西アラム語で書かれた
新約聖書外典の一書。『
ナザレ人福音書』ともいわれる。おそらく2世紀頃にエジプトで書かれたもので,アレクサンドリアのクレメンスやオリゲネス、エウセビオス、イグナチオスらが言及しているが、現存するのはごく一部にすぎない。ヒエロニムスは,これを『
マタイによる福音書』のオリジナルと推定していた。正典にない
イエスの言葉を採録し,部分的には独自の伝承によるものと思われるが、正典との関係については定説はない。
一般に『ナザレ人福音書』と同一視されているが、『ヘブライ人福音書』はエジプトで成立、初めからギリシア語で書かれた2世紀のグノーシス的外典と考えられるから、両者は区別されるべきであろう。
最終更新:2017年04月21日 18:57