またくだる能はざる處に至りて其処にコキュートスと成る
此の池の何なるやは汝見るべし、この故にここに語らず
――――ダンテ・アリギエーリ『神曲』地獄篇 第14曲 118-120節
アーティファクト・システム、コードネーム『コキュートス』。
レプリケート・システムを応用することで生まれた技術。
通常のレプリケート・システムが、内蔵している分子を組み合わせて物体を構築するのに対して、これは『通常自然界には存在しない分子を構築する』ことができる代物である。
情報量の問題で、生成可能なのは単結合の金属分子、もしくは合金に限られるのだが、自然界に存在する金属にはあり得ないような『何らかの性質』を持った人工金属を発生させることが可能であり、同時期に発生した
虚数物理学の応用によって、様々な『性質』を持った武装が創り出された。
一般には、この武装そのものも『コキュートス』と称する。
燃料食いで評判なレプリケート・システム以上に、コキュートスの生成には莫大なコストを必要とする。
また、当初はあまり複雑な構造のものは作成できなかった。
そのためか、当時のコキュートスには、刀剣類の姿をした、一見時代錯誤なものが多い。
実際、簡単に手に持って取り扱うことができるのは、一種の魔力回路としても重要な因子であり、
一つの武器を使いまわし、ある程度の戦果を上げられる上に、鹵獲されても
亜人種以外には使えない場合が多いので、その形状は理に適っている場合が多い。
稀に、開発者が何かを踏み外したような謎コンセプトの武装がある。
銃、もしくは銃弾型のコキュートスというのも考案されはしたが、どうせ人道的倫理を無視するなら、普通にホローポイント弾などを使った方が高い費用対効果が見込めるため、そこでコキュートスを使う意味は現在のところは無いと結論された。
単純に小型、かつ複雑なものは造りづらかったというのも理由の一つである。
名称は、開発段階で発せられた『これは世の大悪を封ずる嘆きの大河となる』という言葉に由来する。
その台詞自体の由来は、無論地獄の最下層に流れる、サタンを封じた絶対零度の大河、コキュートス(ギリシャ語で嘆きの河の意)に他ならない。
最終更新:2014年09月02日 15:35