機甲盤古 第三十二章
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<翻訳者コメント>
- 1ページ タイトル:桂蘭坊(後編)
- 2ページ
黄雷「うん?」
盤古「さあ、始まりますよ!」
黄雷(メカ亀…)
(何であいつがこんなとこに?)
(しかも何をこそこそしてやがるんだ?)
盤古「さあ、始まりますよ!」
黄雷(メカ亀…)
(何であいつがこんなとこに?)
(しかも何をこそこそしてやがるんだ?)
- 3ページ 台詞なし
- 4ページ
龐松「鳳ちゃあん!!」
「俺でぇ! 迎えに来たぜぇ!」
「提親の準備もバッチリだぜぇ!」
楊鳳「こ…この声は……」
「俺でぇ! 迎えに来たぜぇ!」
「提親の準備もバッチリだぜぇ!」
楊鳳「こ…この声は……」
- 5ページ
楊鳳(松さん?)
(どうして…どうしてこんなに早く……?)
黄雷(あれは…ああ、そういうことか)
(奴が楊鳳の言っていた、あの男性(ヒト))
(まさか…)
(本当に来るとはな)
(どうして…どうしてこんなに早く……?)
黄雷(あれは…ああ、そういうことか)
(奴が楊鳳の言っていた、あの男性(ヒト))
(まさか…)
(本当に来るとはな)
- 6ページ
黄雷(あいつは運が良い)
(只でさえ、青樓の女を本気で愛してくれる男なんて)
(そうそう見つからないってのに…)
盤古「?!」
(只でさえ、青樓の女を本気で愛してくれる男なんて)
(そうそう見つからないってのに…)
盤古「?!」
- 7ページ
店員1「通すわけにゃいかねえな。今すぐ失せな」
龐松「……な、何だとぉ?」
「身請けにはぁ金が必要なんじゃあねぇのか!?」
「見ろい! ここに50金あらあ! こいつで…」
店員1「お前…龐松とかいったな?」
「その名前聞き覚えがある」
龐松「……な、何だとぉ?」
「身請けにはぁ金が必要なんじゃあねぇのか!?」
「見ろい! ここに50金あらあ! こいつで…」
店員1「お前…龐松とかいったな?」
「その名前聞き覚えがある」
- 8ページ
店員1「確か、2年前に強盗罪で捕まって懲役10年に処せられた犯罪者の名だ…そいつがどうしてここにいる?」
盤古「な…」
龐信「なんだなんだ?」
盤古「信くん、ちょっと…様子が変です」
龐松「フン! 何かといやぁ、んなことかい…」
盤古「な…」
龐信「なんだなんだ?」
盤古「信くん、ちょっと…様子が変です」
龐松「フン! 何かといやぁ、んなことかい…」
- 9ページ
龐松「俺はぁ今仮釈中なんでぇ。この金も借り入れたもの。文句はあるめぇ?」
店員1「仮釈だと? わずか2年でか?」
龐松「何が言いてぇ?」
店員2「もうやめとけ。こういう輩はな…」
「力づくで叩き出しちまうに限る!」
龐信「あ…!」
店員1「仮釈だと? わずか2年でか?」
龐松「何が言いてぇ?」
店員2「もうやめとけ。こういう輩はな…」
「力づくで叩き出しちまうに限る!」
龐信「あ…!」
- 10ページ
龐信「とっちゃあん!」
盤古「信くん!」
(ぐ……)
(道幅が狭い。それがしでは通れない!)
黄雷(メカ亀の奴何をやっとるんだ…)
楊鳳「通して! 元締め、お願いします!」
元締め「悪いが、それはできないよ鳳ちゃん」
盤古「信くん!」
(ぐ……)
(道幅が狭い。それがしでは通れない!)
