星のカービィ Wii デラックス

【ほしのかーびぃ うぃー でらっくす】

ジャンル アクション
対応機種 Nintendo Switch
発売元 任天堂
開発元 ハル研究所
バンプール
発売日 2023年2月24日
定価 パッケージ版:6,578円
ダウンロード版:6,500円
プレイ人数 1~4人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント シリーズ屈指の人気作がリメイク
歴代サブゲームを厳選収録
待望のアイツのストーリーが追加
クリア後はさらに手強く
星のカービィシリーズリンク


概要

星のカービィ Wii』(以下Wii)のリメイク作品。新モードの追加や後発作品の要素を加えるアレンジを行いつつも、基本的なゲーム内容は原作に忠実である。
カービィ本編作品のリメイクは『夢の泉デラックス』『ウルトラスーパーデラックス』に続く3作目で、本作の人気の根強さがうかがえる。


変更点・追加要素

基本的なゲームシステムなどはそのままであるが、一部では後の作品で追加された要素も反映されている。

全体の仕様

  • グラフィックは新規に作り直されている。
    • プレイアブルキャラクターのうちカービィ・バンダナワドルディ・メタナイトには大きな変更は加えられていないが、デデデ大王は当時の最新作である『ディスカバリー』を基にしたデザイン*1に変更されており、体格も大きくなった。
    • ステージ中でキャラクターに縁取りが描画されるようになった。
    • 背景や地形のテクスチャも刷新されている。
  • キャラ性能の調整
    • 以降の作品で追加された操作が追加されている。
      • 「そのばかいひ」と「きゅうこうか」が追加。
      • 水中でAボタンを押すと高速で泳ぐことができる。また、斜め泳ぎも可能。
    • コピー能力では『Wii』の操作に加え、以降の2D作品で追加された技の一部が追加されている。
      • 例えば、ファイアで「バーニングアタック」後にBボタンを押した際、『Wii』では「ひばしらおとし」で追撃するが、『トリプルデラックス』以降ではその場で爆発して「バーニングアタック」のキャンセルと動作が変わっていた。本作ではこれをBボタンとAボタンで使い分けることができるようになった。ストーンの「ヘビーアッパーカット」やソードの「スカイエナジーソード」もそのまま使える。
      • 仲間キャラのメタナイト・デデデ大王・バンダナワドルディにも『スターアライズ』で追加された技が引き継がれている。
    • コピー能力の技の仕様は『Wii』準拠のものとそれ以降に準拠したものが混在している。
      • ニンジャの「はたきぎり~かえし4れん」は次作の『TDX』から空中では出せなくなっていたのだが、今作では『Wii』同様に空中でも出せる。
        一方、ウォーターの「レインボーレイン」は↓の長押しが必要ない代わりに空中では出せない『スターアライズ』と同様の仕様になっている。
    • 一部の技の威力やヒット数が調整された。
      • 例えば、上述の「はたきぎり~かえし4れん」は威力が大きく低下し、スピアの「月おとし」は多段ヒットするようになった。
    • コントローラーを振る操作が別の操作で代用可能になった。
      • スノーボウルの突進は攻撃ボタンに割り当てられ、ランディアの溜めも攻撃ボタン長押しで行うことが可能となった。また、コントローラーを振らなくても時間経過で「すいこみ」が「がんばりすいこみ」に変化するようになった。
      • もちろん、ジャイロ機能を持つコントローラーなら原作通り振ることでも操作できる。「がんばりすいこみ」は、コントローラーを振ることで素早く移行する。
  • 救済機能の追加
    • 「おたすけマホロア」という初心者救済機能が追加された。その名の通り、冒険で困ったときにマホロアが画面に現れて助けてくれる。
      • 「おたすけマホロア」が有効になっていると「ディスカバリー」のように最大体力が2倍になり、奈落に落ちてもマホロアが拾い上げてミスにならなくなる。他にも、ボス戦でコピー能力を失ったときに能力星を補充してくれたり、後述の「フェスティバル」を使ったときに威力が上昇したりといった恩恵がある。
      • 「おたすけマホロア」はストーリーモード以外と最終決戦では無効で、エクストラモードでも助けてくれなくなる。
    • amiiboを使用すると回復アイテムが出てくる機能も追加された。
    • 中ボスを吸い込まずに自爆させた時、中ボスのコピー能力の「コピーのもと」が1回だけ落ちるようになった。
      • これは「(真・)格闘王への道」では出現しなくなっている。
  • コピー能力の追加
    • 『スタアラ』初出の「フェスティバル」、完全新規の「アーマー」「サンド」が追加され、対応するチャレンジステージも新録。これらのコピーは、道中にコピー可能なザコ敵が追加される形で手に入るようになっている。
    • 「アーマー」は、メカを体にまとってレーザー砲やマニピュレーターで攻撃する。空中では高速移動が可能なほか、電気属性と炎属性を併せ持つためステージギミックの操作にも扱いやすい。
    • 「サンド」は、砂を操って戦う能力。砂の城や砂の拳で殴ったり、砂に隠れて攻撃をしのぎつつ飛び出して攻撃するなど、攻防両面に役立つ。

