がんばれゴエモン ~大江戸大回転~
【がんばれごえもん おおえどだいかいてん】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | コナミ | 
| 開発元 | コナミコンピュータエンタテインメント東京 ナウプロダクション
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| 発売日 | 2001年3月29日 | 
| 定価 | オープン価格 | 
| 廉価版 | コナミ・ザ・ベスト:2001年11月22日/2,800円(税別) PS one books:2002年12月12日/1,800円(税別)
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 文字通りのリサイクル品 サントラの使い回し
 ネタが少なく、とにかく地味
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| がんばれゴエモンシリーズ | 
 
概要
プレイステーション版『がんばれゴエモン』シリーズの第3作目。
アクションアドベンチャーの『アコギング』、3Dアクションの『綾繁一家』から変わって、久々の横スクロールアクションとなった。
前年の『冒険時代活劇』と違って本家シリーズ作品であり、『新世代』移行前における最後の「旧世代」ゴエモンだが、PS末期の発売であったことや目立った宣伝がなかったためか、歴代作品の中でも知名度が非常に低い。
ゲーム内容の大部分を過去作の要素のリサイクル(という名の使いまわし)で構成するという異色の作りが最大の特徴となっている。
ストーリー
空前のリサイクルブームに沸くはぐれ町。
ゴエモンとエビス丸もブームに乗ってゴミ拾いをしていたところ、
巨大な空き缶に追いかけられるヤエの姿を目撃する。
助け出して話を聞くと、大江戸城がゴミの化け物に乗っ取られたと言う。
更に、お殿様とゆき姫が行方不明になったという知らせを持ってサスケが駆け付けてくる。
手がかりを求め巨大空き缶の行方を追うべく旅立った一行は、
日本そのものをリサイクルしようと企む謎のオヤジ・エコロリ斎の野望を知り、
日本を守るべく悪のリサイクル軍団に立ち向かうのであった。
特徴
何といっても、「回転」と「リサイクル」をひっかけたそのタイトルに恥じない、徹底したリサイクル精神である。
ゲーム構成及びシステム
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グラフィックこそ3Dだが構成上は『マッギネス』の仕様・グラフィック性・ステージ構成をそのまま踏襲した2Dアクション(いわゆる2.5D)になっている。
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エリアマップのデザイン、ステージ構成、エリア間のデモムービー、各エリア開始時の演出なども『マッギネス』に準じている他、町ステージでは『からくり道中』および『2』に基づき、手形を持っていかないと外に出られないようになっている。
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『マッギネス』同様、4種類のミニゲームが存在する他、風呂屋や飯屋での回復もそのまま引き継いでいる。
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「体力の初期値及び金の招き猫取得による最大値の増加」「銀の招き猫による武器パワーアップ」の他、伏せ中に十字キーを入れることで足場の下段に降りるなどの操作面も『マッギネス』に準じている。
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2Pプレイも可能だがおんぶアクションは未搭載で、SFC版『3』『きらきら道中』にあったひょうたんシステムが採用されている。
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おおまかなベースは上述の通りだが、ゲームオーバーでゲーム終了を選んだ際の『ガーン!!』や、ゴールタヌキのデザインと破壊時の演出など、『マッギネス』以外のSFC時代の作品の要素もちらほら拾われている。
 
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インパクト戦の総数は『マッギネス』に準じて全3回。システムは『ネオ桃山幕府』に準じているが前哨戦に当るステージは存在せず、特定エリアの城ステージクリア後にそのままインパクト戦に移行する。
 
今回の敵
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リサイクルの達人ことエコロリ斎。
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といっても、その正体はただの「バテレン好きのオヤジ」で、自らゴミを作り出してはリサイクルして回るというゴエモンシリーズらしいどこか勘違いをした人物。
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更にエコロリ斎と幹部のスチール・ファイブ、ザコ敵「缶忍」のバリエーションが「マッギネス」「マーブル・ファイブ」「カブト」の関係そのまんまと、設定までリサイクルしている。
 また、彼が標榜する「日本全土リサイクル計画」は、『ネオ桃山幕府』のラスボス・春風弾神の「日本全土総舞台化計画」のもじりで、ラスボスの目的もリサイクルされている。
 
 
操作キャラクター
操作キャラクターはおなじみの4人。今作では初めからすべての武器・特殊能力を持っており、珍しく序盤から4人全員が揃った状態でスタートする。
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ゴエモン
武器『黄金キセル』/サブウェポン『小判投げ』
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特殊能力:『チェーンキセル』
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性能はきらきら道中に準拠し、卍ブロックにひっかけてワイヤー移動できる。
 
 
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エビス丸
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武器『ハリセン』
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前述の通り『マッギネス』を踏襲した内容故か、同作と同じ武器となっている。
 
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サブウェポン『手裏剣』
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特殊能力『ハリセン滑空』
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ボタンを押している間空中をゆっくり降下できる。
 
