頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM
【ちょうじょうけっせん さいきょうふぁいたーず えすえぬけい ばーさす かぷこん】
概要
SNKとカプコンがタッグを組んだコラボレーション作品第二弾で、両社のキャラクターが戦う初の格ゲー。
(第一弾は『SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ』)
マイナー携帯機向けの作品ながら一切妥協の無い丁寧な作りで、プレイヤーからの評価が非常に高い。
登場キャラクター
(初出作品別。*の付いたキャラクターは隠しキャラクター)
ゲームシステム・特徴
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基本的な操作は過去に発売されたネオポケ格ゲー同様、スティックとABの2ボタンを使用。
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スティックはキャラの移動。ABボタンはそれぞれパンチ及びキック。
パンチとキックはボタンを押した長さによって強弱を使い分ける事が出来る。相手との距離やジャンプ状態で攻撃モーションが変化するシステムは実装されておらず、立ち攻撃のモーションは全て遠距離攻撃に、ジャンプ攻撃は横ジャンプ攻撃にそれぞれ統一されている。
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今作に登場したキャラクターのうち、SNKサイドは多くが過去のネオポケ格ゲーから性能やコマンドを引き継いでいる。また、カプコンサイドに合わせた操作も見られる。
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基本的には『ザ・キングオブファイターズR1』『R2』に似た操作体系だが、前転及び後転と吹っ飛ばし攻撃が廃止。回避技はカウンタースタイル(後述)のみで使える攻撃避け&避け攻撃のみになっていて、ABボタン同時押しで吹っ飛ばし攻撃の代わりに挑発を使う事が出来る。
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過去にネオポケでリリースされた『サムライスピリッツ』シリーズのキャラもシステムに合わせてか通常の格ゲーと同じような操作方法になっている。例によって常時武器を装備している状態になっている他、今作の侍魂キャラには『真』以来となる通常投げも復活する事になった。
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一方、カプコンサイドのキャラは今作がネオポケ格ゲー初登場だが、カプコンの格ゲーといったら『ストII』を筆頭に弱中強の6ボタンを使用していたのに対して、ネオポケで発売された今作はボタン数が足りない事から、SNK側同様の弱及び強の2ボタン向けに各攻撃が再編成されている。
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例えばガイルの主力兵器として使われていたしゃがみ中キックは今作では弱にコンバートされている。中から弱に変更されてはいるが、攻撃自体は存続しているので、得意戦術の「待ちガイル」戦法もできたりする。
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一方、再編成に伴い主に中攻撃を筆頭に削除されてしまった物も存在する。例えば、リュウのけん制の主力技であった中足払い「くるぶしキック」は今作での参戦に伴い削除され、結果的に今作では「くるぶしキック」に頼らないけん制のやり方が模索される様に。
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『ストZERO3』や『KOF98』のように、キャラクターのシステムを選ぶことができる。
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アベレージスタイル
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もっともスタンダードなスタイル。『ストZERO3』のZ-ISMがベース。CPUは必ずこのスタイルを使用する。
ダッシュはステップで、ゲージを溜めると溜めた量に応じて「Lv.1超必殺技」「Lv.2超必殺技」が使用可能になる。ゲージをLv.1分消費し、ガードから反撃に転じる「ガードキャンセル攻撃」も使用可能。なおゲージの割合が等分ではなく、全体の7割ほどを溜めるとLv.1、残り3割を溜めるとLv.2になり、MAXまで溜めているとLv.2しか使えない。
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カウンタースタイル
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ゲージを溜めて一発逆転を狙うスタイル。『KOF'98』のEXモードがベース。
ダッシュはなく、ゲージは下+ABで任意に溜められる。ゲージを溜めると一定時間攻撃力がアップし、「Lv.1超必殺技」が使えるようになる。また、体力が一定値以下になるとゲージが点滅し、「Lv.1超必殺技」が出し放題になる特典がある。この状態でゲージを溜めると、性能の上がった「Lv.2超必殺技」が使えるようになる。独特のシステムとして、→+ABで出せる「攻撃避け」があり、相手の攻撃をかわしてそこから「カウンター攻撃」で反撃に打って出ることができる。また、このスタイルは攻撃力に上昇補正が掛かり、相手に与えるダメージが大きくなる特徴がある。代わりに、他スタイルでは使える「ダウン回避」が使用不可で、機動力にも乏しい欠点がある。
