ウオノラゴン

登録日:2020/01/19 Sun 08:01:30
更新日:2025/03/23 Sun 20:49:38
所要時間:約 4 分で読めます





ずば抜けた脚力と顎の力で古代では無敵だったが獲物を獲り尽くし絶滅した。



ウオノラゴンとはゲームポケットモンスター ソード・シールド』で初登場したポケモンである。


●もくじ

データ


ガラル図鑑No.376
全国図鑑No.882
英語名:Dracovish
分類:かせきポケモン
高さ:2.3m
重さ:215.0㎏
タマゴグループ:未発見(性別不明)

タイプ:みず/ドラゴン
特性:ちょすい(みずタイプの技を無効化し、さらにHPを最大HPの25%だけ回復する。)、がんじょうあご(かみつきわざの威力が1.5倍になる。)
隠れ特性:すなかき(天候がすなあらしのとき、すばやさが2倍になり、すなあらしのダメージを受けなくなる。)


種族値
HP:90
攻撃:90
防御:100
特攻:70
特防:80
素早さ:75

合計:505

努力値:防御+2

入手方法:カセキのサカナカセキのリュウで化石復元

タイプ相性
×2:ドラゴン、フェアリー
×1/2:はがね
×1/4:みず、ほのお


概要

ガラル地方の化石ポケモンはいずれも衝撃的なビジュアル……もとい斬新な姿と設定が多いが、こいつはその中でも異彩を放っていた。

そのシルエットは直立した二足歩行の恐竜に見えなくもないが、よく見ると上半身がつくだろう箇所の断面が丸見え*1よく生きて復元できたな…という、とんでもない体の尾の先にくっついた上下逆さまの頭部尻尾で起こして正面を向いている。

そのエスプリが効きすぎた(ブラックユーモア極まる)デザインに嫌悪感を示すトレーナーもいるが、動いてみるとカレーを実に幸せそうに食べたり、おもちゃを振れば愛想よくかみかみしたりと、なかなかに愛らしい姿を見せてくれる。
前傾姿勢でのっしのっしと闊歩する姿がかっこいいというより可愛いこのウオノラゴンはアニポケでは見た目通り泳ぐのは苦手*2で、自慢の脚力で水底を走るのは大得意。
図鑑によると、時速60キロを超える脚力と顎の力で古代では無敵だったが、水中でしか呼吸できず獲物を狩り尽くし絶滅してしまったという。

脚力を活かせる陸上で呼吸できない矛盾した生態にも思えるが、ポケモンにはシズクモの例もあるため、水中でしか呼吸できない=陸上で生活できないと決めつけるのは早計である。
クジラやイルカのような酸素を溜め込んで海中で暮らす海洋哺乳類と逆をやっていたのかもしれないし、ポケモンの特性、体に「貯水」して陸にあがり「頑丈な顎」で狩りをしていた…かもしれないし、生息地が浅瀬であった可能性も考えられる*3



ゲームでのウオノラゴン

6番道路にいるウカッツに頼んで「カセキのサカナ」と「カセキのリュウ」をがっちゃんこできるので、色違いを狙ってみるのも良いだろう。
シンクロが効かないので少し時間はかかるが、ようきかいじっぱりで「がんじょうあご」の個体を狙いたいところ。

旅パに加えれば長い間一緒に過ごすことができるが、レベルアップで覚える技に強力なものがあまりないのが難点。
後述するエラがみを覚えるのがLv.63とかなり遅いので、ワイルドエリアで頑張って「たきのぼり」や「アクアブレイク」といった強力なみず物理技のわざレコードで覚えさせると、道中の対戦でも使いやすくなる。

シールドだとサカナは6番道路で拾え、リュウはラテラルタウンで貰える一方、ソードはサカナもリュウもワイルドエリアの穴掘り兄弟に低確率で発掘してもらわなければならず、運が悪いと万単位のワットが消えてしまうことも…。
オシャボを狙うなら「冠の雪原」紫の柱だが、確定で隠れ特性のすなかき*4になるのでモンスターボール以外のボールに入れると特性がバレてしまうのがネック。


対戦でのウオノラゴン

防御が高めでそれ以外は平均的な種族値の配分。
弱点がドラゴンとフェアリーの2つしか無いため弱点を突かれにくく、HPと特防もそこそこあるので耐久はなかなか。
タイプ不一致の抜群技なら余裕で耐えられるくらいのタフさがある。

