おまえの眼前に光がある。預言者よ、望まれていない、最も望ましい光が。
――――アレイスター・クロウリー『法の書』第2章61節
ライト・エーベルヴァイン
ドイツ出身の
亜人種。
ルナの双子の兄――と周囲に説明してはいるが、実際には親兄弟はいない。
ろくに物心もつかないうちにハンブルク州の歓楽街レーパーバーン付近に棄てられていた孤児であり、
程なくして、当時、同州にあるドイツ電子シンクロトロンをよく訪れていた
レイ?の父親に引き取られた。
(※ドイツの児童養護施設は短期的なものという価値観があり、里親のもとで暮らすのが難しくなければ
すぐに里親に引き取られるので、滞在期間が短い傾向にある)
ちなみに当時、ドイツにいた
現もこの現場に立ち会っているが、
ライトは幼かったため、彼のことは覚えていない。
ただし、その意図は『家族になる』というよりは、死んでも問題の少ない人体実験の被験体を欲してのことであり、
戸籍上養子にするような手続きは行っていない。姓が違うのはそのためである。
ラファエル?からの技術提供を受ける前の、技術的に不完全な
虚数物理学は、
干渉・観測手段が限られるため、彼のような亜人を使った実験を余儀なくされていた。
特に
薔薇十字団内においては、
亜存在に対抗するため、多少人道に悖る手段が黙認されることも少なくなかった。
彼も同様に被験体として生かされ、様々な実験が行われている。
実験結果はさほど芳しいものではなく、ほとんどがただ副作用のみを与える彼にとって苦しい結果になったが、
特殊な遺伝子配列を持つ人工細胞の移植による「
エーテルエネルギーの変換効率を上昇させる」という実験だけは
珍しく成功しており、実質ほぼ無尽蔵の魔力を持つ。
彼個人としては、被験体にされた事は特に気にしていない。結果として便利になったとすら思っている。
当時は不条理を理解するには幼く、元々「そういうものだ」と思っていたことも大きい。
そのうち自分に行われている実験そのものに興味を持ち始め、
レイやその両親に質問しては教えられるうちに、高度な理学知識を得ていったため『失うには惜しい』と、
本格的に学ぶ機会を与えられ、被験体でありながら研究助手として働くようになる。
とは言え、薔薇十字団の一員として認められたわけではなく、機密である亜存在については伏せられていた。
12の時に『
アゲート事件』が発生。ラファエルからの技術提供があり、虚数物理学は飛躍的に進歩する。
そして13の頃、サルベージに成功していた自律駆動型
鐫界器の修復に際して、
その無尽蔵の魔力に白羽の矢が立ち、再び被験体としての役割を全うすることになる。
(完全に家族となっていたレイは当初こそ反対したが、国連からの要請と本人の希望により訴えを取り下げた)
鐫界器は、修復時に彼に似せられ、『光』を受けて輝くものという意味を込めて『ルナ』と名付けられた。
また、修復のための体組織サンプルの採取や、特に大量の輸血に由来して、
古代北欧の義兄弟の誓いに準えて、彼女は対外的に『妹』として扱われることになる。
性格的には明るくポジティブ、やや傍若無人でお調子者。
とは言え、酷な生い立ちや被験体としての記憶のせいか、その明るさは現実的な諦観に根差しており、
『不幸や不条理を嘆いても無駄なので、受け入れて楽しくやろう』という考えによるもの。
そのためか、普段見せている子供っぽさとは別に、どこか成熟した抱擁力のようなものがあり、
比較的人好きのする性格。
女性に好意を持たれることも多いが、本人は誰にも恋愛感情を抱いていない。
というか、恋愛感情とはどういうものなのかをまず理解できていない。
とりあえず自分が幸福にできる相手がいるのなら可能な限りしてやりたいとは思っているが、
ルナという存在や、被験体としての役割のこともあって、
最終的に不幸にしそうなら、意図的に一定以上の関わりを持たないようにしている。
華鈴からは非常に懐かれており、周りからの彼女の『犬』イメージの多くはこれに由来している。
彼女に同情心から優しく接する者はそこそこ多くいるが、自分の都合や時間・金銭的損失などを顧みず、
見返りなども求めずに面倒事を背負い込もうとしてくれたのは彼だけだったとか。
『孤児の実験体』という境遇に思うところがあったのかもしれない。
彼女は庇護に甘えることを良しとしなかったため、決して優しさに依存せず自立を選んで身を引いているが、
なんだかんだで後年まで兄代わりのような親密な関係を維持している。
リミルとは思考や価値観が似ていたため、出会ってすぐに友人として懇意になったが、
次第にそれ以上の好意を持たれていったことにも気付いており、どう応えるべきか迷っていた。
しかし、彼女が
ヤイバを手にして暴走した時、半ば強引ながら、彼女の自責の念を掻き消すため、
自分の立場や秘密を明かし、少しずつ想いに向き合おうと表明。
明確な関係性の変化は無いが、『暗黙』の関係となる。
音楽はスピード感があってノリの良いメロコアやエモを好む。パンクっ子。
余談ながら、彼の両親は『ハンブルクの殺人鬼』と呼ばれる伝説の怪人物と因縁浅からぬ仲であり、
彼を手放したのは、取れる方法も時間も限られた状況下において、
もしもの事があっても我が子すらマーダラーされぬよう、危険から遠ざけるための苦肉の策であった。
その後、二人は命を賭して『ハンブルクの殺人鬼』を倒し、相討つ形で死亡している。
他の誰も知ることのない、ハロウィンの夜のことであった。
最終更新:2016年02月15日 06:49