黄雷(メカ亀の奴何をやっとるんだ…)
楊鳳「通して! 元締め、お願いします!」
元締め「悪いが、それはできないよ鳳ちゃん」
- 11ページ
元締め「あんな前科者…付いていった所で苦労するのは目に見えている」
「奴は鳳ちゃんを不幸にするだけ」
「鳳ちゃんにはもっと裕福なとこに行ってほしいのさ」
「そうすりゃこっちも安心して送り出せるってもんよ」
楊鳳「……!」
黄雷(こいつ…)
(楊鳳の立場を利用して身請け金を吊り上げる気か……!)
元締め「だからさ鳳ちゃん」
「今ここは通せないよ」
「奴は鳳ちゃんを不幸にするだけ」
「鳳ちゃんにはもっと裕福なとこに行ってほしいのさ」
「そうすりゃこっちも安心して送り出せるってもんよ」
楊鳳「……!」
黄雷(こいつ…)
(楊鳳の立場を利用して身請け金を吊り上げる気か……!)
元締め「だからさ鳳ちゃん」
「今ここは通せないよ」
- 12ページ
楊鳳『…私共でさえ見守ってくださっていた。それが分かっただけで…』
『私めには十分でございます』
龐信「とっちゃん!」
店員1「チッ、ウザッてえガキだな」
盤古「ああああ……」
(どうしましょう? 助けようにもそれがしは今文字幻術が…!)
『私めには十分でございます』
龐信「とっちゃん!」
店員1「チッ、ウザッてえガキだな」
盤古「ああああ……」
(どうしましょう? 助けようにもそれがしは今文字幻術が…!)
- 13ページ
盤古(石炭……)
楊鳳「元締め……」
「ここであたしを引き止めたとしても…」
「あたしは今後、この店で一切儲けを出すつもりはありませんよ」
店員1「あ?」
楊鳳「あたしの諦めの悪さは、元締めもご存知のはず」
龐松「どきやがれぃ…」
「鳳ちゃんと約束したんでぇ……」
楊鳳「元締め……」
「ここであたしを引き止めたとしても…」
「あたしは今後、この店で一切儲けを出すつもりはありませんよ」
店員1「あ?」
楊鳳「あたしの諦めの悪さは、元締めもご存知のはず」
龐松「どきやがれぃ…」
「鳳ちゃんと約束したんでぇ……」
- 14ページ
楊鳳「今日ばかりは譲れません」
「今こそあたしは…自分の幸せを掴み取ります!」
龐松「迎えに行くってぇ…」
「幸せにするってぇよぉ…!」
「今こそあたしは…自分の幸せを掴み取ります!」
龐松「迎えに行くってぇ…」
「幸せにするってぇよぉ…!」
- 15ページ 台詞なし
- 16ページ・17ページ
黄雷「文字幻術・通字訣!!」
- 18ページ
楊鳳「な……」
店員「なんだ? 煙が…」
「火事か?」
盤古(……黄雷さん?)
黄雷(この煙は……)
(メカ亀の仕業か?)
「今だ! 行け!」
楊鳳「あ…」
店員「なんだ? 煙が…」
「火事か?」
盤古(……黄雷さん?)
黄雷(この煙は……)
(メカ亀の仕業か?)
「今だ! 行け!」
楊鳳「あ…」
- 19ページ
龐松「おっしゃ! 鳳ちゃん! 信坊!」
「つかまれい!」
「つかまれい!」
- 20ページ
龐松「ぬがあああああ!!!」
店員「逃げるぞ! 追え!」
「?」
店員「逃げるぞ! 追え!」
「?」
- 21ページ
盤古「ここはそれがしが! 行ってください!」
龐松「盤古…!」
盤古(軽く…弾き飛ばす!)
店員「バケモンかよこいつ!」
「撃て! 撃て撃て!」
龐松「盤古…!」
盤古(軽く…弾き飛ばす!)
