スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-

【すたーおーしゃんふぁいぶ いんてぐりてぃ あんど ふぇいすれすねす】

ジャンル RPG

対応機種 プレイステーション4
プレイステーション3
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トライエース
発売日 【PS4】2016年3月31日
【PS3】2016年4月28日
価格 7,980円(税別)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 シリーズファンから不評
ポイント シームレスなバトル・イベント
過去作の良いとこどりだが使い回しも多い
バトルシステムも要改善点がさらに悪化
ゲームバランスも大味すぎる
シリーズ恒例要素の劣化・縮小
ストーリーは安定したがボリュームは低下
スターオーシャンシリーズ


概要

トライエースが制作するスターオーシャンシリーズの第5作。
前作『スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-』からは7年ぶりとなる新作。
時系列は『スターオーシャン セカンドストーリー』と『スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE』の間に位置する。
メインの舞台は惑星フェイクリード。過去作をプレイしていなくてもあまり問題はない。

プロデューサーは『3』のファンを自称している。
発売前は暗にとあるゲームのアンチテーゼ的な内容にするかのような展開を行っていたが、その実態は…。


プロローグ

宇宙の深淵は、人間たちの平穏を許さないのか――
宇宙暦537年 1人の少女をめぐる戦いの物語が、その幕を開ける。

地球を飛び出して数世紀、幾多の苦難を乗り越えた人類は、
「銀河連邦」の設立と拡大により、統一された秩序と平和を手に入れようとしてきた。
しかし、ここにまた、新たな争いの火種がくすぶり始めたのだ。

地球から6000光年以上離れた未開惑星「フェイクリード」
多くの事例がそうであるように、歴史のうねりは辺境の一惑星から起ころうとしていた。

「レスリア王国」
三方を囲まれ、温暖な気候、風光明美かつ豊かな土壌にめぐまれた、大陸を代表する大国である。
しかし、近隣諸国に比しても強大な国力に支えられてきたはずのこの国の人々が、今、平穏を脅かされつつあった。

呪印による動物たちの凶暴化、さらには、「エイタロン」を名乗る強盗団が辺境地域を荒らしまわり、レスリアは「暗黒の7年間」と呼ばれる不安定な時期に陥ったのだ。
王国の南端に位置する村「スタール」も、滅亡の危機に瀕していた。

この危難に対し、1人の青年が立ち上がる。フィデル・カミューズ――――
王国剣術指南役を父にもち、自らも道場の師範を務める剣士である。
彼は旅立つ。兄妹同然に育った幼馴じみのミキとともに。

しかし、それは星の運命をも動かす戦いの日々への旅立ちともなったのだった。


システム・新要素

シームレスなバトル・イベント

  • 本作の目玉要素。マップのクオリティの高さをそのまま維持しながら、マップの移動から画面切り替えを挟まずバトルに入る。
    • かつて同社が開発した『インフィニット アンディスカバリー』もまた移動と戦闘がシームレスとなっていたが、本作では移動・イベント・戦闘それぞれの切れ目をなくしたシームレスを実現している。
    • 敵の徘徊範囲(=戦闘フィールド内)に入ると敵に対してターゲットカーソルが出現、その状態で□・○・×ボタンのいずれかを押すと「BATTLE START」表示ともに戦闘開始となる。
    • 無事に全ての敵を撃破すれば「FINISH」と表示されバトルが終わり、取得経験値やドロップアイテムを表示しつつそのままフィールド移動へと切り替わる。
    • 敵に気付かれていない(敵が「!」のアイコンを出していない)状態で戦闘を仕掛けると「ADVANTAGE ATTACK」となり、味方全員に物理&魔法攻撃力上昇の効果が付与された状態で戦闘となる。
    • 一方でこちらに気付いた敵の攻撃を先に受けると SURPRISE ATTACK となってしまい、味方全員の物理防御力が低下した状態での戦闘を強いられる事となる。
  • バトルシステム
    • 「三竦みの戦闘アクション」などといった『3』のものをベースにした要素が入っている。
      • 小攻撃と大攻撃、バトルスキルにもその概念が適用されるといった点は同じだが、プロテクトに相当する「ガード」の仕様は本作独自のもの。
      • まずガッツ(行動力)が満タンで静止中なら自動発動するプロテクトとは違い、ボタン押しっぱなしでガードの構えを取り、ガードを保持したまま歩く事も出来る。また、小攻撃をガードした際はダメージを無効化せず軽減に留まる。
      • そしてガード成功時にボタンを再入力すると各キャラごとに専用のガードカウンター技が発動、ガードレス機能付きで相手の小攻撃が続いていたとしても妨害される事なく反撃に転じることが出来る。
    • 本作のバトルスキル(必殺技・紋章術)はレベルアップでは増えず、初期習得のもの以外は専用消費アイテムでの習得となる。フィデルとヴィクトルは「剣術指南書」が、ミキとフィオーネは「呪印書」が、アンヌとエマーソンは「CQBプログラム」がそれぞれ必要となる。
      • 本編を進めると主にボス戦や道中の宝箱から手に入るが、ひとつのアイテムでスキルを習得できるのは1人だけである。
      • もう1人が習得するにはさらに物語を進めて回収するか特定のクエスト(後述)を達成するか、あるいはアイテムクリエイションで作成する必要がある。
    • パーティーメンバー全員がバトルに参加し、最大7人パーティとなる。
      • そのうち操作できるキャラクターはリリアを除く6人。また、ストーリー展開に応じて共闘するスポット参戦キャラもいる。
    • ロールというキャラクターのAI制御と強化という要素がある。
      • 大別して攻撃・防御・回復・サポート・特殊の計5種類に分けられていて1キャラ4つまでセット可能。
      • 一部の行動を多く使うようにしたり、なるべく使わないようにすることができる。AIに対してどんな行動を取らせるのか決められる。
      • AI制御だけでなく、「属性攻撃を確率で吸収する」「獲得経験値やフォルを増減させる」といったパッシブスキルとしての役割も持つ。
      • セッティングしているロールのレベルを上げると新たなロールが生み出される仕様になっている。
    • リザーブラッシュはいわゆる超必殺技。各キャラに1つ用意されている。
      • 最大で5本まで溜めることができるリザーブゲージ*1を1本以上溜めた状態で、R2+○ボタンを入力するとリザーブラッシュを発動できる。
      • 演出は画面が一度暗転しリザーブラッシュを使うキャラが喋る→通常のバトルフィールドに戻って無敵状態で攻撃開始…といった具合。
  • フィールドでも、仲間全員(最大6人)が主人公フィデルの周りをついてくる。
    • フィールドの先頭はフィデルで固定。
  • イベントも暗転せずにシームレスに展開する。一定の位置まで来ると、キャラ同士が会話をはじめて動作を行う。
    • イベント中はフィデルを操作することが可能。
      • パーティスキルでエモーションを開放すると、フィデルを操作して様々なポーズ・リアクションを取らせることができる。

クエスト

  • 街の人々から依頼を請け、達成する事で報酬が貰える。街中に設置されてる掲示板を調べると一覧が表示され、そこから受注する依頼を選択する事になる。
  • 種類はモンスターの討伐やアイテムの納品、僅かな探索など。

その他

  • シリーズ恒例のバトルコレクション、アイテムクリエイション、プライベートアクションもしっかり採用。
    • バトルコレクションやプライベートアクションは過去作とほぼ同じ仕様だが、アイテムクリエイションはレシピを元にアイテムを作成する「レシピ合成」と、所持しているアイテムの中から最大6個を選択して合成して1つのアイテムを作成する「クリエイティブ合成」に加え、武器・防具・アクセサリーを合成してパラメータの強化を行う「装備強化」の3種に分かれている。
  • 初期難易度はEarthとGalaxyの2つ。Earthがイージー、Galaxyがノーマルに相当。
    • 最初に決めたら後で変更は出来ない。
    • クリア後はUniverseとChaosの難易度が2つ追加。

