機種 | タイトル | 概要 | 判定 | |
ナンバリング | ||||
PS | クラッシュ・バンディクー | 脳筋ヒーローの鮮烈デビュー。3Dアクションの歴史を切り開いた傑作。 | 良 | |
クラッシュ・バンディクー2 コルテックスの逆襲! |
ぬかりのない正当進化を果たした続編。 前作から大幅なパワーアップを果たし、一躍時のバンディクーに。 |
良 | ||
クラッシュ・バンディクー3 ブッとび! 世界一周 |
今度の舞台は過去、未来、世界と、さらにスケールアップ。 クラッシュも新技盛り盛り。シリーズの集大成にして最高傑作と呼べる作品。 |
良 | ||
PS2/Xb/GC |
クラッシュ・バンディクー4 さくれつ! 魔神パワー |
雲行きの怪しい次世代機進出。 ロード時間を除けば出来はまあまあ。 |
なし | |
PS2 |
クラッシュ・バンディクー5 え~っ クラッシュとコルテックスの野望?!? |
似非オープンフィールドのアクションアドベンチャーへモデルチェンジ。 よくわからない仕様や細かい粗が多く黒歴史扱いに。 |
シリ不 | |
PS4/One/ PS5/XSX/ Switch/Win |
クラッシュ・バンディクー4 とんでもマルチバース |
日本では14年ぶりの完全新作。『3』の直接的な続編となるナンバリング作品。 シリーズ屈指の高難易度ながら、コミカルで爽快感なアクションが見事復活。 ローカライズの問題で、日本でのみ『4』が2種類存在する状態となっている。 |
良 | |
Crash of the Titans | ||||
PS2/PSP/ 360/Wii/ DS/GBA |
Crash of the Titans | 日本未発売。「新生クラッシュ」第1弾。 | ||
Crash: Mind over Mutant | ||||
PS2/PSP/ 360/Wii/DS |
Crash: Mind over Mutant | 日本未発売。「新生クラッシュ」第2弾。 | ||
レーシングシリーズ | ||||
PS | クラッシュ・バンディクー レーシング | ぶっとんだバランスに見えてやりごたえのある良質レースゲーム。 | 良 | |
PS4/One |
クラッシュ・バンディクー レーシング ブッとびニトロ! |
上記のリメイクだが『ニトロカート』のコースとキャラクターも収録。 加えて、アップデートにてさらなるコースとキャラクターが追加。 結果として、ラインナップはシリーズオールスターとも言える程に。 |
良 | |
Switch | 良* | |||
PS2/GC | クラッシュ・バンディクー 爆走!ニトロカート | 『レーシング』の続編的存在。内容は概ね沿ってはいるが、粗が目立つ。 | なし | |
GBA | クラッシュ・バンディクー 爆走!ニトロカート | 携帯機向けにアレンジした結果、ほとんど別ゲーになってしまっている。 | ||
PS2/PSP/ GC |
クラッシュ・バンディクー がっちゃんこワールド | アクションとレースが融合した作品。ゲーム性は大きく変化。 | なし | |
iOS | Crash Bandicoot Nitro Kart 3D | 現在は配信終了。 | ||
Crash Bandicoot Nitro Kart 2 | キャラクターデザインが新生以前のものに戻った。現在は配信終了。 | |||
アドバンスシリーズ | ||||
GBA | クラッシュ・バンディクー アドバンス | 携帯機に進出。ハードの格差はあれどナンバリングのゲーム性は保たれている。 | なし | |
クラッシュ・バンディクー アドバンス2 ぐるぐるさいみん大パニック!? |
新アクションや乗り物を追加してパワーアップ。 | なし | ||
クラッシュ・バンディクー アドバンス わくわく友ダチ大作戦! |
『スパイロ』シリーズとのクロスオーバー作品。 だがコラボ要素はほとんど無く、ゲーム内容も単調なミニゲームの繰り返し。 |
ク | ||
ミニゲーム集 | ||||
PS | クラッシュ・バンディクー カーニバル |
レースの次はパーティーゲーム。ジャンルだけでなく、開発元も変更に。 PS1およびSCE発売では最終作。 |
良 | |
DS | クラッシュ・バンディクー フェスティバル | ディンプスが開発担当のため日本先行発売となり、作風も日本向けになってる。 | ||
対戦アクション | ||||
PS5/XSX/ PS4/One |
クラッシュ・チーム・ランブル |
『新4』の世界観を引き継いだ4vs4の対戦アクション。 シーズン形式だったが、開発元の事情により1年未満のシーズン3で打ち切りに。 |
ク | |
オムニバス | ||||
PS4/One/ Win/Switch |
クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり! |