ゲームモード

  • サブゲーム集「わいわいマホロアランド」が追加。
    • 『Wii』も含めた過去作から厳選されたサブゲームと、完全新規のサブゲームである「みつけて! マホロア図書館」および「ガンガンブラスターズ」、そしてオンライン限定の「刹那の見斬り 百」が収録されている。
    • 過去作のサブゲームは、「たまごきゃっちゃ」「刹那の見斬り」「おちおちファイト」「爆裂ボンバーラリー」「ギガトンパンチ」「スマッシュライド」「タッチ!早撃ちカービィ」「一撃!手裏剣道場」が収録。
      • 再録されたサブゲームは全てボタン操作で遊べるようになっており、一部のサブゲームはジャイロ操作やタッチ操作も選択できる。
      • なお『Wii』のサブゲームのうち、ジャイロ操作に依存する「ガンガンバスターズ」は未収録。
    • ランダムで選ばれた4つのサブゲームを連続で遊び、順位に応じた得点の合計点を競うパーティーモード「アトラクションツアー」も追加された。
    • 各サブゲームを遊ぶことで、プレイ回数や成績に応じてスタンプを入手することができる。スタンプを一定数集めると、着せ替え用の「なりきりおめん」やメインモードで使用可能なストックアイテム「おみやげアイテム」を受け取ることができる。
      • 「おみやげアイテム」はカービィを操作できるモードならどれでも使用可能で、「格闘王への道」のボス戦でマキシムトマトを使って全回復したり、バルーンボムを使ってストーリーモードのギミックを無視したりできる。
      • 「なりきりおめん」は歴代の本編主要キャラの既存3Dモデルを手直しして製作されている。唯一の番外作かつ初の3Dソフト限定のドロシア ソーサレスは完全新規。カインとマインは水中攻撃の性能が上がる隠し機能が存在する。
    • 各サブゲームにはノルマを記した「ミッション」100個が用意されており、やり込み要素にもなっている。
      • ミッションを全てクリアすると、より難しい「真 エクストラミッション」が20個追加される。こちらはクリア率には関与しない。
  • エクストラモードの難易度上昇
    • 『Wii』のエクストラモードはプレイヤーの最大体力が減少する、一部敵の配置が変更される、ボスが強化版に差し替わるなどの変化があったが、本作ではさらに敵の配置数が増えた上に回復アイテムの数が極めて少なくなり、本編やリメイク前と比べると難易度が大きく上がっている。
  • マホロアにまつわる新モードと、それに伴う追加要素
    + ネタバレ注意!
    • マホロアエピローグ 異空をかける旅人
      • マホロアを操作する完全新規のモード。本編でカービィ達に敗れ、異空間ロードに迷い込んで能力の大半を失ってしまったマホロアが、能力を取り戻しながら異空間からの脱出を目指す。
      • ボスを倒すことで手に入る「果実のかけら」を集めることで新しい能力が解放され、各能力を「まりょく」で強化することでマホロアを強くすることができる。
        • 「まりょく」はステージに落ちていたり、ステージをクリアすることで手に入るが、攻撃を途切れずに当て続けて「コンボ」を繋げることでも入手できる。ステージ中で「まりょく」を集めた量に応じて、クリア評価がなされる。
        • 解放された能力は、好きなものから選んで強化可能。お気に入りの能力を優先的に育てたり、多くの「まりょく」を集めてステージをらくらくクリアしたり、逆に全く強化せず縛りプレイで挑むことも可能。
        • 特定の能力を強化することで、その能力を活用した「しれんステージ」が出現する。おすすめの能力強化の導線となっているほか、クリアすることでさらに「まりょく」を獲得できる。
      • ストーリー・エクストラモード同様、マルチプレイにも対応。この時は「スターアライズ」で登場した色違いのマホロアを操作することができる。