評価点

  • 特にPS4版に関して、グラフィックスは次世代機に移行しただけあって概ね良好。
    • 『4』の頃にあったマネキン風な部分が抜けたのは大きい。
    • キャラクターは『ストリートファイターII』等で有名なあきまん(安田朗)氏が手掛けていて、グラフィックも氏のイラストにある程度似せてある。
    • バストアップの2Dグラフィックはあきまん氏自身がドットを打っている。
    • 背景や建築物、オブジェクトの出来もキャラクター同様に良好。
    • 特にフィールドはPS3版と比べ、その質は雲泥の差。公式サイトにあるPS4版とPS3版の比較動画を見れば一目瞭然である。
      • それでもプレイに支障はない範囲であり、比較しなければPS3版でも同ハードとしては上位クラスの十分良い映像でプレイ出来る。
  • マップの親切要素。
    • 行けない場所に×マーク、イベント場所は☆マークが付けられている。
    • 採掘や漁といった採取ポイントは近寄って決定を押すだけで採取可能となり、前作のように採取や採鉱動作をせずすぐ動ける。
  • 本作で新録のBGM
    • 後述するあまりに多過ぎる過去作BGMの再録(使い回し)という大きな問題点を抱えてはいるが、7年ぶりの本作で初披露となるBGMは『3』や『4』の雰囲気を維持している。曲単体のクオリティも十分で、シリーズの楽曲が持つ壮大さを存分に感じられることだろう。
    • 通常戦闘曲もフィールドとダンジョンで別々のものを用意している、ラスボス第一形態との戦闘では『3』の「The Divine Spirit of Language」に匹敵するハイテンションなエレキギターメインのBGMが使用されるなど、戦闘関連の楽曲の作りこみも称賛に値する。
    • だからこそ、「曲単体の出来は良いのに使い回しで評価を落としている」という点が実に惜しい所である。
  • 魅力的なキャラクター達。本作の評価の低さで着目されづらいが、味方キャラは皆魅力的である。
    • ヴィクトル、エマーソンの男性陣は、それぞれ違った方向性だが「良い大人」としてパーティを引っ張る。
      • ヴィクトルはクソ真面目で常に礼節を欠かさない人物だが、主人公の色々な依頼を快く引き受け、時にはコネを強引に使ってまで主人公に協力してくれる等、ただの堅物ではない柔軟性を持っている点が魅力的。
      • また、サブイベントでピーマンが嫌いなどの可愛い面を見せたり、からかわれて子供っぽくムキになったりという面もある。
      • エマーソンは、女好きな面があったりたまに失言癖が出たりするが、シナリオ後半で判明する出自もあってか能力は高く決める時はバシッと決める。
    • 女性陣では、シリーズを通してもトップクラスに卑猥で奇抜な格好をしたフィオーレが目立つ。
      • 市松模様のように大きな四角形を組み合わせた柄をした服(ボディスーツ)なのだが、普通の市松模様なら■□■□…と互い違いに違う色の四角を隣り合わせるところを、なんと片側の四角部分は布地無し。
      • 素肌と黒い布地の市松模様*2」という、身体の半分を覆っているにもかかわらず極めて煽情的な格好はプレイヤーの目を剥かせた。乳輪がはみ出てもおかしくない格好である。
      • 一応、彼女はたぶん痴女とかではなく、「紋章術師は身体に紋章を刻んでいる為、その誇示の為にその部分を露出させることが多い」というシリーズ共通設定の反映であり、過去作にも同様に脚や腕、胸元を出しているキャラクターはいた。…とはいえ流石にこのレベルのはいなかったが。
      • 基本的には正統派RPGである本シリーズで、唯一本作のレーティングだけがCERO:C(15歳以上対象)となっているのは「ほぼほぼ彼女の衣装が原因」と発売当時のインタビューで述べられており、プレイヤーからも「CERO:Cの女」などとネタにされている。
      • 奇抜なのは服装だけで、性格は至って常識的。口調・性格共に前向きで、苦境に陥ったり苦しんだりしている仲間を励まし、勇気付けてくれる。知識欲が旺盛で、後半は銀河連邦の新しい技術に関する知識を次々と吸収していく。
    • 他にも、ヴィクトルの部下やチャールズ・ディ・ゴールのクルー等、パーティ入りしない味方キャラたちも全体的に有能で、部分部分を見ればストーリー展開が小気味良い。
    • アクの強いパーティメンバーが多かった『4』とは対照的で、本作のパーティメンバーは皆基本的には常識人である。
      • かと言ってユーモアが無く面白味が薄いキャラ付けになっている訳ではなく、シリーズ随一の大食いであるミキ、(猛獣だろうと追い回す)ネコ好きと(正体がストーカーと知り逆に安堵するレベルの)オバケ嫌いを両立したアンヌ、実は腐ってたフィオーレなど、プライベートアクションを進めて行くと強烈な個性を隠し持っていたことが判明したりもする。
+ フィオーレの紹介動画 ※エロ注意
  • シリーズお馴染みキャラ、ウェルチについて。
    • 性格やデザインが不評だった『4』から一転して『3』を継承したデザインになり、イベントに関しても良い意味でウザイと好評である。
    • 但し、そのイベント中は主人公達は一切喋らず無言でリアクションを取る形になってしまっているのは違和感があるが。
  • 7人パーティによるバトルを実現したこと。
    • 大抵のRPGは3~4人パーティであるなか、アクション性強めのバトルでありながら(多少は感じられるものの)ほとんど処理落ちもせず60fps(PS3版は30fps)で滑らかに動くこと、7人パーティという仕様をPS3でも動作するようにしたことは評価点といえる。
    • RPGではお決まりのツッコミどころである「なぜ仲間全員で戦わないのか」という問題点を、スペックとプログラムによって強引にかつ完璧に解決してしまったことは称賛に値する。
    • トライエースの高い技術力が未だ健在であることを窺わせるものであり、本作が好きになれなかったプレイヤーからもこの点については称賛する声が多い。
  • いわゆる超必殺技・秘奥義である「リザーブラッシュ」の追加
    • キャラごとに固有の大技を1つずつ持っており、演出も十分にカッコいい。
    • 上記の様に発動時点で無敵状態になる上に、大半の状態異常を自動で治癒するという効果も備えているため、緊急回避の様な使い方も出来るなど使い勝手は良好。

問題点

バトル関連

評価の高い『3』がベースだが、本作のバトルシステムはあまり良い評価は得られていない。
主な原因は「大攻撃による三竦み形骸化」「エフェクト派手すぎ」「双破斬ゲー」「技の使い回しが多すぎ」の4つ。

大攻撃による三すくみ形骸化
この問題点は『3』でも課題として挙げられていたのだが、本作ではより悪化していると言える状態で、悪い面がかなり目立つ形となってしまった。序盤のうちはまだ三竦みも機能するが、中盤以降は完全に崩壊する。

