聖母マリアへのロザリオの祈り

ロザリオの祈りとは、ロザリオを使って祈ることである。
ロザリオに特有の祈りは玄義(mysterium)である。


歴史

「ロザリオ」という名称は、ラテン語の rosarium に由来するもので、これは「バラの冠」という意味であり、一般的な説では、珠を繰りながら唱える祈りがバラの花輪を編むような形になるからと言われている。
ロザリオの歴史を振り返ると、詩編を唱える「聖務日課」にその起源を見ることが出来る。初代教会では聖パウロの「絶えず祈れ」という言葉を受けて、詩編を決まった時間に分割してとなえるようになった。この祈りを唱えるためには文字が読めることが前提だが、古代・中世では字を読める人は限られていた。よって当時「聖務日課」は、主に修道者の間でしか行われていなかった。
しかし、一般の信徒の中にも、「聖務日課」のような祈りをすることが出来ないかと考える人が出てきた。そこで考え出されたのが150編の詩編の代わりに「主の祈り」を150回唱える方法である。これが今日のロザリオの歴史的背景になっている。
また、キリスト教の伝統の中で、聖母マリアへの祈りは初代教会から始まっていたと考えられているが、これをいまの「ロザリオの祈り」の形にまとめ、普及させたのは聖ドミニコ(1170-1221年)と言われている。最初の頃は、マリアの主な5つの喜びの黙想だけだったが、やがてイエス・キリストの誕生から始って受難、復活、昇天という神秘の生涯を包括する黙想の形をとり、それによってマリアに対する愛と信心とともに救い主キリストに対する信仰を深めるための、素朴で誰でも近づきやすい方法の一つとして、普及していった。

ロザリオによる祈り方

ロザリオの祈りでは、洗礼式の信仰告白(使徒信条の短縮版)、主の祈りアヴェ・マリア栄唱を唱える。
また15の玄義を黙想する。これらの玄義は、喜びの玄義、苦しみの玄義、栄えの玄義の3環で、1環は5連からなっている。

15の玄義

喜びの玄義:
第一玄義:この一連を献げて、聖母が御告げを受け給いたるを黙想し、その御 取次によりてけんそんの徳をこいねがわん。
第二玄義:この一連を献げて、聖母がエリザベトを訪問し給いたるを黙想し、 その御取次によりて人を愛する徳をこいねがわん。
第三玄義:この一連を献げて、主の降誕し給いたるを黙想し、聖母の御 取次によりて清貧の徳をこいねがわん。
第四玄義:この一連を献げて、聖母が潔めの式にあずかり、主を聖殿に献げ 給いたるを黙想し、その御取次によりておきてを守る徳をこいねがわん。
第五玄義:この一連を献げて、聖母が主を聖殿に見出し給いたるを黙想し、その 御取次によりて主を愛する徳をこいねがわん。

苦しみの玄義:
第一玄義:この一連を献げて、主がゲッセマニの園にて死するばかり憂い給い たるを黙想し、聖母の御取次によりて罪を痛悔する恵みをこいねがわん。
第二玄義:この一連を献げて、主がむち打たれ給いたるを黙想し、聖母の御取次 によりて罪を償う恵みをこいねがわん。
第三玄義:この一連を献げて、主がいばらの冠をかむらせられ給いたるを黙想し、 聖母の御取次によりて侮辱を恐れざる恵みをこいねがわん。
第四玄義:この一連を献げて、主が十字架を担い給いたるを黙想し、聖母の 御取次によりて苦難を甘んじ受くる恵みをこいねがわん。
第五玄義:この一連を献げて、主が十字架にくぎ付けにせられて死し給いたるを 黙想し、聖母の御取次によりて救霊の恵みをこいねがわん。

栄えの玄義:
第一玄義:この一連を献げて、主の復活し給いたるを黙想し、聖母の御取次に よりて信仰の徳をこいねがわん。
第二玄義:この一連を献げて、主の昇天し給いたるを黙想し、聖母の御取次に よりて天国の福楽を深く望む心をこいねがわん。
第三玄義:この一連を献げて、聖霊の降臨し給いたるを黙想し、聖母の御取次に よりて聖霊の賜物をこいねがわん。
第四玄義:この一連を献げて、聖母の被昇天を黙想し、その御取次によりて よき終りを遂ぐる恵みをこいねがわん。
第五玄義:この一連を献げて、聖母が天使と人類との元后に立てられ給いしを 黙想し、その御取次によりて永福の冠をこいねがわん。

十字架から環の始まりまで


環の始まりから終わりまで

  • 第1玄義を黙想→「主の祈り」を1回唱える→「アヴェ・マリア」を10回唱える→「栄唱」を1回唱える
  • これで一連が終わる。(ここにファティマの祈りを入れる場合もある。)
  • 同様にして第2玄義の瞑想から2連目を行う。
  • 同様にして5連目まで行う

最終更新:2017年07月08日 07:43
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