており「ロシアの」湖ではない。かといって、複数の国と接しているものを全て含むと黒海のほうが大きい。一般にはバイカル湖がロシア最大の湖とされる。)
1924年に亡くなっているゴールスキー(アレクサンドル・ゴールスキー)を、1942年までボリショイバレエ団の監督を務めたなどと記述している。
フランスはソ連崩壊以降ヨーロッパで最大の面積がある。(ロシアをヨーロッパから除外したとしてもウクライナのほうが大きい。)
ミケランジェロは寝ながら10000平方フィートの天井画を描いた。(実際の天井画の面積は5000平方フィート強、立って描いたとされている。)
ゴールデンゲートブリッジは年中霧に覆われている。(基本的にサンフランシスコの濃霧は夏のみの現象。)
諸説あるもの、表現が大袈裟なもの
西サハラを国扱いしている。(1960年代以来、モロッコとサハラ=アラブ民主共和国で領有を争い続けている地域。)
アジア最大面積の国は中国。(ロシアをヨーロッパに数えるのかアジアに数えるのかは諸説ある。)
パリ凱旋門はハドリアヌス凱旋門のアーチを元にしている。(工法が異なるため、アーチであること以外共通点は無いという説が主流。)
都市「アテネ」が女神「アテナ」にちなんでいるとしている。(女神の名が都市にちなんでいるという説が主流。)
アフリカには70以上の部族がある。(少なくとも1000部族以上はいるという説が大半であり、70以上というのは極めて少なめの推計。)
万里の長城は宇宙から見える唯一の建造物である。(宇宙から見える建造物としては、ドバイの人工島、ピラミッド、スペインの温室群などが知られ、「唯一」ではない。)
ゴールドラッシュまでカリフォルニアには誰も興味を持たなかった。(ゴールドラッシュ以前も米墨戦争の兵士が住み着くなどしたためそれなりの街だった。)
「建造物 was built in 年号」という文を安易に使っている。起工時の年号なのか竣工時の年号なのか分からない。
このほか、年号やデータなど数値の間違いもやたら多い。
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流用部分ではない本作独自の新規グラフィックの方は絵柄が違いすぎる上に、お世辞にも出来が良いとはいえない。
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PC版のルイージは何とも言えないグラフィックをしており、海外ではちょっとしたネタにされている(後述)。
 
マリオのゲームとしての問題点
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敵に触れてもミスにならない。雑魚戦はもちろんボス戦でもミスにならない。得点が半分になるなどの被害も一切なし。
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根本的に「ミス」とか「死亡」という概念が無く、敵や弾、コウラなどは全てルイージを素通りしていく。
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肩書きは一応「地理学習ゲーム」であって「アクション」ではないため別にいいのかもしれないが、「何かしら被害を受けるようにする」「敵を一切登場させない」のどちらかにするべきだったのではないだろうか。
 
 
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上記の通りクッパは南極の氷を溶かそうとしているのだが、その手段が通信販売で買った大量のドライヤー。まるっきり海外の子供向けアニメのノリである。お前炎吐けるだろ。
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ちなみに作中では南極の氷が溶けて世界各地で洪水が……などといった緊迫したシーンは皆無。というかストーリーもあってないようなもので、本編中ではほとんど触れられない。
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もっとも、当時ではストーリーが明確にゲーム中で示されないアクションゲームもかなり多かったのだが。
 
 
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NES版では道路を使って別画面に行く際、下のマップへ移動する時には1ピクセルもずらさず、道路の白線の真ん中で下ボタンを押す必要がある。
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さらにはまれに固まってしばらく動けなくなる。
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一方、SNES版では道路の真ん中に立っていては不可で、こちらは移動の際に脇の歩道を通らなければならない。きちんとした交通ルールに合わせたのかもしれないが、それをまんまゲームの利便性に落とし込まれても窮屈なだけである。
 
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NES版にはコクッパどころか、クッパすら登場しない。代わりに謎のカメがラスボスとして登場するのみ。
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クリアしてもエンディングなどない。ラスボスであるこのクッパもどき(”もどき”ですらないが)を倒し、マリオを救出して終了。スタッフロールすらない。
 
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SNES版ではコクッパが実質的なラスボス。クリアすると簡単なエンディングが流れ、スタッフロールも流れる。
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版権キャラクターのネームバリューでプレイヤーを惹きつけるというのは、版権物のソフトであれば、学習ソフトにしろ普通のゲームにしろごく普通の発想ではある。しかし肝心の内容がこの程度では、正直マリオで出す必要性が薄いと言わざるを得ない。
 
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なお、SNES版で登場するコクッパはルドウィッグ・イギー・ロイの3人だけ、MS-DOS版ではそれに加えてラリー・ウェンディも出るが、やはり7人全員は登場していない(モートン・レミーは出番無し)。
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ただし、MS-DOS版のデータ上はモートンとレミーの没データも用意されていた模様。
 
評価点
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ドット絵の多くは『スーパーマリオワールド』からの流用。
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ファミコンでもスーファミのグラフィックを再現しているのは評価に値する。
 
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それなりに良いBGM
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メインステージのBGMは、マリオワールドのBGMにゲーム内で訪れる国のお国柄をイメージしたアレンジが施されたものが使用されている。
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日本・中国ステージでは流暢な琴の演奏で、イタリア・フランスではおしゃれなポップス調で流れたりと、お国柄がよく表れたアレンジになっている。
 
 
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アメリカ大陸とヨーロッパを中心に世界の重要都市が満遍なく選ばれており、地理学習ゲームとしては常識的。
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ワールドマップではステージ化されていない都市にも名前を振るなど、学習ゲームとしての気遣いはところどころに見られる。
 
