機甲盤古 第四十五章
<翻訳者コメント>
- 1ページ
戴逢妻「とうちゃん、茶わん洗って。今日当番でしょ?」
戴逢「待てよ。今良いとこ…」
「ん?」
アナウンス「以上が、一次予選通過者リストになります!」
趙牙「おっかあ! おっかあ! 見てっか? オラ…ついに予選突破しただ!」
守芬「最後の一問も私って…恥ずかしいと思わないの?」
戴逢「………!」
戴逢「待てよ。今良いとこ…」
「ん?」
アナウンス「以上が、一次予選通過者リストになります!」
趙牙「おっかあ! おっかあ! 見てっか? オラ…ついに予選突破しただ!」
守芬「最後の一問も私って…恥ずかしいと思わないの?」
戴逢「………!」
- 2ページ 第四十五章 神都字謎[七]
戴逢「ハァ!? 黄雷が科挙を受けに? 休み使って? 上司(俺)に一言もなく?」
戴逢妻「とうちゃん! 茶わんは?」
戴逢妻「とうちゃん! 茶わんは?」
- 3ページ
樂珊「ごめんなさいねえ。この子ったらまた皆さんにご迷惑をおかけして…」
盤古「いえいえ」
樂石「っ…」
魯泉「樂石、今日はありがとう」
徐梅「樂石まで敦煌に来るなんて…」
盤古「いえいえ」
樂石「っ…」
魯泉「樂石、今日はありがとう」
徐梅「樂石まで敦煌に来るなんて…」
- 4ページ
守芬「魯泉。お題二つ解いたんですって? すごいじゃない!」
魯泉「「海洋」と「海鮮」は龍神さまと徐梅から復習の時教わってたんだ」
「ぼくだけじゃ解けなかったよ」
守芬「それに引きかえ黄雷ときたら…」
「十問中七問は私が解いたんだから」
魯泉「七問!? 守芬ねえさん、どうやってそんなにお題板をとったの?」
守芬「取ったりなんてしてないわ。私は民家をまわったの」
魯泉「「海洋」と「海鮮」は龍神さまと徐梅から復習の時教わってたんだ」
「ぼくだけじゃ解けなかったよ」
守芬「それに引きかえ黄雷ときたら…」
「十問中七問は私が解いたんだから」
魯泉「七問!? 守芬ねえさん、どうやってそんなにお題板をとったの?」
守芬「取ったりなんてしてないわ。私は民家をまわったの」
- 5ページ
守芬「民家は住人の許可がないと入れないのよ」
「争奪戦じゃ武生が有利だもの」
「文生にも平等に機会を与えられるよう、試験のルールは考えられているのね」
ヨーゼフ「ナールホド」
魏恩「…うむ」
「先の話だが、お前たちの邪魔をし」
「魯泉に危害を加えた受験生の名は…」
「馬賢と羅剛……で」
「相違ないな?」
「争奪戦じゃ武生が有利だもの」
「文生にも平等に機会を与えられるよう、試験のルールは考えられているのね」
ヨーゼフ「ナールホド」
魏恩「…うむ」
「先の話だが、お前たちの邪魔をし」
「魯泉に危害を加えた受験生の名は…」
「馬賢と羅剛……で」
「相違ないな?」
- 6ページ
盤古「はい」
「他の受験生と違い…」
「彼らは明らかに、自身の成績には目もくれていないようでした」
魯泉「徐梅とヨーゼフさんがいてくれたから、ぼくも切りぬけられたんだ」
「本当にハラハラしたよ」
盤古(…いや…)
(それがしがもっと早く十問答えられていれば…)
(魯泉は傷つかずに済んだ)
「他の受験生と違い…」
「彼らは明らかに、自身の成績には目もくれていないようでした」
魯泉「徐梅とヨーゼフさんがいてくれたから、ぼくも切りぬけられたんだ」
「本当にハラハラしたよ」
盤古(…いや…)
(それがしがもっと早く十問答えられていれば…)
(魯泉は傷つかずに済んだ)
- 7ページ
盤古(それがしがしっかりしなければ…)
(もうこんなことをくり返してはいけない!)
魏恩(このような妨害行為…逆に己の首をしめるばかりのはず)
(普通の受験生ではないな)
(き奴らは一体…)
霍安「……」
(もうこんなことをくり返してはいけない!)