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ラッシュスタイル
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猛烈なラッシュで相手を圧倒するスタイル。『ヴァンパイア』シリーズのシステムがベース。ゲージの見た目は『KOF'98』のADVモードに似ている。
ダッシュはランで、ゲージを3本までストックすることができる。弱攻撃から強攻撃へつなぐ事ができる「チェーンコンボ」が最大の特徴で、ここから特殊技や必殺技につないでさらに攻めを継続することができる。ストックしたゲージを消費して「Lv.1超必殺技」と「ガードキャンセル攻撃」を使うことができる。他のスタイルでは真似できないようなラッシュを展開できる分、他のスタイルとのバランスを取るためか攻撃力が低下する補正が掛かる。
加えて、ゲージシステムの都合で「Lv.2超必殺技」は使えない(ダークフォースやMAX発動に相当するものは無い)。
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特筆すべき点としてモリガンとフェリシアはダッシュがヴァンパイアシリーズを再現した固有のものに変化し、同シリーズを髣髴とさせる低空ダッシュからの攻めが可能になる。
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これらの他にもキャラクター性能に影響する要素にオプションのあばれモードがある。
オンにするとコマンドが簡略化され、たとえば236+ボタンや後タメ前+ボタンは6+ボタン、623+ボタンや下タメ上+ボタンは2+ボタン、214+ボタンは4+ボタンとなるが、代わりに特殊技は使用できなくなる(入力かぶりで化けるのではなく根本的に使えなくなる)。
なお2+ボタンで必殺技の出るキャラだとしゃがみ通常技は1 or 3+ボタンで出すことになるのだが、キャラによってはそれも必殺技に使われていることがある。
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また、戦闘方式もシングル(1対1)、タッグ(VS.シリーズ風の途中交代ありで2対2)、チーム(KOF風勝ち抜き方式の3対3)を選択可能。
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タッグやチームではプレイ開始時に最初に選んだキャラクターがリーダーとなり、中間デモやエンディングはリーダーのものとなる。
評価点
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登場キャラクターは隠しキャラクターも含めると26人で、すべてのキャラクターが原作で使用していたほとんどの技を使用できる。
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2ボタンというハードの制約上、攻撃の強弱はボタンを押した長さに応じて入力し分ける方式だが、コンボなどのタイミングもなるべく原作に近付けられており、操作性は極めて快適。
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ハードの制約上ボイスは無いが、代わりにイントロや勝利メッセージ、エンディングなどで豊富な掛け合いを見ることができる。
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タッグ戦・チーム戦では、特定の組み合わせで特殊なチーム名になるなど、両サイドのキャラクターの持ち味をフルに活かしている。
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SNKとCAPCOMで1人ずつ対応したライバルキャラが設定されており、中間デモやエンディングではライバルに設定されたキャラクターが登場してくる。
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BGMやステージ背景もオリジナルに準拠したものが用意されており、BGMはごく一部を除いて全員個別かつ原作再現、ステージにいたっては昼・夜で2バージョン用意されているという念の入れよう。
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朱雀城ステージは昼が初代ストII版、夜がストII'版になるなど非常に芸が細かい。
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また、本作は「背景アニメーション」がネオポケ格ゲーで初めて導入された作品でもあり、背景がアニメーションする事によって対戦ステージもより原作に近い再現度を誇るようになったとも言える。
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人選についても概ね評価が高い。2000年にリリースされた『CAPCOM VS. SNK MILLENNIUM FIGHT 2000』がほとんど「ストII VS. KOF'98」の様相を呈していたのに対し、本作は先発かつ若干少なめのキャラ数ながら『サムスピ』『月華』『ストZERO2』『ヴァンパイア』からもまんべんなく選出されており、ドリームマッチ感はこちらの方が高いという意見が多く見られた。