  • 主な原因のひとつは、ガードと大攻撃の関係。「ガードは小攻撃を防ぐことができる代わりに大攻撃には破られる」「大攻撃はガードを破ることができる代わりに、予備動作が大きく小攻撃に潰されやすい」という設定だったのだが…。
    • 本作では中盤以降の敵が使用してくる大攻撃に、「異様に発生が早い」「攻撃範囲が広すぎる」といったものが多く、回避や小攻撃で対応する前に被弾したりガードを簡単に破られてしまう。
    • 特にボスや大型の敵に見られるが、平気でガードができない大判定の範囲攻撃をしてくるのにもかかわらず、鋼体や発生の速さ・攻撃範囲の広さにより、小攻撃で止めることができないという理不尽な敵も。
  • 全キャラの最大MPが過去作よりもかなり多くなり、スキル消費MPも少ないので全体的にバトルスキルの使い勝手は良いが、バトルスキルは小でも大でも発生速度が変わらないという仕様も三すくみ崩壊の要因のひとつ。
    • 大攻撃の隙の大きさを簡単に帳消しにできるため小攻撃の立場がなく、結果的に強力な大バトルスキルを連発していればいいだけの大味なゲームバランスとなる。
    • 『3』では小攻撃バトルスキルと大攻撃バトルスキルを交互に出さなければキャンセルがつながらないのに対し、本作では大攻撃バトルスキルだけでキャンセルが繋がりボーナスも乗るという有様で、この仕様も大攻撃バトルスキルの連発を後押ししている。
      • キャンセルボーナスによるダメージ倍率が200%までと控えめで、200%までキャンセルした直後の隙が大きいというデメリットもあるにはあるが、ハッキリ言って焼け石に水である。
    • また、『3』にあった「ガッツ(行動力)」「大攻撃バトルスキルのHP・MP消費が%単位(DC版での追加要素)」という要素が本作には存在しないという点も大きな問題となる。
    • 前述の要素によって大攻撃バトルスキルを連発させない様にしていたのに、『3』の戦闘を継承しつつその仕様をゴッソリ削ってしまってはバランスが崩れるのは必然といえる。
  • 総合して、小攻撃を差し置いて大攻撃(および大バトルスキル)が幅を利かせ、ゲーム後半は一部の攻撃を除いてガード自体がほぼ使い物にならなくなるという結果を招いた。
    • 本作でようやく「プレイヤーによる任意の操作でガードができる」という仕様が取り入れられた*3のだが、上手く調整すれば戦略の奥深さを一気に増すことができたはずのガードが弱いというのは残念な点である。
    • 「大攻撃で簡単にガードを破れてしまう」「バトルスキルは、小でも大でも発生速度が変わらない(大攻撃なのに発生が早い技になってしまう)」という2つの仕様が全体的に足を引っ張っている。
    • ガードに耐久値のような数値を設定して大攻撃でも簡単には破られないようにしつつ、バトルスキルの発動速度や技後の隙の大きさも大小で差別化されていれば、もっと奥深いバトルシステムになったかもしれない。
  • 一応、三竦みで優位に立つ行動を行うとリザーブゲージが大きく上昇していくので、ボス戦の最中でも「ガードを多用するなら大攻撃でガードクラッシュを狙う」「相手の小攻撃に合わせてガードカウンターを当てていく」などの方法で効率よくゲージ回収していくことも可能。無敵状態になれるリザーブラッシュを効率的に発動出来るという点では確かに強力ではある。
    • しかし、実際の戦闘では大バトルスキルを連発していれば大抵の戦闘には勝てるので、簡単にクリアできてしまう。
    • そのため、上記のゲージを稼ぐ立ち回りは「ボス戦でリザーブラッシュをするため事前にゲージを溜める」「ゲージによる補正で経験値やSPの稼ぎを効率化する」位の使い道に限られてしまう。

エフェクトが派手すぎ

  • 初期のバトルスキルでも結構派手であり、酷いものだと画面全体を覆い尽くしてしまうものもある。
    • 画面全体が派手なエフェクトに包まれてしまうと、「誰がどこで何をやっているのかが全く分からない」という事態になる。
    • 一応、画面右上のミニマップで敵味方の位置情報が見られるので、「誰かがその場所にいる」というのは分かるが、「具体的に誰が」「何をやっているのか」は分からない。
  • エフェクトの派手さと上述の三竦みとの相性が最悪で、誰が何をやっているのか分からないため、三竦みを意識しようにも敵の行動に合わせて有利な行動を取るのは困難。
    • 特に敵の攻撃を見て使用するか否かを決めるガードの場合、周囲の攻撃エフェクトで相手の攻撃を見極めるどころではなくなるため、大攻撃偏重のバランスを抜きにしても割を食う立ち位置にある。
  • エフェクトのショボさが批判されるゲームはいくつか見られるが、本作においては逆に「派手すぎるというのも考え物である」ということを証明してしまった。
+ トライエース作品お馴染みの隠しボス「イセリア・クイーン」戦

画面を覆い尽くすエフェクトの数々と同時に、機能してない三竦みや双破斬だけが連発されてる様子もわかる。

双破斬ゲー

  • バトルスキルの中でもフィデルとヴィクトルが最初から使える「双破斬」が強すぎる。「双破斬ゲー」と呼ばれることも。
    • 発生が早めで踏み込みもあるぶん当てやすい・全体動作も短く連発しやすい・威力とクリティカル率も高い・攻撃範囲がそれなりに広く複数の敵を巻き込みやすい・2発目でダウン確定、と初期習得済のバトルスキルにしてはあまりにも性能が良すぎる。このためこの2人が習得する他のバトルスキルの存在が薄まっている。
    • 他のバトルスキルを習得できるアイテムは、道中の探索やクエスト報酬でしっかり集めないと人数分揃わないので、寄り道をしないプレイ方針だと更に使用頻度が上がってくる。
    • フィデルの場合、敵にフォグ(命中率低下)効果を付与できる「ショットガン・ボルト」や終盤で習得する「ヴァーティカル・エアレイド」など双破斬以外に使える技は全くないでもないが、双破斬の上記のアドバンテージを大きく上回るような要素があるわけでもない。結局双破斬を振り回していればなんとかなるケースがほとんどである。
    • 何故か『4』のエッジの初期技と同じモーションで発動後の隙が大きすぎる「鏡面刹」や、技の出が極端に遅く攻撃範囲も狭い「ストレイヤー・ヴォイド」など、首を傾げるような調整の技は多々見受けられる。

技の使い回しが多すぎ

  • 全体的に新規のバトルスキルが少なすぎる。過去作(特に『3』)で登場したバトルスキルが非常に多く、モーションもそれに合わせているので新鮮味が非常に薄い。
    • 主人公・フィデルのバトルスキルだけ見ても、「空破斬」「双破斬」などのお馴染みエダール剣技と『4』のエッジの技「サイクロン・ブレード」に「ブレード・ライジング(のモーションをそのまま使用した鏡面刹)*4」で、その他は全て『3』のフェイトの技の使い回しという有様。本作初登場となる技は1つもない。
      • その弊害として、仮にもカミューズ流という歴史ある剣術の必殺技なのに、ネーミングが日本語だったり英語だったりとあまりにも統一感がない状態となってしまっている*5
      • 一応、新規必殺技の習得は剣術指南書を呼んで習得していくので、それらはカミューズ流の技ではないとも考えられるが、その場合はカミューズ流には双破斬しかないともとれてしまう。
      • リザーブラッシュで発動する「イセリアル・ブラスト」は、本来『3』で登場するフェイトの特殊な境遇により放つことができたはずの技*6であり、そういった要素を持たないフィデルがこれを使うことには違和感を持ったユーザーも*7
    • アンヌのバトルスキルはさらに酷く、全てのバトルスキルが『3』のクリフ・ミラージュ・マリアの技からの使い回し。リザーブラッシュすらもミラージュと同じ技。1つくらいはオリジナルの技があっても良かったのでは…。
    • エマーソンのバトルスキルは「イバラネ」「ナルカミ」など『4』のレイミのバトルスキルをカタカナにしたものが主。
    • しかし、彼の場合も後半で『3』のマリアの技だった「グラビティ・ビュレット」と、リザーブラッシュに「バーストエミッション」が突然紛れ込む。
      • 統一性がなく違和感を禁じ得ず、せめて技名だけでも別のものを考えられなかったのか。
  • 初代から20周年という節目で発売した久々の新作なのでファンサービスのつもりなのだろうが、あまりにも今までと同じ技が多過ぎである。
    • シリーズ定番技の裏桜花炸光や、『3』以降連続で登場しているフラッシュチャリオットくらいは再登場させても文句は出ないだろうが、ここまで既存の技が多いと『5』ならではのオリジナリティの乏しさやネタ切れ感が漂うだけになってしまう。