海外版の『1』『2』『3』を基にしたリメイク。 公式の通り「リマスター」として見ると不満は残るが、ゲームとしては良質。 オリジナル版とは打って変わり、ローカライズがかなり雑なのが悔やまれる。 |
良 |
機種 | タイトル | 概要 | 判定 |
PS4 | KNACK |
シリーズ生みの親マーク・サーニー氏の作品。 PS4向けのクラッシュとして開発された。 |
良 |
アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝 | 初代をアレンジしたミニゲームが収録。 | 良 | |
PS4/One/WiiU/ PS3/360/Switch |
Skylanders: Imaginators |
クラッシュとコルテックスが参戦。 CS機に8年ぶりの復活。 |
|
PS5 | ASTRO's PLAYROOM | ゲーム内にクラッシュが登場。 | 良 |
PS4/One/Win/ PS5/XSX/Switch |
トニーホーク プロ・スケーター1+2 | コラボレーションアイテムを収録。 | |
PS5/XSX/ PS4/One/Win |
Call of Duty: Warzone 2.0 | ||
スパイロシリーズ | 相互に度々ゲスト出演が行われている。 |
現在はActivisionによって販売・展開されているシリーズ
初代PS時代は販売・SCE(現・SIE)、開発・ノーティドッグ、制作・ユニバーサル・インタラクティブ・スタジオ(以下、UIS)という顔ぶれであり、エグゼクティブプロデューサーは当時UISに所属していたマーク・サーニー氏(*1)。
日本版初代のキャッチコピー「宇宙初の奥スクロールアクションゲーム」にある通り、3Dグラフィックながらも箱庭ではなく一本道のステージを攻略していく『スーパーマリオブラザーズ』の様な王道アクションゲームである。
海外製のゲームながらもローカライズにあたり「パッケージや公式イラスト、プロモーション用の着ぐるみのキャラクターデザインの変更」「ゲーム中のフォントを日本語向けに独自に開発」「ヒントの追加といった難易度緩和」「CMで日本版のテーマソングを作りキャラクターにダンスを踊らせる」といった洋ゲーっぽさを撤廃し親しみやすい作りがヒットし、その結果主人公のクラッシュは子供からゲーマーまで幅広い世代に愛されるキャラクターとして人気が出た。
初代PSの看板とも言えるキャラクター性とシンプルなゲーム性、スピンオフのレースゲームやパーティゲームの存在から一部のファンによって「PSのマリオ」とまで呼ばれるようになった。
しかし、後述の理由から開発、販売元が変わり2001年に発売された『さくれつ!魔神パワー』以降は評価が段々と低下していくようになる。
2007年末に当時の版権元であるビベンディユニバーサルゲームズとアクティビジョンが合併。『クラッシュ』の版権も新会社アクティビジョン・ブリザードのものとなり、日本法人も消滅。
そのため、『フェスティバル』以降の国内の家庭用ソフト販売は行われなくなってしまった。国内での本シリーズはここで一旦終了する。
国外においても、『Crash of the Titans』と『Crash: Mind over Mutant』を販売するもゲーム性とキャラクターデザインを大きく変更したことによってファンからは大きく批判をされるようになった。
結果として、2008年10月に発売された『Mind over Mutant』を最後に家庭用ハードでの発売はされておらず、ブランドは地の底まで落ちてしまった。
一応スマートフォン向けに何作かリリースされ、一部は日本でもプレイ可能だったが、それも細々とした展開である。
USJにもクラッシュの着ぐるみが当初は残っていたが、徐々にグッズの販売が打ち切られ、2012年4月末には完全にUSJとの契約が打ち切られてしまった。
こうして本シリーズは長きにわたる暗黒期を迎えることとなった。
しかし、シリーズ20周年となる2016年に転機が訪れる。
2016年5月に発売された『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』で初代のステージ「おおいわゴロゴロ」がミニゲームとして収録。
そして同年6月のE3ではクラッシュが『Skylanders Imaginators』に参戦することと『1』『2』『3』のHDリマスター版『ブッとび3段もり!』の開発が発表。
翌年に発売されたこの作品は久しぶりの作品ということや人気の高い初代PS時代のリメイクということから、全機種トータル1000万本もの販売を記録。
なんと、当時の「クラッシュ」シリーズの売上記録を22年目にして更新したのである。
その後レーシングのリメイク作である『ブッとびニトロ!』の発売を経て、2020年に日本では14年ぶりの完全新作『とんでもマルチバース』が発売された。
翌年にはスマートフォン向けタイトル『ブッとび!マルチワールド』が配信されるなど、今後の展開に期待が持てるタイトルとして復活を遂げたのである。