      • 全部で4つのエリア(+ラスボス戦専用エリア)が存在し、各エリアのボスは本編のボスが雷・炎・氷といった属性を持ったものとなっている他、歯車のような装飾が施されている。
        • 本編のボスの色違いかと思いきや既存の攻撃に属性が加わっており、全体的に強化されているが、その分元になったボスより体力は低下しており、一概に元のボスの上位互換とは言えない。
      • 4つのエリアを踏破して「果実のかけら」を集めると、ラスボス専用エリアで最終決戦が幕を開ける。
      • ラスボスの前座となる「クラウンドローパー」は、本編のグランドローパーがマスタークラウンの破片を取り込んで変異した姿で、これまでのローパーとは桁違いの強さを誇る。
        • 見た目はグランドローパーの色違いだが行動パターンは大きく異なっており、「デッドリーサン」「シャドウアッパー」「スプラッシュラッシュ」「マホロア砲」といったいわゆる「ソウル系」の技のオマージュが中心となっている*2
      • クラウンドローパーを倒した後のラスボス戦はストーリーモードとの関連は勿論のこと、特にシリーズ経験者なら度肝を抜かれるような内容となっている。
        • こちらも使用する技の多くが過去作のソウル系を強く意識しており、『Wii』以降の作品の設定的な繋がりを匂わせる。
    • 真・格闘王への道の変更点
      • 「マホロアエピローグ」で追加された6体のボスが真・格闘王への道でも出現するようになり、戦闘数が『Wii』の15戦から21(実質22)戦へと増加した。休憩部屋のトマトが増えるなどの対応はないので、実質的な難度上昇である。
        • これに伴って真・格闘王への道が遊べるようになるタイミングが、原作のエクストラモードクリア時からエクストラモードとマホロアエピローグの両方をクリアした時に変更された。
      • 戦闘順も一部変化しており、原作からいたボスにも戦闘順が固定・あるいは変化したものがある。
        • なお「おみやげアイテム」の持ち込みとamiiboの使用は可能だが、クリア画面に使用を示す印がつく。
    + さらなるネタバレ
    • 真・格闘王への道の最後の敵は原作と同様「マホロアソウル」だが、原作やエクストラモードと名前や姿こそ変わらないものの、行動パターンが全く異なるものとなっている。
    • ステージの背景が大きく変化し、BGMも「スターアライズ」で用いられた「覇王戴冠 ~OVERLOAD~」に差し替えられている。
      • 「マホロア砲」は魔法陣を2つ出現させて2本のビームを同時発射したり、異空間ロードを経由して4本に分裂し、ステージの上下左右を攻撃するパターンに変化している。
      • さらに「ブラックホール」も通常版とは異なりステージの左右に1つずつ出現し、通常版と回避方法が真逆となる初見殺し*3となっている。
    • それ以外の技も物量が増えたり速度が上がって全体的に強化されており、通常版と同じ感覚で挑むと痛い目を見る事間違いなしである。
    • そして、エクストラモードと異なり体力をいくら削っても行動パターンは変化しないが、一度体力ゲージを削り切ると回復アイテムのリンゴを落とし、外見が変化した第二形態へと移行する。*4
      • 第二形態では攻撃がさらに苛烈化し、本作で新たに登場した「サンド」と「アーマー」を模した新技が追加され、スーパー能力系の技もさらに強化されており、かなり回避困難になっている。
      • 特に厄介なのは「ギガトンスノーハンマー」で、あろうことか「リバースワールド」でステージを上下反転させた状態で放ってくる上、その後すかさず「ウルトラソード」も放ってくる。なお、この2つに限り他の変更点はない。
      • 第二形態のBGMにはマホロアの声と思わしき音が混ざるが、その中には明らかに「カービィ」や「タスケテ」と聞こえるものがある。「マホロアエピローグ」やスペシャルページの内容と照らし合わせた背景描写は、シリーズファンの考察欲をそそる。

