ソドムとゴモラ

ソドム(ヘブライ語:סדום、英語:Sodom)とゴモラ(עמורה、Gomorrah)は、旧約聖書の『創世記』19章に登場する、天からの硫黄と火によって滅ぼされたとされる都市である。

創世記18:1-2
主はマムレの樫の木の所でアブラハムに現れた。暑い真昼に、アブラハムは天幕の入り口に座っていた。目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。アブラハムはすぐに天幕の入り口から走り出て迎え、地にひれ伏して、

創世記18:20-22
主は言われた。「ソドムとゴモラの罪は非常に重い、と訴える叫びが実に大きい。わたしは降って行き、彼らの行跡が、果たして、わたしに届いた叫びのとおりかどうか見て確かめよう。」
その人たちは、更にソドムの方へ向かった

創世記19:1-9
二人の御使いが夕方ソドムに着いたとき、ロトはソドムの門の所に座っていた。ロトは彼らを見ると、立ち上がって迎え、地にひれ伏して、言った。「皆様方、どうぞ僕の家に立ち寄り、足を洗ってお泊まりください。そして、明日の朝早く起きて出立なさってください。」彼らは言った。「いや、結構です。わたしたちはこの広場で夜を過ごします。」しかし、ロトがぜひにと勧めたので、彼らはロトの所に立ち寄ることにし、彼の家を訪ねた。ロトは、酵母を入れないパンを焼いて食事を供し、彼らをもてなした。
彼らがまだ床に就かないうちに、ソドムの町の男たちが、若者も年寄りもこぞって押しかけ、家を取り囲んでわめきたてた。「今夜、お前のところへ来た連中はどこにいる。ここへ連れて来い。なぶりものにしてやるから。」
ロトは、戸口の前にたむろしている男たちのところへ出て行き、後ろの戸を閉めて、言った。「どうか、皆さん、乱暴なことはしないでください。実は、わたしにはまだ嫁がせていない娘が二人おります。皆さんにその娘たちを差し出しますから、好きなようにしてください。ただ、あの方々には何もしないでください。この家の屋根の下に身を寄せていただいたのですから。」男たちは口々に言った。「そこをどけ。」「こいつは、よそ者のくせに、指図などして。」「さあ、彼らより先に、お前を痛い目に遭わせてやる。」そして、ロトに詰め寄って体を押しつけ、戸を破ろうとした。

創世記19:12-13
二人の客はロトに言った。「ほかに、あなたの身内の人がこの町にいますか。あなたの婿や息子や娘などを皆連れてここから逃げなさい。実は、わたしたちはこの町を滅ぼしに来たのです。大きな叫びが主のもとに届いたので、主は、この町を滅ぼすためにわたしたちを遣わされたのです。」

創世記19:23-26
太陽が地上に昇ったとき、ロトはツォアルに着いた。主はソドムとゴモラの上に天から、主のもとから硫黄の火を降らせ、これらの町と低地一帯を、町の全住民、地の草木もろとも滅ぼした。
ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱になった。

ソドムの罪

同性愛に対する神の罰だと誤解されることが多いが、旧約聖書にはそれを明確に述べている個所は存在しない。一方で、エゼキエル書16:49にはソドムの罪は次のように、高慢、飽食、貧困者の遺棄が主因として書かれており、せいぜい「忌まわしいこと」が性的な内容と解釈されうる余地があるのみである。

エゼキエル16:46-50
お前〔エルサレム〕の姉はサマリアであり、彼女とその娘たちはお前の北に住んでいる。また、お前の南に住んでいるお前の妹はソドムとその娘たちである。お前は彼女たちの道を歩んで、忌まわしいことを行ったばかりでなく、やがて、すべての道において、彼女たちよりもいっそう堕落した。
わたしは生きている、
と主なる神は言われる。
お前の妹であるソドムも、その娘たちも、お前とお前の娘たちが行ったようなことはしなかった。お前の妹ソドムの罪はこれである。彼女とその娘たちは高慢で、食物に飽き安閑と暮らしていながら、貧しい者、乏しい者を助けようとしなかった。彼女たちは傲慢にも、わたしの目の前で忌まわしいことを行った。そのために、わたしが彼女たちを滅ぼしたのは、お前の見たとおりである。

しかし、新約聖書ユダの手紙では「不自然な肉欲」を糾弾する意味合いに変化していることがわかる。当時のユダヤ人の伝承で、ソドムの罪が同性交渉であると伝えられていたためと考えられる。

ユダの手紙7
ソドムやゴモラ、またその周辺の町は、この天使たちと同じく、みだらな行いにふけり、不自然な肉の欲の満足を追い求めたので、永遠の火の刑罰を受け、見せしめにされています。

さらに、イスラム教の預言書であるクルアーンでも次のように同性愛を糾弾する意味合いが強くなっている。ただし、イスラム法では、あくまで規定されるのは行動のみであり、思想信条に対しては裁けないことになっているため、ここで神により否定されているのは「同性愛感情」ではなく「同性交渉」である。

クルアーン8(戦利品):80-84
また(われは)ルート〔ロト〕を(遺わした)、かれはその民に言った。「あなたがたは、あなたがた以前のどの世でも、誰も行わなかった淫らなことをするのか。あなたがたは、情欲のため女でなくて男に赴く。いやあなたがたは、途方もない人びとである。」
かれの民は、只(互いに)こう言うだけであった。「かれらを、あなたがたの村から追い出せ。かれらは本当に清純ぶった人たちである。」
こうしてわれは、かれ(ルート)の妻を除き、かれとその家族を救った。かの女は後の方になった遅れた者の仲間であった。われはかれらの上に、(瓦礫の)雨を降らせた。見なさい。罪に耽る者の最後がどんなものであったかを。

クルアーン26(詩人たち):161-166
同胞ルート〔ロト〕が、かれらに、「あなたがたは主を畏れないのですか。」と言った時を思い起しなさい。
「本当にわたしは、あなたがたへの誠実な使徒です。だからアッラーを畏れ、わたしに従いなさい。わたしはあなたがたにこのことで報酬を求めません。わたしへの報酬は、唯々万有の主から(いただく)だけです。
あなたがたは創造された者の中 男だけに近付き、主があなたがたのために創られた配偶者を顧みないのですか。いや、あなたがたは罪を犯す者です。」

小惑星アピン

近年発見されたシュメールの粘土板の記録によれば、ソドムとゴモラの逸話は、アテン群の小惑星の衝突を反映している可能性があるとされる。
最終更新:2018年01月07日 00:10