最大の強みが準専用技*5「エラがみ」
威力85・命中率100の安定したみず物理技だが、先に攻撃できれば与えるダメージが2倍になるというとんでもない追加効果を持っている。*6
またこの技は特性『がんじょうあご』によるダメージ補正の対象にもなっているため、条件が噛み合えば先制攻撃するだけで、
85(エラがみ)×1.5(タイプ一致)×1.5(がんじょうあご)×2(先制時)=382.5

これに加えてフィールドにが降っていてこだわりハチマキを巻いていようものなら
382.5×1.5(雨)×1.5(こだわりハチマキ)=860.625という驚異的な威力の技をお見舞いすることができる。
半減してなお弱点を突いた時のサブウェポン並からそれ以上の威力をたたき出すのだ。
どれだけ凄いかというと、攻撃に補正をかければあの パルシェンスイクン(耐久無振時)すら半減してなお確定1発、防御特化クレベースも高乱数1発 にしてしまうほど。
古代では無敵だったという設定もうなずける。

ただしウオノラゴンの素早さは低めなので、先手を取るためにはまひ撒きやこだわりスカーフなどによるサポートが必要になってくる。
あめふらしペリッパーの「おいかぜ」からの「とんぼがえり」や、ポットデスの「からをやぶる」からの「バトンタッチ」など、
他のポケモンの手を借りて素早さを上げつつ技の威力を向上させる戦術もある。
いっそのこと「せんせいのツメ」を持たせるのも手か。
相手の攻撃依存になる上、ランダム性も高くなるが「レッドカード」と組み合わせてみるのもあり。

アイテムは、上述した素早さを補完するアイテムの他にも、
火力を底上げするこだわりハチマキ、いのちのたま、
フルアタ構成なら事実上デメリット無しで特防を上げられるとつげきチョッキが良く採用され、
特にこだわりハチマキは70%近くのウオノラゴンが所持している。

メインウェポンは「エラがみ」の他「げきりん」「ドラゴンダイブ」、
サブウェポンは『がんじょうあご』の補正が乗っかる「サイコファング」「かみくだく」「こおりのキバ」、
単純に威力の高い「じしん」「ストーンエッジ」、
素早さを下げて、エラがみ戦法をしやすくする「じならし」「がんせきふうじ」、
ダイロックにする事で能動的に砂嵐状態にでき、きあいのタスキやばけのかわ対策になる「ロックブラスト」、
ラプラス対策かつダイナックルになる「けたぐり」、
悪あがきに近いが高耐久ポケモン対策の「いかりのまえば」、HPを回復できる「きゅうけつ」が候補である。
一方で変化技はかなり貧弱で独自色は無い。
だが、攻撃技が「エラがみ」でほぼ足りる関係上、何かしら変化技を採用するケースも多い。
主流はねむり対策の「ねごと」であり、過半数のウオノラゴンに採用されている。
無難に使いやすい「まもる」や交代読みで使える「みがわり」持ちもいなくはない。
変化技を一つ入れておくと、ダイマックスを使わざるを得ない状況で「ダイウォール」が使えるようになるのも強みである。

特性はロマンを実現する『がんじょうあご』が主流。 環境にいる60%以上のウオノラゴンは『がんじょうあご』である
もう一つの特性の『ちょすい』は『がんじょうあご』が強力な上に、受けに回って戦うポケモンではないのもあって、あまり人気がない。
一応存在は頭に入れておくと良いが、下記の『すなかき』型よりも少なく、採用率は3%前提に留まっている。
隠れ特性『すなかき』も「エラがみ」と好相性なのだが、がんじょうあごの1.5倍補正は消えてしまうので一長一短。
砂パに入れる場合や、こだわりハチマキを使用する場合やいわ技(ダイロック)を採用する場合は一考の余地がある。

欠点は強力すぎるがゆえに「エラがみ」頼りの戦いになってしまうということ。
素の攻撃はそこまで高くないので、『ちょすい』や『かんそうはだ』などみず技を無効にする相手には有効打を与えづらい。
万が一特性を潰されたり、麻痺を喰らおうものなら持ち味は潰され、凡傭なポケモンになってしまう。
そして、物理アタッカーの宿命として、特性「いかく」ややけど、「ちからをすいとる」といった技でも役割破壊されやすい。
「でんじは」や「ほうでん」、「おにび」や「ねっとう」といった攻撃を持つ相手は警戒したい。
なお、環境に多い霊獣ランドロスは、相手が耐久無振りであれば「いかく」込みでもゴリ押し可能(ダイマックスされない場合に限る)。
ただし、 がんせきふうじ持ちや耐久型もかなり多い 為、状況をよく見極めて戦おう。