その他

  • 『Wii』から「HALブロック」の隠し部屋がストーリーモードに1つ、追加モードに1つ追加され、計4つとなった。
    • 追加された隠し部屋では本作でオミットされた「ガンガンバスターズ」のBGMが採用されている。
  • 「TDX以降のソフト」と同じく、「スペシャルページ」が全てのボスに追加された。
    • リメイク前では一部のボスにのみあった「スペシャルページ」と呼ばれる解説テキストが、今作では全てのボスに追加された。これによりなぜボスと戦うのかが理解でき、ストーリーの補完になっている。
      • 特にリメイク前ではレベル6のボスだけ戦う理由がよくわからない点があった。
  • サウンドテストモードで曲名が見られるようになった。
    • 『Wii』以外から収録されたものも含め、本作で初めて曲名がついたものもある。

評価点

  • リメイク前の『Wii』のゲーム内容をほぼ忠実に再現している
    • 追加された要素こそあれ、リメイク前から削除された要素はほとんど存在しない。
    • BGMはほとんどがアレンジされているが、大半の曲はエコーが強くなるなど聞き比べなければ分からない程度である。
      • 明確にアレンジされたことが分かるBGMとしては、リズムが1か所変化した「丘をこえて」、中盤のギターが激しくなった「支配してアゲルヨォ」などがあるが、不評はほとんど聞かれない。
  • 一方で初心者救済要素が多数追加されており、さらに遊びやすくなった
    • 原作の『Wii』自体(一部を除いて)そこまで難しいゲームでもなかったが、「おたすけマホロア」によって低年齢層にもさらに遊びやすくなっている。
  • 丁寧なブラッシュアップ
    • オリジナル版と比べてカービィたちの移動速度が上がり、キビキビとしたアクションになった。操作性の良さは2Dカービィ随一と言っても過言ではなく、快適かつスピーディーにアクションを楽しむことができる。
      • メニュー画面からのローアやマホロアランドへの移動や、イベントやワープスターの飛行シーンのスキップができるようになった。
    • 『Wii』で指摘されていたスーパー能力パートのテンポについても、「コピー取得時の演出は任意にスキップが可能」「コピー時はカービィの移動速度が大幅に上がる」「攻撃演出の微短縮」と様々な点が改善されている。
      • それでいて、敵を倒した時は画面に張り付き落ちていくという演出が新たに追加され、派手さは損なわれていないどころかむしろ上がっている。
      • スーパー能力を自ら解除した時も能力星が即消滅せずに一定時間その場に留まるようになり、マルチプレイ時の遊びの幅も広がっている。
      • この他にも能力ごとに専用の能力取得演出が追加されており、個性が強まった。
    • Wiiリモコン横持ち専用でクラシックコントローラやヌンチャクを使うことが出来なかった原作『Wii』と異なり、Joy-ConやProコントローラー、さらにはSwitch本体に接続可能なUSBコントローラー等でも遊べるようになったことも重要な評価点である。
      • 原作ではWiiリモコンを振ったり傾けたりする操作を頻繁に要求されたが、そのギミックがボタン操作で対応できるようになったことでプレイ時のテンポ向上にも繋がっている。
  • 追加モードの難易度設定
    • 追加モード「マホロアエピローグ」はマホロアを任意で強化しながらプレイできるが、どの強化具合でも楽しめるように設計されている。
      • 4つ目のエリアをクリアするまでは各能力にレベルキャップがあり、強化しすぎて楽しめなくなる心配もない。
      • 無強化のままでも全ステージでノーダメージ・最高評価クリアが可能で、緻密に計算されたゲームバランスとなっている。
      • 真・格闘王の道では追加ボスをカービィで倒すことになるが、カービィであってもノーダメージクリアは依然として可能である。追加ボスは一見攻撃が苛烈に見えながら、やはり「避けられない攻撃はない」設計となっている。
      • 特に4つ目のエリアで戦う「ぼうそうローパーズ」は4体のローパーが絶え間なく激しい爆撃を行い、動きも複雑なため一部ではラスボス・裏ボスと並ぶ本作最強のボスと言われているが、その実各攻撃パターンは完全に固定されているため、見切ってしまえばひょいひょい避けられ、プレイヤーの上達が見えやすい。

