※『
ゴジラシリーズ』
第1作『
ゴジラ』はホラー路線だったが、次作『
ゴジラの逆襲』ではもう
一頭の怪獣が登場し猛獣の格闘が描かれ、第3作『
キングコング対ゴジラ』から「怪獣プロレス」へと路線が変わっていった。
『
三大怪獣 地球最大の決戦』以降は侵略者や悪役怪獣とゴジラの戦いが描かれることになり、当初は恐怖の象徴、かつ人間の犠牲者として描かれていたゴジラもヒーロー性が強くなっていく。
ゴジラの息子の
ミニラ登場、アンギラスの味方としての再登場、怪獣達が平和に暮らす怪獣ランド(怪獣島)の設定等、ゴジラをはじめ怪獣達は親しみやすいキャラクターとなっていった。
昭和シリーズ終盤ではゴジラは完全に人類の味方、正義のヒーローとして描かれている。
その後も怪獣プロレス路線が強くなった平成VSシリーズ、ミレニアムシリーズを経つつも、度々第1作への回帰が試みられている。
※『鉄腕アトム』(実写版)
アニメ版が始まる少し前に松崎プロで作られた実写版ドラマ。
当初は低予算かつチープながらもアトムの世界観を再現しようと苦心していたのだが、
途中からアトムの体がオリジナルデザインの銀スーツへと変わり、何と車にも乗る。天馬博士が見たら泣くぞ…
原作者の
手塚治虫氏本人もこの実写化は不本意だったらしく、後の
アニメ化の原動力となったそうだ。
※『キャプテンウルトラ』
レギュラーキャラクターの一人・キケロのジョーが子供人気を得られなかった為12話で降板。
またレギュラーの敵だったバンデル星人も12話で全滅、13話からは「怪獣ぞくぞくシリーズ」となって、毎回登場する新怪獣達と戦うようになった。
一方ストーリーは怪奇色が強くなり、アクションシーンはむしろ減少。最終話に至っては戦闘シーンも殆どない。
※『スペクトルマン』
敵側がタイトルになった『宇宙猿人ゴリ』という番組名で最初は裏番組が『
巨人の星』であったため当初は視聴率で苦戦したのだが、次第に人気を獲得。
それによって増えた視聴者から「悪役が主人公なわけじゃないだろ」とのツッコミを受け、『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』、そして『スペクトルマン』と変遷を重ねた。
当初ゴリ中心であったがタイトル変更に伴い物語もスペクトルマンこと蒲生譲二中心の話に変更され、序盤のようなスペクトルマンが苦戦する場面も減っている。
所属する組織も当初「公害Gメン」となっていたが、より低年齢層の指示を獲得するために名称を「怪獣Gメン」に改称。
※『好き!すき!!魔女先生』
「
月から来た
魔法を使える先生・月ひかるが生徒と共に悩みを解決する」という話だったが、
変身ヒーローブームを受けて月ひかる先生をアンドロ仮面として戦わせる事に。
本作は予定通り2クールでの終了を迎えたが、もし番組が続いていたら更にスーツっぽくなっていたそうな…
なお、本作は番組終了後に「主演女優が凄惨な殺人事件の犠牲者になる」という衝撃的すぎる結末を迎えた。
犯人となった婚約者の役者は同じ石ノ森章太郎氏原作の『仮面ライダー』の
ヤモゲラスの人間体であった。
石ノ森先生も主演女優の凄惨な死を嘆き、後年に彼女の
幽霊が石ノ森氏のもとに現れたという奇談がまことしやかに囁かれている。
※『
シルバー仮面』
裏番組である『ミラーマン』との視聴率競争に勝つ為、11話でそれまでの等身大ヒーローから巨大ヒーローものへと変更。
番組名も『シルバー仮面ジャイアント』に改題された。主演の柴俊夫氏によると、「これでようやく視聴率が回復した」との事で、
視聴率的には届かなかったものの、『ミラーマン』を見ていた子供たちに興味を移す事に成功した。
また、作中におけるキーアイテム・光子ロケットの設計図は春日兄弟全員の体に隠されているという設定だったが、
末妹・はるかが降板したため「実は光子ロケットは完成しており、隠し扉ははるか以外の全員がいなくては開けられない」と大幅な変更が加えられた。
※『ミラーマン』
開始当初は「シャープで硬質なドラマの制作」を目指し、主人公の鏡京太郎が人外の身の上に苦悩する様や怪奇色の強いエピソード群を売りとしていた。
防衛チームの
SGMもあくまで敵の撃退ではなく調査や検証が目的。そのため敵であるインベーダーに対しては後手に回ることも多かった。
しかし、視聴率が初回ピークに下降しつつあった上、第二次変身ブームの到来によってライバル番組が激増したため路線変更が決定。