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デフォルメながらキャラクター一人一人の作りこみも丁寧で、後述の技変化や追加技などファンサービス的な要素も多い。
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必殺技などの演出でも多数のキャラクターが登場する。モリガンが「ダークネスイリュージョン」で分身する際にリリスが登場したり(『ポケットファイター』にあった演出)、ミニゲームの中に『魔界村』のアーサーが操作できるものがある、など。また、一条あかりの「劾鬼・百鬼夜行」は
レッドアリーマーや骸、天草四郎時貞などの面子が続々と登場し、最後にメタルスラッグがあかりを轢いて去っていく
という楽しい演出になっている。
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「Lv.2超必殺技」はKOFシリーズで言うところの「MAX超必殺技」に相当するが、一部の技は演出がLv.1と大きく差別化されて派手になったり、技内容自体がLv.1とは全くの別物に変化する。
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例えばギースの「レイジングストーム」が「サンダーブレイク」に、ベガの「サイコクラッシャー」が「ファイナルサイコクラッシャー」にそれぞれ変化したり、ダンの「震空我道拳」が極限流の「覇王翔吼拳」そっくりになったりする。
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さらに、後述のように購入して解禁できる追加Lv.2専用超必殺技が存在する。
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本筋とは直接関係ないミニゲーム・サバイバルモード・タイムアタックなどを「オリンピックモード」として一箇所にまとめて実装しており、様々なプレイを楽しむことができる。
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ナビゲーターとしてSNK側はリムルル、CAPCOM側は神月かりんが登場しており、ミニゲームにも本編に参戦できなかった両社のキャラが複数登場している。
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ここで好成績を取ることで溜まるポイントを使って、各キャラクターに1種類ずつ用意された追加超必殺技(全てLv.2専用)を購入できる。
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追加超必殺技のラインナップは京の「百八拾弐式」や庵の「裏参百拾壱式・析爪櫛」など当時のシリーズ最新作で追加された技、リュウの「真・昇龍拳」やケンの「疾風迅雷脚」などお馴染みの技、ザンギエフの「ロシアンビート」やベガの「サイコフィールド」や春麗の「七星閃空脚」といった派生シリーズ由来の技、モリガンの「クリプティックニードル」やナコルルの「イルスカ ヤトロ リムセ」や豪鬼の「金剛國裂斬」などのレア技やマニアックな技など多種多様。
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特定の組み合わせでメーカー設定の面白タッグ名・チーム名があったり、自分自身の使用キャラクターのチーム名が作成できる。
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マイキャラ・マイタッグ・マイチームを登録すると、使用BGMを指定したり、自分で勝利セリフを作ることも出来る。
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隠し要素であるデモ鑑賞モードは非常に充実しており、見たいデモの種類を選択したあとにはキャラクター選択画面が表示され、多数ある組み合わせの全てにおけるデモメッセージを手軽に見ることができる。
賛否両論点
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プレイヤーの操作について
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今作は初めて登場したSNKとカプコンとのクロスオーバー格ゲー、かつサムライスピリッツシリーズとKOFキャラとの実質的な共演作品ではあるが、初めてのタイトルという事もあり操作方法については練り込みが不足している部分が見られている。
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今作の操作モードの一部はKOFシリーズの物が使われているのだが、いずれのモードでも吹っ飛ばし攻撃が存在しておらず、『98'』のADVモードに当たるラッシュモードも前転及び後転が存在していない。また、『R2』までこれらのアクションの発動に必要だったABボタン同時押しに挑発が割り当てられる様になった事で、結果的に従来の感覚で吹っ飛ばしや緊急回避を行おうとすると挑発が暴発。大きく隙を晒す事になり、場合によっては連続技や超必殺技を叩きこまれて大ピンチに陥る事になる。
