NINJA GAIDEN: Dragon Sword
【にんじゃがいでん どらごんそーど】
ジャンル
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忍者アクション
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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テクモ
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開発元
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テクモ(Team NINJA)
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発売日
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2008年3月20日
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定価
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4,800円(税別)
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判定
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なし
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忍者龍剣伝/NINJA GAIDENシリーズ
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概要
当時、日本では知名度が低かったが世界で非常に高い評価を受けた『NINJA GAIDEN』シリーズは、DSでもひっそりとシリーズが登場していた。
エグゼクティブプロデューサーとして板垣伴信氏が関わっているが、本作のプロデューサー兼ディレクターは現チームニンジャ部長である早矢仕洋介氏が担当している。
副題である「Dragon Sword」(ドラゴンソード)は龍剣の英語名であり、同時にニンテンドーDSとのダブルニーミングになっている。
以降、Xbox版を本家と記す。
ストーリー
龍の一族により封印されし魔刀「黒龍丸」。暗黒の力に魅せられた邪悪な者共が隼の里を襲い、「黒龍丸」を奪い去った。龍の一族の末裔、隼流の若き忍リュウ・ハヤブサは一族に伝わる伝説の刀「龍剣」を手に一人立ち向かい、壮絶な闘いの果てに邪悪を打ち砕いたのだった。
忌まわしき「黒龍丸事件」より半年。平穏を取り戻した隼の里に、再び邪悪が忍び寄ろうとしている…。
(Amazon紹介文より引用)
『NINJA GAIDEN』から半年、ハヤブサと忍者の修行を行っていた龍の巫女の唯一の生き残りである紅葉が地蜘蛛忍者に攫われるところから話は始まる。
特徴
概ね『1』の仕様を受け継ぎつつ、DSに向けてアレンジが行われている。
基本操作
本作ではDSを縦にして持って操作する。オプションから利き手選択が可能。
本作のウリである仕様で、操作はほぼ全てタッチペンで行う。スタートとセレクト以外のボタンは全てガードでのみ使用する。
+
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以下操作方法一覧
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移動
キャラクターを動かしたい場所にタッチし続けると、その方向に動き出す。
ガード
スタートかセレクト以外のボタンを押し続けるとガードする。
捌き
ガード中に敵の攻撃にタイミングを合わせて攻撃することで、反撃することが可能
モーションは『3』の弱捌きに似ている
裏風
ガード中に移動コマンドで、動きたい方向に回避が可能。
始動にのみ無敵があるが、硬直があるため乱用はできないのも本家同様。
一応、本家の高速移動手段である裏風ジャンプは本作でも可能だが、操作の関係上厳しい。
なお、本作では裏風ジャンプを使用しないと厳しい場面はないため、無理して使う必要性はない。
ジャンプ
ハヤブサが地上にいる時に下から上へタッチペンをスライドさせることでジャンプが可能。
一部マップでは連続して行うことで壁ジャンプを繰り返す飛鳥返しが可能。
攻撃
キャラクターの近くで横に素早くスライドさせると龍剣で攻撃する。連続で繰り出せば連続攻撃になる。
モーションは本家と同じ。
飯綱落とし
攻撃中に上へスライドさせると敵を打ち上げる、もう1回上へスライドさせると高威力単体投げ技の飯綱落としが繰り出せる。
ちなみに、本家と違って繰り出せる敵が増えた。例えばナイトメアにも使用可能。
飛燕
空中でタッチペンを横にスライドさせると高速突進技の飛燕が出せる。
本作では3連続で出せるほか、滞空時間が長めに設定されており、空中にいる間は常に攻撃判定が出続けるようになった。
ある意味シリーズで1番使い勝手が良い。
遠距離攻撃
遠距離武器を投擲したい場所にタッチして放すと遠距離攻撃を出す。
連続で操作すれば連射可能。
絶技
地上で画面をこすりまくることで絶技を溜めることが可能。絶技引導もある。
本作では広範囲に刃を繰り出す攻撃なっている
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装備
共通してムラマサ爺にエッセンスと引き換えに、ハヤブサを強化することが可能。
新たな技を使える巻物や、体力の最大値を上げる九字神珠もここで手に入る。
武器
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本作の近接武器は龍剣のみ。遠距離武器は手裏剣、弓、爆裂弓の3種類。
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シナリオが進行するごとに龍剣を強化、遠距離武器の取得が可能。
忍法
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共通してストックは1つで強化不可能。
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画面左上の忍法アイコンをタッチすると、ゲーム時間が止まり、梵字をなぞるミニゲームが入る
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タッチペンで操作できる火の玉を放つ、タッチで雷撃を放つ、風を巻き起こすなど種類は多彩。中には青エッセンスを入手する回復忍法もある。
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このときの堀秀行氏の叫び声は必聴。シリーズの中でも特に凄まじい叫びが聴ける。
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様々な種類があり、ストーリーの進行や、ムラマサ爺から購入が可能。
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ストーリーの進行で手に入るものは仕掛けを解除するために使用することもある。
ステージ
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シナリオは章形式。最初は隼の里で地蜘蛛と戦闘するが、途中から黒龍石の力を使い、本家にもあったストーンサークルから世界各地へ飛び、黒龍石を回収するのが主な目的となる。
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一度クリアしたステージはハリケーンパックのようなステージでの殲滅戦に置き換えられる。殲滅戦をクリアすればアイテムと大量のエッセンスが入手可能になるが、1度クリアすると二度と入ることはできない。
評価点
美麗なグラフィック
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DSでもトップレベルのグラフィックを誇り、下手なPSPのゲームをも上回る。
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雑魚戦では背景を2Dにして負荷を減らした分多数の敵がポリゴンで動く。そしてボス戦では何と3Dマップにフルポリゴンで動くボスが登場し、DSのスペックを見せつけている。