賛否両論点

  • 「おたすけマホロア」とエクストラモードの難易度の差が激しすぎる
    • 前述の通り、「おたすけマホロア」は(最終決戦と)エクストラモードでは使えないが、エクストラモードの難化も相まって「おたすけマホロア」ありのストーリーモードとエクストラモードの難易度差がかなり大きなものとなっている。
      • 体力が4分の1になる上にオリジナルと異なり回復もほぼ望めないため、おたすけ前提のダメージが多い立ち回りだとすぐにやられてしまう。
      • 「おみやげアイテム」の持ち込みは可能なため、こちらを利用して回復することで緩和できるが、ミニゲームをしてスタンプを貯める必要がある*5
      • ただし食べ物がポイントスターになっていることも相まって残機自体はガンガン増えていくので、ゲームオーバーになる心配は少ない。
  • キャラクターの縁取り・デザインに関して
    • リメイク前にはなかったキャラクターの縁取りが追加されているが、これを消すことができない。
      • 4人で遊んでもキャラクターを見失わないように『スタアラ』から視認性を向上させることと、本作と『スタアラ』の画面を差別化することを目的に追加されたとの事。
    • 確かに視認性は格段に上がっているが、細かく作りこまれた背景に対して見栄えが悪いという声が上がっている。プレイしているうちにある程度は慣れるだろうが、オプションでオフにすることができればなお良かったであろう。
    • 上記の通りデデデに限り見た目が『ディスカバリー』のものに近くなっている点もシリーズファンからは賛否両論である。
  • サウンドテストで効果音を聞けなくなっている。
    • 一応、この点は実用性に乏しすぎるから削除した可能性もある。
  • 新登場した「フェスティバル」「サンド」「アーマー」のコピー能力
    • 「夢の泉DX」「USDX」では登場するコピー能力がリメイク前と同じなのに対して本作ではこの3つのコピー能力が足されている。また、それに伴いあちこちに「ドンパフル」「サンドラン」「アーマロイド」といった敵が追加されている。
    • このうち「サンド」は各方向への出の早い攻撃、隙の少なさに対し与ダメージの大きい技、離れたアイテムをキャッチする能力に無敵ガードとそこからの離脱手段などを完備しており、追加能力としてはいささか多芸で強力すぎるきらいがある。リメイク前の『Wii』にて初登場していたコピー能力や、「鬼ごろし火炎ハンマー」のチャージ形式が変わり相対的に弱体化した「ハンマー」などがやや割を食っている印象。
      • ただし、使わなくてもクリアはできる。「フェスティバル」は一切使用しなくても100%クリアできるし、「サンド」「アーマー」も100%クリアにするだけならチャレンジステージだけで十分。エナジースフィア回収もリメイク前と全く同じ手段で事足りる。
      • サンドの強さに関しては難易度が上がった「真・格闘王への道」での救済能力という面もあるのだろう。
    • また、リメイク前から登場したザコ敵からコピーできるようにしてもよかったであろう「スナイパー*6」「クリーン」「スパイダー」は登場しない。
      • ただし、これらの敵は異空間でも出現するため、スカキャラじゃないと「オート飲み込み」をオフにする必要がある為、妨げにもなりうるが。
  • リメイク前に忠実ゆえに残った粗や後作から継承されなかった点がある
    • 特にギャラクティックナイトは行動がランダムであり、追加ボスと異なりダメージを避けるのが極めて困難。プレイヤーの逃げ道を無くす行動を多用するため、無敵移動技を持たないボムなどのコピー能力や「コピー能力なし」では顕著である。
      • ただし「緊急回避」での代用はある程度効く。
    • 一部強化・弱体化したコピー能力がある一方で、リメイク前でも攻撃に使いづらいハイジャンプに一切のテコ入れがなされていない。謎解きや移動では活躍するため、その点では思い出を裏切らないとも言えるが。
