聖アンデレの事蹟を述べた新約正典以外の文書としては、外典「アンデレ行伝」がある。これは「
ヨハネ行伝」「
ペトロ行伝」「
パウロ行伝」「
トマス行伝」とともに、レウキウス (Leucius) という人物による書物とされて、8世紀頃まで広く流布しており、エウセビオスやアウグスティヌスの著作にも言及がみられる。
「アンデレ行伝」の成立年代は最近の研究によって従来の説よりも早められ、190年よりも以前と考えられている。
しかし大部分が紛失。残っているのは宣教するアンドレが捕らえられ、獄中で説教し、十字架刑を待っているところである。ほとんどはアンドレの独白で、性的禁欲主義を主題とすることから
グノーシス主義に近い。
「アンデレ行伝」("VITA ANDREAE") はいくつかの写本が残っているが、ほとんどは原アンデレ行伝が大幅に加筆されたものと考えられている。原アンデレ行伝は現存していないが、ヴァティカン図書館にあるギリシア語の写本 (Codex Vaticanus graecus 808) と、ユトレヒト大学にあるコプト語のパピルス断片 (Papyrus Copt. Utrtcht I) は、原資料に忠実な写本と考えられている。前者は使徒がパトラエに囚われていた際の事蹟がその内容となっているが、殉教の部分は残っていない。
最終更新:2017年09月10日 10:38