バトルに関する他の問題点

  • モンスターの使い回し
    • PS3で完全版が出た関係からか『4』の使い回しが目立ち、安易にモデルを使ってしまったために「その敵キャラの存在がシリーズを通したシナリオ上矛盾している(様に見える)」という結果に。
      • 具体的に指摘すると、『4』で最初に訪れる惑星エイオスに生息している「アデファーガ」「ポリファーガ」という巨大昆虫が、なぜかフェイクリードにも棲みついている。
      • だが、この昆虫は『4』のラスボスも関係する特殊な物質により異常進化した、「惑星エイオス独自の生物」のはずである。
      • チンケシーフやゲレル、敵に限らなければバーニィなど、星や年代を問わずシリーズ恒例と化している敵や生物もいるにはいる。
      • しかしあの昆虫系統の敵に関しては、500年以上経過した未来の他の未開惑星になんの説明もなくいていい存在とは言いがたい。
      • トライエース恒例であるクリア後のEXダンジョン*8なら何がいても問題はなかったのだが、基本シリアスのメインストーリーの中に存在するのは不自然極まりない。
  • 一部戦闘が異常に飛び抜けて難しい。
    • 特に有名なのが「アンヌ防衛戦」と呼ばれるバトル。これがやたらと難しく、多くのプレイヤーの心をへし折っていった。
      • 敵は無防備なアンヌを集中して攻撃する上、アンヌ自身も打たれ弱いステータスなせいで戦闘不能になりやすく、かつアンヌがやられると即ゲームオーバー(レイズデッドやアイテムでの復活は不可)という鬼畜仕様。
      • 順当に進めただけかつ事前情報のない初見プレイでは、まずここを切り抜けることはできないほどの超難度で、アンヌを打たれ強くする、速やかに敵を撃破する、後述のデッドマンを使う等の対策を強いられることになる。
      • ゲームオーバーからのリトライがなく、イベントスキップもできないので負けた時のやり直しがかなり面倒。
      • しかも一回切り抜けたから安心という訳ではなく、本編中で3度に渡りアンヌ防衛戦が立ちはだかる。まるで嫌がらせである。
    • 他の難所としてはある意味シリーズ恒例のスピキュールを使うデル・スール、高威力のガトリング砲や爆弾投下で蹂躙する雑魚敵のアヴェンジャーなどが挙げられる。
  • 「強制エスケープ」について。
    • フィデル以外のキャラクターを操作してバトルに突入すると、開始早々エスケープゲージがたまっていく。ゲージの蓄積も遅くはないので、気づいたら逃走完了していることもしばしば。
      • 具体的な流れを示すと、「戦闘開始と同時にフィデルの後方にいる仲間へと操作変更→変更先のキャラクターが戦闘区域の端っこにいるせいで逃走判定が発生する」という感じである。
    • これは「フィールド・ダンジョン内の特定範囲がバトル時の行動区域となっている」「フィールド移動中に操作できるのはフィデルのみ」「基本的に敵に近づいてプレイヤーがボタンを押すと戦闘開始する」「戦闘開始と同時に戦闘で使うキャラクターへと操作が変更される」などの要素が複合して起こる現象である。
    • 敵との戦闘を避けたい場合はむしろ利点として働くものの、フィデル以外のキャラを使って戦いたい時はストレスの要因になりやすい。
  • ロール「デッドマン」の存在。
    • 様々なロールが存在する中でぶっちぎりで最強、むしろそれを通り越して開発側からすら半ばチートとも言われているのが「デッドマン」で、『2』の防具「ブラッディメイル」のように時間経過で体力が減少していく代わりに、あらゆる攻撃に対して無敵になる。
    • かなり激しく体力が減少していくが、レベルを最大の3まで上げることによりだいぶ減少は緩やかになり、回復も十分間に合うレベルになる。
    • 回復役のミキにセットすれば簡単に絶対に死なないヒーラーが出来上がるし、本来攻撃力が上がる代わりに防御力も下がるロール「バーサーカー」のデメリットも一切なくなってしまう。
    • 難易度の高すぎる戦闘の救済措置として存在しているフシがあり賛否両論だが、多用するとどんな戦闘でもゴリ押しで突破できるため、戦闘の緊張感がまるでなくなってしまう。
    • 本作プロデューサーは発売前に「とあるチート級ロールを使って勝っても私は認めない」と豪語していた。このデッドマンを指していると思われるが、だったらそんなものを実装するなという話である。
    • そもそも本作の戦闘バランスはあまりにも大味すぎる。そのような発言は、戦闘バランスをきっちりと調整してから言って欲しいものである。
  • 戦闘不能時の挙動
    • 本作で味方キャラが戦闘不能になった場合、蘇生アイテムor紋章術で回復してもらうまで、その場に跪いて動けなくなるという仕様となっている。動けない間は専用の台詞を断続的に喋るなど芸も細かい。
      • 少なくとも死亡・意識不明という扱いではなくなっており、恐らく戦闘直後にイベントが開始しても違和感をなくすためのものと思われる。
    • これらの仕様は決して悪いものではないが、問題はフィールドやダンジョンの移動中・戦闘前のイベント等ではキビキビと動くのに、戦闘が始まった途端にその場にうずくまってしまう点にある。さっきまでの元気はどうした。
      • 戦闘不能状態のキャラが平然と動き回ったりイベントシーンに参加したり…という問題点そのものはある意味RPGの宿命ともいえるが、本作に関してはシームレスで話が進む分余計に目立つ。
    • 戦闘終了後にHP1で復活するといった仕様にすれば簡単に回避出来たと思われる以上、作り込みが甘いとも取れてしまう。
    • 次回作では復活する仕様に変更されている。

グラフィック関連

  • ヒロインの3Dグラフィック
    • 評価点でも述べた通りキャラのグラフィックに関しては概ね高く評価されているのだが、例外的にヒロインであるミキに関してはあまり良い評価を聞かない。
    • 両目の間隔が他のキャラと比べて離れかなりのっぺりした顔に見えるため、白やピンクを基調とした容姿も相まって「ピンクマンボウ」「ウーパールーパー」など、かなり酷い通称で呼ばれる羽目に。
    • あきまん氏のキャライラストで見る限りあまり違和感はない。ただ、氏のイラストの時点で眼が離れて描かれている傾向にはあり、イラストを忠実に再現した結果ともとれるのが悲しい所である。
  • 手抜きを感じさせる市街地の作り込み。
    • 外観はしっかり作り込まれている一方で、設備や立ち入り可能な建物は少なめに抑えられている。クエスト受注場所が街中での1か所に纏められているなど便利な部分もある反面、寄り道・探索要素に乏しい。
      • HD世代のRPGでも入れる建物の省略は珍しくないが、いくら何でも要素を減らしすぎである。
    • ショップも通りに置かれた露店形式となり室内フロアでの販売は一切なく*9、酷い町だと宿屋にしか入れない。おかげで町探索は外周を走るだけで終わる。しかも狭い。
    • 一方で入れる建物はPS2以前のRPGのように、どんな小さな家でも一々ロードを挟む。『4』にあったドアの開閉モーションやSEも無い。なぜここをシームレスにできなかったのか…。
  • 武器グラフィックについて
    • 小さな不満点の1つだが、戦闘時の装備グラフィックが固定になってしまったことを残念に思うファンも多い。
    • 『3』『4』では戦闘時には武器ごとの固有グラフィックが用意され、特に『3』では本作にも出ている「鉄パイプ」等のネタ武器も存在しており、尚且つ武器強化で最強クラスの武器にすることもできたため、見た目のインパクトととも相まってそれなりに好評だった。
      • ちなみに、「鉄パイプオンリーでラスボスや隠しボスを倒す」といった、一風変わったバトルコレクションさえも存在する。
    • 本作では『3』以上に見た目を重視したネタ武器が存在するのだが、装備してもグラフィックが変わらないため、強化してもイマイチ面白みに欠ける。前作で出来ていたことが何故出来ないのかと不満を持つ人もいる。

