本記事は3DO版の解説です。2009年に発売されたPSPリメイク版はこちらを参照してください。
ジャンル | アドベンチャー | ![]() |
対応機種 | 3DO interactive multiplayer | |
発売・開発元 | パック・イン・ビデオ | |
発売日 | 1994年11月25日 | |
定価 | 12,800円(税抜) | |
レーティング | 3DO用審査:E 一般向 | |
プレイ人数 | 1人 | |
判定 | 良作 | |
ポイント |
3DO向け和製実写サスペンス第二弾 東京と和歌山で同時進行する連続殺人 迫る迷宮入り、限られた行動回数で謎を解け 『鞍馬山荘』に比べゲーム性が増し、遊びごたえ上昇 反面、仕様の都合でダレやすくなった部分も |
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西村京太郎シリーズ |
3DOのウリである実写映像を活かした推理アドベンチャー第二弾。
ローンチタイトル『京都鞍馬山荘殺人事件』の布陣により、同様のコンセプトで送り出された。
こちらも引き続き、販売はパナソニック、発売・開発はパック・イン・ビデオが行っている。
山村美紗氏と西村京太郎氏は家族ぐるみで親交が深く、ゲーム作品が度々セットで出されているが、3DOにおいても共演を果たすこととなった。
これ以前のゲームシリーズ作品は『西村京太郎ミステリー』と名付けられていたが、今作は89年以降のドラマシリーズに合わせて『西村京太郎トラベルミステリー』と改題されている。(*1)
キャストはドラマ版と異なり、今作オリジナルとなっている。
シンプルなシステムにまとまっていた『鞍馬山荘』とは打って変わって、今作は調査行動に様々なルールが追加され、ゲーム性が増した。
7月11日深夜、ジョギング中の男が路上で殺された。
手にはなぜか新進気鋭の写真家が撮影した、水着のファッション写真が2枚。背中にはボウガンの矢が深々とささっていた。
写真家はこの事件となにか関係があるのか?なぜ、犯人はボウガンを使ったのか?
謎を追ううちに次々と事件が発生したーー。(取扱説明書より)
+ | ネタバレ注意 |
+ | ネタバレ注意 |
+ | 核心に触れるネタバレ注意 |
『京都鞍馬山荘殺人事件』で好評だった実写ドラマ要素はそのままに、システム面も正統進化させた作品。
そちらでのゲーム性に関する物足りない部分は概ね改善しており、3DOのADVとしても比較的濃厚に遊べる作品となっている。
シナリオは各人の秘密・内面が多数盛り込まれているが、その実写映像との相性は抜群。
表情・しぐさ・声といった俳優陣の演技が重視される展開が盛り込まれており、周回によって味わいが増す人間ドラマは今作一番の見どころである。
1周目でベストエンドを狙うのはかなり厳しいものの、次周からは諸要素をしっかりメモしてパズルを解く感覚で挑むことで、ギリギリ突破できる絶妙な塩梅に仕上がっている。
独特なシステムでありながら完全移植が一切ないので、3DOの中でも優先的に入手するソフトとしてもおすすめである。
*1 2作目『スーパーエクスプレス殺人事件』と3作目『北斗星の女』はいずれも90年発売で、改題が定着する前の作品だった。
*2 PSP版の判定より(ちなみに『鞍馬山荘』はB)。いずれも実写を廃止したことで表現がマイルドになったため、一概に同一視できない点には注意。3DO版の場合は終盤の描写により、D相当もありうる。
*3 3DO規格製品のうち、パナソニックが発売した最初のバージョン。おそらく最も有名な型。
*4 当時普及していた、写真保存用のCD。3DOはこれが再生できる点も売りの一つにしていた。後にセガサターンもこれに対応させているが、そちらは別売りのツールも用意する必要がある。
*5 テキストで明言される場面もあるのだが、所持している人物はどうしようもない犯罪行為に及んでいるので逆効果にも……
*6 Amazonレビューにて「5日目でゲームオーバーになった」とあるのだが、通常であれば選択肢の誤答を行うか30日目になるまでゲームオーバーイベントは発生しない(前者を5日目までに発生させるのは不可能)。レビュー内容はかなり詳細に書かれていることから、記憶違いの可能性も低い。
*7 一度決めた持論を補強するために、都合の良い情報ばかりをかき集めてしまう現象のこと。