      • こちらはリメイク前の前作「参上!ドロッチェ団!」で過度に強かった為、弱体化された節もあるが。
    • 攻撃にイマイチ使えないだけでなく「仕掛けの作動に一切使えない」ニードルも、『TDX』にて追加された「フォーリンスパイン」が本作では使用できない。3Dアクションであるものの『ディスカバリー』で追加された「針を出したままの移動」もない。
    • トマトボックスの扱いづらさも相変わらず。おみやげアイテムでの代用も効くし、併用もできるが…
    • エクストラモードのラスボス戦のギガトンハンマーパートにおけるギガトンハンマーの入手手段も光ってるハンマーを吸い込むことで変化できる点も変化なし。これならエクストラモードでのみ『ディスカバリー』に登場したムッキースやスーパームッキース(仮称)を出してもよかったのではないか。
      • ただし、ムッキーズに関しては投げてくるハンマー*7やデデデが落とすハンマーを吸い込んでも「ハンマー」はコピーできるため、「ムッキーズが投げるものやデデデが落とすもののハンマーと同じ」としてそのままにしたのかもしれないが。
  • 一定の条件を満たすとOPに登場するカービィの色が4色の内1種類に変化する仕様があるのだが、通常カラーのピンク固定にすることができないため賛否が大きい。
    • ちなみにゲームモードで使えるカービィはその条件を満たしてもプレイヤーによって変化はしないため、カラーパレットが欲しかったという声もある。
+ 真・格闘王への道について
  • 前述の「マホロアエピローグ」のボスを筆頭に、リメイク前と同じ条件下でプレイできない。
    • 前述の通り、マホロアソウルのBGMも『スタアラ』の「覇王戴冠 〜OVERLORD〜」に変更されており、「CROWNED」が使われない。第二形態になると所々で呻き声が混ざったアレンジバージョンにはなるが…
      • BGMは好評だが「余計なフレーズも入っていて逆にラスボス感が損なわれている」という意見もある。エクストラモードと同じ曲にはできない。
    • EXモードを含め「HR-D3」の後半BGMが『ディスカバリー』の「シャウト オブ デデデ」に、1Pをデデデかメタナイトにした場合、ギャラクティックナイト戦の前半が『カービィファイターズ2』の「天を貫く絆の間」になるなど、リメイク前とは違うBGMが使用される場面がいくつかある。選曲は元ネタを考えれば納得しやすいが。
    • おみやげアイテムがあるとはいえ、戦闘回数が21と多い。現時点でのシリーズ最大の連戦数なので、普通にやったらクリアまでに20~30分はかかってしまう。
      • この所要時間は『ロボボプラネット』の「真・かちぬきボスバトル」と同レベルのもので、そちらでも批判されていた問題が再発した形。一応、同作と比べインターバルのない連戦は減っている上即死級ダメージかつ無敵貫通の道連れも無いが、抜本的には改善と言えるか微妙なところ。
      • 10分切りの報告が早期に挙がってはいるが、ボスの防御力が1フレームだけ急激に低下する瞬間におみやげアイテム「バルーンボム」や予めコピールーレットで用意したフェスティバルを叩き込んで瞬殺を狙う等、要は仕様の穴を突いた戦法によるもので、専門知識がなければ極めて難しい。
      • おみやげ無し最速は先述の通り本作最強のサンドやメタナイトでギリギリ10分台に届く程度で、おみやげ無し10分切り不可能という結論が出ている。
      • 前述した通りボスの増加に伴う処置らしい処置はおみやげアイテムとamiiboが使えるようにされている程度なのに加え、オリジナル版に比べボスの体力が増えた*8為に難易度が上昇しており、おみやげアイテム抜きでクリアしようとなるとかなりシビアなプレイを要する事となる。
        クリアのみを目指すプレイヤーはもちろん、タイムアタッカーも上記した仕様ゆえに立ち回りの確立に相当な慣れが必要となってくる。