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サスケ
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武器『くない』/サブウェポン『花火爆弾』
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特殊能力『サスケダイブ』
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『でろでろ道中』で登場した潜水能力。そちらでは不可能だったダッシュアタック攻撃が追加された。
 
 
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ヤエ
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武器『刀』/サブウェポン『ヤエバズーカ』(ため撃ちでホーミング性能が付く)
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特殊能力『人魚変化』
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忍者装束のデザインが『もののけ道中』以降の2代目のものになった。
 また、他のキャラクターとの身長差が明確になり、上方へのリーチが長くなった。
 
敵キャラクター
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ザコ敵は主に『マッギネス』『きらきら道中』『でろでろ道中』の敵のリサイクル。一応、本作オリジナルの敵もいる。
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各エリアのボスはシリーズ常連のカブキをはじめ、『ネオ桃山幕府』のダンシン(春風弾神)、『きらきら道中』のハラキリセップク丸、『マッギネス』のマッギネスと過去の名ボスがオファーされている。
 「ゴエモン史上もっとも危ないキャラ」ことミスタープラズマもなぜかボスとして登場。
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インパクト戦のボスも過去作からのリサイクル。同じく常連のタイサンバのほか、ゴエモン・インパクト最初の対戦相手であった千秋楽もホバー仕様で復活した。
BGM
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旧作同様ステージごとに違う曲が用意されているが、新曲はない。
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『ネオ桃山幕府』『でろでろ道中』『もののけ双六』からの流用となっており、前者2つはサントラの曲をそのまま使用(これはリサイクルではなくリユース)している(そのおかげで音質はかなり良い)。
 
ヒロイン
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『ゆき姫救出絵巻』以来、十数年ぶりにゆき姫がヒロインに復帰した。
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初めてゆき姫にボイスがついたN64版シリーズではおっとりした性格であったが、本作では気の強いキャラクターになっている。
 
評価点
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グラフィックは新規に描き起こされている
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賛否両論はあるが、3Dグラフィックとしてはよく出来ている。また、リサイクル自体は著しいが、マップや背景の使い回しは一切ない。
 
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ステージの完成度は悪くない
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ジャンプ力の低さもあって難しいが、何回もプレイすれば突破できるレベルである。また、過去作を彷彿とさせるステージもいくつか登場する。
 
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インパクト戦で『おれはインパクト』が流れる
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ボーカル曲が戦闘BGMになるのは本作が最初で最後で、なおかつフルコーラスで聴くことができる。特にゲーム中で2・3番が聴けるのは本作だけ。
 
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OP、ED、幕間のデモシーン含めフルボイス
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またデモシーンはマッギネス同様の紙芝居風演出だが全くの静止画ではなく、それなりにグラフィックがアニメーションするようになっている。
 
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城ステージ・インパクト戦に再挑戦できるようになった。
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これまでは1度クリアしたボス戦と城ステージは二度と遊べなかったため、大きな改善点である。
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このおかげで旧作同様ステージのボリュームは控えめで、インパクト戦もマッギネス同様3戦と少なく前哨戦ステージが未搭載ながら物足りなさは感じ難くなっている。
 
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横スクロールアクションで初めて戦える過去ボス。
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ミニゲームでバトルという変則的なルールだったセップク丸や、巨大メカ戦でしか戦えなかった春風弾神と生身で戦えるのは本作が最初で最後。
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セップク丸はスポーツマンらしく、スポーツ用具を放り投げてきたり画面奥に停泊しているスポーツマンシップ号からラグビーボールを蹴り飛ばしてきたりと、キャラの個性を活かしている。
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弾神はなぜか脈絡なく水中ステージでの戦いになる上、水中での戦闘というシチュエーションに合わせてデザインが大幅に変わっているため面影があまりなくなっていたりするが、横移動する際にカメラ目線で手を振ったり、片手を高々と掲げくるくると回りながら攻撃を繰り出したり、敗北の際には爆発に巻き込まれてホゲホゲな姿になった後スターらしく一礼すると同時にステージの緞帳が降りてきてボス戦が終了するなど、一応はミュージカルスターという原作の設定をそれらしく(?)取り入れている。
 
 
問題点
中途半端なリサイクル(使いまわし)が目立つ作風
過去作の要素を使いまわすこと自体は本作における最大の特徴なのだが、同時に最大の批判点でもある。
内容さえ面白ければ好意的に受け止められただろうが、どの要素もみな中途半端に終始していたため、否定的な意見の方が目立つ結果となってしまった。
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特定作品からのリサイクルが目立つ
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リサイクル先は『マッギネス』『きらきら道中』『ネオ桃山幕府』『でろでろ道中』『もののけ双六』の5つだが、基本システムと敵の大半が『マッギネス』から、BGMの大半が『でろでろ道中』から取られているため、この2作の要素ばかりが目立ってしまっている。
 
