父親(遊戯王)

登録日:2025/05/08 Thu 10:18:45
更新日:2025/05/10 Sat 13:09:35NEW!
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高橋和希原作の漫画遊☆戯☆王』に登場する父親キャラは多い。
ここはそんな父親たちにスポットを当てた記事である。


【概要】

人間は最初の人でない限り、父親と母親の交配により生まれてくる。
つまりどんな人間でも両親というものは存在するのである。
なので遊戯王のキャラクターたちにも父親は存在する。

…なのだが、遊戯王のコンセプトの一つに「武藤双六以外のオトナは悪人」というものがあり、そんなオトナの代表格である父親達は作者自ら「ロクデナシ親父の品評会」と称するほど酷いヤツラばかりである。
また彼ら父親は息子との関係を「槍」に例えて表現されている。


【そんな父親達】

・武藤遊戯の父親

主人公・武藤遊戯の父……なのだが、影も形もない。
死去している訳ではなく、あくまで「単身赴任」しているという設定。(母親は登場している。)
元々はゲームマスターたる父がラスボスの予定だったが、闇遊戯と別れた後でないと遊戯の自立には繋がらない、ということであえなくボツとなった。
本編では、祖父の双六が父親代わりとなっている。


城之内克也の父親

CV稲田徹(東映版)、(DMでは未登場)

「槍を持たない父親」
常日頃から飲んだくれ、また克也に対しては暴力を繰り返している描写もある。こんな有様なので克也は基本友達を自宅に招きたがらない。
ゴツそうな安全靴を履きながらも外に出ず、あちこちに借金を作り何もしていない彼を見て、克也は高校生ながらあちこちでアルバイトして生活費を賄っている。
息子の克也は最初は「賞金を手に入れたら今までの事は水に流してやり直そうぜ」と関係改善に前向きだったのだが、紆余曲折あって改善には至らず、後に安全靴を履いているヤツを見て「イヤなヤツを思い出させる」とまで吐き捨てている。
妹である川井静香*1の父親でもあるが、どうにも彼女からも嫌われているらしく、ビデオレターを送った際には「父親には知らせないで」と懇願していた。
流石に描写できなかったのかアニメDMでは全く登場しないどころか、言及すらされない。


・海馬剛三郎

CV:石塚運昇(東映版)、小村哲生(DM)

「槍を向ける父親」
ご存知海馬瀬人の父親、ただし彼は養父。
海馬コーポレーション社長でチェスの名手。
瀬人にチェスで負けたことで彼ら兄弟を養子としたが、その実態は養子である瀬人に自身の帝王学を叩き込むため虐待じみた教育を行う鬼畜ジジイ*2
元々軍事産業を営んでいた事もあり、多数の人間を不幸にしたが、皮肉にも育て上げた瀬人に全てを奪われた。
敗者の習わしと称しビルから飛び降り自らの命を断った。…が、そのせいで息子の攻撃性は多方面に向かうこととなった。
このページを見ればわかるように、それなりに褒めどころも持っている他の親たちと異なり、擁護点が全くないトップクラスの毒親。
瀬人は養父が目の前で自殺したことでかなり歪んでしまっており、少なくとも養父に対しては家族の情があったと思われる。

アニメDMでは実の息子である乃亜が登場。
剛三郎なりに優しさを向けていたのだが早死にし、更に人間の心を失っていく彼を見捨てるなど身勝手な愛しかたをしていた。
こちらではデータ上のコピーとはいえ本人も登場。瀬人とデュエルで決着をつけることとなる。
なお、アニメDMでは彼が瀬人に行った教育の一部が描写されている他、チェスの勝負は手加減をしていたことを示唆している。*3
また、死因も自殺ではなく、息子に負けたことで失意のうちでの病死となっている。

なお海馬兄弟の実の両親は既に亡くなっており、その人となりが語られることはない。
ただし彼らの遺産は親戚連中が食い荒らしたとの事であり、両親間はともかく親族との関係は良くなかったようだ。