SGMは移動戦闘機・ジャンボフェニックスを擁する武装組織に刷新され、ミラーマン自体もエネルギー時限爆弾を埋め込まれ戦闘に時間制限が生まれた。戦闘シーンにおいても複数の怪獣の登場や派手な特撮が増加し、全体的にアクション性の強化が図られている。
ストーリーもハードなものからバラエティに富んだものに変化したが、終盤になると元のようにシリアスな回も多い。
また、路線変更後はインベーダーの戦略がそれまで以上に凶悪性を増しており、ミラーマンの弱体化もあって「全体的なパワーバランスは路線変更前とそれほど変わっていない」という意見もしばしば見られる。
※『
変身忍者 嵐』
第21話から怪人が血車党の化身忍者から悪魔道人率いる西洋妖怪軍団に変更。
またハヤテを助ける謎の戦士「月の輪」が登場するようになった。
嵐の
必殺技も「秘剣影うつし」という時代劇溢れる技から眼から
ビームを発射する「ガンビーム」と時代性もへったくれも無くなった。
嵐に変身するハヤテの衣装もそれまでのブルーから銀色のデザインへと変更となった。
また、何の脈絡もなくファイティング原田や高見山、沢村忠と言った名だたる格闘家たちが本人役でゲスト出演するようになった。
終盤では血車党を陰から操っていた大魔王サタンが登場した。
※『
愛の戦士レインボーマン』
本作は
各話完結ではなく続きモノ(1クールにつき1エピソード)という方式でストーリーが展開しており、1クール目の「キャッツアイ編」の時点では敵キャラのバリエーションはさほど多くなく(戦闘員くらいしかいない)、主人公が戦う相手は“強い敵”というよりかは“卑劣な罠”であった。
が、2クール目の「M作戦編」で戦闘シーンに若干の見直しが図られ、他のヒーロー作品と同じように悪の怪人と戦うようになった。
※『アイアンキング』
敵組織は巨大ロボットを操る「日本の転覆を目的とする先住民族の生き残り」という設定の不知火一族だったが、
流石に思想的に過激すぎたのか怪獣型ロボットを操るテロ組織「独立幻野党」を間に挟み、宇虫怪獣に変身する宇虫人タイタニアンへと変更。
また、当初はアイアンキングは巨大ヒーローでありながら巨大な敵に止めをさせず、人間である弦太郎がトドメをさしていたが、
独立幻野党の最後の敵・クマゴロスからはアイアンキングが光線技でトドメをさすようになった。
※『
ファイヤーマン』
怪獣を
恐竜型のシンプルなデザインにするなど「特撮の原点回帰」を目指したが視聴率は低迷。
中盤以降はコミカルな怪獣が登場した。
※『
人造人間キカイダー』
当初はメインライターの伊上勝氏の売りであったストレートな勧善懲悪をメインとしていたが、氏が『仮面ライダーV3』に参加することになったため、準備のため25話を最後に降板し、後任として長坂秀佳氏が(本人曰く「乗っ取る形で」)メインライターに就任。
長坂氏から「石ノ森漫画版の『正気と悪の狭間での苦悩』が活かされていない」という指摘があったため、以降は善悪二元論だけでは割り切れない入り組んだ人間模様が多く取り入れられるようになった。
また、終盤になると縦軸もより強く意識されるようになり、1話完結に留まらない連ドラ性の強い物語が展開されている。
※『
キカイダー01』
人気自体は問題なく獲得できており、序盤の山場であった敵組織の移行(ハカイダー部隊→シャドウ)も滞りなく進んだものの、
ジロー役の伴大介氏が後述の『イナズマン』の主演に決定したことから2クール目中盤で降板。イチローの新たな相棒として女性戦士のマリ/ビジンダーが投入された。
しかし、スタッフが苦悩知らずで完全無欠の戦士であるイチローのヒーロー性に対して次第に疑問を感じるようになっていったため、物語の中心は人間と機械の間で苦悩し、人間的な厚みを持つマリにシフト。
そして後半にワルダーが登場すると、縦の物語はほぼマリとワルダーが担当し、イチローは脇役同然となってしまった。
とはいえマリとワルダーの物語そのものの評価は高く、結果的に番組の人気は当初よりも更に上がったとのこと。
路線変更の一環としてキャストを変更したのではなく、キャスト変更がきっかけとなって路線変更が行われたという珍しい例である。
また、ちょうどこの頃からはオイルショックの影響で製作費が激減したため、怪人の造形も露骨に低予算感の漂うものとなっていった。
※『
イナズマン』