また、剣盾からの新要素であるダイマックスとの相性も悪く、「エラがみ」の追加効果が発動しないばかりか『がんじょうあご』の補正もかからないため、
ダイマックスすると火力が下がるというよくわからないことになっている。

更に耐久は低くはないものの、決して高いとも言えないラインであり、相手によってはそのまま押し切られてしまうケースもある。
前述したように弱点のタイプがドラゴンとフェアリーであり、環境で人気が高いドラパルトミミッキュのタイプ一致技が抜群になってしまうのである。
ドラパルトは最速スカーフでも抜くことができず、ドラゴンアローで確定一発
ミミッキュは特性ばけのかわでこちらの攻撃を防がれ、いのちのたま補正込みのじゃれつくで乱数一発とほぼ勝ち目がない。*7
一応ドラパルトは隠れ特性『すなかき』が発動していれば抜くことはできるが……。

その他にも特性『ちょすい』持ちかつ「フリーズドライ」で4倍弱点を突いてくるラプラスや、驚異の耐久性とタイプ相性の関係から有効打を打つことができないナットレイなど苦手な相手は結構多い。

冠の雪原解禁後は水の通りがより良くなりTOP10に君臨した。


アニメでのウオノラゴン



出典:ポケットモンスター、50話『ガラルの化石!がっちゃんこ!!』、
19年11月17日~2022年12月16日まで放送。
OLM、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon



なんとサトシゲットした!
長いシリーズでサトシが初めてゲットした化石ポケモンであり、リージョンフォームではない純粋なガラルのポケモン。


50話に登場。ウカッツ、ガサッツ研究員とサトシ一行が発掘した化石から蘇った。
元々ウカッツは化石から『ウオチルドン』の復元図を予想しウオチルドンを復活させようとしたが、
ガサッツのガサツさで化石復元機に入れる化石を入れ間違えた事でウオノラゴンとして蘇った。

ゴウパッチルドンと共にガラルの化石復元ポケモン第1号であり、作中では新種のポケモン扱い。
『ウオノラゴン』という名前もウカッツがその場で名付けた暫定的なもの。
そんな新種であるにもかかわらず、ウカッツたちは少しの交流でデータが取れたからといい、サトシにウオノラゴンを託したため、ゲットされた。
新種のため四天王チャンピオンでも名前しか知らないという事もあり、ドラゴン使いであるアイリスドラセナはサトシのウオノラゴンに興味津々になっている。

蘇った当初からサトシの事を気に入っており、サトシの頭に甘噛みしている。
見た目からして顎が強いのでサトシも当初は噛まれるのを嫌がったが、懐かれていると分かってからは噛まれるのを許している。
ゲットされて以降はボールから出る度にサトシの頭に噛みついているが、気に入れば誰にでもハグするカイリューと異なりサトシ以外には噛まない。


同期ではネギガナイトと仲がいい*8。新技を覚えたのも同じ回だったし、特にスターアサルトはウオノラゴンがいなければ覚えられていなかっただろう。

バトル回数はあまり多くはないが、近接戦闘では凄まじい強さを誇る。
BW2時代エースだったアルティメットアイリスの強面カイリューに勝ってしまうほどである。
しかも『エラがみ』で頭から丸かじりしてドラゴンダイブを受け止め、『こおりのキバ』で氷漬けにして勝つという、なかなかにエグイコンボで勝っている。
一方で遠距離技が『みずでっぽう』しかないこともあり遠距離戦が苦手。同じく遠距離が苦手なオノノクスに一方的にやられてしまうほど。

ハイパークラス以降、切り札が使えるルカリオゲンガーに勝ち星が集中し、
切り札が使えないカイリュー・ネギガナイトの勝率が下がる憂き目を見る中、お膳立てありきとはいえ、切り札を使えないポケモンの中で彼だけは唯一3勝を挙げている
(これはウオノラゴンの加入そのものが遅く、本格的なバトルがハイパークラス以降だったことによるもの)
「古代ガラルの覇者」の渾名は伊達ではないということだろう。

