ここには歎き、悲しみの聲、はげしき叫喚、星なき空にひゞきわたれば、我はたちまち涙を流せり
異樣の音、罵詈の叫び、苦患の言、怒りの節、強き聲、弱き聲、手の響きこれにまじりて
轟動めき、たえず常暗の空をめぐりてさながら旋風吹起る時の砂のごとし
怖れはわが頭を卷けり、我即ちいふ、師よわが聞くところのものは何ぞや、かく苦患に負くるとみゆるは何の民ぞや
――――ダンテ・アリギエーリ『神曲』地獄篇 第3曲 22-33節
装着者の意識にリンクし、過去視や未来視を可能とする指輪型の
鐫界器。
過去視の場合、相対時間軸上の点(使用時点)以前の全事物・事象を認識することが可能。
この過去は絶対時間軸の進行によって変動する可能性があるが、
その差は人類には知覚できない。
未来視の場合は、謂わば可能性視力のようなもので、
現時点での世界が採択し得る可能性を、選択的に知覚するものである。
故に、より未来へ未来へと進むにつれて、予知の確実性は減じていく。
尤も、“世界の外側”から物事を見られない使用者がそれに気付くかどうかは疑問である。
虚数時間の流れを利用するため、本当の能力はこれに留まらないのだが、
実数時間の流れに縛られる人間が使用する限り、この程度が限界になる。
最終更新:2014年06月02日 09:11