問題点

  • 100%クリアに関する問題点
    • 上述のようにサブゲームのミッションを全てクリアすることも100%クリアの条件に含まれているのだが、サブゲームは本編とは違った技術を要求されるものが多く、プレイヤーによっては何かしら苦手となるものが含まれ得る。このためコンプリートの難易度が大幅に上昇しており、やりすぎという声も。
      • 特に最高難易度でクリアが条件に含まれるミッションはCPUの反応速度が異様に向上することもあって鬼門となりやすい。
        例を挙げると「ガンガンブラスターズ」の「最高難易度で体力を半分以上残して1位」や「みつけて!マホロア図書館」の「最高難易度かつ1ゲームで18点以上獲得して勝利」など。純粋な反射神経勝負となる「刹那の見斬り」の「お手付きなしで最高難易度をクリア」も苦手な人にはかなり厳しく、「スマッシュライド」の「最高難易度で全種類のドロッチェ団を全員落とす」というものも人によっては困難。
      • 「真 エクストラミッション」は更にシビアなものが多く、「刹那の見斬り」の「お手付きなしで最高難易度を2回連続クリア」と「ギガトンパンチ」の「最高難易度で3連続1位」は人によっては無理ゲーレベル。幸いにもこれらはクリア率には含まれないし、クリアしなくても最後のムービー「カービィマスター」は見れるので諦めはつくが、それでもフルコンプリートしたい場合は最大の障壁となりうる。
      • コントローラーを4つ用意して全員を1人で操作することでいくつかのミッションは楽にクリアできるし、CPU最低1人の参加が条件に含まれる「おちおちファイト」などもかなり楽にはなる。ただしCPUが絡まない「たまごきゃっちゃ」「一撃!手裏剣道場」は自分でやるしかない。
    • この他にも前述したエクストラモードや「真・格闘王への道」の難化調整も相まって、完全クリアへの道はあの『3』と同等かそれ以上とも言われる。
      • もっとも、この完全クリアの難易度は『あつめて!カービィ』以降の星のカービィ全般ではよくあることではあるが…
    • 100%のクリア率に収集要素の一つであるBGMが反映されていない。
      • これも本作だけの問題点ではないが、恒例の隠し要素の一つ「HAL部屋」では専用BGMが使われており、部屋を見つけないとBGMが登録されない。これにクリア率は関わっていない一方、そのせいで逆に空白のBGM欄があるのにクリア率100%という不自然な状態になる。
      • これまでは「HAL部屋」に行かずともこれらの要素は全て解禁できた。
      • 当然ながらHAL部屋は隠し要素ゆえにノーヒント、しかも単純に入口が偽装されたものだけでなくマップを往復して特定の手順を踏まなければ入れないものもあり、しらみつぶしに探索すればいいというものではない。
      • マホロアランドの真エクストラミッション完全クリアが解禁条件になっているBGMも存在する為に100%クリア率から除外されたと思われる。*9
      • 全てのBGMを解禁すると、サウンドルーム画面に「コンプリート」の表記が追加されるようになっている。
  • EXモードの変化の乏しさはリメイク前からあまり変わらない
    • 本作のエクストラモードは前述のようにリメイク前からも大きく歯応えは増しているのだが、それでもステージ構造やスフィア配置については同じである。それでいて本編と同じボリュームがあるため、ボスはともかく通常ステージについては間延びする面もある。
      • もっとも、リメイク前から『USDX』の「大王の逆襲」のようにステージ構造を変えた方がいいのではという意見もあったが。
  • ボスはレベル6までは扉*10に入ってもすぐボス戦にならず、そのままそのエリアのボスの元まで手動で行く必要があり、無駄に手間がかかる点もリメイク前と同様。
    • 「マホロアエピローグ」のボスもエリア4までは同様。
  • ボスが増えている為か「真・格闘王への道」の解禁が難しくなった。
    • 本作ではエクストラモードと追加モードのクリアが真・格闘王への道の参加条件となっている。本作の真格闘王は他の作品にならって専用のラスボス(の強化形態)が存在し、また追加モードの専用ボスにカービィ達で挑める唯一のモードなのだが、これを遊ぶためにクリア後に解禁されるモードを2つもやらないといけないというのは、特にリメイク前を遊んでいた追加要素目当てのプレイヤーにとっては面倒である。
      • もっとも、「エクストラモードだけのクリアで解禁される」というわけにもいくまいが…
  • 「ガンガンバスターズ」の削除
    • リメイク前から唯一削除された要素として、サブゲームの「ガンガンバスターズ」がなくなっている。
    • 元々がWiiリモコンのポインタを用いている他、ポイントが一律で「参加したキャラクターの合計でしか記載されない為、対戦ゲームにできない」といった事情もあり、サブゲームのためそのままでは収録できない事情があるとはいえ、人気の高いミニゲームだっただけに、何らかの変更を加えてでも収録してほしかったという声は多い。
      • また「タッチ!早撃ちカービィ」とゲーム性が被るといった問題点もあったと思われる。
    • 一応、BGMは1曲を除いて別の場所で使用されているほか、デデデロボがたまごきゃっちゃにてたまご投げロボとして登場する。
      • その1つは『SDX』のデデデ戦の流用であるため、無くても大きな問題はないのだが。
  • 「(真・)格闘王への道」以外では1Pがカービィ以外を使えない点も相変わらず。
    • 上記のようなオンラインプレイや、ヘルパー扱いでNPCとして連れ歩きたかったファンも少なくない。
  • amiiboの仕様
    • アイテムが使用と同時に消費されるのではなくステージに出現する仕様なので、回復の前にとどめを刺されてしまうことがある。
      なおおみやげアイテムは同時に消費される。
    • 一部のamiiboを使用すると回復アイテムと同時に「ルーレットコピーのもと」も出るため、使いたいコピー能力が失われるリスクがある。これらのamiiboは「回復アイテムだけ出す」という事ができない。
  • ローアの部屋の仕様
    • コピーのもとの部屋にリメイク前にあったコピーのもとを押し除けて「フェスティバル」「サンド」「アーマー」「クラッシュ」「マイク」がある。また「スリープ」がない。
      • このため、「リメイク前だと解禁されているタイミングなのに今回では解禁されていない」という事が起こる。リメイク前は20個ごとに増えてエナジースフィア80個で全て解禁のため、これらは同じにして前述のコピー5つはエナジースフィア100個の部屋に入れる方が良かったであろう。
    • サブゲームの部屋は健在だが、遊べるサブゲームは「わいわいマホロアランド」と同じ上に、マホロアランドと違いエナジースフィア収集によるゲームの解放が必要なため必要性に乏しくなっている。
  • 原作とは違ってHUDの顔グラのダメージを受けた際の表情と体力が完全になくなった時の表情が色以外完全に同じであり、前者の方で統一されている。
  • サブゲームをプレイしリザルト直後にソフトを再起動すると押し忘れスタンプなるものが発生するのだが、なぜか手裏剣道場だけはミッションを達成してでのオートセーブも含め発生しない。
    • …が、連続でプレイすると直近以外は反映される。設定ミスであろうか。