一応、吹っ飛ばしと緊急回避が削除された事で操作自体はよりシンプルになっているのだが、KOFプレイヤーにとっては困惑しがちになっている。
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今作でのサムスピ勢にとっては『初代』及び『真』に寄ったシンプルな操作方法になった事やカウンターモードと斬鉄閃の相性が非常に良い事が幸いしてか、「原点回帰」と好意的に受け止めるファンが存在する。一方、この頃の侍魂シリーズは『斬九郎無双剣』より通常の格ゲーとの差別化が顕著になっていて、操作性などが独自の物になっていたのだが、今作でそれらが一律で未採用になり、当時の新作に馴染んでいたファンからは批判される事になった。
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カプコン側については、そもそもカプコン製の格ゲーでは6ボタンが主流だっただけに、ボタン数の減少や攻撃モーションの削除・変更について、大きな混乱が起こる事になった。
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ストリートファイターシリーズの初代となる『ストリートファイター』は今作と同じように圧力ボタンが採用、かつ攻撃ボタンがパンチとキックの2つのみという事から、そういった意味では、今作はある意味では「初代ストリートファイターへの原点回帰」とも捉えらえられる。
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もっとも、これらの点は開発者としても課題として真摯に受け止められたらしく『SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS』や『ネオジオバトルコロシアム』といった後の時代で作られたSNK主導のクロスオーバー作品はどちらも基本的な操作自体はKOFに準じているが、前者のカプコン勢はレバー+ボタンで中攻撃が出せる様になったり、どちらの作品の侍魂勢も「一閃」や「怒り爆発」といった侍魂独自のシステムがキャラ限定で実装される様になった。
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ネオポケタイトルにしては難易度が高めなCPU戦
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今作のCPU戦は携帯機という事もあり中ボス辺りまではそこまで難易度が高くないのだが、ラスボスのファイナルファイターについては別次元であり、基本的な防御力が高めな上に、アーケードの格ゲー並みに攻撃が激しく超反応も使ってくる。
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とはいえ、パターン自体は存在しているので、何度も挑戦してパターンを把握すれば撃破自体はそこまで高くない。
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問題はシングル戦でのCPU戦。シングル戦は決勝戦までは3ラウンド2本先取制という、ごくありふれた格ゲーのシングル戦と同様のルールという事もあり普通に感じる。一方、そこから先の戦闘では難易度が急上昇。親衛隊3人と黒幕2人はいずれもシングル戦以外のルールでの戦闘になるのだが、これらボス戦では何故かシングル戦の基本ルールが無効化されてしまい、相手に1本取られた時点で即ゲームオーバーになってしまう。
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このため、今作のCPUをシングル戦でクリアするのは非常に難しくなっていて、ラスボスの強さも相まって結果的に数あるネオポケ格ゲーの中でも最高クラスを誇るクリア難度になってしまった。
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なお、ネオポケ格ゲーの次回作となる『SNK GALS' FIGHTERS』のCPU戦は今作の反省も兼ねてか難易度が大幅に落とされていてクリアしやすくなった。反面、今作の様な高難度のCPU戦を期待していたプレイヤーから批判される事になった
問題点
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明らかにラッシュスタイルが激強。
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キャラクターにもよるが、弱攻撃→強攻撃→特殊技→必殺技などの強力なコンボが使えるようになる。
攻撃力が低下する・Lv.2超必殺技が使えなくなる等のデメリットはあるし、チェーンコンボの入力時に弱攻撃と強攻撃の微妙な押し分けを要求されるので完全無欠ではないのだが、それを差し引いても強い。
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かつて存在した公式サイト(アーカイブ)では、テリーが
弱キック→強キック→強パンチ→バックスピンキック(特殊技)→ファイヤーキック
というコンボゲーばりのコンボを叩き込んでいる様子がGIFアニメで再現されていた。おまけにファイヤーキックは浮かせ技なので、ここからさらにパワーダンクなどで追撃できる。一つのコンボの中でカプコンのチェーンコンボにSNKの通常技キャンセル特殊技が一体となっており、ある意味本作を象徴していると言えなくもない……か……?