初代は「『クラッシュ』シリーズはUISとノーティによって製作された」かのように見えるが、実際にはUIS社自体はほとんど関わっていない。
UISが出したのは立ち上げ予算のみであり、巨額の製作費や宣伝費、その他諸々のマーケティング費用などは全てSCEが捻出。実際の開発はサーニー氏個人とノーティによって行われた。つまり本作とUISとの接点は、「サーニー氏がUISに所属している」というだけであった(*2)。
これはUISの意識の無さから来ている。UISに限った話ではないが、TVゲームを「所詮は子供のおもちゃ」と考える人や会社は多い。
最初だけ金を出して後は全て丸投げ、事業が失敗したところで損失はほとんどないし、当たれば儲けもん…程度にしか考えていなかったのである。
ただし、UISの元社員で今作のプロデューサーのデイヴ・シラー(Dave Siller)氏によると上記の記述は完全に誤りで、実際にはシラー氏(*3)始め数名のUIS社員が深く関与していたという(*4)。
本作発売前後にシラー氏を疎ましく思ったノーディドッグ社員の嫌がらせによりUISから放逐されてしまったと主張しているが、真偽は不明。
少なくとも、『クラッシュ』シリーズの立ち上げにシラー氏が深く関わっていたこと(*5)はほぼ確実だろうということと、『2』でUIS側のスペシャルサンクスにクレジットされているのを最後に、シラー氏がシリーズに関与していないことは確かである。
『クラッシュ』の開発裏話を載せていた彼のfacebookページは閉じられたが、それに関するシラー氏の発言は『クラッシュ』シリーズのファンサイト「Crash Mania」に転載されている(*6)。
このような危うい状況で展開していた本シリーズだが、UISの予想に反してクラッシュは世界中で大ヒット、PSの顔役と言えるまでの人気シリーズに昇りつめる。
利益が本家ユニバーサルスタジオ(以下、US)の事業の一部を少なくない形で担うようになった頃、USは「金の成る木」という認識を持つようになる。
現場も状況も判っていないにもかかわらず、余計な口を出し事後報告で担当者を変え、さらには引き継ぎすらしない…と意識の無さ故のUSの暴走が、SCEやノーティを襲うようになる。
SCEは版権買収の交渉も行ったが、USは金の成る木を手放してなるものかと巨額を提示、交渉は頓挫。そして遂に開発・販売契約も決裂した。
ノーティは『レーシング』を最後に本シリーズから手を引き、SCEのファーストパーティ入りをして新たに立ち上げた『ジャック×ダクスター』をリリース。以後『アンチャーテッドシリーズ』『The Last of Us』と次々にヒットタイトルを生み出していく。
サーニー氏もやはり『カーニバル』を最後にUSから独立。ノーティと同じく『スパイロ・ザ・ドラゴン』(こちらもUIS版権のため後に離反)や、新たに作り上げた『ラチェット&クランク』『KNACK』とPSハードに深く関わり、現在では何とPS5のリードシステムアーキテクトとして携わるまでに至っている。
こうしてUSにはクラッシュの版権のみが残った。ここで国内発売元としてコナミが名乗りを上げ、しばらくはコナミが本シリーズを販売することになる(*7)。
しかし、「SCEの資金力と宣伝」「サーニー氏の手腕」「ノーティの技術力」の3つが揃ってこそのクラッシュ・バンディクーであった。
『4』『アドバンス』『アドバンス2』『ニトロカート』と次々にリリースするも売上は低迷、契約期間を満了してそのままコナミは本シリーズの日本国内販売権を手放した。
『5』以降の発売元となったのはビベンディユニバーサル・ゲームズ。この会社は上記のUIS自身が後にフランスのビベンディグループの傘下となったもの、つまりは自社発売にあたる。
しかし人気低迷に歯止めはかからず、ここでも売上は右下がりとなる。
上述の通り、2007年末に版権元の合併が行われて現在に至る。
*1 同社の設立時にも関わっており、技術担当副社長の職にあった。
*2 ちなみに、ノーティドッグは本作の前に3DO用の実写格ゲーである『Way Of The Warrior』をUISからリリースしており、その完成品のプレゼンでサーニー氏からその実力を見出され、新作3作の開発契約を結ぶこととなった。それが後に本作を含めた『3』までの『クラッシュ・バンディクーシリーズ』として世に送り出されている。
*3 彼曰く、ゲームデザインの大本は彼によるものらしい。次回作のアイディアのいくつかもシラー氏が提供したとか。
*4 一方、サーニー氏は『クラッシュ』シリーズに言われているほど関わっているわけでは無く、彼が関わり始めたのはSCEIの発売が決まってからとしている。
*5 例えば、ゲームの根幹にかかわる仕様書などをいくつか作成しており、ネット上で公開していた。
*6 英語のうえ、ややきつい内容なので注意。
*7 勘違いされることもあるが、上記の経緯によりコナミが『クラッシュ』を代理で拾った形であり、SCEから直接奪い取った訳ではない。