フィールド移動やカメラワーク

  • 移動中の細かい画面ブレ
    • 移動や戦闘の時はカメラが小さな段差などでも自動で追従するせいで、特に上下に画面が細かく揺れまくる。
      • そのせいで、カメラ感度を調整しないと人によっては3D酔いでプレイが困難になることもある。
    • 試遊版で「カメラワークが悪い」と指摘があったのだが、スタッフは発売前に「もっと良くなる」と発言。スタッフがカメラワークの悪さを理解しかねている節が見られる。
    • 一応、移動中でも戦闘中でも自分でカメラを操作できるので、気にならない人は気にならない。
  • 煩雑なフィールド移動
    • 本作は舞台となる地域が狭くなったことでマップの数が大幅に減少しており、代わりに個々がやや広めになっている。
      • そのため、同じマップを何回も行き来する展開になってしまっており、プレイ時間の多くが移動で占められる。また、個々のマップが広いといっても戦闘システムの関係で道幅が広くなっているためであり、マップ内の密度は低い。
    • ×ボタンでダッシュはDUALSHOCK4のコントローラではやりにくいという声が多い。 これは発売時期が近い『DARK SOULS III』等でも同様であるが、右スティックでカメラ操作できるゲームでは相性は良いとは言えない。
      • ちなみに、この点は東京ゲームショウで指摘されてから取り入れられたものである。その為か、早送りのようなモーションになっている。他ゲームは特定の条件を満たさないとダッシュすら満足にできないのもあるので、無いよりはマシかもしれないが…。
    • 終盤になってやっとワープ機能が使えるようになるが、いちいち宇宙船を経由しないといけないので手間がかかる。

イベントおよび演出

  • シームレスイベントについて
    • 海外のオープンワールド系ゲームやFPSなどに見られる演出を意識したかのような、自然な流れでリアルタイムに進行するイベントシーンが特徴なのだが、カメラ演出が無いので演出が弱くなるという欠点まで踏襲しており、国産RPGらしいドラマチックな雰囲気が薄れている。
      • 海外のゲームでよく見られるシームレスイベントとは、会話だけで済むイベントはラジオを聴く感覚でゲームを進めながら会話させる、アクションゲームにおいて仲間がリアルタイムで行軍しプレイヤーの意思とは関係なくイベントを起こすといった「リアルタイムイベント」である。
      • だが、本作のそれはイベントに入るとムービーに切り替わらずそのままフィールド上で仲間達が立ち止まりそのまま会話を始めるというだけのもので、実際にはシームレスではあるがリアルタイムではない。よく考えるとSFC時代のRPGと同じである。
      • また、そうした海外の作品群であっても強制移動をともなう手の込んだイベント、人物の表情や動きに注視すべきドラマ性の高いイベントなどは国産RPG同様にムービーで演出することが多いが、本作の場合は簡単な会話でも路上で立ち止まり、ドラマ性の高いイベントでもムービーは無く、大掛かりな演出を要するイベントは存在しない。
      • また、イベント中は徒歩とエモーション以外の行動が一切できないためわざわざシームレスにする意味もない。
      • 結局のところ、従来の国産RPGのイベントムービーからカメラ演出をオミットして会話をオート固定にし、イベントスキップを不可能にしてフィールド上で再生しているだけである。
      • 「エモーション」は、この淡白な演出をプレイヤーの介入により緩和するためのものと思われるが、その役割を満たしているとは言い難い。
      • イベントシーンにおいてはエモーションで行う動作よりも、イベント中にフィデルが行う動作の方が優先され、そもそもエモーション不可能なイベントも多い。
      • 前作の「全部!全部だ!」を筆頭にネタモーションが相当数用意されているが、フィデルが喋るたびに動作が中断されるのでネタプレイに走ることも出来ない。
    • カメラ演出のないシームレスイベントにもかかわらず従来のJRPGのようなリアクションが豊かな演出になっており、楽しむためにはちょこまかと主人公を操作して手動でカメラを調整する必要がある。
    • 会話シーンに似た演出を採用した『ゼノブレイドクロス』と同様の問題だが、本作はイベントの殆どがこの形式な分、より深刻化している。
      • キャラの表情もまるで分からず、重要なキャラの動作をうっかり見逃すことも有り得、感情移入しづらい。
      • カメラ操作は主人公を中心に行うので、主人公ばかりが画面に映ってしまう。
    • 公式のスクリーンショットは、さも従来通りのカットシーンであるかのような適切なアングルで撮られている。ほとんど詐欺である。
    • 従来型のムービーのイベントもあるにはあるが極僅か。仲間との出会い等の重要なイベントも悉くムービーが無いため、サブキャラの印象も薄くなりがち。
      • ヒロインのミキとて初登場時は画面の片隅にモブNPCのように立っている状態で、イベントが発生してもアップになったりしないので第一印象が薄い*10。ヴィクトルに至っては気が付いたら戦闘に参加しているという形での初登場となる。
    • イベントスキップがなく2周目でも飛ばせない。ムービーシーンのみスキップができるが、そもそもの数が少なく意味がない。
    • 魔物の大群や地形崩壊といった、演出がムービー頼みになる大規模なイベントが存在せず、ほぼ会話とバトルのみで完結させられるプロットになっている。
      • シリーズ恒例の艦隊戦ですら、味方艦ブリッジでの状況説明のみという有様。カメラワークこそあるが喋っているクルーが適宜映る程度で、艦外の戦闘については全く見せてくれない。
    • こうしたことから「シームレスは演出を手抜きするための方便では」という疑惑も。
      • プロデューサーによれば、「国産RPGでよくある、イベントでプレイが中断される方式は没入感が削がれるから」と言う理由でシームレスイベントを採用したとのこと。演出面が弱くなるのは承知の上で、プレイ感覚を優先した結果であると言う。
      • しかし前述したようにゲームプレイが止まる事に変わりは無く、ただ演出面を弱めてプレイヤーに余計な手間まで強いるだけにしかなっていないのが悲しい所である。
      • なお、これらのシームレス演出はやはりオープンワールド的な仕様で作られており、従来と全く異なる為に開発には苦労した事が語られている。その結果がこれでは何ともやるせない話である。
    • インタビューでは『4』で海外を意識し過ぎていた反省から、今回は国内外で受け入れられるJRPGとして勝負する。と言った旨が語られていたが、このシームレス演出やその他仕様など、前作以上に海外を意識している部分が見受けられるのが実状である。
      • ただ、海外ゲームに接する機会が増えたことから、国内にも「国産RPGもオープンワールドにするべき」という意見があるのは、海外展開を見据えた場合のメリットが論拠にあることも多いが事実であり、そういった声に応えたものであると思われる。
      • しかし同時に、上記のような意見に対して「国内ゲームには国内ゲームの良さがあり、何でもかんでもオープンワールドなら良いというものではない」という反論の中で、実例として本作が引き合いに出されることも多い。
    • イベントに入るとカメラが自動でキャラたちに寄ると同時に移動操作を受け付けなくなり従来通りに物語が進行、イベントの終わり際にはカメラが移動時と同じ位置まで引き移動に戻ったり戦闘に入る…という具合にすれば、シームレスな繋ぎとJRPGとしての物語の見せ方を両立出来たと思われるだけに、シームレスの長所が活かされていない本作の仕様が残念でならない。
      • 本作以前に出た有名所で言えば『Grand Theft Auto V』や『The Witcher 3: Wild Hunt』等はオープンワールドのシームレス感とドラマチックなイベントシーンの見せ方を両立している。こう言った所は参考にしなかったのだろうか。
  • クエストについて
    • 本作のクエストは基本「町の広場にある掲示板で依頼を受け、掲示板で達成報告する」という淡白なものである。
    • 前作では依頼主と直接話す形式だったため、そこにちょっとした物語があったが、それがなくなり手間が減った分、作業感が増した。
  • プライベートアクション(PA)
    • 街中でパーティメンバーと交流するPAについても数だけは多いが、中身の薄すぎる内容も多くなった。酷い例だと一言で終わってしまうものすらある。
    • キャラクター自体は前述した通り性格付けは良好で、個性も薄い訳ではない。しかしその個性の強さはメインシナリオに絡むことも、ストーリー中のちょっとしたイベントで描かれることも皆無且つ、それを活かせる場であるPAすらも味気ないので、キャラの掘り下げが非常に甘くなってしまっている。
      • 『4』のようにシリアスなシーンに空気を読まず強烈な個性をぶっ込んでくるのも問題だが、振る舞いが無難過ぎるのもそれはそれで印象が弱めてしまう。本編に加えてPAも淡泊な仕上がりなので、キャラに感情移入しにくい。
    • また、仲間が一方的に話したり独り言を呟くだけのものも多く、主人公の存在感が薄い。
    • イベントが発生しない状態で話しかけた際も、従来はその街に関連した台詞や、PA発生直後であればそれについての話があったのだが、今回は「どうしたの?」「何か?」などと返されるパターンばかりで非常に味気なくなった。
  • 淡白すぎる隠しダンジョン
    • 本編ボスキャラとの再戦やストーリー中のサブキャラがボスとして立ちはだかる戦闘があるのは過去作と同じながら、遊び心に満ちたネタ要素はほぼ存在しない。
      • 例えば『3』の隠しダンジョンでは、再登場する敵キャラたちが本編での扱いに対する感想をメタ的に語って場を盛り上げてくれていた。
    • かろうじてネーミングでネタに走った敵はいるが、それもシリーズ恒例の「メタルチンケ」と本編で戦闘機会のなかった敵サブキャラ「本気アーロン」だけ。
    • ボス戦闘前後のボケ倒す会話もなくただ広間で待ち構えるボスを倒すだけという、何の感慨も抱かせない内容になってしまった。