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ただし、実際にここまで綺麗に繋がるキャラはテリーくらいのものだったりする。他のキャラでは通常技、特殊技のどちらか(あるいは両方)の性能が微妙で、操作の難易度もあって言うほど強力でも無かったりする。また、テリーもこのモードで使える唯一の超必のL v1パワーゲイザーの性能が微妙なため(トリプルより発生が遅く、ファイヤーキックからの追撃は難易度が高い)バランスはとれている……か……?
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なお、隠し要素として解禁できる新技は全てLv.2超必殺技のため、ラッシュスタイルを使う限りは無用の長物となってしまう。
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隠し要素のアンロックが面倒。
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隠しキャラクターとデモ鑑賞モードはトーナメントモードを何度もクリアする必要があり、隠し技はオリンピックモードを何度もプレイする必要がある。
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隠しキャラクターについては、クリア時に画面を分割する9枚のマスから何枚かが割れ、9枚全てが割れるごとに1人隠しキャラクターが解禁される仕様になっている。SNKキャラをリーダーにしてクリアするとSNKキャラ、CAPCOMキャラだとCAPCOMキャラのパネルがターゲットになる。
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割れる枚数は難易度などの条件で決まった数値の中からランダムで変動し、難易度の高い条件を満たすほど多く割れる。……のだが、
パネルが既に割れている箇所を狙って空振りする
こともしばしばあるため、かなり面倒なことになっている。
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救済措置として簡単に解除をする方法も用意されているが、それは『SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ』においてカードアルバムをコンプリートし、そのコンプリートデータを送るというもの(収集率に応じて1回の通信でどれだけ進行するかは変わる)。
本体が2台(一方はモノクロでも可、モノクロ本体なら後述のデモ鑑賞モードの救済措置にも使える)と通信ケーブル、そして両バージョンのソフトが1本ずつ必要という困った仕様である。
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デモ鑑賞モードはまともに解禁しようとすると100回クリアが必要という代物。ただし、モノクロ版ネオジオポケット本体を所持していれば、モノクロ版で起動してモノクロ版非対応の警告メッセージを見ると1回のクリアのみで解禁されるという抜け道がある。
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SNK側のBGMは原曲フレーズの追加や原曲寄りのキーに変更されているものの、基本的に過去のネオポケ作品とほぼ同一の楽曲を流用しているためか新鮮味が無い。
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もっとも、本作で過去のネオポケ作品から流用されたBGM群はネオポケ末期に発売されたボードゲーム『THE KING OF FIGHTERS バトル de パラダイス』にも流用されてしまっており、結局ネオポケの終焉までBGMの流用問題は解決されなかった。
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一部のミニゲームの作り込みが甘い。
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FPSの「ターゲット9」は操作性が悪く、特に評判が悪い。音ゲーにあたる「キャットウォーク」も難易度が高いともっぱらの評価。
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前者は『サンセットライダーズ』のボーナスステージに、後者は『Dance Dance Revolution』とコナミ製のゲームを意識した様な内容になっている。しかし、前者は操作性こそ同作と同様ではあるものの弾数制限がある事から混乱しがちで、後者は音ゲーとしては判定が辛すぎる。どちらもコナミのゲームに似せるには残念と言わざるを得ない。
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非参戦キャラクターであるビリーとバルログの扱いが悪い。
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本作のストーリーデモでは、悪役の幹部としてこの二人のどちらかがプレイヤーキャラクターを襲うシーンが挿入されるのだが、「プレイヤーを不意打ちしようとしたところを、逆に背後からライバルキャラに返り討ちにされる」という展開が2回も存在する。さらに、全てのプレイヤーキャラクターでこのデモが用意されているため、結果的にビリーとバルログが何度もボコられまくるという有様。
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ライバルキャラクターが設定されているにもかかわらず、ライバル同士のタッグでプレイすると不自然な演出になる。
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中間デモやエンディングではライバルキャラが絡んでくるのだが、味方に既にライバルが居る場合も特に台詞は変化せず、CPU側のライバルがご丁寧に2Pカラーになった上で初対面のような台詞(味方側のライバルキャラとは別人のような扱い)になっている。