花咲友也の父親


「槍を捨てた父親」
息子の事は愛している事は事実だが、彼のために高額なゾンバイアグッズを多数買い揃えてあげたり、挙げ句には不良にお金を渡して息子にヒーローごっこをさせようとするなど、別方向に過激である。
善人なのは間違いないが、優しさと甘さを混同しがちな部分と、息子に対してお金や物品でしか解決を図れなかったのは危険と言えるだろうか。
それでも遊戯のお陰で救われることとなった。


梶木漁太の父親

CV:岩崎征実

海の男・梶木が慕うほど、優しく、大きな父親であった。
またとある嵐の日に船を失い他の漁師の船を借りるしか無かったのだが、逆に言えば彼らに船を貸してくれる友好関係があったと思われる。
……が、彼は海に消え、取り残された息子は、父親に似た《伝説のフィッシャーマン》に依存するまでとなってしまう。
しかし漁太はそのせいで敗北を喫してしまった事もあり、いつまでも父親に甘えてられないと自立することとなった。
海に自信を持ち、海を恐れ、それでも好漢たり得る漁太を育て上げたこともあり、良き父親と言えるだろう。
なお彼だけ持ってるのは槍じゃなくて銛である


・Mr.クラウン


「槍を持たせる父親」
前述の通り双六にゲームで敗れ、醜い顔となってしまった。御伽龍児の父親
その復讐心の為に息子の龍児をゲームのプロに育て上げ、復讐の道具にしてしまった。
だが龍児がDDDで遊戯に敗北した際には「復讐を遂げられなかったお前に生きる価値などありはせんわ!!」と吐き捨てるなど、親として最低と言わざるを得ない事をやらかしている。

…だが、その息子が炎に消えた際にはその事を詫び涙し、助けられた際には喜ぶなど、歪んではいたが愛情も持っていた。
最終的には恨みも捨てて息子や武藤家と和解、原作の後日談に当たるDSODでは親子で移動式カフェを営むなど、楽しく仲良くやっているようだ。

流石にヤバすぎたのかアニメDMでは全く登場しないどころか言及もされず、御伽の復讐の理由も異なっている。


マリクの父

CV:安崎求

「槍を刺す父親」
墓守の伝統を重んじる厳格な性格。
…であるが厳格過ぎる上に過度の懲罰主義であり、ルールを破った者に対するそれは拷問に近い。
それでも息子に対してはまだ愛情を持っていたのか、彼からは慕われており、激痛を伴う儀式を持ってもマリクは「誰を恨めば良い!」と父親に直接怒りをぶつけることはなかった。
そんなマリクが闇人格を生み出し、やがて父を殺すようになったのは、養子のリシドに対する厳しすぎるにも程がある言動の数々のせいだろう。
どうにもリシドに対しては「マリクに対しての見せしめ」程度にしか思ってなかったらしい。

ただ書き方としては悪人ではないようにも思え、アニメDMでは愛していた妻の死以降人格が変わったかのような補完描写もされている。
実際、原作においてマリクの行動理由は父の復讐であり、決して厳格なだけの父であったわけではないと思われる。


・アクナムカノン

CV:コビヤマ洋一

「槍を残す父親」
古代エジプト時代のファラオにして、アテムの父親。
先代の王としては理想的だったが、戦乱の王としては優しすぎたが為に、民が犠牲になることに心身を痛め早死にした。
ただその犠牲に対して何もしていない事で後に様々な問題を起こした事もあり、それを責める厳しい意見もある。
故に、善人寄りの人物であるのは間違いないが、良き父親、良き王と言えるかは微妙という評価の人である。