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クイズの難易度が程よく、選択肢が面白い
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例えば、「鎌倉大仏が家(=大仏殿)を失った理由は?」というクイズでは選択肢が
 ・未納の税金
 ・津波(正解)
 ・腐ったミカン
 ・提案13号
 というものになっている。ネタとしてはセンスがいいと言える。
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ちなみにこれは1問目。2問目はちゃんと知識をつけないと解けない構成になっており、難易度調整はしっかりできている。
 
 
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ずっと脇役だったルイージがいち早く主役を務めることができたこと。
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もっとも試みとしては新しいが、大したメリットが生まれているわけではなく、主役にする意味がない。むしろこんなゲーの主役だと悲しいかも。
 
総評
日本での発売は一切無く、開発にも任天堂が関わっていないために知名度はあまり高くない、知る人ぞ知る「初めてルイージが主役を務めた」ゲーム。
根本的にマリオスタイルのアクションx学習クイズゲームという組み合わせそのものに無理があり、意味もなく広いマップを歩き、あまり数のないクイズを解くというどうにも半端なゲームになってしまっている。
マリオ要素に目をつむるとしても、学習ゲームである以上、地理・歴史の知識の間違いは許容しがたいものがあり、「マリオゲームとして楽しめず、学習ゲームとしても使えない」という、初期コンセプトから考えると致命的な欠点を二つも抱えてしまっている。
子供に人気のマリオを起用した学習ゲームというだけで需要があったのか、任天堂のゲームシリーズには珍しくMS-DOS・NES・SNES・Macと複数のハードを跨いで展開された。
しかし、リメイクの度に改良はされたものの根本的な問題点の解決はできず、結局良ゲーには至らなかった。
余談
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初代はMS-DOSでリリースされており、容量を利して全20ステージのボリュームを誇った。
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ちなみにNES版、Mac版が全14ステージ、SNES版がリオデジャネイロを加えた15ステージ。
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当時のPCゲームにありがちだが、やたら彩度が高くギラギラしたグラフィックが特徴。
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「イスラエルのエルサレム」がステージ化されているというかなりヤバい部分もあった。
 
 
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ちなみに当時、マリオの教育ソフトは歴史ものの『Mario's Time Machine』や就学前学習向けの『Mario's Early Years』シリーズなど、複数リリースされていた。
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やはり外部開発のため、それらの出来もお察しのとおりである。
 
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日本の任天堂公式においてルイージが主役を務める作品は、本作より9年以上後の2001年9月14日に発売されたニンテンドーゲームキューブ用ソフト『ルイージマンション』である。
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後の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』内で見られるTIPSでは、「初めての主役」という項目の中で『ルイージマンション』を「大々的に主役として活躍した(最初のゲーム)」と紹介しており、本作の存在を必要最低限はほのめかしていた。
 
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ビデオゲームではなく一般発売もされていないが、1990年9月にマクドナルドのキャンペーンの景品になった腕時計型LCDゲームの1つに、ルイージが主役のものがある。
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その名も「ルイジのハンマーブロスゲーム」。パッケージのイラストにも「ルイジ」と書かれている。
よく見たらルイジだから偽者?
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LCDゲームは計3種類あり、他は「マリオのエッグキャッチゲーム」「ピーチ姫のキャッスルランゲーム」。ピーチ姫も初主役と言えるかも知れない。
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500円購入でもらえるスクラッチカードによる抽選。景品はLCDゲームの他にマクドナルド商品や、スーファミ版スーパーマリオワールド、ファミコン版のスーパーマリオブラザーズ、スーパーマリオブラザーズ3が当たるものだった。
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当時スーパーマリオワールドは発売前なため大々的に推されていたが、今となってはLCDゲームの方がずっとレアである。
 
 
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ゲームに限らないのであれば、ルイージの初主役は冒険ゲームブックシリーズ「スーパーマリオブラザーズ マリオを救え!」である。
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2部構成となっており、1部は主人公(読者)が敵に捕まってしまったマリオを救いに行く物語。2部はマリオが留守だったので仕方なくルイージがキノコ、フラワー、スターを探しに行く物語となっている。
 
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本作と同じような扱いで紹介されることもあるピーチが主役の『ミスピーチワールド』は本作とは異なり、許可も取っていない非公式のソフトである。
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ニューヨークステージでキングコングが登場するが、1933年に公開された映画のため当時の米国の法律(75年で失効)では著作権保護期間内。後にミッキーマウス法によって95年失効に延長されたため、「キングコング」という名称の著作権は(アメリカでは)現在も保護されている。
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巨大ゴリラが登場するB級パニック映画や『ドンキーコング』『コナミワイワイワールド』のように、「キングコング」という呼称が使われないだけで半ばパブリックドメイン的存在として黙認されているキャラクターではある。しかし本作ではそのまま「キングコング」呼びのため、米国著作権的にはかなり危ない。
 
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Weegee
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英語圏における本作のルイージのグラフィックを元にしたキャラがネットミームとして伝播している。
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突然現れては出会った者を怯えさせる、日本のミーム「tanasinn」のような感染能力を持つなど、混沌とした存在。
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名前の元ネタは『Hotel MARIO』での空耳から。マリオの方はMalleoである。
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「マリオのマイナー作品」繋がりからか、『MARIO TEACHES TYPING 2』に登場する不気味な生首のマリオ、『電視瑪琍』に登場するおぞましい色彩のマリオ(通称fortran/7 GRAND DAD)とセットでネタにされることも多い。
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海外版スマブラ for WiiUが発売された際、ルイージのフィギュアの説明文に「Weegee」という単語が見つかり、話題となった。
 
最終更新:2025年01月03日 10:16