ストーリー

『4』の原案を務めた則本真樹氏に代わり、本作のシナリオはシリーズ生みの親の五反田義治氏が原案から執筆まで手掛けている。
加えて人を選ぶ内容だった『4』の反省からか、今回のストーリーは王道路線となっている。
キャラクターも王道で万人受けしやすいものが揃っており、人を選ぶキャラが多かった『4』とは対照的である。
しかしシナリオ自体の総合的な完成度は今作でも決して良いとは言えず、ワンパターン展開が目立つうえに全体的に起伏に乏しい。
『3』『4』で頻繁に指摘された電波・鬱・超展開要素こそほぼ無いものの、今度は手堅くまとまり過ぎて今一つ盛り上がらない淡々としたストーリーになってしまっている。

+ 一部ネタバレのため折り畳み
  • 大まかな展開を突き詰めて言えば、「謎の少女リリアとその姉を巡る小競り合い」である。
    • 幼女が特別な能力を持っていてそれを主人公たちが守るという内容は他RPGでも割とよく見られることなのだが、本作では「何やら墜落した謎の宇宙船の中から出てきたリリアを主人公たちが保護したのち、なぜか唐突に彼女を命懸けで守ると宣言する」という内容。縁もゆかりもなく見ず知らずの少女になぜいきなりそこまで肩入れするのかがよくわからず、プレイヤーは盛大な置いてきぼりを食らう。
    • おまけに、その際にリリアを返せと迫る乗組員とも戦闘になっている。確かにシナリオ上彼らは敵勢力であったわけだが、まったくの第三者である主人公たちにこの時点でそんなことは当然わかりようがない。にも拘らず、仮にも彼女の保護者と思われる立場の人間に剣を向ける。
    • 高圧的な態度で「(返せではなく)渡せ」と迫る上に力ずくで奪い返そうとする相手を警戒するのは分かるが、もう少し主人公達がリリアを返すのを躊躇うような流れを作れなかったものだろうか。
      • この展開が理由で、あろうことか主人公のフィデルにロリコン疑惑がかけられることとなってしまった。
      • ほかのシーンでは正統派主人公のような振る舞いを見せることから、別にスタッフがそういう性格にしたという事ではないだろうが…。
    • 奪還されたリリアはその後再び敵勢力に拉致され、いったんは奪い返すがまた攫われ…といった展開を何度も何度もうんざりするほど辿ることになる。ワンパターンすぎる展開に多くのプレイヤーが辟易した。
  • 惑星が1つ(しかも一地域)しか登場せず、非常にスケールが小さい。そのため、前述した舞台の狭さやマップの少なさなどの問題点にも直結している。
    • 他のゲームでは舞台が狭くとも壮大な物語を展開しているケースもあるが、本作は上記のリリアや下記のラスボスについてを見れば分かる通り、その位の規模の話で終わりである。
    • 『2』以降のような宇宙の存亡を賭けた戦いには到底発展しないし、雰囲気の近い『1』にも遠く及ばない。
  • ラスボスも中途半端。
    • 本作のラスボスは端的に言えば、敵勢力のタカ派の一将軍に過ぎない人間である。敵対勢力のトップとはゲーム終盤で和解することになり、トップの意向を無視して軍の大半を掌握して暴走する彼を鎮圧するためにラストダンジョンに赴く、というのが本作の最終決戦の筋書き。
      • 早い話が、『3』に登場したヴォックスのような中間管理職的立場の人間が実はラスボスだったという展開である。
      • 惑星を支配する独裁者、古代の超文明が生み出した破壊兵器、異次元空間に存在する宇宙の創造主、生物の異常な進化と多くの惑星を破壊するほどの軍勢を生み出す謎の存在など、曲がりなりにも風格があった過去作のラスボス達と比較してあまりにも小物臭さ全開と言わざるを得ない。
      • なので、冒険の舞台となるフェイクリード4号星以外の惑星が危機に陥ることもない。というかフェイクリードですら、そこまで大きな危機に陥っていない。
      • これでは当然、宇宙の存亡を賭けたスケールの大きい戦いになどなりようがないのだ。
    • これまでのスターオーシャンだったら、ラスボスだと思われたその将軍を操っている存在が背後にいたり、あるいは宇宙の存亡がかかる真実を将軍が知ってしまいやむを得ず敵対したなど、将軍との戦いを起点にスケールの大きい話が展開されていきそうなものだが…。
      • 従来と比べてストーリーのスケールが小さいだけに、ラスボス撃破後に黒幕が別にいるのではないかと予想したプレイヤーも、倒した後に普通にエンディングを迎えて肩透かしを食らったプレイヤーも、多かっただろう。
  • 主人公フィデルのとある行動
    • ヴィクトルはフィデルの父から剣の教えを受けており、フィデルからすれば同門の後輩に当たるが、10歳近くヴィクトルの方が年上であり軍人ということもあってフィデルは敬語を使い、敬意を持った接し方をしていた。
    • しかし中盤にヴィクトルが軍を抜ける覚悟を固めた際に、突然フィデルがヴィクトルを弟弟子扱いし呼び捨てにする。
    • ヴィクトルがそう申し出たのならいいのだが、フィデルがそれでいいだろと言い出す始末*11
      • フィデルはシリーズ最年長主人公だが、この言い草は大人気ないと言わざるを得ない。確かにまだ23歳と若く、スタッフからも「成長過程」と言われているが、彼より年下の過去作主人公達は少なくともこのような暴挙に出る事は無かった。
    • それだけ自分の父を尊敬していて、その弟子でもある事への誇りの表れだというのは分かるのだが、そう思わせる描写は薄めで行動自体も突飛かつ無礼ともとれるものであるため、ツッコミ所としても目立ってしまっている。内心見下していたと思われても仕方がない。

これらの理由により、今までと比べるとどうにも話の規模が小さく、盛り上がりに欠ける内容となってしまった。
トライエースのRPGは元々ストーリーの評価が低いものが多く、PS2からPS3の時代は超展開シナリオというネタになるような部分があった。
一方で本作のストーリーは粗が少なく良くも悪くも手堅い話であり、かつての「トライエースのゲームのシナリオは予断を許さない」といわれていた面影はほぼなくなっている。
しかしながらそれ故に、こぢんまりとしていて印象に残りづらいという別の問題が浮上することとなった。
全体的な雰囲気の変化はともかく、少なくともスケールが大幅に縮小した事自体は、最新作として頂けないのは間違い無いだろう。

