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フェイズダウン

われらの救ひを失へるはほかに罪あるためならず、
たゞこの虧處(おちど)のためなれば
我等はたゞ願ひありて望みなき生命をこゝにわぶるのみ
 ――――ダンテ・アリギエーリ『神曲』地獄篇 第4曲 40-42節

堕天。
高次情報波を浴びた物質(特に生物)が変性すること。いわゆる亜存在化現象。


通常、フェイズダウンを起こした物質は、情報領域において“異常”として検出され、ある程度正常な形に修正される。
虚数領域のアストラル粒子がこれを検出し、エーテルエネルギーを用いて修正する……と、人類には思われていたが、実際は少々異なる。そんな修正機能など、自然には存在しない。
このフェイズダウンという現象は、かつて、とある高次存在によって「知性体が独力で高次元空間に進出しようとした時に発動するスイッチ」として仕掛けられたものであり、その知性体を滅ぼす、というよりは試すためのもの。
よって、それらに関連する自浄機能は、「世界そのものが崩壊してしまわない程度」に被害を留めるため設定された、本来この宇宙には存在しない機能。


それぞれの銀河に同様のギミックが仕掛けられており、スイッチが入ると同時に銀河中心核の大質量ブラックホール周辺に巨大な亜存在複合体が配置されるようになっている。
こうすると、“仲間として引き込むに相応しい”知性体であれば、関連性を見出し、そのブラックホールへと到達するだろう。また、この時ブラックホールに直接向かう個体は、その種の中でも取り分け優れた個体に違いない。
複合体を退け、ブラックホール中心の重力特異点に繋げた時空連続体へと侵入することができるのなら、それは間違いなく“相応しい”存在となる。
最後の審判者として、アルが利用された。

要するに、

「人類が充分に発達した時にスイッチが入り」
「発生した亜存在に滅ぼされず、分析・対抗し」
「銀河中心核のブラックホールに到達し」
「アルによる最後の審判にも打ち勝つ」

この四段構えの“ふるい”にかけられ、最後に立っていた者をのみ高次存在の仲間として引き入れるという、取り込み、もとい“繁殖”方法のために、フェイズダウン現象が発生させられたのである。
最終更新:2014年06月02日 09:11