魏恩(このような妨害行為…逆に己の首をしめるばかりのはず)
(普通の受験生ではないな)
(き奴らは一体…)
霍安「……」
- 8ページ
黄雷(……オレは考えが甘すぎた)
(一次試験を軽く見ていた)
(オレの実力は、一次試験にすら追いついていない)
(反省しなければ…)
(じゃないと、盤古のサポートなんてできやしない)
(一次試験を軽く見ていた)
(オレの実力は、一次試験にすら追いついていない)
(反省しなければ…)
(じゃないと、盤古のサポートなんてできやしない)
- 9ページ
守芬「ヨット」
(ん? 黄雷ったら、あんなとこに…)
(ははあ…試験のことで落ち込んでるのね)
(今日は相当こたえたみたい。後でなぐさめてやりますか)
黄亙「もし…鍾さんでしょうか?」
(ん? 黄雷ったら、あんなとこに…)
(ははあ…試験のことで落ち込んでるのね)
(今日は相当こたえたみたい。後でなぐさめてやりますか)
黄亙「もし…鍾さんでしょうか?」
- 10ページ
守芬「キャ!」
黄亙「私は黄雷の父」
「黄亙と申します」
守芬「え…はい」
「どうも」
黄亙「中継を見ました」
「あなたは黄雷をサポートしてくれていた」
黄亙「私は黄雷の父」
「黄亙と申します」
守芬「え…はい」
「どうも」
黄亙「中継を見ました」
「あなたは黄雷をサポートしてくれていた」
- 11ページ
守芬「ええ、まあ。正直、彼の学力はかなり…」
「あ…」
「と…でもこれからですよね。黄雷はまだ子どもですし」
黄亙「…いや。武を優先するあまり、あの子には学を疎かにさせてしまった」
「父親として不甲斐ないばかり」
「あなたには感謝しています」
「それと…あなたの所には、科挙を受ける機甲兵がいますね?」
「え…ど…どうして?」
「あ…」
「と…でもこれからですよね。黄雷はまだ子どもですし」
黄亙「…いや。武を優先するあまり、あの子には学を疎かにさせてしまった」
「父親として不甲斐ないばかり」
「あなたには感謝しています」
「それと…あなたの所には、科挙を受ける機甲兵がいますね?」
「え…ど…どうして?」
- 12ページ
黄亙「いや。聞いてみただけです」
守芬(…黄雷のお父さんは盤古のことを知っている)
(となると、黄雷が心配で様子を見に来たのかしら?)
黄亙「では……」
守芬(…黄雷のお父さんは盤古のことを知っている)
(となると、黄雷が心配で様子を見に来たのかしら?)
黄亙「では……」
- 13ページ
黄亙「今後とも息子をよろしくお願いします」
「こちらこそ」
黄亙「そうそう、黄雷にお伝えください…」
「二次試験……」
「私は非常に期待していると」
守芬「は…はい」
黄亙「ありがとうございます」
「こちらこそ」
黄亙「そうそう、黄雷にお伝えください…」
「二次試験……」
「私は非常に期待していると」
守芬「は…はい」
黄亙「ありがとうございます」
- 14ページ
守芬「黄雷」
「ちょっと食べなさい」
黄雷「いらん」
「武人が食欲におぼれるなんて…」
守芬「固いんだから!」
「元気出しなさい。さっきお父さんも来てたわよ」
黄雷「父上が?」
守芬「言伝よ。二次試験、すっごく期待してるって」
「ちょっと食べなさい」
黄雷「いらん」
「武人が食欲におぼれるなんて…」
守芬「固いんだから!」
「元気出しなさい。さっきお父さんも来てたわよ」
黄雷「父上が?」
守芬「言伝よ。二次試験、すっごく期待してるって」
- 15ページ
黄雷「期待?」
「そんなの、オレには…」
守芬「やーねー。今日の試験は忘れなさい」
「過ぎたことじゃない!」
黄雷「……そうじゃない」
「お前、神明の持ち部首がどうやって決まるか、知ってるか?」
守芬「? いいえ?」
黄雷「持ち部首は、自分が最初にえらんだ文字で決まるんだ」
「そんなの、オレには…」
守芬「やーねー。今日の試験は忘れなさい」
「過ぎたことじゃない!」
黄雷「……そうじゃない」