その他の問題点

  • ゲームそのもののボリューム
    • メインストーリーを追うだけなら25時間程度でクリア出来てしまう。
    • 確かにシリーズ初期はそこまで長いストーリーでもなかったが、シリーズを追う毎にメインストーリーのボリュームも増していた。最新作としてはかなり短いと言わざるを得ない。
    • それを補うほどやり込み要素があるかと言うと、そちらも過去作よりもかなりグレードダウンしている。例を挙げるならば前作まで存在していた闘技場がない。
    • 闘技場のような形式で戦うサブダンジョンはいくつかあるが、それを代わりと呼べるかどうかは…。
    • クエストなどの寄り道を順次こなしていればクリアまでもそれなりの時間を要するが、前述した通りクエストは作業感が強いため、プレイ時間の水増しのようになってしまっている。
    • なお、五反田氏は今まで書いた中で本作のシナリオが一番量があると語っていた。しかし実際はこの通りである。
      • 「どこまで収録できるか分からない」とも語っているため、相当の量が削られたとも考えられるが、だとしたらどれほど削られたのだろうか。
  • 技やモンスターだけでなく、BGMも過去作からの使い回しが目立つ。
    • 本作のBGMは『3』『4』から、フィールド・イベント・戦闘を問わずかなりの曲数が使い回されている。『3』からは代表曲の1つとされる「The Divine Spirit of Language」も選ばれるなど、曲のクオリティやチョイスにはほぼ問題はないので、本作がシリーズ初プレイという分には全く気にはならないのだが、シリーズファンからすると進めるたびに聞き覚えのあるBGMが流れてくるため興が削がれてしまう。
      • 再録の範囲を特に評価の高い戦闘BGMの数々や、『4』で収録された文字通りウェルチのテーマというべき「Good Morning, Miss Vineyard」くらいに留めておけば、シリーズ集大成として好意的に受け止められた可能性もあるだけに、使い回しの多さが目に付くこの現状は残念でならない。
    • 初回生産限定特典では戦闘BGMを『ヴァルキリープロファイル』及び『2』のものにカスタム出来るDLCが、e-STORE専売のアルティメットボックスには戦闘BGMを本シリーズの過去4作のものにカスタムできるDLCが封入されている。
    • DLCの内容自体は高く評価出来るのだが、本作単体での使用曲を考慮すると使い回しを目立たなくするためのDLCにも見えてしまうのが切ない。
  • シリーズ定番声優、東地宏樹氏の不参加
    • シリーズファンにとっての不満点。東地宏樹氏はSOシリーズには欠かさず参加しており、新作だけでなくリメイクで他のキャストが変更されても東地氏は同役で続投するほどスタッフにはこだわりがあり、今となってはファンにも「東地宏樹はSOシリーズに必要不可欠なもの」と言われているほどのキャストである。
      • しかし、今回はスケジュールが合わなかった等の理由により不参加となっている。
+ 以下、2016年3月29日、電撃PS『スターオーシャン5』発売直前生放送!にて語られた内容
  • 東地宏樹氏は今回出演していない。理由はそもそも過去シリーズでずっと東地氏を使い続けたのは、ファンサービスの一環もあったが、ぶっちゃけスケジュールが合わなかった。
  • 一応メインキャラの一人、エマーソン役に東地氏の出演候補には入れたが、エマーソンは女たらしのイメージが強く、硬派な東地氏のイメージに合わないという意見があった。
    • もちろん脇キャラで出せないことはなかったが、脇キャラに出してもファンは喜ばないと思った。トライエースとも協議した結果、ユーザーは求めていると思うし、出ないことで違和感もあると思う。
    • ユーザーからネガティブな発言が出るとは思ったが、本当にキャラクターに合っている声を選びましょうと。キャラクターを見回したときに、東地氏であるべきキャラクターというのがいなかった。
    • このように主な理由としては、スケジュールがそもそも合わず、その上で東地氏にふさわしいキャラクターがいなかったということが挙げられている。
    • また内容を見ればわかるが、東地氏を起用しないことに対してファンから反感を持たれることは承知した上での判断だったようだ。
    • しかしながら、過去シリーズの要素をこれでもかとちりばめておきながら、何故かシリーズ恒例であったはずの東地氏は起用しなかったことにはやはり違和感がある。
    • また、口が軽く女好きな中年男性といったエマーソンの役回りは、程度の差こそあれど『3』のクリフにも通じるところがあり、東地氏のイメージに合わないという判断にはやや疑問が残る。
    • 『5』が過去のシリーズの集大成ではなく、寄せ集めのような雰囲気になってしまっているのには、このような細かいところにも原因があるのではないだろうか。

賛否両論点

  • 全体的な雰囲気の変化
    • 今シリーズはSFとファンタジーが融合した世界観が特徴的だが、初期は当時の風潮もあってSF要素の薄いファンタジー的な作風であった。
    • それがシリーズを重ねるごとに徐々にSF色が濃くなっていき、特に前作『4』では宇宙船で様々な惑星を冒険するほどSF要素の強い作品となっていた。
    • しかし、本作は中世ファンタジー風の未開惑星のみが舞台であり、『2』『3』のように後半から高度な文明世界に舞台を移すことも無くせいぜい惑星内に建造されたSF施設や宇宙船などの狭い舞台を探索するだけと、『1』を彷彿させるファンタジー色の強い世界観である。
      • 主人公もヒロインも未開惑星の住人であり、当然、物語が始まるまで宇宙や他の惑星のことなど知らない。
      • 『2』以降は先進惑星人の主人公が未開惑星で冒険を繰り広げるのが主な流れだったが、『1』は逆に未開惑星人の主人公に先進惑星人が接触してくる形であり、本作もそれに倣った構図となっている*12
      • そのため舞台規模の縮小やボリューム不足と共にSF要素の薄さが不満点に挙げられる一方で、旧来のファンの一部からは「初代を彷彿とさせるノリ」「シナリオの出来はともかく、雰囲気自体は嫌いじゃない」と評されることもある。
    • 五反田氏も発売前のインタビューで「原点回帰を目指した」と語っており、この点はスタッフの意図した通りと言う事だろう。プレイヤーからは賛否両論という結果になってしまったが。
  • 「未開惑星保護条約」に関する扱い
    • 「文明が一定の水準以下の惑星への接触を禁じる法律」としてシリーズで象徴的に語られつつも、毎度のように破られてきた「未開惑星保護条約」だが、本作でももはやお約束のごとくあっさり破られてしまう。
    • ストーリー上、主人公達は毎度のようにこの条約を破らざるを得ない状況に立たされるため、破ることがシリーズの恒例となっていたのだが、『1』『2』ではその所為で舞台の未開惑星が急進化する結果になっており、しかもそれについての言及も無かった。
      • 明確なる生命の危機に瀕した場合など緊急時は例外ではあるが、そうでなければ終身刑すらあり得る条約である。ましてや、その惑星の文明に強い影響を与えるなどは本来なら以ての外の行為であった*13
    • 『3』でも破るがその流れに一石を投じるように主人公の葛藤や覚悟も描かれており、未開惑星の急進化させる描写も無かった。そして『4』では本格的に踏み込み、「未開惑星への安易な干渉の危険性が語られ、それに対する戒めとしてこの条約が作られた」というエピソードが描かれた。その続編であっさり破ってしまうのは流石にどうなのか?と突っ込まれることがしばしばある。
    • 一応、本作については「敵の超科学兵器によって生命の危機に瀕した未開惑星の住人を治療する」という心情的に納得のいく理由であり、上述の例外にある程度当てはまる状況でもある。また、一応シリーズ恒例という事もあってそこまで気にならないというプレイヤーもいる。
      • しかしこの条約を破った軍人が昇進するなど、もはや公式が「シリーズ恒例」と完全に開き直っている節があり、もはや話を作るのに都合の悪い設定であるようにすら見えてしまう。
    • 主人公達の足枷にしかなっておらず、形骸化もしていたこの条約の意義と成り立ちが『4』で描かれたという事もあり、今後どのような形で関わるのかと期待していた人は結局いつものパターンに肩透かしを食らうだろう。せめて破ったことへのペナルティや咎めでも描写されていれば良かったのだが。
      • 不満が多かったか問題視されたか、次回作にてようやくその点について言及され、描写も突き詰められる結果となった。