「2段変身するヒーロー」という当時としては非常に斬新なヒーロー像が打ち出され、サポート組織の少年同盟も超能力者の子供で構成、と新基軸が打ち出されたものの、既に第一次変身ブームが峠を迎えていたこともあって視聴率は苦戦。その上、上述のキカイダー01と同じくオイルショックの煽りもモロに受けて深刻な業績不振に陥ってしまった。
これを受けて番組のリニューアルが決定し、3クール目からはキャストや設定、デザイン群を一新して『
イナズマンF』に改題。
そしてそれを踏まえ、原作者の石ノ森章太郎が監督と脚本を担当した第11話からは勧善懲悪のヒーロードラマから人間ドラマを中心とした方針に転換された。
当初よりいまひとつ活かしきれておらず支持を得られなかった少年同盟は出番が大幅に減少し、改題後はコメディリリーフの丸目豪作共々バッサリとカットされた。
ドラマ重視ということでアクションシーンも減少したため、スポンサーへの配慮としてED後のミニコーナー「イナズマンFアクション・タイム」が設けられた。
シリアス・ハード路線からヒーロー・コミカル路線になるという例は多いが、この作品はその逆の路線変更をされたという珍しい例となった。
※『
風雲ライオン丸』
好調だった前作『怪傑ライオン丸』との差別化を図るため、今作のライオン丸はヘルメットのような兜を装着したデザインとなったが、
「メスのライオンみたい」と不評を受けた為、兜を外しタテガミを露出した一般的なライオンの顔となった。
『
AZITO3』では双方のデザインが取り入れられている。
※『
スーパーロボット レッドバロン』
当初は鉄面党が強奪した世界各地のロボットと戦う設定だったが、21話からはギラスQ率いる上部組織・宇宙鉄面党が登場。
レッドバロンもスペースウイングスという翼を付け、宇宙・空中戦も可能となった。
また、この種の作品にしては珍しく勧善懲悪の明朗な話からシリアスなドラマへと、他の作品と真逆のストーリー性を生み出している。
※『
電人ザボーガー』
第39話から敵組織がΣから魔神三つ首率いる恐竜軍団に変わり、「電人ザボーガー対恐竜軍団シリーズ」のサブタイトルが付くようになったが、
主題歌は最終回まで「怪奇の事件は Σの仕業」のままだった。
また、ザボーガーもストロングザボーガーへとパワーアップ。番組の人気に貢献した。
※『がんばれ!!ロボコン』
2年近い超ロングランシリーズとなったため、ロボコンとヒロイン・ロビン、ガンツ先生以外のロボット学校の生徒達が続々変更。
ロボコンの居候先も大山家から小川家へと変更となった他、ロビンの設定が「ロボットに見えない」としてロボットから「バレリーナ星の王女様」へと変えられた。
ちなみに女優さんがほぼ衣装だけでロボットに見せるのは上述の『燃えろ!!ロボコン』ロビーナでリベンジがなされた。
※『
アクマイザー3』
主人公の一人・ザビタンはアクマ族という設定のため、当初は他の姿を持たなかったが、
途中で「変わるんだら~!」の呪文と共に人間体・南雲健二へと変身する能力を手に入れた。
ストーリーも勧善懲悪色やコメディ要素が濃くなっていく。
※『宇宙鉄人キョーダイン』
スカイゼル・グランゼルの二人は当初「オープンフェイス」の掛け声と共に頭部が開き、
中のモニターに元となった人格の譲治と竜治の顔が浮かび上がる設定だったが、
後にキョーダイヤの力で譲治と竜治の姿のホログラフィーを作る事に成功。
敵組織・ダダ星も闇将軍ガブリンやガブリンクィーン、デス五人衆、更にデス五人衆をつぶして作ったブラックナイトと言った新幹部が続々登場した(それとともに一般怪人は登場しなくなる)。
ちなみに放送当時連載された成井紀郎によるコミカライズ版も、中途から極端な路線変更を遂げた作品として有名。
※『ザ・カゲスター』
当初は特殊能力を持った犯罪者と戦い、これを警察に突き出すというアメコミ風な展開だったが、スタッフの間で「いくら悪人でもヒーローが生身の人間を倒すのは虐めのように見える」という意見が持ち上がったため1クールで終了。
世界征服を狙う悪の組織・サタン帝国が登場し、敵も人間から怪人へと変わってしまった。エピソードによっては人間が敵組織によって改造された怪人が登場している。
カゲスターもまんま
ライダーキックなカゲキックを決め技に使うようになる。
また、本作の主人公である姿影夫は東映特撮の中でも珍しくサラリーマンを職業としており、