・アクナディン

CV:上別府仁資

「槍となった父親」
アクナムカノンの弟であり、六神官の1人セトの父親。
「弟」というだけで王になれなかった事を悔しがっているが、それでも兄のために汚れ役を買って出たり、また王に相応しいのは自分ではなく息子という思いを持つなど本質的には家族思い。
……であるが負の感情に目をつけられたゾークによりその精神は邪悪に染められ、最終的に息子の心すら支配しようとしてしまう。
まあ、それなりにいい面も持つ苦労人ではあるのだが、初代遊戯王を一言でいうと「だいたいこいつ(とゾーク)のせい」となってしまうほどの諸悪の根源である人物でもある。
小説版『光のピラミッド』や漫画『GX』でも遺恨を残してしまっている。


獏良了の父

CV:山路和弘

劇場版にて登場した。
子どもたちを囲っているシャーディーの元に突如現れ、必死の願いで千年リングを得ようとする。
だがシャーディーに渡されたリングに耐えきることはできなかったが、それをひっそり見ていた息子によって…。

と、作中の言動を見るに彼も欲に目が眩んだだけの男に見える。
しかし、裏設定ではあるが了には亡くなった妹の「天音」がいる。
要するに娘を亡くしている為に、彼女を生き返すかどうにかしたくてこのような暴走に出たのだと推測されている。

その後生死は不明だが、作中で良く出てくる美術館の所有者は彼であるらしく、おそらくは生存している。
息子が暴走しがちな上に館長が急死したりもして胃が持たなさそうではある。

文庫版より後に登場したため作者からの減給もないが、上述の父親の例に当てはめるなら『槍を欲した父親』だろうか。


ペガサス・J・クロフォード

CV:高杉Jay二郎

王国編で海馬や遊戯たちの前に立ちはだかったI2社長。
独身だが、『遊戯王R』の設定では天馬月行天馬夜行の兄弟をはじめとした孤児を引き取り、後継者候補「ペガサス・ミニオン」として育てていた義理の父。
少なくとも王国編ではお世辞にも善人とは言えない人物だったが、彼なりに寵児たちには愛情と期待を注いでいたらしく、天馬兄弟からは慕われていた。
ただ、最も期待を寄せていた夜行はペガサスの手腕のみならず手段を選ばない性格まで引き継いでしまったが。
年齢的に父親というより兄に近いが……


【父親以外】

・武藤双六

CV:青野武(東映版)、宮澤正(DM以降の作品)

厳密には遊戯の祖父であるが、誰かの父であることには変わりない。
遊戯の父本人が登場しない為に彼が父親代わりとなっているが、孫思いの良き爺さんである。
彼が何かトラブルにあった事を察して大金を仕込ませたり、その遊戯がゲーマーとして腕を挙げたのなら魂のデッキをそのまま譲ったりと基本的には優しく接する。
ホプキンス教授との友情の証を大事にしていたりと、絆を大切にする一面もある。
……が、かつては腕利きのギャンブラーであり、悪人とは言え眼の前で人間が犠牲になっても意に介したりしないほか、若き日のMr.クラウンに酷いことをしていたりする。
またその気質は年老いた今でも残っており、ある意味では孫の覚醒を期待していた節もあったりする。

孫から祖父に対する感情も本物であり基本的には良好な家族関係と言えるだろう。


・アーサー・ホプキンス

CV:小高三良

レベッカ・ホプキンスの祖父。
彼自身は原作でも「双六に青眼の白龍を渡した親友」として姿だけ登場していたが、アニメにて名前と孫娘が明らかになった。
つまり実質アニオリのキャラなので、オトナは悪人原則に当てはまらない。
アメリカ人の考古学者であるが人情味溢れる温和な性格であると同時に界隈でも有名なカードコレクター。
孫娘レベッカの事は非常に可愛がっているが、しめるところはしっかりとしめる、こちらも良き祖父と言えるだろう。


【余談】

作者の高橋氏と父親の関係は良好であり、息子の漫画の商品だからとカードを買った父に「その年でカードを買うのはやめてくれ」と恥ずかしがっていた。




追記修正は良き父になってからお願いします。


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最終更新:2025年05月10日 13:09

*1 名字が違うのは既に離婚しているため

*2 ただし、海馬はイカサマで勝利している

*3 そもそも、アニメでは瀬人はイカサマを行っていない