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過去作にまつわるネタ要素が皆無
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「過去作のリサイクル」を売りにしているのに過去作関連のネタがまったく登場しない。
 ゴエモンシリーズは小ネタとして過去作や他のコナミゲームの登場人物をゲスト出演させることが多いが、本作ではボスとザコ敵以外、過去作のキャラクターは一切登場しない。
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せっかくの過去作のボスたちも、敵に召喚されたと思ったら無言のまま戦闘突入、倒されたらあっさり退場という、旧作ファンからすれば微妙極まりない扱いである。
 戦闘前後のセリフがないため彼らがどういういきさつでリサイクルされ日本にやってきたのかも不明と非常に味気ない。ギャグに活かせる要素なだけになおのこともったいない。
 
 
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BGMの使い方が微妙。
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ステージの雰囲気とは合っているのだが、元の作品で使われていたシーンの内容とずれていたりして違和感があるシーンも存在する。
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ただ、この点は過去の音源の流用な上、出典がN64シリーズのみという関係上、シーンによってふさわしい曲が限られてしまうという事情もある。実際、デモムービーの大半は(エンディングシーンですら)BGMが存在しないまま進行する。
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せめて音源そのままのリユース(再使用)ではなく、N64以外の過去曲もハードの音源に合わせてアレンジする形でリサイクルしていればもっとシーンに合わせたバリエーション豊かな使い方が出来ていただろうだけに惜しいところである。
 
 
ゲーム面・システム面の粗が目立つ
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ロードが多くテンポが悪い。
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ステージに入るときや町ステージ・城ステージで画面が切り替わったときに数秒のロードが入る。民家に入るときも短いロードが入る。キャラクター変更をするだけでもロードが入ってしまう。
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そのうえ町エリアで店や民家に入ったり、マップ移動してロードするたびにBGMが頭から再生されてしまう。過去作品からの流用とはいえ名曲ぞろいなのに、この仕様のお陰でBGMをじっくり堪能することが出来ない。
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ステージでも画面の切り替わりが多く、何度もキャラクターを変える必要がある後半のステージではBGMがぶつ切りになってしまう。
 
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『アコギング』の場合読み込み時間は長かったが、一括ロードのため基本的に同エリア・ステージ内ならば場面が切り替わってもBGMがそのままでロードも挟まらない仕様だった。
 
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サスケとヤエの水中性能が被っている。
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「サスケダイブ」にダッシュアタックが追加されたため、性能差がほぼなくなっており、使い分けの意味があまりなくなってしまった。
 
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一部ステージの難易度が高い
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『きらきら道中』『でろでろ道中』ほどではないが本作もジャンプ力が低く、ギリギリのジャンプで足場を渡る場面が多い。
 『きらきら道中』でプレイヤーの壁となった「チェーンキセルで卍ブロックを連続で渡る」ステージも増加している。
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特にえりあ3の「でじま遊園地」は本作最高の難易度を誇る。こちらに向かってくるメリーゴーラウンドを渡っていく前半と、シューティングになる後半に分かれるステージなのだが、後半は飛行機の当たり判定が大きく上下にしか動かせないうえに動きが遅いので、敵弾や障害物を避けるのが非常に難しい。必須ステージではないのがせめてもの救い。
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敵の配置も嫌らしい。苦労して渡った先にちょうど敵があらわれたり、卍ブロック地帯を抜けたところで撃ち落とされたり…。
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また、基本的に動きが遅いので敵の行動の先読みが重要になり、反射神経に任せた軽快なプレイができないのでストレスが溜まり易い。
 
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インパクト戦
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インパクト戦のチェーンキセル復活により、『ネオ桃山幕府』で批判されていた「チェーンキセル→百烈パンチ」のコンボも復活してしまった。
 
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N64時のシステムをそのまま踏襲しているため、N64版2作とのレスポンスの差が如実に感じられ易く、以前の作品をプレイ済だとストレスを覚えやすい。
総評
「敵はリサイクルの達人」という設定で過去作の要素の使い回しを正当化するのはゴエモンらしい上手い工夫であるといえ、設定そのものもユニークで面白い。
ロードの遅さ、動きの鈍さやジャンプ力の低さに目をつぶればアクションゲームとしての出来も極端に悪いわけではない。
しかし、過去作のボスが再登場することにあまり意味がないことや特定作品からのリサイクルが目立つことが原因で、悪い意味での手抜き・使い回し感の否めない中途半端な内容になっており、名作『でろでろ道中』の後に出たこともあって非常に地味で物足りない印象になってしまい、ファンからの評価も芳しくなかった。
過去作のネタをもっと充実させて弾けた作風に昇華できれば名作となり得たかもしれないだけに、非常に惜しい作品である。
余談
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記した通り、PS作品はおろかシリーズ全体を見ても地味な立ち位置の作品だが、『綾繁一家』ほど出来は悪くはなく、しかし『アコギング』のように配信はされていないためか、この二作に比べると中古価格は高騰している。
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以前は1000円程度で買えた時期もあったが、2022年現在はほとんどの中古サイトで5000円を超えている。
 
最終更新:2024年02月11日 20:13