質の高い演出
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DSの性能を、そして2画面をフルに使った、コミックテイストで展開されるイベントシーンはどれも質が高い。
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正直なところ、このゲームで一番凝っているのはアクションよりイベントシーンといっても過言ではない。
アクション
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再現度が非常に高く、慣れれば本家と遜色ない動きが可能になる。
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飛燕や遠距離武器の操作性は本家をも上回る爽快感が出せる。
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攻撃を当てることで、敵の遠距離攻撃を撃ち返すことが可能になった。
掘り下げられた世界観
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本家では顔出し程度の登場だった地蜘蛛も本格的に活動。地蜘蛛の御婆を筆頭に勾玉奪取に向けて暗躍する。
魅力的なキャラクター達
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紅葉
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本作のヒロイン。龍の巫女の唯一の生き残りであり、同時にハヤブサを師として忍者の修行を行っている。
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最初のみ彼女を使ってプレイすることになり、また一定条件下で彼女をプレイヤーにすることが可能。
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板垣の趣味とは違った路線の、いわゆる大和撫子的な容姿は大きく人気を博し、『NINJA GAIDEN』だけでなくコエテクのゲームの常連となった。
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ちなみに、双子の姉である呉葉もわずかならが登場している。声はXbox版と異なり紅葉と同じ皆口裕子氏。
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その他、里に登場する住人と子供たちも評価が高い
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リュウを慕う子供たちが出るが、単なるお飾りでなく里の住人としてきちんと役割を持っている。
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その他、ベテランの源次郎、かつては凄腕の弓使いだったおみつなどが登場する。
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これらのキャラクターのおかげで、より世界観を掘り下げることに成功している。
収集要素
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スカラベの代わりに木札という収集アイテムが出現。世界中に散らばっている。
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これを手に入れることで、おまけ要素としてキャラクター紹介やイベントシーン閲覧が可能になる。
その他
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難易度は本家ほど高くはない(理不尽でないとは言っていない)。
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龍神像でセーブすると体力と気力が全回復するようになった。『NINJA GAIDEN 2』と違い回復の回数制限はない。
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『2』に近い形式でセーブするようになり、ストレスが軽減されている。
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チャプタークリア後にセーブが可能になった。それゆえ本家のような嫌がらせと思われかねないような要素も無くなった。
賛否両論点
リュウ・ハヤブサのキャラクターの変化
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板垣氏のハヤブサを寡黙なダークヒーローとするなら、早矢仕氏のハヤブサは里の正義の味方でよく喋る。この描写というか、キャラクター性の違いで賛否が分かれる。
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ただし、『NINJA GAIDEN 3』のような豆腐メンタルでキャラ崩壊しているわけでもなく、ボイスが少ないのが幸いして寡黙さは失われていない…と、ある意味いいとこ取りしてはいる。
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そもそも、ハヤブサが寡黙キャラというイメージはあくまで『NINJA GAIDEN』シリーズの『1』『2』におけるものあり、前身の『忍者龍剣伝』シリーズ、初代から参戦している『DOA』シリーズ、後年参戦した無双シリーズと、他作品ではいずれも感情表現が豊かで口数も多い。
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寡黙なダークヒーローとしてのリュウは板垣氏の『NINJA GAIDEN』シリーズで新たに付加されたキャラクター性であり、リュウ本来のキャラではないことは留意すべきである。
流用が多い
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攻撃モーション、敵の種類、マップの背景や音楽のほぼ全てが本家『1』及び『2』の流用。
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再現度を誇示するためという意味では間違っていないが、あまりにも多すぎるため焼き増しにしか見えない。
問題点
本作では、タッチペン操作オンリーという斬新さ、及び本家『NINJA GAIDEN』からの再現度という意味では目を見張るものがあり、高く評価されている。
ただ、完成度という面を見ると途端に粗が大きくなる。
操作性
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タッチペン操作の試み自体は評価されており、十分にチューニングされているが、やはりオンリーとなると無理がある。
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ある程度ボタンを使った方がいいのではという声もある。戦闘面ではともかく、メニュー画面までタッチペンオンリーは流石につらい。
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絶技が出しにくい。絶技を出そうとして他のアクションが暴発するのはよくある話。
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タッチペンをスライドさせる操作を酷使するため、タッチパネルを傷付けやすい。
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攻撃モーションが本家と同じ仕様上、タッチペン操作から攻撃に移るまでワンテンポ遅れるため、直感的な操作とは言い難い部分がある
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特に、モーションが遅い着地回転弱が暴発しやすいため、明らかなストレス要素になっている。単調でも出の速いモーションにすればよかったのでは…。
