グラドゥアーレ

ここではレクイエムに用いられる固有文の昇階唱(Graduale)について説明する。
古い時代のレクイエム(例えば、オケゲムのレクイエム)を除くとGradualeと次のTractusは省略されるのが通常だが、著名なものではケルビーニとドヴォルザークに見受けられる。

原文(ラテン語)

Requiem æternam dona eis Domine
et lux perpetua luceat eis.
In memoria æterna erit justus:
ab auditione mala non timebit.

和訳

主よ、永遠の安息を彼らに与え、
絶えざる光でお照らしください。
正しい人は永遠に記憶され、
悪い知らせにも恐れはしないでしょう。

成立

冒頭は、旧約偽典であるラテン語エズラ記2:34-35 に基づく「主よ、永遠の休息を彼らに与え給え」という句で開始される。
エズラ記(ラテン語)2:33-35
わたしエズラは、ホレブの山で、イスラエルへ行けという命令を主から受けた。そこでわたしはイスラエルの人々のもとに行ったが、彼らはわたしを拒み、主の言いつけを軽んじた。
だから、わたしは言う。「聞いて理解する異邦の民よ、あなたたちの牧者を待ち望みなさい。彼はあなたたちに永遠の休みを与えてくださる。世の終わりに来られるはずの牧者は、近くにおられるからである。報いとして王国を受ける準備をしなさい。やがて永遠の光が永久にあなたたちを照らすからである。…」

続く部分では、「詩篇」112:6-7 の箇所が選ばれている。
詩編112:6-7
主に従う人はとこしえに揺らぐことがない。
彼はとこしえに記憶される。
彼は悪評を立てられても恐れない。
その心は、固く主に信頼している。

最終更新:2017年07月03日 21:38