店員「バケモンかよこいつ!」
「撃て! 撃て撃て!」
- 22ページ
店員「いっ…!?」
「くそ! なら回り道だ!」
「こっちからなら…!」
「くそ! なら回り道だ!」
「こっちからなら…!」
- 23ページ
店員「と…虎神だと!?」
元締め「きょ…今日は何て日だ!」
黄雷(今日楊鳳を助けたところで)
(青樓にはまだ、多くの娼婦がいる。オレの力の及ばない…)
黄亙『――雷よ…』
元締め「きょ…今日は何て日だ!」
黄雷(今日楊鳳を助けたところで)
(青樓にはまだ、多くの娼婦がいる。オレの力の及ばない…)
黄亙『――雷よ…』
- 24ページ
黄亙『力では全てを救えぬこともある。雷よ、覚えておくのだ。お前が…』
『己が無力さに苛まれた時は――』
黄雷「いい加減にしろよ」
「娼婦が従良を望むなら、お前らにそれを阻む権利はない」
「見合った身請け金を受け取ってさようなら。それで終わりのはずだ」
『己が無力さに苛まれた時は――』
黄雷「いい加減にしろよ」
「娼婦が従良を望むなら、お前らにそれを阻む権利はない」
「見合った身請け金を受け取ってさようなら。それで終わりのはずだ」
- 25ページ
黄亙『彼らの「希望」となるよう立ち振る舞うことだ』
『神明として、信ずるに値すべき存在に…』
黄雷「今後、もしまた同じようなことを…娼婦らの生活を脅かすような真似をしてみろ」
「いいか…」
黄亙『それが、神明の責任というものだ――』
黄雷「このオレが容赦はしない」
『神明として、信ずるに値すべき存在に…』
黄雷「今後、もしまた同じようなことを…娼婦らの生活を脅かすような真似をしてみろ」
「いいか…」
黄亙『それが、神明の責任というものだ――』
黄雷「このオレが容赦はしない」
- 26ページ
黄雷「ここまで来れば大丈夫だ。奴らも追っては来れまい」
龐松「かたじけねぇ……」
楊鳳「本当に何と……何とお礼を申し上げてよいか……」
龐松「かたじけねぇ……」
楊鳳「本当に何と……何とお礼を申し上げてよいか……」
- 27ページ
黄雷「礼には及ばない」
盤古「ではそれがしは仲人ということで。お礼はその時にでも…」
楊鳳「松さん、どうしたのさその手…」
龐松「こいつか?」
「あー……」
盤古「ではそれがしは仲人ということで。お礼はその時にでも…」
楊鳳「松さん、どうしたのさその手…」
龐松「こいつか?」
「あー……」
- 28ページ
龐松「………」
盤古「あ」
「事情がおありでしたらお聞きいたしませんので、後程お話しください」
龐松「いや…大恩人と神明にはぁ隠し事はぁできねぇ」
「聞いてくれや」
「鳳ちゃん、俺と鳳ちゃんが初めて会った日のこと、覚えてるか?」
「あん時山賊だった俺に、鳳ちゃんはぁ官府へ出頭するよう勧めてくれたよな」
「んで、罪を償ったら晴れて一緒になろうってぇ、そう約束した」
盤古「あ」
「事情がおありでしたらお聞きいたしませんので、後程お話しください」
龐松「いや…大恩人と神明にはぁ隠し事はぁできねぇ」
「聞いてくれや」
「鳳ちゃん、俺と鳳ちゃんが初めて会った日のこと、覚えてるか?」
「あん時山賊だった俺に、鳳ちゃんはぁ官府へ出頭するよう勧めてくれたよな」
「んで、罪を償ったら晴れて一緒になろうってぇ、そう約束した」
- 29ページ
龐松「けど、課された刑期は10年。俺はぁ何とか刑期を短くし、仮釈まで持ってけるよう…」
「判官に減刑を申し入れたんでぇ」
「この右手を代償にな」
楊鳳「!!」
