忍者龍剣伝 巴
【にんじゃりゅうけんでん ともえ】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売元 | テクモ | 
| 発売日 | 1995年8月11日 | 
| 定価 | 7,980円(税別) | 
| 判定 | 劣化ゲー | 
| シリーズファンから不評 | 
| ポイント | パスワードで遊びやすく しかし劣化点が多数
 現在はプレミア高騰
 お の れ 木 琴 !
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| 忍者龍剣伝/NINJA GAIDENシリーズ | 
 
概要
忍者龍剣伝FC3部作を一纏めにしたオムニバス作品。
『スーパーマリオコレクション』の成功から忍者龍剣伝の方でもそういう盛り上がりを期待されたが、本作は完全移植ともリメイクとも言えない中途半端なものとなってしまった。
評価点
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FC三部作が収録されている事。
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これ一本で三部作全てがプレイ出来るのは確かなので、それ自体は評価点である。こう言ったコンセプトでは他に『ロックマンメガワールド』が有名である。そして移植度に難がある点も同じ。
 
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パスワードが実装。
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これにより1作目2作目も遊び易くなった。3作目はこれに伴いFCにあったパスワードは使えなくなっている。
 
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新規BGMがタイトル画面、ゲーム選択にて2曲用意されている。逆に言えば追加要素はパスワードとこれぐらい。
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操作性や敵の配置(後述のように敵の配置が大きく変わっている『III』は除く)、行動パターンなどアクション部分に限れば原作の再限度は問題ない。
問題点・劣化点
共通の問題点
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グラフィックとBGMがSFCでリニューアルされたが、あまり良い評価を受けていない。
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特にBGMには不満の声が多い。BGMの評価の高い本シリーズだがSFC移植にあたってのアレンジの結果、全体的にサウンドがしょぼくなってしまった。BGMを総入れ替えにしたPCE版の方がまだ良かったという意見も。
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いいアレンジが全く無い訳ではないのだが、劣化した曲があまりに多過ぎる。その代表格が後述する通称「木琴のリュウ」である。
 
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グラフィックも元がFCとしては特筆すべきクオリティだった事もあり、SFCに移行しても大きくは変わり映えしていない(特に『II』『III』)。色使いは結構変わっているが、その程度。
 
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文章の字体
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フォントはFC版から変わっておらず、せっかくハードが移行したのにサイズも漢字の量もオリジナルのまま。
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「何者」「世界」など作品によって平仮名になっている箇所も全て原作準拠。原作を尊重したと言えば聞こえは良いが、せっかく三作品を収録しているのだから流用できる漢字は流用して欲しかった所である。特にストーリーと演出に力を入れている本シリーズでは尚更。
 
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多重スクロールの削減
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ハード性能が上がったにもかかわらずFC版よりも減っており、無論PCE版のようなスクロールも無い。
 
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BGMがFC版では敢えて止めていた箇所でも構わず流れ続ける。
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その為、デモシーンの演出が弱くなった部分も。あの「お の れ 邪 鬼 王 !」のシーンも今一つ迫力に欠ける。『II』でアイリーンが刺されるシーンもFC版より衝撃が薄い。
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ボスの爆発演出でもBGMが止まらなくなった為、勝利のカタルシスがやや薄れた。
 
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ゲームパート、デモパート共にフェードインとフェードアウトが殆ど無くなっている。
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『II』のステージ開始時には素早いフェードインが入るが、それ以外はパッパッと画面が切り替わる。
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ゲームパートはテンポ良くスタートできて良い側面もあるのだが、デモパートに関してはただ演出が弱くなっただけである。前述のBGMの問題と相俟ってデモシーンはFC版ほど盛り上がらない。
 
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パスワードは実装されたのは良いが、ゲームオーバーにならないと表示されない。
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スタッフロールがなくなった
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エンディングの最後はゲームオーバーになる。本シリーズはスタッフロールの演出も見所の一つだったのだが…。
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原作尊重なら「当時のスタッフリスト」としてしっかり再現して欲しい所である。しかも『I』は終わり方がかなり雑。
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当然、『II』『III』のエンディングテーマも未収録。『II』の「A Long Way To Go」、『III』のED曲、どちらも名曲なのに残念極まりない。ヘッポコアレンジにされなくて幸いとも言えるが。
 
忍者龍剣伝
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木琴アレンジ
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BGMの評価が宜しくないのは前述の通りだが、特に原作で人気の「鮮烈のリュウ」に至ってはそれに加えて木琴を用いた驚愕のアレンジが施されており、大不評を被っている。
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そのアレンジのヘッポコぶりたるや現在でも語り草になる程で、「一気にコメディになった」「運動会で流れてそう」「わんぱく龍剣伝」「忍者ハヤブサくん」「鮮魚売り場のリュウ」「お の れ 木 琴 !」などと散々な言われよう。
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「鮮烈のリュウ」は『I』のエンディングテーマでもあったが、この木琴のリュウを流されてはエンディングが全く締まらなかった事だろう。スタッフロールが削除された唯一のメリットである。
 
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木琴アレンジはステージ1クリア時のデモBGMにも用いられている。やはり緊張感を削ぐ結果に。
 