ドラセナ戦の前にドラゴンダイブを覚えて出陣。彼女のオンバーンを倒して勝負を決める活躍を見せた。

ダイゴ戦ではメタグロスに先制がんじょうあごエラがみを決めるも交代で出てきたボスゴドラにヘビーボンバーで瞬殺される。

シロナ戦ではロズレイドミロカロスと対戦。前者を既に倒されていたゲンガーのお膳立てもあって倒すが、後者には奮戦むなしく敗北。
しかしアイリス敗北の一因となった巻き付きからのアイアンヘッドコンボにエラがみの一撃で一矢報い、盟友ネギガナイトの勝利につなげた。

ダンデ戦ではドラゴンアローを食らった結果、腹部のトゲがパワーアップ。
ドラパルトを捕まえて、立て続けにアイリス戦でのエラがみ・こおりのキバコンボを炸裂させた。
ドラパルトのドラゴンテールで無理やり撤退させられたものの、パワーアップした力が元に戻ることはなく、
カイリュー、ネギガナイトを完膚なきまでに叩きのめしたドラムアタックを簡単に突破し、
ドラゴンダイブと10万馬力のパワー勝負も打ち勝ってカルネのポケモンを4縦した強敵ゴリランダーに勝利
盟友たちの敵をとると同時にピカチュウに後事を託した。
なお勝率は丁度50%だが、サトシの手持ち6体の中では1番ゲット時期が遅く、それでいてゲンガーやネギガナイトを上回っていることを考えればこれは健闘していると言えよう。


余談

  • 頭部の元ネタは、身体が軟骨ばかりのために頭しか化石が見つかっていない古代魚ダンクルオステウスと思われる。

  • 下半身の元ネタはステゴサウルスと思われる。剣盾の化石ポケモンの元ネタはどれも不完全な復元の逸話が存在するが、ステゴサウルスもそれに違わず、ヒレの正しい配置の説が二転三転していた。現在では概ね、我々がよく知るような互い違いに左右に並んでいるものが一般的となっている。

  • 特徴的な体型の元ネタは上半身とも下半身とも異なる、ある古生物学者によって頭部と尻尾をあべこべに付けられ、そのまま論文まで発表されてしまった悲劇の首長竜エラスモサウルスだろう。仲の悪かった別の古生物学者がその論文に異議を唱えた事でさらに関係が悪化し、後に二人が繰り広げる古生物学に大きな影響を残した発掘競争「化石戦争」の遠因となったいう。

  • 「エラがみ」の威力の高さと演出の短さ*9からマックスレイドバトルの周回にも重宝されている。
    マルチのレイドバトルでは4匹のウオノラゴンで延々とエラがみしよう。でもよびみず/ちょすい持ちは勘弁な!


追記修正はキャンプでウオノラゴンを思いっきり愛でてからお願いします。



画像出典:『ポケットモンスター ソード・シールド 公式ガイドブック 完全ストーリー攻略+ガラル図鑑』
2019年12月7日発売、840ページ

著者:元宮秀介&ワンナップ
監修:株式会社ポケモン、ゲームフリーク
発行所:株式会社オーバーラップ

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  • サトシ
  • 堀内賢雄
  • 古代ガラルの覇者
  • 末っ子属性
  • 水/ドラゴン複合
  • すなかき
  • 882
  • ポケットモンスター
  • 第八世代(ポケモン)
最終更新:2025年03月23日 20:49

*1 一応パッチラゴンとは違い色と模様が外皮のそれと統一されているので断面感は薄い。

*2 犬かきスタイルで人間の子供より泳ぎが遅い

*3 つまり普段は浅瀬で生活し、陸に居る獲物を狩ってすかさず海に潜る……ペンギンの逆

*4 ワイルドエリアでは紫の柱からも確率で通常特性になるが、ヨロイ島とカンムリ雪原では確定で隠れ特性

*5 カセキのサカナを使って復元したウオノラゴンとウオチルドンが使用できる。

*6 相手の交代時にも効果がある。

*7 いずれも個体値が31(V)かつ性格補正無し、ウオノラゴンが耐久無振り、攻撃側が攻撃に努力値を最大まで振った場合。

*8 XY編のルチャブルオンバーンを思い出させる。あちらも鳥型かくとうタイプポケモンとドラゴンタイプポケモンのコンビである。

*9 ダイマックス特効のザシアン・ザマゼンタ・ムゲンダイナの専用技は演出が長く、マルチのマックスレイドバトルでは戦闘アニメをOFFにすることができないため周回効率が悪い。