龐信「と…とっちゃん……」
龐松「だから俺はぁ2年で出てこれた」
「判官に減刑を申し入れたんでぇ」
「この右手を代償にな」
楊鳳「!!」
龐信「と…とっちゃん……」
龐松「だから俺はぁ2年で出てこれた」
- 30ページ
黄雷「お前……」
「なんて無茶な…そんなことをしても、減刑が通るとは限らないんだぞ!」
龐松「まあな」
「俺だけの10年ならまだいい」
「けどよぉ、信坊を両親居ねぇままにしてよぉ」
「鳳ちゃんを青樓で待たせ続けるのに、10年ってぇ時間は余りに酷だった」
「んな辛ぇ思ぇずっとさせるぐれぇなら、手の一つや二つ…」
「賭けれなくてどうするってんでぇ」
黄雷「………」
「なんて無茶な…そんなことをしても、減刑が通るとは限らないんだぞ!」
龐松「まあな」
「俺だけの10年ならまだいい」
「けどよぉ、信坊を両親居ねぇままにしてよぉ」
「鳳ちゃんを青樓で待たせ続けるのに、10年ってぇ時間は余りに酷だった」
「んな辛ぇ思ぇずっとさせるぐれぇなら、手の一つや二つ…」
「賭けれなくてどうするってんでぇ」
黄雷「………」
- 31ページ
楊鳳「松さん……ごめんなさい」
龐松「……よせやい」
龐松「……よせやい」
- 32ページ
盤古「どうかお幸せに」
黄雷「結婚の折りには」
「一報寄こしてくれ」
「きっと駆けつけるよ」
黄雷「結婚の折りには」
「一報寄こしてくれ」
「きっと駆けつけるよ」
- 33ページ
盤古「黄雷さん……」
黄雷「うん?」
盤古「先程は…助けていただいて、本当にありがとうございます」
黄雷「礼には及ばないって言ったろ? こいつはオレの…虎神の責任ってやつだ」
「というか、お前が礼を言ってどうする?」
「今回の件、お前は全くの無関係だろうに」
「敦煌まで急ぐんじゃなかったのか?」
「人助けしてるヒマが、お前にあるのかよ」
黄雷「うん?」
盤古「先程は…助けていただいて、本当にありがとうございます」
黄雷「礼には及ばないって言ったろ? こいつはオレの…虎神の責任ってやつだ」
「というか、お前が礼を言ってどうする?」
「今回の件、お前は全くの無関係だろうに」
「敦煌まで急ぐんじゃなかったのか?」
「人助けしてるヒマが、お前にあるのかよ」
- 34ページ
盤古「……」
「それがしはただ、彼らの幸せな姿を見たかっただけなんです。単なるワガママなんですよ、これ」
「良いものですね…家族というのは」
「それがしも、あんな家庭を築けたら、どんなにいいか…」
黄雷「……」
「それがしはただ、彼らの幸せな姿を見たかっただけなんです。単なるワガママなんですよ、これ」
「良いものですね…家族というのは」
「それがしも、あんな家庭を築けたら、どんなにいいか…」
黄雷「……」
- 35ページ
盤古「それでは、行きますか」
黄雷「行くって…敦煌にか?」
「……もう遅いぞ」
盤古「それがしは機械ですよ?」
「機械に昼も夜もありません。ご存知でしょう?」
「あはは、意外ですね。黄雷さんが冗談を仰るなんて!」
黄雷「勘違いするな」
「「もう遅い」ってのはな……」
黄雷「行くって…敦煌にか?」
「……もう遅いぞ」
盤古「それがしは機械ですよ?」
「機械に昼も夜もありません。ご存知でしょう?」
「あはは、意外ですね。黄雷さんが冗談を仰るなんて!」
黄雷「勘違いするな」
「「もう遅い」ってのはな……」
- 36ページ・37ページ
黄雷「タイムアップってことだ」
盤古「………!!」
盤古「………!!」