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ステージは背景をイラストにしているため、奥行きが掴み辛い。平面ならまだしも、段差を使ったステージもあるため尚更戦い辛い。
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ゲームクリアには1度だけだがマイクを使用する。これも不親切と言わざるを得ない。
難易度調整
『NINJA GAIDEN』というよりTeam NINJAの伝統と化した理不尽な難易度調整は本作でも健在。
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敵の超回避が酷い
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本作最大の問題点。本作では攻撃を当てた際、敵が一定の確率で無敵時間を伴った回避を行い攻撃を避ける。
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低難易度でも容赦なく避けるうえ、高難易度になると攻撃が当たる方が珍しくなる。
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このシリーズは精神修行とも揶揄されることもあるが、本作の場合は膨張抜きで精神修行を強要される。
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もちろん硬直狩りも完備。このゲームの仕様上、硬直は致命的で、リカバリーが効き辛いにもかかわらず超反応避けで難易度を上げるのは安直すぎる。
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忍法を除く、どんな攻撃でも平然と避けるため対処法はない。ひたすらタッチペンを擦るのみ、忍忍。
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ある程度タッチパネルが傷付きやすいのは仕方がないにしろ、明らかに不必要に傷付けさせようとする難易度調整にしているのが問題視されている。
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敵の数が多すぎる。これが敵の超回避と合わさって戦闘がウンザリすること請け合い。
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本作ではセーブポイントが制限回数無しで全回復という仕様上、1回の戦闘ごとにおける敵の出現量、密度が多い。
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終盤や中盤からといったことはなく、序盤のチャプター2から多量の敵がしつこいほど登場する。
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回復アイテムが無い
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ただでさえ上記2つの仕様で消耗しやすいのに、それをリカバリーする手段が無いに等しいのは非常に理不尽。
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元々、『NINJA GAIDEN』の戦闘システム自体運ゲー要素があるにもかかわらず、それをカバーする手段が無いのは非常に不親切。
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忍法が回復アイテム代わりにしても、1回しか使えないので気軽に使えない。
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忍法のストックを増やすことができない.
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本家と同じく、忍法を回復する赤エッセンスの出現率も少な目。
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おまけに、忍法の使用が敵登場フラグになっていパターンも少なくないため、忍法が使えない状態で戦わざるを得ない場面も多い。
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コンティニューが不親切。いちいちセーブポイント前に戻されるためリプレイが面倒。
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厄介なことに、ボスは多数の敵を撃破した直後に出現するパターンが多い。ボス戦で負ければ雑魚殲滅からやり直し。
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ただしニケ2戦目と黒龍戦だけはコンティニュー直後からボス戦に移行する。
装備、アクションが少ない
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武器は龍剣1種類のみ。『NINJA GAIDEN』の魅力である多数の武器、アクションという強みはない。
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また、敵のガードを崩せる首切り投げが存在しない。余計に単調になりがち。
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飛び道具は3種類あるが、最終的には爆裂矢1本になってしまい差別化出来てない。
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忍法は数こそ多いものの、攻撃系忍法は操作方法が違うだけで、性能面での差別化が出来ていない。
木札について
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本家と違い、クリアした章へのステージは入れないため、取りこぼすとその周では取得不可能。
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厄介なことに、特定の難易度でしか手に入らないものも存在する。故に周回プレイ必須で結構面倒に感じられやすい。
総評
タッチペンオンリーという操作、DSの性能をフルに使ったグラフィックと演出から、斬新さ及び本家からの再現度の高さという点では目を見張るものがある。
ただ、雑な難易度調整、アクションや装備の物足りなさ、流用の多さといった点から1つのゲームとしての完成度は明らかに足りないと言わざるとえない。
特に安易な超回避のせいで、敵が攻撃を当たってもらうまでひたすらタッチペンを擦り続けないとやってられないという、非常に単調なゲームと化してしまっている。
雑な言い方をすればアイデアだけの1発ネタをそのまま実装してしまった、そんなゲームである。
時系列上『1』と『2』の間を繋いでおり、なんだかんだで『NINJA GAIDEN』を何とか再現はしているのでファンならやってみる価値はある。その際は保護フィルムは必須。
余談
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元々、『NINJA GAIDEN』自体年齢層が高いゲームだが、そもそもこのゲームは板垣氏が実子にDS用のゲームをせがまれて制作を決意したというものである。
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そのため、DSに向けてイラストは若年層向けになっているが、結局どこの層に向けて作ったか分からない出来で敬遠されたのか、早々に値崩れしてしまったが。
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本作のディレクターは現Team NINJAのリーダーである早矢仕洋介氏が担当しているわけだが、本作の問題点と後年手掛けた『3(RE)』の問題点がかなり一致しているという共通点がある。
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例えば装備が少ない、敵の超回避が酷い、ハヤブサのキャラクター性が異なるといった点。
最終更新:2023年11月15日 15:15