「お前、神明の持ち部首がどうやって決まるか、知ってるか?」
守芬「? いいえ?」
黄雷「持ち部首は、自分が最初にえらんだ文字で決まるんだ」
- 16ページ
黄雷「小さいころ、オレは遊ぶのが好きだった」
「村の子どもたちを遠くからながめては、いつも一緒に遊びたいと思っていた」
黄亙『雷よ』
『守護神とは守る者。人々と戯れることはできない』
黄雷「だから、オレはずっと一人で遊んでいた」
「一人で…数えきれないくらい。何度も何度も…」
「だけど、オレはどうしても遊び相手がほしかった」
「そう……」
「村の子どもたちを遠くからながめては、いつも一緒に遊びたいと思っていた」
黄亙『雷よ』
『守護神とは守る者。人々と戯れることはできない』
黄雷「だから、オレはずっと一人で遊んでいた」
「一人で…数えきれないくらい。何度も何度も…」
「だけど、オレはどうしても遊び相手がほしかった」
「そう……」
- 17ページ
黄雷「オレがはじめておぼえた文字幻術は…」
「「遊」の字だったんだ」
「そして、ある日家に帰った時…」
村人『山崩れだ!』
『誰かー!』
「「遊」の字だったんだ」
「そして、ある日家に帰った時…」
村人『山崩れだ!』
『誰かー!』
- 18ページ
黄雷「その時気づいた…」
「オレが自分のためだけの勝手な理由で」
「父上とはちがう部首を選んでしまったことに」
「オレが自分のためだけの勝手な理由で」
「父上とはちがう部首を選んでしまったことに」
- 19ページ
黄雷「父上のガッカリした目…」
「けど、父上がオレを責めることはなかった」
「その後…」
「父上は一人で修行をするようになった」
「もう、オレをきたえてはくれなくなった」
「ずっと後悔してるんだ」
「父上の期待にこたえられなかったこと」
「けど、父上がオレを責めることはなかった」
「その後…」
「父上は一人で修行をするようになった」
「もう、オレをきたえてはくれなくなった」
「ずっと後悔してるんだ」
「父上の期待にこたえられなかったこと」
20ページ
黄雷「オレは……」
「父上のような立派な守護神になりたい」
「だから…もっともっと努力しないと」
「二次試験…父上の期待はうらぎれない」
「盤古を助けて、そつなく勝ち上がってみせるさ」
黄雷「オレは……」
「父上のような立派な守護神になりたい」
「だから…もっともっと努力しないと」
「二次試験…父上の期待はうらぎれない」
「盤古を助けて、そつなく勝ち上がってみせるさ」
- 21ページ 台詞なし
- 22ページ
徐梅「おはようございます、龍神さま。…寝てないのですか?」
魏恩「うむ、仙試科舉の資料に目を通しておってな」
「徐梅、一つ頼まれてくれぬか」
徐梅「はい?」
魏恩「明日の二次試験、儂に握り飯を包んでほしい」
「好物がいる。とびきりうまいのを頼むぞ!」
「さすれば、儂も本気が出せる」
徐梅「……? 本気?」
魏恩「二次試験は…儂も盤古のサポートに下りる」
魏恩「うむ、仙試科舉の資料に目を通しておってな」
「徐梅、一つ頼まれてくれぬか」
徐梅「はい?」
魏恩「明日の二次試験、儂に握り飯を包んでほしい」
「好物がいる。とびきりうまいのを頼むぞ!」
「さすれば、儂も本気が出せる」
徐梅「……? 本気?」
魏恩「二次試験は…儂も盤古のサポートに下りる」
- 23ページ
徐梅「ええ!?」
魏恩「規則書によると、保証人には、一度だけ受験生への手助けが認められておるようだ」
「身内が出しゃばる形となる故、通常は使われることはないのだが…」
「今はそうも言っておれぬ」
「二次試験は…」
「必ずや儂が、魯泉らを通過させてみせよう!」
魏恩「規則書によると、保証人には、一度だけ受験生への手助けが認められておるようだ」
「身内が出しゃばる形となる故、通常は使われることはないのだが…」
「今はそうも言っておれぬ」
「二次試験は…」
「必ずや儂が、魯泉らを通過させてみせよう!」