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鬼面夜叉のデモシーンにチラつきがある。よりによって『I』で一二を争う盛り上がるシーンなのに。
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グラフィックどころか文字までチラついている。意図的な演出ではなく要はただのバグである。
 
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リュウがアイリーンから麻酔銃を撃たれるシーンでは何故かジングルが削除。上述した通りフェードアウトも無いので銃声が響くだけでブラックアウトする。その銃声も「ボッ!」という感じの変な音になっており、しかもタイミングもズレている。
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FC版で同じジングルが流れていたステージ3クリア時のデモも同様。しかも何故かステージ1と同じく銃声が響く。
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この2つのシーンを合わせて見るに、元の銃声を消してジングルを「ボッ!」の音に差し替えているだけと思われる。フェードアウトしなくなったのを誤魔化す為かもしれないが、どちらにせよただ劣化しただけの演出に。
 
忍者龍剣伝II
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ボス曲が1作目ラスボスの曲になった。元々ステージ曲の使い回しだった曲を更に使い回してどうするのか。尚、『III』のボス曲も同じ。
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それでも1作目ラスボス時は雰囲気に合っていたのだが、汎用曲にされた所為でそれも薄れてしまった。
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ただ、BGMは重厚にアレンジされており格闘している感はある。
 
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3-1で暗闇が廃止され面白みが薄れた。
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足元が見えない暗闇で雷光により一瞬照らされるというステージだったのが、常時足元がはっきりと見えるようになった。
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元々、序盤の難所である前ステージ(2-2)と比べて難易度が低めだったのに更に差がつくことになった。
 
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デモシーンの変更
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ロバートはフェードインしない。アイリーンとアシュターが被るようになった。5-1後の駆け抜けるムービーの曲が無音になった。邪鬼王を倒した後の血は緑色になっている。など変な変更点が多数。
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アイリーンとアシュターが重なるシーンはアシュターの黒い部分が一部透過になっているせいかアシュターの後ろにアイリーンが透けて見えるという間抜けな事になってしまった。
 
 
忍者龍剣伝III
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BGMが削減。良曲の宝庫だった『III』の魅力を削ぐ事に。
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3-2と6-1は未収録で4-2と7-3になる。4-2と7-3は2-1と7-2になる。7-2、7-3では同じ曲が続けて流れる。その際はBGMの再生箇所は最初からになる。
 
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多重スクロール削減が多数
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ステージ2の砂漠、ステージ3のジャングル、ステージ7の屋外の雲(ただし強風で少し押し戻されるのは健在)など。
 
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ボイスの変更
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リュウのボイスも一新されており、攻撃時の掛け声がFCの忍術使用時に近い「トォ!」というボイスに変わっている。
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それだけなら良いのだが、何故か忍術使用時は無声になってしまった。
 
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亜空間に乗り込むイベントは『III』の名シーンだったのだが、BGMがピアノ調にアレンジされて熱さが無くなった、アイリーンの表情の変化が分かりにくくなった、イベントの終わりとBGMのアウトロが合っておらずブツ切りになる、と元のシーンの良さが悉く潰されている。
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ゲームバランスが海外版準拠
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『I』『II』はオリジナルそのままだが、『III』だけは海外版に合わせられた事でステージに大幅な変更が施されており、全体的に敵が増量されたり、アイテムも中身がグレードダウンしており厳しくなっている。
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第3章では、強化アイテム(刀)の場所が後になっている、しかも本来は1upのあった場所。多重スクロールもしなくなった事も相まってまさにステージ名通りの「悪夢」と言えよう。
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第5章では巻物が出なくなった。これにより術ポイント上限がやや低下。
 
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一方、敵から受けるダメージは1で統一されるなど、ごく一部だが下方修正もある。またクローン・リュウ戦については相変わらずである。
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『III』の難易度を抑えてファンから不満が出た事への対応と思われ、歓迎する声はある。しかし欲を言えば、アクションが苦手な層の為にもやはり難易度選択が欲しかったところである。
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ただ、動く足場が画面上から消えて無くなるバグなど、決して褒められない要因で難易度が上昇している部分もある。
 
総評
SFCの機能を活かすどころか逆に劣化した点ばかりが目立つ。
グラフィック、BGMのアレンジも焼け石に水で、特にBGMは却って評判を落とし、多くのプレーヤーを失望させてしまった。
とはいえ、パスワードで遊び易くなった点などを考えれば全く価値が無い訳ではなく、『III』が難化した事を好意的に受け止める往年の猛者ファンも居る。
一作一作はオリジナルに及ぶとは到底言えないのは確かだが、三作収録という点と商品自体の稀少さもあって、箱説なしで1万以上と高値で取引されている作品ではある。
本作で忍者龍剣伝シリーズは一旦幕を閉じ、リュウ・ハヤブサは活躍の場を『DEAD OR ALIVE』へと移した。
その後、3Dアクション『NINJA GAIDEN』としてシリーズは復活する事になる。
余談
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『NINJA GAIDEN』(無印版)にはおまけ要素として本作が収録されている。
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そのアッパー版である『NINJA GAIDEN Black』にはAC版が収録されていた。残念ながらそれ以降の移植版にはどちらも収録されていない。
 
最終更新:2024年08月05日 00:58