頻繁に会社を抜け出すため大事なプレゼンを台無しにする、同じ部署の同僚が連帯責任で残業となって嫌味を言われるといったサラリーマンならではの描写が見られたが、
2クール目からヒロインの経営するショップに出向となり、会社での描写は一切登場しなくなった。
最後まで一貫して描かれたのは、ヒロインが影夫の勤める会社の社長令嬢で、常に影夫を尻に敷いているという今やった方が受けが良さそうな設定ぐらいである。
※『大鉄人17』
大鉄人17は当初目の電飾部分を変える事によって「YES」「NO」を使い分けていたが、後に自己改良で言葉を喋るようになる。
同時に、17の変形機構の一つ・飛行17が省略され、戦闘17(いわゆるロボット形態)のまま空を飛んで戦うようになった。
また、それまでシリアス一辺倒だったレッドマフラー隊にコメディリリーフ・ガンテツこと岩山鉄五郎が押しかけ加入。作品を盛り上げた。
※『ボイスラッガー』
当初はそれまでの特撮のパロディや内輪ネタをふんだんに使ったコミカルなストーリーだったが、第7話からシリアスな作風に転向。
ゲスト出演や敵怪人も全く出てこなかったため、深夜枠だったことも重なり元々視聴率の低い作品が尚更数字の低下を招いた。
※DCエクステンデッド・ユニバース/DCフィルムズ・ユニバース
バットマン・
スーパーマン・
ワンダーウーマン達が活躍するDCコミック原作のスーパーヒーロー映画シリーズ。
当初はクリストファー・ノーランやザック・スナイダーらが参加しており、『
ダークナイトトリロジー』を思わせるシリアスな作風かつ連続性を意識した内容だったが、大ヒットした
マーベル・シネマティック・ユニバースの成功を意識しすぎるあまり、ユニバースを早期構築しようとする制作側の焦りや、
『
ジャスティス・リーグ』に向けた
伏線が原作未読では理解できないなど、興行面はともかく観客や批評家からは賛否両論な作品が相次いだ。
MCUに近い明るい作風へとシフトした『
ワンダーウーマン』でようやく高評価を受けたのも束の間、制作上の紆余曲折を経て公開された『ジャスティス・リーグ』(劇場公開版)はファンが望んでいた作品とは言い難く、興行的にも失敗作となった。
結果、『
アクアマン』以降は
クロスオーバー要素を抑え、単作での完成度を重視するようになった。
……が、ジョス・ウェドンやエズラ・ミラー、アンバー・ハードといった製作陣・俳優陣のゴタゴタ、コロナ禍の影響での制作の遅延、アメコミ映画ブームが下火になりつつある状況に加え、更にはワーナー・ブラザーズがディスカバリーに買収された事がDCEUの運命を決定付けてしまう。新経営陣の意向でDC映画全体の企画が大幅に見直されてしまい、本編の撮影が完了していた『バットガール』がお蔵入りになるといった事態も発生。そして、『アクアマン 失われた王国』を以て事実上の打ち切りとなり、ジェームズ・ガンとピーター・サフラン主導の「DCユニバース」に移行することとなった。
なお、『ブルービートル』はこれまでのDCEU作品と異なり、日本国内においてはDVDスルーという憂き目に…… 当初は吹き替え版も無かったが、後日にNetflixでの配信のために制作されている。
※『
パワーレンジャー ・ターボ』
『
激走戦隊カーレンジャー』の北米リメイク版。
原典から引き継いだコメディ要素が不評だったことに加え、5シーズンに渡って同じような学園ドラマを続けてきたことによるマンネリ化もあって視聴者が次第に飽き始めるように。
玩具売上の方も、既にトランスフォーマーシリーズがシェアの大半を握っていた「車モチーフのロボット玩具」ということから低迷していたという。
これを受けて
『ターボ』からの新キャラであるブルーレンジャーのジャスティンを除き、味方側レギュラーキャラを全員交代させるというかなり思い切ったテコ入れに踏み切った。
さらに、それまではあまり重視されていなかった縦軸のシナリオにも力が入るようになり、より連続性を打ち出した物語が展開された。
大人気キャラの
トミーを始めとしたお馴染みのキャラの引退はかえって視聴者離れを加速させる結果となってしまい、「次のシーズンでパワーレンジャーは打ち切り」と宣告されてしまうが、
シリーズ完結作として製作された次作『
パワーレンジャー・イン・スペース』は『ターボ』で打ち出したドラマ性重視の路線をさらに強化したことで人気を獲得。打ち切りも無事に撤回された。