総評

シームレスバトル、多人数での戦闘などの新要素の追加に加え、過去作の良いとこどりによってシリーズの集大成を目指した様子は窺えるものの、
シリーズ経験者からすると看過し難い不満点が多く、逆に本作を許容できないというシリーズファンが多くなってしまった。
グラフィックこそ劇的に良くなったが技や敵キャラ、BGM等に過去作の使い回しがあまりにも多すぎるため、集大成というよりは悪い意味での「寄せ集め」感が漂う。
シリーズを通して評価が高かったバトルシステムは不評。特に、『3』でも欠点として挙げられていた「大バトルスキルが強すぎる」という欠点はむしろ悪化している状態であり、結果的に時代に追いつけていない印象を強く残した。
ストーリー・世界観のスケールも従来とは比較にならないほど縮小化し、クリアまでのプレイ時間やクリア後のダンジョン等のボリュームも減少。
演出や仕様の面でも、流行りのオープンワールド的な演出やシームレス感を意識するあまり、従来の良さを殺している節が多々見受けられる。
「JRPGとして勝負する」と意気込んだ割には、JRPGで重視されるストーリーと演出が明らかに弱いと言う本末転倒な仕上がりとなっている。
その結果、「シリーズ最低」と評されることすらあり、皮肉な事に『3』『4』が再評価されるキッカケにもなった。

一応、ストーリーについては胸糞悪い内容ではなく、王道で手堅いために評価出来る部分もある。
大小様々な問題点は山積みだがクソゲーと断じるほどの大きな破綻はなく、個別に見た問題点の多くも新規プレイヤーにとってはそこまで気になるものではないだろう。
かと言って、「満足」できるかどうかは微妙なところであるが…。


余談

  • ヒロインのミキはミニスカートを履いているので町中や戦闘中にパンツが見える。
    • 海外での発売時はティーンの下着が見えるという点が問題視されたのか「パンツの面積を広げる」という修正を余儀なくされたという。
+ ミキのパンツ ※エロ注意
  • 主人公の髪の色が青、ヒロインはピンクという組み合せは『1』と同じで、デザインの際に敢えてそう注文したとの事。
    • 偶然ではあるが、本シリーズの主人公の髪は奇数作が青、偶数作が金となっている。そこに気付いて今回は原点である『1』に肖ったと言う。
      • 次回作『6』の主人公の髪は金であり、本作以降もやはりこの法則に倣った形となった。
    • ちなみにヒロインに関しては初代から順にピンク・青・茶・茶・ピンク・銀と見事にバラバラで、法則性は無い。
      • 名前でなら、偶数作はいずれも「レ」から始まっており、奇数作では本作も『1』に倣ってか「ミ」から始まっているのだが、『3』のソフィアという例外がいるので法則性とも言い切れないのだが…。
  • 上述したように本作の悪評により、『3』『4』の再評価が進んだ。それだけが理由ではないだろうが、翌2017年には両作のHDリマスター版が発売される運びとなった。
  • 概要でも少し触れたが、本作の宣伝展開とその結果は悪い意味で今なお話題に挙がる。
    • 本作については発売前の段階で、ライバルでもあるテイルズオブシリーズ随一の問題作『テイルズ オブ ゼスティリア』を揶揄するかのような宣伝展開も行っていたことでも知られており、実際に同作品に対して失望を覚えた同シリーズのファンが本シリーズに対して希望を見出す、という例が多くあがっていた。
    • しかし実際に発売された本作は、確かにテイルズオブゼスティリアに比べればずっとマシな作品だが、到底褒められる出来でもなかった。元々スターオーシャンというブランド自体が『3』や『4』で相応に信頼度を落としていたこともあり、「人のこと言えない」と突っ込まれるに至った。
      • トドメとばかりに、本作からわずか数か月後に発売された『テイルズ オブ ベルセリア』が、『ゼスティリア』の過去の話という最悪な前評判すら吹き飛ばすほどの良作であったことから、信頼回復をかけた一作という立ち位置や発売時期が近かったことも含め、最終的に本作は『ゼスティリア』ではなく『ベルセリア』と比較されることになってしまった。
      • その為、本作はクソゲーとは言えないにもかかわらず、その不出来さが一層悪目立ちしており、正に因果応報ともいえる結果に終わってしまっている。

その後の展開

  • 本作発売の後、同じ年にシリーズ歴代キャラが登場するクロスオーバー作品『スターオーシャン:アナムネシス』がiOS/Android用アプリとして配信開始された。ストーリーの時系列は本作の2年後。
    • 戦闘システムやモデリング、メインシナリオ(作家の和ヶ原聡司氏が執筆した第二章以降)の評価は高く*14、他社とのコラボイベントや本作の不出来をカバーするかのように力を入れていた。ソーシャルゲーム化でブランドの名誉回復に一定以上成功するのは意外と珍しい例であり、そういった面でも注目されていた。
      • 和ヶ原氏は中学時代に『1』をプレイして以来のシリーズファンであり、作家になったのも『3』の二次創作を自身のHPに掲載したのが切っ掛けだったというほどの筋金入りであった。『SOA』も元々は「小説を書かせてほしい」というツイートがスタッフの目に留まり、小説版の執筆を任された後に正式にゲームの方のシナリオも手掛けるようなった経緯がある。そして次回作『6』では五反田氏らと共に本編のシナリオにも参加することになった。
    • しかし、2019年ごろから運営側(主に本作から続投していたプロデューサー)の失態が相次ぎ、それによってプレイ人口が減ったためか2021年6月24日にサービスが終了。現在はオフライン版として配信が継続されており、メインストーリーの閲覧が可能である。
  • 2022年10月27日にシリーズナンバリング続編である『スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE』がPS5/XSX/One/PS4/Winで発売された。本作のパーティキャラであるエマーソン、アンヌの孫であるマリエル・L・ケニーが登場する。
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最終更新:2024年03月24日 00:23

*1 画面上に表示されるゲージは常に1本で、その1本のゲージの溜まり具合で0~5までカウントが変動するので、ストックと表現した方が分かりやすい。

*2 正確には腕や足はグローブ・ストッキングで覆っていたり、極短のスカートを履いていたりするが割愛。

*3 前作までは「回避成功・MISS判定」がガードとして扱われており、一般的なガード操作は存在していなかった。

*4 もっと言うと「空破斬」のモーションもエッジの「グラン・ザッパー」と同一モーションである。

*5 『2』のクロードも日本語と英語の必殺技が混ざってはいるが、あくまで我流剣術の域を出ていない彼の場合はここまで違和感が目立つ事はなかった。

*6 『3』のストーリーで明確に語られたわけではないが、そのように思わせる要素があった。

*7 しかもプロデューサー曰く、「フィデルが何故イセリアル・ブラストを使えるのか」という設定的な意味は、特にないとのこと。

*8 本編の設定や時系列を無視したイベントがあったり、強力なボスと戦えたりするやりこみ用のダンジョン。

*9 例外といえるのはクエストをこなすと終盤で素材を売ってくれるシリーズおなじみのラドルだが、こちらも宿屋の中で立っているだけである。

*10 ミキ、フィデル共にはっきり顔が見える初のムービーは第二の町の宿屋に宿泊した時にようやく流れる。

*11 これ以前にもヴィクトルを「兄弟子」呼ばわりされて「兄弟子は僕の方です」と突っかかるシーンもある。当然というべきか、相手には揚げ足取りと言われるが…。

*12 より正確には、『1』『5』は未開惑星人。『3』『4』は先進惑星人。『2』『6』は男性主人公のヒーローが先進惑星人で女性主人公のヒロインが未開惑星人。 ヒーローが未開惑星人、ヒロインが先進惑星人というパターンは現状まだ無い。

*13 『2』の後日談である『SOBS』では「仲間たちを地球へ連れていき、その才能を開花させた」と、聞こえはいいが条約の観点からすれば言語道断の行動を行なっており、未開惑星だったエクスペルが僅か数年で銀河連邦に加盟するという異例の事態の要因にもなっている。

*14 ちなみに第一章は『インフィニット アンディスカバリー』の株式会社ORG。