総評

不朽の名作である『星のカービィ Wii』が、Nintendo Switchで蘇った。
リメイク前の楽しみを損なわないまま更に遊びやすくなっており、リメイク作品としては理想の形態となっている。
追加要素についても、リメイク前のミッシングリンクを補完し、単独のゲームとしても非常に面白い新モードが追加されたことで、リメイク前プレイ済みの人にとっても新規プレイヤーにとっても遊ぶ価値のある良作として仕上がった。


余談

  • パッケージが公表された時点ではマホロアランドの内容が明かされていなかったため、「マホロアを模した自己顕示欲の塊のような外見の謎の施設がある」と話題となった。
    • 発表当初は「風雲マホロア城」「ドノツラ城*11」などと呼ばれ、大いにネタにされた。
  • ニンテンドーeショップにて体験版も配信されている。
    • 製品版の序盤ステージをミックスしたステージ2つとウィスピーウッズと戦うボスステージの3つのステージを遊ぶことができる。また、「わいわいマホロアランド」のミニゲームも「一撃!手裏剣道場」と「ガンガンブラスターズ」の2つを体験できる。
  • カービィハンターズとの関係。
    • あちらの舞台であるプププ王国は、俗に言うパラレルワールドなのだが「ある人物だけは完全な同一人物である」という謎の設定*12が存在していた。
    • そして、本作にてまさかの数年越しの伏線回収が成されファンを驚かせることとなった。
  • 共同開発を担当していたバンプールであったが、本作発売から約3か月後の2023年5月31日に諸事情によって解散が発表された。
最終更新:2024年11月10日 07:31

*1 特に、顔つきは『64』を思わせるずんぐりしたものになっている。

*2 デッドリーサンとシャドウアッパーはグランドローパーの時点で使っている

*3 発動前の予兆として、当該場所へ徐々に吸い寄せられる挙動を示す。

*4 データ解析によって、マホロアソウルの体力は原作の約2倍になっている事が判明しており、その内の40%を削ると第2形態に移行するらしい。

*5 一応「かくれマホロア」でもスタンプは貯まるが、1日15個しか押せない。

*6 こちらはその前に登場したコピー能力である「エンジェル」でもよかったのではという意見もあるが

*7 他にはポピーブロスジュニア(Wiiから。それまでは投げてくる爆弾はスカだった)やケミトリィなどが該当。

*8 厳密にはボスの体力だけでなく、防御力補正などのプレイヤーには見えない内部処理も微妙に変化している。

*9 過去に『3』のMG5やジャンピングで詰んで100%クリア出来なかった人が続出した前例を考慮した可能性もある。

*10 レベル5に限りワープスター。

*11 マホロア、マルク、ダークメタナイトの3体を指す非公式の俗称、ドノツラフレンズに由来する。本編の所業とスターアライズでの客演時のギャップから付けられた。

*12 本編では特に触れられず、インタビューでわざわざ言及されるまでパラレルの存在と思われていた。