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おそらく容量の都合等で全員分の分岐専用デモを用意するのが難しかったためとも考えられるため、こればかりは仕方ないだろう。
総評
旧SNKの意地と気迫が感じられる作品。豪華な顔ぶれと徹底した作り込みは、当時の両社のファンが最も望んでいたドリームマッチと高く評価されている。
現在においてもなお、携帯機で最もよくできた格闘ゲームであると評する声も少なくない。
余談
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Aボタン長押しでキャラを選択すると2Pカラーを選べるのだが、ナコルルは恒例の紫ナコルルに変化してデモ画面のグラフィックも変わる。
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他作品では基本的にリュウのカラーリングを変更して作られることの多い「殺意の波動に目覚めたリュウ」だが、本作では
ニュートラルポーズからしてまったく違う
という珍しい仕様。波動拳が相手の通常飛び道具を貫通したり、特殊技の中に何故か上段足刀蹴りがあったり、隠し超必殺技で
VS.シリーズのレーザービーム型真空波動拳が撃てる
など、他とは一味違う殺意リュウとなっている。
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SNKサイドのキャラクターの多くは衣装を含めて過去にネオポケで発売されたソフトからの流用だが、麻宮アテナは今作独自の衣装が描き下ろされての参戦になっている。
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トーナメントモードの決勝戦は、
『餓狼伝説』シリーズのヴォルフガング・クラウザーのステージで行われる
というちょっとしたサプライズがある。テーマ曲である「K.626 Dies irae」も再現されている。旧SNKが最も輝いていた時期の作品である『餓狼伝説スペシャル』でも印象的なステージであったため、この演出にぐっと来たファンも多かったのではないだろうか。
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が、肝心のクラウザー本人は登場しない。それどころかギースのエンディングで
ベガによって葬られた
ことが判明。別の意味でこみ上げるものがあったファンも多かったのではないだろうか。
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この作品の初公開イベントはネオジオワールド(現在は閉鎖)で行われたが、同日に秋葉原で開催された『SNK GALS' FIGHTERS』の初公開イベントに客を取られ参加者は少なかった。
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実は『キング・オブ・ファイターズR-2』同様の『THE KING OF FIGHTERS DREAM MATCH 1999』との通信にも対応している。
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上述の「モノクロ版本体を使った、デモ閲覧解禁の救済措置」だが、ここだけの登場というキャラも多い(K'やアレックス、楓など)。
移植版
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2021年2月18日、Nintendo Switch版向けにSNKのネオジオポケット作品復刻シリーズ「NEOGEO POCKET COLOR SELECTION」第6弾として配信開始。
また、1か月後の3月18日よりこれまでの6本に加えて4本を追加収録したセット版「NEOGEO POCKET COLOR SELECTION Vol.1」が配信開始。パッケージ版も同年8月26日発売。
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基本的な仕様は同シリーズ過去作品に準じるが、通信メニューは3種類の対戦以外は項目そのものが削除されている。
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単体版とセレクション版の違いとして、「セレクション版はモノクロ本体での起動も再現している」という点がある。つまり、単体版では不可能な上記のデモ閲覧解禁措置がセレクション版のみ可能となっている。ただし当時と違い、実在の人物である高津氏が登場するデモのみ唯一削除となった。
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2021年6月7日のアップデートでセレクション版が単品版からのデータ引き継ぎに対応した際、本作にも微修正が入り、隠しキャラ解放条件が緩和されている。具体的にはパネル割りでハズレの空白にヒットしなくなり、解禁が格段に楽になった。
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2021年9月30日にはSteamでも単品版が配信開始。一方、同時発売のSteam版「NEOGEO POCKET COLOR SELECTION Vol. 1 STEAM EDITION」は本作が含まれておらず、『クラッシュローラー』に差し替わっているため注意。
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これが何を意味するかと言うと、Steam版ではモノクロ本体起動が不可能ということ。セレクションに含まれていないためSteam版では完全にお蔵入りとなった。
最終更新:2024年07月16日 03:33